第2編 海上交通 第2章 海上交通安全施策の現況
第8節 被害者支援の推進

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第2編 海上交通

第2章 海上交通安全施策の現況

第8節被害者支援の推進

船舶による旅客の運送に伴い発生し得る損害賠償に備えるため,事業許可を行う際に保険契約の締結を条件とするとともに,旅客定員12人以下の船舶による届出事業についても運航を開始するまでに保険を締結するよう指導することにより,事業者の損害賠償の能力を確保している。船舶の事故により,第三者等に与えた損害に関する船主等の賠償責任については,「1996年の海事債権責任制限条約」の改正に伴い,平成27年6月に改正船主責任制限法(平27法19)を施行し,船主が海難事故被害者に対して負う賠償限度額を一律1.51倍引き上げ,海難事故被害者の救済の充実を図った。また,「燃料油汚染損害の民事責任条約」及び「難破物除去ナイロビ条約」の国内法制化として,令和元年5月に改正船舶油濁損害賠償保障法(令元法18)が成立し,海難等により発生した燃料油による汚染損害及び難破物除去等の費用に係る損害からの被害者保護を図るための措置を講じた。

また,公共交通事故による被害者等への支援の確保を図るため,平成24年4月に,公共交通事故被害者支援室を設置し,被害者等に対し事業者への要望の取次ぎ,相談内容に応じた適切な機関の紹介等を行うこととしている。

令和元年度は,公共交通事故発生時に,被害者等へ相談窓口を周知するとともに被害者等からの相談に対応した。また,平時においても,支援に当たる職員に対する教育訓練の実施,外部の関係機関とのネットワークの構築,公共交通事故被害者等支援フォーラムの開催,公共交通事業者による被害者等支援計画の策定の働きかけ等を行った。

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