第1編 陸上交通
第2部 鉄道交通
第2章 鉄道交通安全施策の現況
第5節 踏切道における交通の安全についての対策
第1編 陸上交通
第2部 鉄道交通
第2章 鉄道交通安全施策の現況
第5節 踏切道における交通の安全についての対策
1 踏切事故防止対策の現状
踏切道の改良については、踏切道改良促進法(昭36法195)及び第11次交通安全基本計画に基づき、踏切道の立体交差化、構造の改良、歩行者等立体横断施設の整備及び踏切保安設備の整備を推進した。また、平成27年の「高齢者等による踏切事故防止対策検討会」取りまとめを踏まえ、全方位型警報装置、非常押ボタンの整備、障害物検知装置の高規格化等を推進した。これらの諸施策を総合的かつ積極的に推進した結果、令和6年の踏切事故件数は218件で、令和5年と比較して減少し、長期的にも減少傾向にある。令和6年度は、踏切道改良促進法に基づき、改良すべき踏切道として、新たに117か所を指定した。指定した踏切道や第4種踏切道を始め、課題のある踏切道については、地方踏切道改良協議会等を適宜開催し、道路管理者と鉄道事業者が、地域の実情に応じた踏切対策の一層の推進を図った。
令和5年度に改良が完了した踏切道数(これまでに指定した踏切道と道路管理者、鉄道事業者等が自主的に行ったものを含む。)は、第1-32表のとおりである。また、踏切道の統廃合についても、立体交差化等の事業と併せて実施した。
立体交差化 | 構造の改良 | 踏切保安設備の整備 | ||
---|---|---|---|---|
令和元 | 17 | 316 | 32 | |
2 | 31 | 269 | 31 | |
3 | 22 | 245 | 31 | |
4 | 25 | 243 | 17 | |
5 | 22 | 181 | 19 |
2 踏切道の立体交差化、構造の改良及び歩行者等立体横断施設等の整備の促進
「開かずの踏切」等の遮断時間が特に長い踏切等で、かつ道路交通量の多い踏切道が連担している地区等や主要な道路との交差に関わるもの等については、抜本的な交通安全対策である連続立体交差化等により、踏切道の除却を促進するとともに、道路の新設・改築及び鉄道の新線建設に当たっても、極力立体交差化を図った。
また、早期に安全・安心を確保するために構造の改良及び歩行者等立体横断施設の設置、カラー舗装や駅周辺の迂回路整備等の一体対策についても取り組んだ。
さらに、歩道が狭小な踏切等における歩行者安全対策についても、踏切道内において歩行者と自動車等が錯綜することがないよう歩行者滞留を考慮した踏切拡幅など事故防止効果が高い構造の改良等を推進した。
以上のような立体交差化等の従前の踏切対策に加え、踏切周辺道路の整備等、踏切横断交通量の削減のための踏切周辺対策等の総合的な対策を推進した。
このほか、視覚障害者の踏切道内での事故を受け、令和6年1月に改定した「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」を踏まえ、特定道路等を優先とした踏切道内誘導表示等の整備等、踏切道におけるバリアフリー対策を推進した。
3 踏切保安設備の整備及び交通規制の実施
踏切道の利用状況、踏切道の幅員、交通規制の実施状況等を勘案して踏切遮断機(踏切遮断機を設置することが技術的に著しく困難である場合は、踏切警報機)を整備しており、その結果、踏切遮断機又は踏切警報機が設置されている踏切道は、令和5年度末には3万4か所(専用鉄道を除く。)に及んでおり、全体の92.7%である。
自動車交通量の多い踏切道については、道路交通の状況、事故の発生状況等を勘案して必要に応じ、障害物検知装置等、より事故防止効果の高い踏切保安設備の整備を進めた。
また、高齢者等の歩行者対策としても効果が期待できる、全方位型警報装置、非常押ボタンの整備、障害物検知装置の高規格化を推進した。
さらに、道路の交通量、踏切道の幅員、踏切保安設備の整備状況、迂回路の状況等を勘案し、必要に応じ、大型車等通行止め、一方通行等の交通規制を実施するとともに、併せて道路標識等の高輝度化による視認性の向上を図った(第1-33表)。
規制種別 | 踏切種別 | 計 | ||
---|---|---|---|---|
1種 | 3種 | 4種 | ||
大型車等通行止め | 4,877 | 121 | 191 | 5,189 |
二輪の自動車以外の自動車通行止め | 1,878 | 351 | 889 | 3,118 |
車両通行止め | 1,001 | 135 | 377 | 1,513 |
その他の通行止め | 1,413 | 198 | 339 | 1,950 |
一方通行 | 355 | 2 | 17 | 374 |
合計 | 9,524 | 807 | 1,813 | 12,144 |
4 踏切道の統廃合の促進
踏切道の立体交差化、構造の改良等の事業の実施に併せて、近接踏切道のうち、その利用状況、迂回路の状況等を勘案して、地域住民の通行に特に支障を及ぼさないと認められるものについて、統廃合を進め、その結果、踏切道の総数は前年度から71か所減少し、令和5年度末で3万2,371か所(専用鉄道を除く。)となった。ただし、構造の改良のうち踏切道に歩道がないか、歩道が狭小な場合の歩道整備等については、その緊急性を考慮して、近接踏切道の統廃合を行わずに実施できることとしている。
5 その他踏切道の交通の安全及び円滑化等を図るための措置
踏切道における交通の安全と円滑化を図るため、必要に応じ、踏切道予告標、情報通信技術(ICT)の導入による踏切関連交通安全施設の高度化を図るための研究開発等を進めるとともに、車両等の踏切通行時の違反行為に対する指導取締りを推進した。
また、平常時の交通安全及び円滑化等の対策に加え、災害時においても、踏切道の長時間遮断による救急・救命活動や緊急物資輸送の支障の発生等の課題に対応するため、踏切道改良促進法等の一部を改正する法律(令3法9)の災害時の管理方法の指定制度に基づき、災害時の管理の方法を定めるべき踏切道として令和6年度は新たに16か所を指定した。指定した緊急輸送道路上等の踏切道については、道路管理者と鉄道事業者が、災害時に長時間遮断が生じないよう、連絡体制や優先開放の手順等の管理方法の策定に向けた協議を行い、取組を推進した。