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官民連携によるマリンレジャーの安全対策について
近年,新型コロナウイルス感染症の影響から三密を避けることができる屋外レジャーの人気が高まり,マリンレジャー海難の増加が懸念されている。
海上保安庁では,マリンレジャーの海難を効果的に防止するため,関係省庁との連携に加え,民間関係団体や関係企業の主体的な安全推進が重要だと考えており,令和4年度は次のような取組を行い,海難防止に努めている。
①SUP関係民間団体との連携
近年事故が増加傾向のSUP(スタンドアップ・パドルボーディング)については,規制法令(船舶検査や免許制度)がなく,手軽に始められるマリンレジャーであるため,事故者の大半を経験の浅い方が占めている。このことから,SUP関係団体に呼びかけ,民間主導の「SUP安全推進プロジェクト」の設立を支援し,関係団体が協力してリーフレットの作成・配布やインストラクター養成に係る共通事項の設定などの安全対策を行う体制の構築を行った。
②通信販売業者との連携
近年では,海で遊ぶ道具もインターネット等で手軽に入手できるようになり,販売店が愛好者に直接接触する機会が少なくなっている。そのため,大手ショッピングサイトのAmazon,楽天,Yahoo! JAPANと連携して,海上保安庁で運用するマリンレジャーの事故防止の情報を取りまとめた「ウォーターセーフティガイド」のウェブサイトのリンク先を同社のHP上に掲載してもらうことなどにより安全情報の周知・啓発を図った。
③雑誌出版社との連携
釣りに関連した事故に関しては,釣り雑誌出版社と連携して安全啓発を実施した。具体的には,プレジャーボートの事故船舶の約7割が釣り目的で出航していることから,釣り目的でプレジャーボートを運航する方に対して効果的に安全啓発を行うため,プレジャーボートに関する安全情報を釣り雑誌に掲載した。また,近年の釣り中における海中転落者数は増加傾向にあることから,様々な種類のライフジャケットを着用して,訓練用プールで落水の模擬体験ができる安全講習会を開催した。安全講習会には,SNS等で人気のある愛好者にも参加いただき,救命胴衣を正しく着用することの重要性や必要性などの情報を発信してもらい,効果的な安全啓発を行った。