「休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本方針」の説明

  この「休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本方針」は、法第18条第1項に規定に基づき、平成30年3月30日に内閣総理大臣決定されました。休眠預金等交付金に係る資金の活用に係る制度の運用において根幹を担うものであり、その構成は条文に従い第1から第7の項目立てとなっております。 なお、本制度に固有の用語を中心に、最後にまとめて脚注をつけておりますので、必要に応じてご参照ください。

1ページ目をご覧ください。「はじめに」です。

  まず、本法律の意義についてです。我が国においては、人口減少、高齢化の進展等の経済社会情勢の急速な変化が生じており、国民生活の質や水準への影響等、様々な社会の諸課題に直面しています。こうした社会の諸課題の中には、法制度や予算等の仕組み上(じょう)、行政の執行になじみにくい、既存施策(せさく)では十分な対応が困難であるといった理由から、国及び地方公共団体では対応が困難な課題があることから、その解決に資するため、10年以上、入出金(にゅうしゅっきん)等が確認できない休眠預金等について、預金者等に払い戻す努力を尽くした上で、民間公益活動を促進するために活用しようとするものです。

  また、本制度は我が国では前例のない、いわゆる「社会実験」です。民間公益活動を行う団体及びそれに対する支援能力を有する組織や人材が乏しいなど民間公益活動全体が未だ発展途上にある現状の下で、指定活用団体や資金分配団体自身も試行錯誤しながら本制度を開始せざるを得ないことを踏まえ、制度開始時においては、まずは社会の諸課題の解決に結びつく具体的事例の創出を優先させ、民間公益活動の進捗状況に応じて、段階的に規模を拡大させることが適当であるという考え方を示しております。

3ページ、「第1 休眠預金等に係る資金の活用の意義及び目標に関する事項」をご覧ください。

「1.活用する意義」です。

  我が国においては、預金者等が名乗りを上げないままとなっている休眠預金等は、平成26年度から28年度の実績の平均で毎年1200億円程度発生し、払戻額を差し引いても700億円程度残っています。これを預金者等に払い戻す努力を尽くした上で、その残余(ざんよ)の額について民間公益活動を促進するために活用することで、銀行等の融資による民間の事業拡大効果に準じた効果とともに、行政による公共の福祉の増進効果に準じた効果が得られ、社会全体へのより大きな波及が期待されます。

次に「2.活用の目標」です。

  休眠預金等に係る資金の活用を通じて、達成すべき目標として、2点掲げています。
一点目は、休眠預金等に係る資金の活用対象事業自体による社会の諸課題の解決です。
二点目として、将来的には、「社会の諸課題の解決のための自律的かつ持続的な仕組み」、いわゆるエコシステムの構築を目指すということです。
これらにより、社会の諸課題の解決のための自律的かつ持続的な仕組みが構築され、資金分配団体や民間公益活動を行う団体が民間の資金を自ら調達して事業の持続可能性を確保し、社会の諸課題の解決に向けた取組を強化していくことができるようになれば、我が国の社会課題解決能力の飛躍的な向上が期待されます。

5ページ、「第2 活用に関する基本的な事項」です。

  1では、法第16条で定められている基本理念等を踏まえ、資金の活用に当たって9つの「基本原則」を定めています。
この基本原則に基づき、以下では、休眠預金等に係る資金を活用する指定活用団体、資金分配団体、民間公益活動を行う団体等が、業務を遂行するに当たって踏まえるべき事項等について、基本原則ごとに示しています。

「(1)国民への還元」です。

  原資が国民の資産であることに鑑み、休眠預金等を預金者等に払い戻す努力を尽くした上で、休眠預金等に係る資金の活用の成果を広く国民一般の利益の増進に資するようにすることを掲げています。

「(2)共助(きょうじょ) 」です。

  限りある休眠預金等に係る資金を有効に活用するため、行政が本来行うべき施策(せさく)、すなわち公助(こうじょ)の肩代わりではなく、これまで既存制度において対象とされてこなかった人々が抱える課題に焦点を当て、前例のない取組や公的制度のいわゆる「狭間」に位置するような取組、社会の諸課題と一般に認識されていないために対応が遅れている分野を中心に、共助(きょうじょ)の活動に焦点を当てた支援に活用するとしています。

6ページ、「(3)持続可能性 」です。

  先ほどの二点目の目標にもあったように、民間公益活動の自立した担い手の育成及び民間の資金を自ら調達できる環境の整備に資するよう、休眠預金等に係る資金を活用し、社会の諸課題が自律的かつ持続的に解決される仕組みの構築を促進するとしています。
  そのため、資金分配団体においては、民間公益活動を行う団体との間で達成すべき成果と支援の出口について事前に合意した上で、一定の期間を区切った支援を行うほか、資金支援と事業実施に係る経営支援等の非資金的支援を一体として伴走型で提供することにより、組織のキャパシティ・ビルディングが図られることが期待されます。
  また、資金分配団体や民間公益活動を行う団体自身も、休眠預金等に係る資金をてこに、民間の資金を調達できるようにすることが求められています。

次に、「(4)透明性・説明責任」です。

  指定活用団体、資金分配団体及び民間公益活動を行う団体並びに政府の各主体は、成果を含めたあらゆる情報を国民に分かりやすい形で公表し説明責任を果たすとともに、本制度全体の透明性の確保に努めることとしています。

