交通安全白書の刊行に当たって
内閣府特命担当大臣
中央交通安全対策会議交通対策本部長
交通安全白書は,昭和45年に施行された「交通安全対策基本法」に基づき,毎年国会に提出している年次報告です。今回は昭和46年から数え,51回目となります。
令和2年中に道路交通事故の発生から24時間以内に亡くなられた方は,2,839人と,現行の交通事故統計となった昭和23年以降で最少となるとともに,初めて3,000人を下回りました。しかしながら,第10次交通安全基本計画において掲げた,令和2年までに24時間死者数を2,500人以下とするという目標は残念ながら達成することはできませんでした。道路交通事故件数は依然として高い状態で推移しており,事故そのものを減少させることが求められています。
このような中,政府は,令和3年3月に,第11次交通安全基本計画を決定しました。令和7年までに世界一安全な道路交通の実現を目指し,24時間死者数を2,000人以下とするなど新たな目標を掲げ,究極的には交通事故のない社会の実現への大きな飛躍と世界をリードする交通安全社会を目指すこととしています。
本年の白書では,「道路交通安全政策の新展開―第11次交通安全基本計画による対策―」と題した特集を設けました。近年の事故の特徴等や,第11次計画の新たな目標達成のために,今後,国,地方公共団体,関係民間団体等が一体となって行っていく取組について記述しています。
本年も,千葉県八街市で小学生が死傷するなど痛ましい事故が発生しています。交通事故の防止は,政府を挙げて取り組むべき重要な課題であり,「人優先」の交通安全思想に基づき,究極的には交通事故のない社会を目指していかなければなりません。国民の皆様には,交通安全についての御理解と御関心を深めていただくことが大切です。本書が多くの方々に利用され,悲惨な交通事故の根絶に向けた取組の一助となることを願っております。
令和3年8月