第1部 陸上交通の安全についての施策 第1章 道路交通の安全についての施策
第8節 研究開発及び調査研究の充実
交通事故の要因は近年ますます複雑化,多様化してきており,直接的な要因に基づく対症療法的対策のみでの解決は難しくなりつつある中,有効かつ適切な交通対策を推進するため,その基礎として必要な研究開発の推進を図ることが必要である。この際,交通事故は人・道・車の三要素が複雑に絡んで発生するものといわれていることから,三要素それぞれの関連分野における研究開発を一層推進するとともに,各分野の協力の下,総合的な調査研究を充実することが必要である。
また,交通安全対策についてはデータを用いた事前評価,事後評価等の客観的分析に基づいて実施するとともに,事後評価で得られた結果を他の対策に役立てるなど結果をフィードバックする必要がある。
このため,道路交通の安全に関する研究開発の推進を図るとともに,死亡事故のみならず重傷事故等も含め交通事故の分析を充実させるなど,道路交通事故要因の総合的な調査研究の推進を図ることとする。
研究開発及び調査研究の推進に当たっては,交通の安全に関する研究開発を分担する国及び国立研究開発法人の試験研究機関について,研究費の充実,研究設備の整備等を図るとともに,研究開発に関する総合調整の充実,試験研究機関相互の連絡協調の強化等を図る。さらに,交通の安全に関する研究開発を行っている大学,民間試験研究機関との緊密な連携を図る。
加えて,交通の安全に関する研究開発の成果を交通安全施策に取り入れるとともに,地方自治体に対する技術支援や,民間に対する技術指導,資料の提供等によりその成果の普及を図る。また,交通の安全に関する調査研究についての国際協力を積極的に推進する。
- 道路交通の安全に関する研究開発及び調査研究の推進
- 道路交通事故原因の総合的な調査研究の充実強化