7ページ、「(5)公正性 」です。

  利益相反の防止等の徹底により、休眠預金等に係る資金の活用が公正に実施されるよう必要な措置を講ずるとともに、資金の活用に係る全ての者は公正性に疑念が持たれることがないように行動することが求められます。 現在、指定活用団体指定担当室では「接触禁止期間」を設け、一律に講師派遣等をお断りしているのも、指定活用団体の指定プロセスにおける公正性を担保するための措置の一環となります。

「(6)多様性」です。

  優先的に解決すべき社会の諸課題及びその解決策は、地域や分野等によって多様であることに十分配慮することとしています。

「(7)革新性(かくしんせい)」です。

  各法令や公的制度のいわゆる「狭間」に位置している取組、前例のない取組等を対象に、多様な手法を用い、柔軟かつ効果的・効率的に休眠預金等に係る資金を活用し、その成果のより広範かつ発展的な展開等を進めることにより、ソーシャル・イノベーションを実現することとしています。そのための中心的な役割を担うのは指定活用団体です。

「(8)成果最大化」です。

  指定活用団体は、適切なリスク監督のもと、ハイリスクであるものの、実現すれば社会に大きなソーシャル・イノベーションをもたらすような革新的な事業を、着実に成果を出すことが見込まれる事業と適切な割合で組み合わせて支援することにより、本制度全体として成果の最大化を図ることとしています。

最後に、「(9)民間主導」です。

  制度の運用に当たっては、指定活用団体を中心に、各関係主体間の連携の下に民間主導で行い、行政の過度な干渉を避け、民間の発意を尊重するという、法第16条第5項に規定された法の基本理念を改めて確認しています。また、その際、より大きな社会的成果を創出するため、指定活用団体や資金分配団体が中心となって、行政も含めた分野の垣根を越えて様々な立場の関係者が目標及び成果を共有した上で連携して事業に取り組むという、集合的インパクトの取組を促進するとしています。

9ページ、「2.各主体の役割」です。

「(1)指定活用団体の担うべき役割」です。

  指定活用団体は、民間公益活動の促進に資することを目的とする一般財団法人であって、民間公益活動促進業務に関して「指定の基準」に適合すると認められるものを、内閣総理大臣が全国に一団体に限って指定するものです。
指定活用団体は、休眠預金等に係る資金の活用に関する事業の実施主体であり、資金分配団体に対する監督を通じて、民間公益活動を行う団体の事業の監督に係る一義的(いちぎてき)な責任を負っています。
  その上で、休眠預金等に係る資金の分配・管理等の法で規定された役割にとどまらず、民間公益活動の好事例を積極的に創出・共有し、展開・発展させることで、社会の諸課題の解決のための自律的かつ持続的な仕組みの構築を促進する役割も担う必要があるとしています。
以上を踏まえ、指定活用団体の担うべき具体的な役割として10項目掲げています。

  1. 我が国における社会の諸課題を分析し、優先的に解決すべき課題を提示する。
  2. 資金分配団体及び民間公益活動を行う団体に対し、最適な資金支援を行う。
  3. 我が国の社会の諸課題の解決に挑戦する担い手を支えるインキュベーター及びアクセラレーターの役割を担う。
  4. 必要に応じ、外部の団体や専門家とも連携しつつ資金分配団体に対し非資金的支援を伴走型で行う。
  5. 民間の創意・工夫が引き出されるような支援を行うことで、社会の諸課題を解決するための革新的な手法の開発を促進し、普及させる。
  6. 民間公益活動に係る事業が適正に遂行されるよう、資金分配団体及び民間公益活動を行う団体を監督する。
  7. 休眠預金等に係る資金の活用状況や成果等について積極的に公開、周知・広報することを通じ、本制度への国民の理解を得るよう努めるとともに、多様な民間の団体等の一層の参画を促す。
  8. 資金分配団体の活動状況の分析を通して、民間公益活動全体の状況を把握する。
  9. 地域・分野等ごとの実情を踏まえつつ、集積された成功事例や失敗事例を横断的かつ具体的に分析し、その結果を活動の現場に反映させる。
  10. 民間公益活動の担い手が必要な資金を自立的に調達できるために必要な環境整備を進め、もって市場の発展を促す。

10ページ、「(2)資金分配団体に期待される役割」です。

  資金分配団体は、指定活用団体が公募を経て決定するものです。従って、具体的な公募内容及び選定方法は全て指定活用団体にゆだねられることとなります。なお、現時点では、指定活用団体が資金分配団体に対する助成等関係業務を開始するのは、2019年秋頃を予定しています。
資金分配団体は、革新的な手法による資金の助成、貸付け又は出資や事業実施に係る経営支援や人材支援といった非資金的支援を必要に応じ伴走型で行うこと等を通じて、民間公益活動の自立した担い手を育成する中心的な役割を担うことが期待されています。
また、社会の諸課題は地域や分野ごとに様々であり、民間公益活動を行う団体が行う解決のための手法も多種多様であることから、特定の社会の諸課題の分野や地域の実情等に精通した資金分配団体を経由することにより、民間公益活動を行う団体に対し適切に必要な支援が行われることが期待されています。
こうしたことを踏まえ、資金分配団体に期待される役割として7項目を掲げています。

