交通安全白書の刊行に当たって
内閣府特命担当大臣
中央交通安全対策会議交通対策本部長
交通安全白書は,昭和45年に施行された「交通安全対策基本法」に基づき,毎年国会に提出している年次報告です。今回は昭和46年から数え,48回目となります。
平成29年中に交通事故の発生から24時間以内に亡くなられた方は,前年より210人少ない3,694人と,現行の交通事故統計となった昭和23年以降で最も少なくなりました。また,交通事故発生件数及び負傷者数はともに13年連続で減少しております。しかしながら,交通事故でいまだ多くの方々が死傷され,依然として交通事故情勢は厳しい状況が続いています。また,高齢化の進展に伴う高齢運転者の事故防止対策も,喫緊の課題となっています。
このような状況の中,政府は,第10次交通安全基本計画において「平成32年までに24時間死者数を2,500人以下とし,世界一安全な道路交通を実現する」という目標を掲げ,総合的な交通安全対策を推進しております。
本年の白書では,これらの取組のうち,「先端技術を活用した交通安全の取組」を特集のテーマとしました。交通事故の多くが運転者の不注意に起因していることを踏まえ,自動運転技術などの様々な先端技術を活用した交通安全の取組を紹介するとともに,社会全体が先端技術に関する理解を深め,効果的な活用を図っていく必要があることについて記載しています。
交通事故の防止は,国を挙げて取り組むべき重要な課題であり,人命尊重の理念に基づき,究極的には交通事故のない社会を目指していかなければなりません。そのためにも,国民の皆様に交通安全についての御理解と御関心を深めていただくことが何よりも大切です。本書が広く利用され,悲惨な交通事故の根絶に向けた取組の一助となることを願っております。
平成30年7月