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交通安全フォーラムの開催について
● 内閣府では,交通安全意識の高揚を図るため,地域の交通事情に詳しい学識経験者や交通安全に関わる方々をお招きし,当該地域における交通安全対策に関する講演やパネルディスカッションを行う「交通安全フォーラム」を開催している。
平成28年度は,10月27日に,和歌山県及び和歌山市との共催により,『みんなにやさしい自転車の安全運転~ルールを守ろう,もしもに備えよう~』をテーマに和歌山県民文化会館小ホールで開催し,約270人の参加があった。
● この日のフォーラムでは,ご出席いただいたさまざまな立場の有識者から,自転車のルールやマナー遵守の重要性や我が国の自転車教育の効果的な推進及び自転車保険加入の必要性等について,意見や提言が示された。
○ 基調講演及びパネルディスカッションの提言内容
基調講演
元筑波大学大学院 人間総合科学研究科教授 吉田章 氏
「個人のマナーから社会のマナーへの意識で交通リテラシー向上を」
吉田章氏からは,自転車の現代的な課題とその対応について次のようなお話があった。
現在,日常生活空間としての道路では,歩行者・自転車・その他の車両が混在し,かつ無秩序な状態が認められ,多くの事故が発生していることが現代的課題である。これらの共存と事故防止のためには,地域的・世代的・時代的・行動的な対象の特性を踏まえた安全教育が重要である。さらに,リスクマネジメントや,もしもに備えた心構えと事故回避のための行動についても周知し,交通リテラシーの向上に努めることも必要である。自主性・主体性を尊重した安全指導によりルールの徹底とマナーの実現を図り,そして,個人のマナー(自己流)から社会のマナー(共通理解)へという意識をみんなが持つことが大切である。
パネルディスカッション
自転車の交通安全対策に詳しい専門家の方々をパネリストとしてお招きして,吉田章氏のコーディネートにより有益な議論が行われた。パネリストの方々からは,自転車事故防止対策の現状,効果的な自転車安全教育の在り方,自転車保険の重要性等について,次のような発言がなされた。
和歌山県警察本部 交通部参事官兼交通企画課長
坂部 義人氏
「自転車は車両という意識を持って事故防止を」
和歌山県では,自転車が関係する事故の割合は常に1割以上を占めており,自転車事故抑止対策として,危険行為を行う歩行者及び自転車利用者を対象に警察官が現場指導時に交付するセーフティカードの活用に取り組んでいる。「自転車も車両である」という意識を持って,基本的な交通ルールの遵守,また,事故時の被害軽減のためヘルメット着用をお願いしたい。
大阪市立大学大学院 工学研究科准教授
吉田 長裕 氏
「発達段階に応じた実践的な安全教育の充実を」
国内では自治体によって利用率や事故率に差がみられ,特に子供の時期には,小,中,高と年齢が上がるにつれて自転車死傷率が高くなっている。海外では,家庭や学校において発達段階に応じた自転車スキル(実技)の向上を重視しており,我が国でも,実際の交通場面においてルールやマナーを実践して学べるように教育手法を改善していく必要がある。
弁護士
岸 郁子 氏
「もしもに備えて自転車保険に加入を」
自転車は,交通事故の被害者(車)にも加害者(車)にもなることから,自分や家族が加害者になった場合,被害者になった場合に備え,自転車保険への加入を勧めたい。ただし,保険はもしもへの備えにすぎず,特に子供を事故の加害者,被害者にしないため,家庭を含む社会全体での安全教育の実施と交通ルールの遵守が重要である。
歌 手
田川 寿美 氏
「自転車教育は子供の自転車デビュー前から」
母の自転車運転中の転倒をきっかけに,自転車保険に加入したが,今はインターネットなどで補償内容等を簡単に調べられ,手軽に加入できる。もうすぐ,子供の自転車デビューを迎えるが,自転車教育は親と一緒に乗っている時から始まっているというお話が特に心に響き,交通安全に対する意識が変わった。
http://www8.cao.go.jp/koutu/keihatsu/forum/h28/result.html