  1. 指定活用団体が提示した優先的に解決すべき課題を踏まえ、地域・分野等ごとの実情と課題を俯瞰的かつ具体的に把握・分析し、案件の発掘・形成を積極的に行う。
  2. 社会の諸課題の効果的・効率的な解決に向け、「包括的な支援プログラム」を企画・設計し、これに基づき、民間公益活動を行う団体を公募により選定し、資金支援及び非資金的支援を必要に応じ伴走型で提供する。
  3. 民間公益活動を行う団体の事業の特性及び発展段階を踏まえつつ、革新的手法により資金の助成、貸付け又は出資を行うこと等を通じ、民間公益活動の自立した担い手の育成を図る。
  4. 民間公益活動が適切かつ確実に遂行されるように、民間公益活動を行う団体に対する必要かつ適切な監督を行う。
  5. 民間の創意・工夫の発揮を促すように支援を行うことで、社会の諸課題を解決するための革新的な手法を開発し、実装する。
  6. 民間公益活動を行う団体に対して現地調査を含む継続的な進捗管理及び成果評価の点検・検証を実施し、その評価結果等の有効活用を促す。
  7. 民間企業や金融機関等の民間の資金を民間公益活動に呼び込むための具体策を策定し、実施する。

11ページ、「(3)民間公益活動を行う団体に期待される役割」です。

  民間公益活動を行う団体は、資金分配団体により公募を経て決定の方法により決定されます。
民間公益活動を行う団体は、事業の実施により社会の諸課題を解決するだけではなく、そうした課題を可視化するとともに、現場のニーズ等を資金分配団体等にフィードバックし、本制度の改善につなげていくことも期待されています。こうしたことを踏まえ、民間公益活動を行う団体に期待される役割としては5個掲げられています。

  1. 行政の縦割りに「横串」を刺す、あるいは公的制度のいわゆる「狭間」に位置している具体的な社会の諸課題を抽出し、可視化する。
  2. 成果に着目しつつ休眠預金等に係る資金を効果的・効率的に活用し、社会の諸課題の解決に向けた取組を推進する。
  3. 民間の創意・工夫を十分に活かし、複雑化・高度化した社会の諸課題を解決するための革新的な手法を開発し、実践する。
  4. 自ら行う民間公益活動の成果評価を実施し、民間公益活動の見直しや人材等の資源配分への反映等、民間公益活動のマネジメントの中で評価を有効に活用する。
  5. 現場のニーズや提案、事業成果等を指定活用団体や資金分配団体にフィードバックすることにより、本制度の一層の改善につなげる。

最後に、「(4)行政の役割」です。

  まず、「1. 国」については、国の関与は最小限にとどめるという考え方に立っています。
その観点から、内閣総理大臣は、法に基づき、基本方針及び基本計画の策定と指定活用団体の指定及び監督等を行うこととされています。

  次に、「2. 審議会」です。審議会は、内閣総理大臣の基本方針及び基本計画の策定や指定活用団体の事業計画及び収支予算の認可に際し、あらかじめ意見を述べることとされています。12ページに移りますが、これに加え、審議会の恒常的な事務として指定活用団体が行う民間公益活動促進業務の実施状況の監視があり、必要があると認めるときは、内閣総理大臣に勧告することが法に規定されています。

「3. 地方公共団体」に関しては、特段法律において規定されていませんが、資金の活用には直接関与しないものの、民間公益活動を行う団体及び多様な関係者の間をつなぐコーディネーターとしての役割を果たすことや分野別の公益的(こうえきてき)プラットフォームの形成を支援することが期待されています。

13ページ、「第3 民間公益活動促進業務に関する事項」です。指定活用団体の業務を大きく2つに分けて整理しています。

  1つ目は、法に具体的に規定されている「基本的業務」、2つ目は、審議会における議論等を踏まえ、法には具体的に明記されていないものの、指定活用団体が担うべき役割を果たす上で実施することが「期待される業務」となっています。

「(1)基本的業務」としては、7つ掲げられています。

  1つ目、「1. 資金分配団体の選定等」として、a)「優先的に解決すべき社会の諸課題」の把握・分析及び決定、b)資金分配団体の選定 について示しています。
まず、指定活用団体は、優先的に解決すべき社会の諸課題に関し、適切な成果目標の設定を含めその解決に向けた全体的な方針を決定し、事業年度ごとに作成する事業計画において明示し、その上で、法に基づいて資金分配団体を公募することとされています。
  以下の基準を満たす資金分配団体を具体的にどのように選定に当たっては、選定申請団体が、公正かつ適確に業務を実施するに足りる組織体制等を有していることを確認した上で、資金支援と非資金的支援とを一体とし、その支援の対象や方法等をまとめた「包括的な支援プログラム」の内容について、14ページから15ページにあるとおり、ア)からウ)に関し審査することとされています。
「ア)選定における審査対象及び基準」として、選定申請団体に提出を求める包括的支援プログラムの内容について、以下の4点に関し、必要な基準を定め審査することとされています。

