第2編 海上交通 第2章 海上交通安全施策の現況
第9節 船舶事故等の原因究明と再発防止

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第2編 海上交通

第2章 海上交通安全施策の現況

第9節 船舶事故等の原因究明と再発防止

1 事故等の原因究明と再発防止

船舶事故及び船舶事故の兆候(インシデント)に関し,当該事故等が発生した原因や,事故による被害の原因を究明するための調査を行い,調査で得られた知見に基づき,国土交通大臣又は原因関係者に対して勧告等を実施するとともに,事故等調査の過程においても,海上交通の安全に有益な情報については,タイムリーかつ積極的な情報発信を行い,船舶事故等の防止や事故による被害の軽減に努めた。

また,事故等調査を迅速かつ的確に行うため,各種調査用機器の活用による分析能力の向上に努めるとともに,過去に公表した事故等調査報告書のデータベース化や各種専門研修への参加等により,調査・分析手法の蓄積・向上を図った。

さらに,公表した事故等調査報告書の概要や分析結果の解説等を掲載した定期情報誌を発行し,船舶関係者等に広く提供した。

事故情報等を電子地図から検索できる「船舶事故ハザードマップ」をインターネット上で公開しているほか,国際的な船舶の安全航行に資するよう世界11ヵ国の情報を加えた「同・グローバル版」及びスマートフォンやタブレット端末に対応した「同・モバイル版」を公開している。また,船舶の安全航行に活用できるよう事故発生場所の位置情報等をデータ形式で提供している。

また,国際船舶事故調査官会議(MAIIF),アジア船舶事故調査官会議(MAIFA)等への積極的な参加を通じて,国際協力体制の構築を推進したほか,国際海事機関(IMO)における各国の船舶事故調査報告書の分析に係る会合に参画し,事故の再発防止に役立つ教訓を導き出す作業に貢献した。

2 海難事故の解析等の推進

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所海上技術安全研究所に設置されている「海難事故解析センター」において,国土交通省海事局等における再発防止対策の立案等への支援を行うため,事故解析に関して高度な専門的分析を行うとともに,重大海難事故発生時の迅速な情報分析・情報発信を行っている。

3 海難審判による懲戒処分等の状況

平成30年中に行われた海難審判の裁決は計303件であり,海技士若しくは小型船舶操縦士又は水先人の職務上の故意又は過失により海難が発生したとして,業務停止236人,戒告174人の計410人を懲戒処分とした。

懲戒を受けた者を免許種類別にみると,一級小型船舶操縦士免許受有者が226人と最も多く,次いで二級小型船舶操縦士免許受有者が69人,四級海技士(航海)免許受有者が35人,三級海技士(航海)免許受有者が32人,五級海技士(航海)免許受有者が31人である(第2-1表)。

第2-1表 免許種類別処分の状況 (単位:人)(平成30年)
  処分 免許取消 業務停止 戒告 懲戒処分計 不懲戒 懲戒免除 合計
免許種類  
海技士(航海) 一級 0 3 0 3 0 0 3
二級 0 0 0 0 0 0 0
三級 0 14 18 32 2 0 34
四級 0 23 12 35 3 0 38
五級 0 16 15 31 0 0 31
六級 0 3 2 5 0 0 5
海技士(機関) 一級 0 0 0 0 0 0 0
二級 0 0 0 0 0 0 0
三級 0 0 0 0 0 0 0
四級 0 1 0 1 0 0 1
五級 0 0 2 2 0 0 2
六級 0 0 0 0 0 0 0
小型船舶操縦士 一級 0 139 87 226 4 0 230
二級 0 33 36 69 1 0 70
特殊 0 2 1 3 0 0 3
水先人 一級 0 2 0 2 0 0 2
二級 0 0 0 0 0 0 0
三級 0 0 0 0 0 0 0
締約国資格受有者 0 0 1 1 0 0 1
0 236 174 410 10 0 420
注 1
国土交通省海難審判所資料による。
2
「懲戒免除」とは,懲戒すべきところを本人の経歴等を考慮して免除したものである。
3
「締約国資格受有者」とは,外国の海事当局が発給した海技資格に基づき日本籍船に乗船できる資格を与えられた者である。
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