第3編 航空交通
第1章 航空交通事故の動向
第3編 航空交通
第1章 航空交通事故の動向
1 近年の航空事故の状況
我が国における航空事故の発生件数は,令和2年は13件,これに伴う死亡者数は2人,負傷者数は16人である。近年は,大型飛行機による航空事故は,乱気流等気象に起因するものを中心に年数件程度にとどまり,小型飛行機等が事故の大半を占めている(第3-1表)。また,第10次交通安全基本計画の目標値に対する達成状況は,①本邦航空運送事業者が運航する定期便について,死亡事故発生率及び全損事故発生率ゼロを達成,②航空事故発生率及び重大インシデント発生率に関する14指標のうち6指標において達成している(第3-2表)。
発生件数 | 死傷者数 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大型 飛行機 |
小型 飛行機 |
超軽量 動力機 |
ヘリコ プター |
ジャイロ プレーン |
滑空機 | 飛行船 | 計 | 死亡者 | 負傷者 | ||
件 | 件 | 件 | 件 | 件 | 件 | 件 | 件 | 人 | 人 | ||
業務提供者の区分 | 安全指標 | 第10次交通安全基本計画作成時 | R2終了時 | 達成状況 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
H28の計画作成時の 事故発生率 (H23-H27の平均) |
R2年の終了時点の 事故発生率目標 (左記の10%減) |
R2終了時の 事故発生率 (H28-R2の平均) |
||||
航空 運送 分野 |
(1) 定期便を運航する本邦航空運送事業者 |
①航空事故発生率(時間あたり) |
1.23 | 1.11 | 1.34 | × |
②航空事故発生率(回数あたり) |
2.40 | 2.16 | 2.72 | × | ||
③重大インシデント発生率(時間あたり) |
3.02 | 2.72 | 2.36 | ○ | ||
④重大インシデント発生率(回数あたり) |
5.89 | 5.30 | 4.82 | ○ | ||
(2) (1)以外の航空運送事業者及び航空機使用事業者 |
⑤航空事故発生率(時間あたり) |
23.32 | 20.99 | 22.35 | × | |
⑥航空事故発生率(回数あたり) |
17.17 | 15.45 | 15.71 | × | ||
⑦重大インシデント発生率(時間あたり) |
17.49 | 15.74 | 31.66 | × | ||
⑧重大インシデント発生率(回数あたり) |
12.88 | 11.59 | 22.26 | × | ||
航空 運送 分野 |
(3) 国、地方公共団体、個人 |
⑨航空事故発生率(時間あたり) |
56.51 | 50.86 | 35.17 | ○ |
⑩航空事故発生率(回数あたり) |
63.34 | 57.01 | 38.82 | ○ | ||
⑪重大インシデント発生率(時間あたり) |
14.13 | 12.72 | 24.15 | × | ||
⑫重大インシデント発生率(回数あたり) |
15.83 | 14.25 | 26.53 | × | ||
交通 管制 分野 |
航空保安業務等提供者 | ⑬交通管制分野に関連する又は関連するおそれのある航空事故発生率(管制取扱機数あたり) |
0.11 | 0.10 | 0 | ○ |
⑭交通管制分野に関連する又は関連するおそれのある重大インシデント発生率(管制取扱機数あたり) |
1.38 | 1.24 | 0.92 | ○ |
2 令和2年中の航空交通の安全上のトラブルの状況
(1)航空運送事業者における安全上のトラブル
我が国の航空運送事業者に対して報告を義務付けている事故,重大インシデント※に関する情報は,令和2年に5件報告された。
なお,我が国の特定本邦航空運送事業者(客席数が100又は最大離陸重量が5万キログラムを超える航空機を使用して航空運送事業を経営する本邦航空運送事業者)における乗客死亡事故は,昭和60年の日本航空123便の御巣鷹山墜落事故以降発生していない。
(2)管制関係の安全上のトラブル
我が国の航空管制に関係するおそれのある重大インシデントは,令和2年の報告は0件だった。