  • 民間公益活動を行う団体を選定するに当たり、民間公益活動を行う団体が作成する民間公益活動の実施に関する計画において、達成すべき成果、資金分配団体による支援の出口及び支援期間等の明示を求める旨を確認することとしていること
  • 休眠預金等に係る資金に依存した団体を生まないための仕組みが組み込まれていること
  • 民間公益活動を行う団体に対し非資金的支援を必要に応じ伴走型で提供することとしていること
  • 包括的な支援プログラムを適確に実施するに足りる能力を有すること
    加えて、民間公益活動の案件を発掘・形成するための調査及び研究を行うこととしている選定申請団体を優先して選定することが望ましいとしています。

「イ)審査の方法」としては、以下の5点が挙げられています。

  • 審査における透明性・客観性の確保に努めること
  • 審査に当たっては、責任の所在を明確にすること
  • 資金分配団体の選定に係る審査を行う者について、利益相反を防ぐための措置を講ずること等により、審査における公正性を確保すること
  • 選定結果及び選定理由等の公開等により、国民に対する説明責任を果たし、透明性を確保すること。
  • 選定されなかった選定申請団体に対しては、その理由を開示すること

なお、「ウ)選定における留意事項」として、

  • 社会的成果の最大化の観点から行うこと、及び
  • 大都市その他特定の地域に偏らないように配慮するほか、分野別、助成・貸付け・出資別等について十分考慮すること

を掲げています。

同じく15ページ、「2. 資金分配団体に対する助成等」です。

  法律上は、指定活用団体は民間公益活動を行う団体に対し助成及び貸付けを行うこととされていますが、基本方針においては、「民間公益活動全体の現状及び指定活用団体や資金分配団体自身も試行錯誤しながら本制度を開始せざるを得ないことを踏まえ、指定活用団体が行う資金提供は、当分の間は、資金分配団体への助成のみとする」こととされていました。これは、「資金分配団体が民間公益活動を行う団体に対して助成、貸付け又は出資を実施することにより、資金分配団体等を育成しつつ本制度を確立させることを優先すべき」、という考え方に基づいています。

その上で、「a)休眠預金等に係る資金の助成」に係る方針を5点掲げています。

  • 社会的成果の最大化を目指した最適な資金のポートフォリオを設定した上で、助成を行うこと
  • 助成の方法を選択するに当たっては、資金分配団体が策定する包括的な支援プログラムの内容を踏まえること

16ページに移りまして、

  • 適切な資金のリスク管理を行うこと
  • 革新的な手法の開発を促進するため、必要に応じて非資金的支援を行うこと
  • 資金分配団体の事業の特性に応じ、民間の資金の出し手とのマッチングを図るよう努めること

16ページ、「b)継続的な進捗管理と成果評価の点検・検証」については2点掲げています。

  • 課題ごとに資金分配団体に対して現地調査を含む継続的な進捗管理や必要な協力・支援・助言等を行うとともに、成果評価の点検・検証を行い、成果の達成状況を包括的に把握すること
  • 必要に応じて、外部の団体や専門家とも連携しつつ非資金的支援を伴走型で行う、又は外部の専門家や団体の紹介等を行うこと

「3. 資金分配団体に対する監督等」として「監督」に関すること、及び資金分配団体としての選定を取り消した場合の事業承継について定めています。

  「a)資金分配団体に対する監督」に関し、指定活用団体が講じるべき措置として、以下の5点が列挙されています。監督に際し必要な事項は、民間公益活動促進業務規程に規定した上で、公募要領等に定めるとともに、指定活用団体と資金分配団体との間で締結する資金提供契約に定めることとされています。

  • 指定活用団体は、資金分配団体に対して、報告徴収、立入検査及び不正があった場合の対応をとること
  • 仮に不正があった場合には、その原因究明、関係者に対する厳格な処分、再発防止策の策定及びその内容の公表等の必要な措置を講ずること
  • 選定が取り消された日から一定期間を経過しない団体を選定しないこと

17ページに移ります。

  • 必要なガバナンス・コンプライアンス体制等の整備等について、その履行を担保するための措置を講ずること
  • 資金分配団体が民間公益活動を行う団体を監督するに当たり必要な事項が、資金分配団体の作成する公募要領や、資金分配団体と民間公益活動を行う団体との間で締結する資金提供契約に明記されることを確認すること

  「b)選定を取り消された資金分配団体の事業等の承継」です。不正により選定を取り消され、助成金(じょせいきん)を返還した資金分配団体の事業並びに財産及び負債は、他の資金分配団体に承継させることを原則とし、やむを得ない場合に限って、指定活用団体が承継することとしています。

17ページ、「4. 休眠預金等交付金の受入れ」です。ここでは、受け入れた休眠預金等交付金の扱いに関して以下のとおり定めています。

  • 民間公益活動促進業務に必要な経費については、外部監査結果の有効活用等により効率性の観点から常に精査し、その使用状況についての情報公開を徹底すること
  • 予算に執行残(しっこうざん)が生じることが見込まれる場合にあっては、当分の間は、法第29条第1項の趣旨を踏まえて当該見込額を同項に規定される運用資金に組み入れること。これは、事業年度内(ねんどない)に無理に予算を使い切ることを防ぎ、効率的な休眠預金等交付金の活用を促す観点から盛り込んでいます。

