第1部 陸上交通の安全についての施策
第2章 鉄道交通の安全についての施策
第3節 鉄道の安全な運行の確保
重大な列車事故を未然に防止するため,鉄道事業者への保安監査等について,計画的な保安監査のほか,同種トラブルの発生等の際にも臨時に保安監査等を行う。保安監査の実施に当たっては,メリハリの効いたより効果的な保安監査を実施することにより,鉄道輸送の安全を確保するとともに,万一大規模な事故等が発生した場合には,迅速かつ的確に対応する。また,年末年始の輸送等安全総点検により,事業者の安全意識を向上させる。
運転士の資質の保持を図るため,運転管理者が教育等について適切に措置を講ずるよう指導する。
事故情報及び安全上のトラブル情報を関係者間に共有できるよう,情報を収集し,速やかに鉄道事業者へ周知する。
さらに,鉄道交通に影響を及ぼす自然現象について計画的な休止の判断や安全な運行を支援するため,線状降水帯による大雨に関する情報提供の高度化などを通して,気象情報等の充実を図る。
また,事業者が社内一丸となって安全管理体制を構築・改善し,国がその実施状況を確認する運輸安全マネジメント評価については,運輸防災マネジメント指針を活用し,自然災害への対応を運輸安全マネジメント評価において重点的に確認するなど,事業者の取組の深化を促進する。
鉄道事業者に対し,大型の台風が接近・上陸する場合など,気象状況により列車の運転に支障が生ずるおそれが予測されるときは,一層気象状況に注意するとともに,安全確保の観点から,路線の特性に応じて,前広に情報提供した上で計画的に列車の運転を休止するなど,安全の確保に努めるよう指導する。
また,事故・災害発生時や計画運休の実施時等において,鉄道事業者に対し,外国人を含む利用者に対する適切な情報提供を行うよう指導する。
国立研究開発法人防災科学技術研究所において,海域で地震が発生した場合に,いち早く地震動を検知することにより新幹線の緊急制御へ活用できるよう,日本海溝沿いや南海トラフ沿いに設置された海底地震計の観測データを鉄道事業者にリアルタイムに配信し,新幹線の安全運行を支援する。
- 保安監査の実施
- 運転士の資質の保持
- 安全上のトラブル情報の共有・活用
- 気象情報等の充実
- 大規模な事故等が発生した場合の適切な対応
- 運輸安全マネジメント評価の実施
- 計画運休への取組