交通安全白書の刊行に当たって
内閣府特命担当大臣
中央交通安全対策会議交通対策本部長
交通安全白書は,昭和45年に施行された「交通安全対策基本法」に基づき,毎年国会に提出している年次報告です。今回は昭和46年から数え,54回目となります。
令和5年中に道路交通事故で亡くなられた方は,前年より68人多い2,678人と,8年ぶりに増加しました。いまだに多くの方々の尊い命が交通事故によって失われており,交通事故情勢は依然として厳しいものであると認識しています。
また,交通死亡事故の状況を見ると,高齢化が進展する中,交通事故死者数全体に占める65歳以上の方の割合が5割を超える高い水準で推移しているなど,高齢者の交通事故防止は喫緊の課題となっています。
このような中,政府においては,高齢者の交通事故を防止するため,交通対策本部決定等で策定した交通事故防止対策や第11次交通安全基本計画等に基づき,また,交通事故の発生状況等を踏まえ,国と地方公共団体,関係機関・団体等が連携して,交通安全対策の充実に取り組んでいるところです。
本年の白書では,「高齢者の交通事故防止について」と題した特集を設けました。高齢者が歩行中や自転車乗用中に被害に遭う交通死亡事故のほか,高齢運転者による交通死亡事故について,その特徴や要因等について分析するとともに,高齢者の交通事故を防止するための対策について記述しています。
交通事故の防止は,政府を挙げて取り組むべき重要な課題であり,「人優先」の交通安全思想に基づき,究極的には交通事故のない社会を目指していかなければなりません。国民の皆様には,交通安全についての御理解と御関心を深めていただくことが何よりも大切です。
本白書が多くの方々に利用され,悲惨な交通事故の根絶に向けた取組の一助となることを願っております。
令和6年7月