17ページの下から四行目になりますが、「5. 民間公益活動の促進に関する調査及び研究」です。

  一つ目の「a)案件の発掘・形成に係る調査及び研究」については、実施することが望ましいものとして掲げています。併せて、資金分配団体や民間公益活動を行う団体による案件の発掘・形成能力の向上も図ることが望ましいとしています。

18ページ、「b)制度改善や活動促進に資する調査及び研究」ですが、こちらは企画・実施しなくてはならないものとされています。

  「6. 民間公益活動の促進に資するための啓発活動及び広報活動」です。大きく二つに分けて整理しています。
「a)戦略的・効果的な啓発活動及び広報活動」については、制度に対する国民の理解を得ることに加え、民間公益活動に必要な民間の資金や専門性の高い人材等の流入を図るため、各種イベントや多様な広報媒体を通じて、本制度及び休眠預金等に係る資金の活用状況及び成果等について、戦略的・効果的に啓発活動及び広報活動を行うこととしています。
「b)シンボルマークの策定・活用」です。法案検討段階の議論を踏まえ、休眠預金等に係る資金の活用状況を可視化し、透明性を確保するとともに、その実績を国民一般に周知するため、指定活用団体においてシンボルマークを策定し、事業において表示させることを求めています。

「7. 適切な評価の実施」です。

  成果の評価は、本制度において極めて重要な事項ですので、詳細は26ページ以降の第6においてまとめて記載しております。

19ページ、「(2)業務の充実に向けて期待される業務」は、あくまでも基本的業務の円滑な執行が確保した上で、民間公益活動促進業務の進捗状況等を踏まえつつ、取り組むことが期待される業務です。

「1. 関連知識の分析・最適な組合せを図るための知識環境の整備」です。

  民間公益活動に関するデータが十分に収集・蓄積されていないという現状に鑑み、まずは資金分配団体及び民間公益活動を行う団体から既存の民間公益活動の取組に関する情報をオンラインで収集する仕組みを整備することを求めています。その上で、収集した情報を横断的かつ具体的に分析した構造化された知識として、指定活用団体及び資金分配団体の業務に反映させるとともに、これを分かりやすく、使いやすい形で広く提供・公開し、民間公益活動を行う団体等が様々な場面で活用できるような知識環境を、ICT等を活用して整備することが望ましいとしています。

「2. 成果評価実施支援」です。

  成果評価の実施が依然として十分に普及していない我が国の現状を踏まえ、資金分配団体や民間公益活動団体における評価に係る時間と労力を軽減するため、

  • 評価結果等の情報を構造的に整理した上で、公開・提供すること
  • カテゴリー別に標準化された評価ツールを提供すること
  • 構造的に整理された情報や評価ツールを活用しつつ、資金分配団体への助言や研修等を行うこと

が望ましいとされています。

20ページ、「3. 研修」です。

  主として伴走型支援の担い手の育成に資するよう、多様な人材を幅広く受け入れることで、実務を通じた研修の場を提供するほか、多様な分野にわたる団体のネットワーク化を促進し、自律的なコミュニティの構築を支援することが望ましいとしています。
このほか、「4. 国際交流」があります。

21ページ、「2.資金の公正かつ効率的活用を担保するための体制等」です。

  指定活用団体は、法において一般財団法人であることと規定されているため、一般法人法に則っていることは大前提となります。その上で、以下の体制等を備え、民間公益活動促進業務の適確かつ公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものでなければなりません。また、特定の目的を有して活動している既存の団体では困難な、中立的な立場を守る必要があります。

求められる体制は、大きく分けて3項目あります。

「(1)組織運営体制」です。4点あります。

  • 業務を適確に実施するために足る知識・技術を有する役職員を置くこと。
  • 社会の諸課題ごとに現地調査を含む継続的な進捗管理や助言・協力・支援及び成果評価の点検・検証等を行う体制とすること
  • 資金分配団体を監督するために必要な専門部署を設置すること
  • ICT等の積極的な活用等により効率的な組織運営を図ること

次に、「(2)役職員等の構成」です。

  指定活用団体は、法案検討時の議論を踏まえ、組織の肥大化を防ぐ観点から、当初は全体で20人程度で発足することが想定されています。

  「1. 評議員会や理事会の構成等」に関しては、まず、休眠預金等に係る資金の原資の性質等に鑑み、会計監査人(かいけいかんさにん)を必置(ひっち)としています。
評議員会については、経済界、金融界や労働界、学識経験者、マスコミ、ソーシャルセクター等の幅広い分野から人材登用を図り、構成の多様化を図ることが望ましいとされています。他方、理事会における迅速な意思決定を図る観点から、理事の総数は必要最小限にとどめることが望ましいとしています。
更に、役職員の構成が特定の団体や分野の出身者に偏らないことも求めています。

22ページ、「2. 役員の選任等」については2点あります。

  • 評議員会又は理事会の決議に当たっては、当該決議について特別の利害関係を有する者を除いた上で行うこと
  • 役職員に対して、定期的に「利益相反に該当する事項」に関する自己申告をさせた上で、適切な組織において内容確認を徹底し、迅速な発見及び是正を図ること

