第1編 陸上交通
第2部 鉄道交通
第1章 鉄道交通事故の動向
第1編 陸上交通
第2部 鉄道交通
第1章 鉄道交通事故の動向
1 近年の運転事故の状況
鉄道交通における運転事故※は,平成15年に862件であったものが,25年には805件,令和5年には682件となっており,長期的に減少傾向にあるものの,令和3年以降増加傾向にある(第1-44図)。
※運転事故
列車衝突事故,列車脱線事故,列車火災事故,踏切障害事故,道路障害事故,鉄道人身障害事故及び鉄道物損事故をいう。なお,軌道の運転事故は,鉄道運転事故と同様に定義する。
事故種類別の運転事故発生状況は,第1-30表のとおりであり,人身障害が半数を超えている。
区分 | 列車事故 | その他の事故 | 合計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
列車衝突 | 列車脱線 | 列車火災 | 小計 | 踏切障害 | 道路障害 | 人身障害 | 物損 | 小計 | ||
件数(件) | 2 | 6 | 0 | 8 | 243 | 31 | 396 | 4 | 674 | 682 |
0.3% | 0.9% | 0.0% | 1.2% | 35.6% | 4.5% | 58.1% | 0.6% | 98.8% | 100.0% | |
死傷者(人) | 1 | 0 | 0 | 1 | 160 | 25 | 401 | 586 | 587 | |
(0) | (0) | (0) | (0) | (106) | (1) | (200) | (307) | (307) |
運転事故による死者数は,第1-44図のとおりであり,乗客の死者数はゼロであった。平成17年に発生したJR東日本羽越線列車脱線事故以降,運転事故による乗客の死者は発生していない。
2 令和5年中の踏切事故の状況
踏切事故※は,踏切保安設備の整備等により,平成15年に438件であったものが,25年には297件,令和5年には243件となっており,長期的に減少傾向にある(第1-45図)。
※踏切事故
列車事故のうち,踏切道において,列車又は車両が道路を通行する人又は車両等と衝突し,又は接触した事故及び踏切障害事故をいう。
衝撃物別の踏切事故発生件数は,第1-46図のとおりであり,歩行者及び自動車による事故件数がそれぞれ約4割を占めている。
また,第1種踏切道での事故件数が約9割を占めているが,踏切道100か所当たりでは第1種踏切道が第4種踏切道の件数より少なくなっている(第1-31表)。
踏切道 | 踏切道数 | 構成率 (踏切道) |
事故件数 | 100か所当たり の事故件数 |
---|---|---|---|---|
か所 | % | 件 | 件 | |
計 | 32,442 | 100.0 | 243 | 0.75 |
(参考) 第3,4種 計 |
3,000 | 9.2 | 22 | 0.73 |
3 人身障害事故の発生状況
令和5年の人身障害事故は,396件で前年比23.8%増,死者数は200人で前年比14.3%増であった(第1-30表)。このうちホームから転落して又はホーム上で列車と接触して死傷する事故(ホーム事故)は,長期的に減少傾向にあるものの,令和4年から増加傾向に転じている(第1-47図)。
なお,ホーム事故のうち,酔客による事故件数は68件で,全体の約45.3%を占めている。
4 令和5年中の鉄道交通における重大事故の発生状況
令和5年に死傷者が10名以上又は脱線車両が10両以上生じた重大事故はなかった。