第1編 陸上交通
第2部 鉄道交通
第2章 鉄道交通安全施策の現況
第3節 鉄道の安全な運行の確保

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第1編 陸上交通

第2部 鉄道交通

第2章 鉄道交通安全施策の現況

第3節 鉄道の安全な運行の確保
1 保安監査等の実施

鉄道の安全運行を確保するため,鉄道事業法(昭61法92)等に基づき,鉄道事業者等に対し保安監査を実施した。令和4年度は49事業者に対して計61回実施し,輸送の安全確保の取組,施設及び車両の保守管理,運転取扱い,乗務員等に対する教育訓練等について26事業者に対して文書による行政指導を計27件行い,改善を求めた。また,年末年始の輸送等安全総点検を実施し,鉄道事業者等の安全意識の向上を図った。

2 運転士の資質の保持

動力車操縦者の資質の確保を図るため,動力車操縦者運転免許試験を適正に実施した。また,乗務員の資質が保持されるよう,運転管理者が教育等について適切に措置を講ずるよう指導した。

3 安全上のトラブル情報の共有・活用

主要な鉄道事業者の安全担当者等による鉄道保安連絡会議を開催し,事故等及びその再発防止対策に関する情報共有等を行うとともに,安全上のトラブル情報を関係者間に共有できるよう,情報を収集し,速やかに鉄道事業者へ周知している。さらに,国への報告対象となっていない安全上のトラブル情報について,鉄道事業者による情報共有化を図っている。

4 気象情報等の充実

鉄道交通に影響を及ぼす自然現象について,的確な実況監視を行い,適時・適切に予報・警報等を発表・伝達して,事故の防止及び被害の軽減に努めるとともに,これらの情報の内容の充実と効果的利用を図るため,第1編第1部第2章第3節7⑶(気象情報等の充実)で記載した施策を講じた。また,地震発生時に走行中の列車を減速・緊急停止等させることにより列車転覆等の被害の防止に活用されるよう,鉄道事業者等に対し,緊急地震速報の提供を行っている。

5 大規模な事故等が発生した場合の適切な対応

国及び鉄道事業者における,夜間・休日の緊急連絡体制を点検・確認し,大規模な事故又は災害が発生した際に,迅速かつ的確な情報の収集・連絡を行った。

また,大都市圏,幹線交通における輸送障害等の社会的影響を軽減するため,鉄道事業者に対し,外国人を含む利用者への適切な情報提供を行うとともに,迅速な復旧に必要な体制を整備するよう指導した。

鉄道の津波対策については,南海トラフ地震等による最大クラスの津波からの避難の基本的な考え方(素早い避難が最も有効かつ重要な対策であること等)を踏まえた津波発生時における鉄道旅客の安全確保への対応方針と具体例等を取りまとめており,鉄道事業者における取組を推進している。

6 運輸安全マネジメント評価の実施

平成18年10月より導入した「運輸安全マネジメント制度」により,事業者が社内一丸となった安全管理体制を構築・改善し,国がその実施状況を確認し評価する取組を,令和5年度は44者に対して実施した。

また,令和2年7月に策定,公表した「運輸防災マネジメント指針」を活用し,運輸安全マネジメント評価の中で防災マネジメントに関する評価を実施した。

7 計画運休への取組

大型の台風が接近・上陸する場合など,気象状況により列車の運転に支障が生ずるおそれが予測されるときには,その都度,鉄道事業者に対し,計画運休の実施を含む対応により安全の確保に努めるよう指導した。また,これらの対応に関する情報提供を行うに当たっては,内容・タイミング・方法について留意させるとともに,外国人利用者にも対応するため,多言語案内体制の強化も指導した。

また,鉄道事業者における防災・気象情報の適切な利用を支援するため,国土交通省鉄道局と気象庁の共催による鉄道事業者向けワークショップを開催した。

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