さらに、指定活用団体は国家公務員法に基づく国家公務員の再就職等規制を踏まえて対応する、すなわち、いわゆる天下り先とはしない旨を定めています。

「(3)ガバナンス・コンプライアンス体制等」です。

  「1. ガバナンス・コンプライアンス体制」として最低限求める要件として、以下を求めています。

  • 外部の有識者等も含めたコンプライアンス施策(せさく)の検討等を行う組織及びその下に実施等を担う部署を設置すること
  • 一般的に組織の運営を公正に行うために必要な諸規程及び不正行為や利益相反防止のために必要な諸規程を備えること

23ページ、「2. 内部通報制度の整備及び運用」です。

  消費者庁「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」を踏まえた対応を取ることとされています。

24ページ、「第4 指定活用団体の指定の基準及び手続に関する事項」です。

1.指定の基準及び2.手続の詳細については、別途公募要領で定めておりますので、そちらをご覧ください。
なお、指定の手続の大まかな流れは以下のとおりです。

  • 本基本方針を踏まえて内閣府は公募要領を作成、公表する。
  • 指定申請団体は、公募要領に従い指定の申請を行う。
  • 指定申請団体に対し、書類及び面接による審査を実施する。審議会において実施する面接においては、当該指定申請団体の長が指定活用団体の使命に対する強い実行・実現意志を有していること等を確認する。
  • 内閣総理大臣は、審議会による審議を経た上で、指定の基準に最も適合していると認められるものを一団体選定し、指定活用団体として指定する。

  また、指定の手続における公正性・透明性を確保するため、指定申請団体の特別な利害関係者は審議会による審議から除くほか、指定申請団体名(だんたいめい)及び審査結果についても公表することとしています。

25ページ、「第5 指定活用団体の作成する事業計画の認可の基準及び手続に関する事項 」です。

  法律に即して記載しております。

26ページ、「第6 休眠預金等に係る資金の活用の成果に係る評価の実施に関する事項」です。

  指定活用団体は、本項に示す考え方に沿って本制度全体の評価の方針を評価指針として定めることとされています。
「1.成果に係る評価の意義・目的」です。まず、「意義」ですが、民間公益活動全般を対象に、事前に達成すべき成果を明示した上で、その成果の達成度合いを重視した「社会的インパクト評価」を実施することで、成果の可視化に取り組むこととしています。
評価の「目的」については、以下の3点を整理しています。

  • 広く国民の理解を得ること
  • 評価結果を適切に予算や人材等の資源配分に反映すること
  • 厳正な評価を実施することにより、民間公益活動全般の質の向上、独創的で有望な革新的な民間公益活動の発掘、民間の資金や人材の獲得等を促すこと

  27ページ以降は成果の評価は指定活用団体、資金分配団体、民間公益活動を行う団体全ての主体において実施することとしていますが、その際の方針について記載しています。

まず、「2. 民間公益活動を行う団体の評価」です。

「(1)評価の実施主体」です。

  「自己評価」を基本とし、事前に達成すべき成果について明示した上で、インプットからアウトプット、アウトカムをロジック・モデル等の形で相互に接続するとともに、必要な情報を収集・分析し、評価を実施することとしています。
  さらに、民間公益活動を行う団体は、資金分配団体とあらかじめ合意した上で、大規模なもの、重要なもの等に限り、「外部評価」や「第三者評価」を行うことにより、評価の信頼性及び客観性を確保するとしています。
  また、資金分配団体は、必要に応じて、評価の専門家による評価の技術支援や研修、進捗管理等の評価実施支援を行うこととしています。

「(2)評価の実施時期」です。

  1.事前評価、2.中間評価、3.事後評価、4.追跡評価の4種類があり、これらの評価の実施の要否や実施時期については、民間公益活動を行う団体が、民間公益活動の目的・目標や規模、支援期間、性格、評価に係る負担等を考慮しながら、あらかじめ決定し、公表することとされています。その際、それぞれの評価の目的、評価方法、評価結果の活用方策等を有機的に連携させることで、時系列的な評価に連続性と一貫性をもたせなければなりません。

28ページ、「(3)評価方法」です。

  ここでは評価に当たっての1. 観点、2.方法の選択、3.項目及び基準の設定について示しています。

「1.観点」です。

  民間公益活動による成果だけでなく、民間公益活動の革新性(かくしんせい)等も含めて、総合的に評価をすることとされています。

「2. 評価方法の選択」についてです。

  既に「意義」のところでも社会的インパクト評価を実施すると記載しておりまして、パブリックコメントにおいても多数意見をいただいたところです。確かに社会的インパクト評価の具体的な評価の実施方法や内容は、多種多様ではありますが、評価の比較可能性や信頼性を確保し、評価の意義や効果が損なわれるといったことがないようにするために、指定活用団体が定める評価指針にのっとり、評価を実施する必要があるとしています。

「3. 評価項目・評価基準の設定」です。

  民間公益活動を行う団体は、事前に、民間公益活動の特性や評価の目的等に応じて、適切な評価項目・評価基準を明確かつ具体的に設定しますが、その際、測定可能で効果があったと証明できるアウトカム指標を設定することが重要です。このため、アウトカム指標は定量的(ていりょうてき)指標を基本としますが、評価対象によっては、定性的(ていせいてき)指標と定量的(ていりょうてき)指標とを併用するなど、定量的な尺度に偏りすぎることのないように留意する必要があります。
  なお、長期間にわたって民間公益活動が実施される場合には、次のいずれかを行い、それぞれのタイミングで目標の再設定や事業の中止も含めた事業変更の検討を行う必要があります。
a)短期目標を定めた上でその時点の到達度を評価してから次の段階に進む方法を導入する。
b)一定期間ごとの中間評価の実施等により、民間公益活動期間中の情勢の変化や目標の達成状況、進捗状況の把握をしやすくする。

