第1部 陸上交通の安全についての施策
第1章 道路交通の安全についての施策
第3節 安全運転の確保
安全運転を確保するためには、運転者の能力や資質の向上を図ることが必要であるため、運転者のみならず、これから運転免許を取得しようとする者までを含めた運転者教育等の充実に努める。特に、今後大幅に増加することが予想される高齢運転者に対する教育等の充実を図る。
また、運転者に対して、運転者教育、安全運転管理者による指導、その他広報啓発等により、横断歩道においては歩行者が優先であることを含め、高齢者や障害者、こどもを始めとする歩行者や自転車に対する保護意識の向上を図る。
さらに、訪日外国人に対しては、関係団体と連携し、偽造国際運転免許証の利用を防止するとともに、安全運転のための我が国の交通ルールとマナーの周知に努める。
今後の自動車運送事業の変化を見据え、企業・事業所等が交通安全に果たすべき役割と責任を重視し、企業・事業所等の自主的な安全運転管理対策の推進及び安全対策の充実を図るとともに、関係機関とも連携の上、交通労働災害防止のためのガイドラインの普及等を図るための取組を進める。加えて、全国交通安全運動や年末年始の輸送等安全総点検等も活用し、安全対策を推進する。
軽井沢スキーバス事故を踏まえて取りまとめた85項目に及ぶ「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」を着実に実施する。また、「事業用自動車総合安全プラン2025」に基づく安全対策の推進等により、引き続き、事業用自動車の輸送の安全の確保を図るとともに、次期「事業用自動車総合安全プラン」の策定を行う。
また、事業者が社内一丸となって安全管理体制を構築・改善し、国がその実施状況を確認する運輸安全マネジメント評価については、運輸防災マネジメント指針を活用し、自然災害への対応を運輸安全マネジメント評価において重点的に確認するなど、事業者の取組の深化を促進する。
さらに、天候の変化等、道路交通の安全に影響を及ぼす情報の適時・適切な提供を実現するため、情報通信技術(ICT)の活用等による道路交通に関連する総合的な情報提供の充実を図る。
道路交通に影響を及ぼす自然現象について、次の施策を実施する。
気象庁では、線状降水帯の予測精度向上を始めとする防災気象情報の高度化や、洪水や土砂災害等の危険度の高まりを地図上に示す「キキクル(危険度分布)」の更なる周知等、防災気象情報がより一層、避難を始めとする防災対策に役立てられるよう、取組を順次進めており、令和8年度から、「顕著な大雨に関する気象情報」について、線状降水帯による大雨からの避難に資するよう、2~3時間前に発表を行うことを目標としている。
津波警報等については、運用を確実に行い、迅速かつ的確な津波警報等の発表に努めるとともに、周知・広報を図る。また、緊急地震速報について、周知・広報の取組を推進するとともに、迅速化及び精度向上を図る。さらに、国立研究開発法人防災科学技術研究所が整備する「南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)」の観測データの活用を進め、地震・津波監視体制の拡充を図る。火山については、全国111の活火山において、火山活動の監視・評価の結果に基づき噴火警報等及び降灰予報の的確な発表に努める。噴火警報等に関しては、平常時からの火山防災協議会における避難計画の共同検討を通じて、噴火時等の「警戒が必要な範囲」と「とるべき防災対応」を5段階で示した噴火警戒レベルの改善を推進するとともに、「火山防災の日」に関連して、火山防災に関する周知・広報の取組を推進する。
- 運転者教育等の充実
- 運転免許制度の改善
- 安全運転管理の推進
- 事業用自動車の安全プラン等に基づく安全対策の推進
- 交通労働災害の防止等
- 道路交通に関連する情報の充実