交通安全白書の刊行に当たって
内閣府特命担当大臣
中央交通安全対策会議交通対策本部長
交通安全白書は,昭和45年に施行された「交通安全対策基本法」に基づき,毎年国会に提出している年次報告です。今回は昭和46年から数え,50回目となります。
令和元年中に道路交通事故の発生から24時間以内に亡くなられた方は,3,215人と,現行の交通事故統計となった昭和23年以降で最少となりました。加えて,交通事故発生件数及び負傷者数はともに15年連続で減少いたしました。しかしながら,いまだ多くの尊い命が交通事故で失われており,第10次交通安全基本計画において掲げた,令和2年までに24時間死者数を2,500人以下とするという目標値に届いておらず,依然として厳しい状況が続いています。また,子供が犠牲となる交通事故及び高齢運転者による交通事故防止対策は,政府を挙げて取り組むべき,重要な課題となっています。
本年の白書では,「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策について」と題した特集を設けました。未就学児を始めとする子供が関係する交通事故や高齢運転者による交通事故について,その状況や特徴を分析するとともに,昨年6月に総理の指示の下で取りまとめられた「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」の内容や進捗状況について記載しています。
交通事故の防止は,政府を挙げて取り組むべき重要な課題であり,「人優先」の交通安全思想に基づき,究極的には交通事故のない社会を目指していかなければなりません。このため,政府は,世界一安全な道路交通を実現するという目標を掲げ,総合的な交通安全対策を推進しており,国民の皆様には,交通安全についての御理解と御関心を深めていただくことが大切です。本書が多くの方々に利用され,悲惨な交通事故の根絶に向けた取組の一助となることを願っております。
令和2年8月