29ページ、「(4)資金分配団体による継続的な進捗管理及び評価結果の点検・検証」です。

  「1. 継続的な進捗管理」、いわゆるモニタリングですが、資金分配団体は民間公益活動を行う団体に対し、現地調査を含む民間公益活動の継続的な進捗管理を実施し、必要な協力・支援・助言等を行わなければならないとされています。これにより、事業の着実な遂行を促します。
  「2. 評価結果の点検・検証」です。「点検・検証」は各主体の上位にある主体が実施することとされています。すなわち、民間公益活動を行う団体は資金分配団体が、資金分配団体は指定活用団体が、そして指定活用団体は審議会が点検・検証を行うこととなります。ここでは民間公益活動を行う団体がおこなった自己評価の妥当性・客観性について、資金分配団体が点検・検証を行う旨、記載しています。

「(5)評価結果等の活用」です。

  民間公益活動を行う団体は、評価結果を国民に分かりやすい形で積極的に公表するとともに、資金分配団体も、民間公益活動を行う団体の評価結果の点検・検証をおこなった場合には、その結果を国民に分かりやすい形で積極的に公表するほか、当事者からの求めに応じて開示することが望ましいとされています。

30ページ、「3.指定活用団体及び資金分配団体の評価」です。

  基本的な仕組みは民間公益活動を行う団体と同じですので、その部分は「準ずる」と整理させていただいております。
  なお、自己評価を行うに当って、資金分配団体については、助成等をおこなった民間公益活動を行う団体による成果だけでなく、資金分配団体自身の活動も含め、総合的に評価を行うこととしています。また、指定活用団体については、個別の民間公益活動による社会的成果の拡大だけでなく、社会の諸課題の解決のための自律的かつ持続的な仕組みの創出という観点も含めて、総合的に評価を行う必要があるとされています。

  指定活用団体は、資金分配団体から民間公益活動の進捗状況について、定期的に報告を受けるとともに、資金分配団体に対して、現地調査を含む継続的な進捗管理を実施し、必要な協力・支援・助言等を行うとともに、評価結果の点検・検証を実施しなければならないとされています。また、審議会は、指定活用団体から、民間公益活動促進業務の進捗状況について、定期的に報告を受けるとともに、指定活用団体が実施する本制度に係る総合的な評価について点検・検証を行い、必要があると認めるときは、内閣総理大臣に勧告することとされています。

  指定活用団体及び資金分配団体においては、評価結果を積極的に公表しなくてはなりませんが、その際、特に指定活用団体においては、自らの評価結果だけでなく、資金分配団体や民間公益活動を行う団体の評価結果についてもまとめて閲覧できるようにすることが求められています。

31ページ、「4.評価において留意すべき事項」として3点挙げています。

「(1)革新的な民間公益活動に対する評価」についてです。

  革新的な民間公益活動を他の民間公益活動と同じ評価項目・評価基準で評価することは好ましくありません。
  解決手法の柔軟性・自由度を確保し、ソーシャル・イノベーションの実現を目指すためには、革新的な民間公益活動に対する評価は、達成すべき成果を事前に明示しつつも、社会情勢の変化や民間公益活動の進捗状況に応じ、目標やアプローチ等の妥当性について絶えず検証し、見直す必要があります。
  また、ハイリスクであることを前提として、仮に、目標どおりに成果が得られなかった場合においても、その要因分析を着実に行い、その結果を以後の民間公益活動に生かすほか、革新性(かくしんせい)について積極的に評価することに加え、技術的な限界、ノウハウ、副次的成果や波及効果等を積極的に評価しなければならないとしています。

「(2)民間公益活動の効果的・効率的な促進」です。

  民間公益活動の評価はそれ自体を目的とするものではありません。その評価結果を、民間公益活動のマネジメントの中で有効に活用することに意義があります。

「(3)評価に係る負担の軽減」です。

  評価の実施には、費用のほか時間や労力も含めて相当なコストを要します。評価に関するコストは、本来、事業の実施主体自身が負担することが望ましいところです。しかしながら、社会的インパクト評価が依然として普及していない我が国の現状や、休眠預金等に係る資金の活用の成果に関し国民に対する説明責任が強く求められていることに鑑み、指定活用団体は、標準化された評価ツールを提供し、資金分配団体や民間公益活動を行う団体の成果評価を支援するとともに、外部の評価専門家への相談が可能となるような仕組みを検討することにより、負担の軽減を図ることが望ましいとされています。また、当分の間はこれにかかる経費についても休眠預金等に係る資金の活用対象に含める必要があります。

32ページ、「第7 その他休眠預金等に係る資金の活用に関し必要な事項」です。

  ここでは、条文上(じょう)具体的な項目立てはないものの、審議会における議論等を踏まえ、本制度の運営に当たり必要な事項を6点記載しています。

「1.休眠預金等に係る資金の活用対象の範囲」です。

  助成等の対象とする経費の具体的範囲については、指定活用団体が策定する諸規程等に基づき、指定活用団体、資金分配団体、民間公益活動を行う団体それぞれの間の個別の資金提供契約において決定されます。休眠預金等に係る資金の柔軟な活用を図る観点から、従来の行政による補助金等では一般的にカバーされてこなかった民間公益活動の実施に係る人件費や設備備品費、資金分配団体や民間公益活動を行う団体自らの成果評価の実施に係る経費等についても、内容を十分に精査し、それぞれが事前に明示した達成すべき成果を挙げる上で合理的に必要と認められる範囲内において対象とすることが望ましいとしています。特に、助成等の対象とする人件費の水準については、国民・住民の理解が得られるよう情報公開を徹底しなければなりません。

  また、指定活用団体による資金分配団体への助成の対象には、休眠預金等に係る資金の活用に当たり資金分配団体自身において必要となる経費についても含めることが望ましいとしています。
加えて、民間公益活動を行う団体が資金分配団体の承認を得ることなく費用間流用が可能となる範囲についても、指定活用団体が策定する諸規程等に基づき、資金分配団体と民間公益活動を行う団体との間の資金提供契約においてあらかじめ定めなければならないとしています。

  指定活用団体は、内閣総理大臣の指定を受け次第、直ちに本制度の運用開始に向けた本格的な準備に取り組むこととなりますが、これに要した費用について、申請時に提出した見込み額の範囲内で、合理的に必要と認められるものに限り休眠預金等交付金の対象に含めます。

  なお、申請までに要した費用については各指定申請団体の負担となりますのでご留意ください。

33ページ、「2.資金分配団体が民間公益活動を行う団体を公募で選定する際に考慮すべき事項」です。

  資金分配団体が公募の方法により民間公益活動を行う団体を選定しますが、その際に考慮すべき事項を記載しています。

「(1)民間公益活動を行う団体の選定における審査対象及び基準」です。

  資金分配団体が、公募により民間公益活動を行う団体を選定するに当たっては、民間公益活動の実施に関する計画や、その計画の実施体制、ガバナンス・コンプライアンス体制等に関する事項を審査対象とすることとしています。このうち、民間公益活動の実施に関する計画にはロジック・モデル等を活用しつつ、以下の1~5について、具体的な内容が盛り込まれていることが望ましいとしています。

  1. 解決しようとする課題及び目標、受益者
  2. 支援の出口の設定及び支援期間
  3. 支援の出口に向けた工程
  4. 課題の解決方法
  5. 評価の実施時期及び評価の方法等

  以上を踏まえ、資金分配団体は民間の創意と工夫が具体的に生かされており、革新性(かくしんせい)が高いと認められる民間公益活動を行う団体を優先的に選定することが望ましいとしています。

34ページ、「3.資金分配団体による民間公益活動を行う団体に対する監督」です。

  資金分配団体と民間公益活動を行う団体との間においても、指定活用団体と資金分配団体との間と同様、監督に当たって必要な事項を公募要領及び資金提供契約等に定めることとしています。

「4.資金分配団体及び民間公益活動を行う団体におけるガバナンス・コンプライアンス体制等」です。

  資金分配団体及び民間公益活動を行う団体においても、指定活用団体のガバナンス・コンプライアンス体制に準じ、最低限、設置すべき組織や講ずるべき措置等につき記載しています。

「5.民間の創意と工夫が発揮される効果的な活用方法の選択の際に配慮すべき事項」です。

  法第16条第5項においては、休眠預金等に係る資金の活用に当たっては、効果的な活用方法を選択することで、民間の創意と工夫が発揮されるように配慮することとされています。
  資金の効果的な活用方法の例として、複数年度にわたる助成等のほか、成果に係る目標に着目した資金提供方法として、成果連動型助成/支払型契約や集合的インパクト創出型の資金提供等、様々なものが想定されます。このうち、我が国の現状に照らしてどの方法が有効であるかは一概には言えません。
  このため、指定活用団体や資金分配団体は、一般的にとられている資金の提供方法の隙間を埋め、民間公益活動を行う団体の多様な資金ニーズに対応するために、営利・非営利、助成・貸付け・出資といった既成の枠にとらわれることなく、実際に現場で試行錯誤しながら多様かつ効果的な活用方法を開発していくことが望ましいとしています。
  したがって、指定活用団体や資金分配団体が多様な資金提供方法をその時々の状況に応じて柔軟に開発・選択できるようにしておく必要がありますが、指定活用団体及び資金分配団体は、成功事例だけでなく失敗事例も含めて各資金提供方法の有効性について、厳正に評価しつつ事例の蓄積を行い、広く公開しなければならないとしています。

最後に、「6.法の全面施行(せこう)から5年後における見直し」についてです。

  これは、法附則(ふそく)第9条の規定に加え、衆参両院において「施行(せこう)から5年後に、幅広く見直しを行うこと」という附帯(ふたい)決議がなされたことを受けたものです。
  本制度は我が国では前例のない、いわゆる「社会実験」であることから、法の定める規定が全て施行(せこう)されることとなる2018年1月1日から5年後の2023年1月1日には幅広く見直しが行われることとされているものであり、このことについて、本制度に関係する全ての者が十分留意し、その上で各々の責務を果たしていくことを強く求める旨記載しています。

以上で説明を終わります。