第31回 沖縄振興開発金融公庫運営協議会(現地懇談会)
平成17年6月6日(月)15:00~16:30
沖縄振興開発金融公庫本店役員会議室
2 委員の出欠状況
3 内閣府沖縄振興局長挨拶
4 沖縄公庫理事長及び副理事長挨拶
5 沖縄公庫平成16年度事業実績等について
6 沖縄経済の現状と課題
7 自由討論
8 閉会
1 開会
○塚越委員長それでは、時間もまいりましたので、ただいまから第31回沖縄振興開発金融公庫運営協議会(現地懇談会)を開催いたします。本日は、ご多忙の中をご出席いただきまして、誠にありがとうございます。去る5月31日、公庫の役員に異動がございまして、八木橋惇夫前理事長に代わり松田浩二副理事長が理事長に就任されました。また、後任の副理事長には、金井照久さんが就任されておられます。お二人には後ほどご挨拶をいただきます。よろしくお願いします。
2 委員の出欠状況
○塚越委員長 まず委員の出席状況についてご報告をいたします。石井道遠財務省大臣官房総括審議官につきましては、有吉章財務省大臣官房審議官が代理出席しておられます。稲嶺恵一委員につきましては、牧野浩隆沖縄県副知事が代理出席しておられます。3 内閣府沖縄振興局長挨拶
○塚越委員長 それでは、続きまして、内閣府の東沖縄振興局長にご挨拶をお願いしたいと思います。東局長、よろしくお願いいたします。○東沖縄振興局長 内閣府の沖縄振興局長の東でございます。
本日は、ご多忙のところ、沖縄振興開発金融公庫運営協議会(現地懇談会)にご出席いただきまして、本当にありがとうございます。
また、日ごろから内閣府及び沖縄振興開発金融公庫に対しまして、多大なご支援、ご指導を賜っていますことについて、この場をお借りして厚く御礼申し上げたいと思っております。
沖縄公庫は、沖縄県に特化いたしまして、本土公庫等にないワンストップサービスを提供するなど、総合政策金融機関として、政府の沖縄政策と一体となりまして、これを金融面から支援し、沖縄経済の振興等に寄与してまいりました。
経済の振興を図るということは、もうご案内のとおり、財政でやるか、税制でやるか、金融でやるかの3つしかないわけでございます。その中の1つを沖縄公庫が担っているということでございます。そういう意味で、期待も大きいと思うわけでございます。
また、先ほど委員長からご紹介がありましたとおり、八木橋前理事長の辞任に伴いまして、5月31日付で松田新理事長が任命されまして、併せて金井新副理事長が就任されたということでございます。
もうご案内だと思いますけれども、新理事長は沖縄公庫設立当初からこの公庫の職員として活躍をされまして、平成13年4月以降は副理事長として公庫の運営を担っておられるということでございますし、沖縄の経済社会情勢に精通しておられるということでございます。また、初めての沖縄県出身の理事長ということで、県民の期待も大きいかと思います。そういう意味で、私たちは、知識、経験ともども、沖縄公庫の理事長として最適任ではないかと考えておりますし、またそうあってほしいと大きな期待をしているところでございます。
最近の沖縄公庫を巡る動きといたしましては、1つはやはり新聞等で報道されておりますけれども、経済財政諮問会議におきます政策金融改革の議論が今後本格化していくということで、これに対してきちっと対応していかなければならないだろうと思うわけであります。
また、金融庁が本年3月29日に発表いたしました「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム」におきまして、中小・地域金融機関等との取組みについて、政府系金融機関においても各民間金融機関と連携して、強力に進めていくことが必要であるということが求められております。
こういう状況でございますので、先ほど申し上げましたとおり、公庫が新理事長の下で更に沖縄の経済の振興のために、その役割を十分に果たすことができるのではないかと考えているところでございます。
この現地懇談会は、地元におきまして、沖縄公庫の営業の様子をご覧いただきながら、幅広く委員の皆様方にご意見を賜るということで、昭和50年6月以降31回目となっているということでございます。
本日いただきます委員の皆様のご意見は、内閣府は当然のことながら、公庫の今後においてもその業務運営に十分生かしてまいるということでございます。忌憚のないご意見等を、今日は特に新理事長、副理事長おられるということでございますので、期待と希望という点を是非述べていただいて、励ましと我々に対する責任の重大さを再確認するという場になったら非常にいいと思っております。
本日は、よろしくお願いしたいということで、私の挨拶に代えさせていただきます。どうもありがとうございました。
○塚越委員長 どうもありがとうございました。
4 沖縄公庫理事長及び副理事長挨拶
○塚越委員長 ここで、新たに就任されました、松田理事長及び金井副理事長にご挨拶をお願いしたいと思います。まずは、松田理事長、よろしくお願いいたします。○松田理事長 どうもありがとうございます。このたび、公庫理事長を拝命いたしました、松田でございます。この4年間、八木橋前理事長の下で副理事長として、この運営協議会の席にも陪席させていただき、皆様から大変貴重なご意見、ご示唆等を頂戴いたしております。
今回から、公庫理事長として陪席させていただくことになります。微力ではございますけれども、沖縄県の発展のため、誠心誠意理事長職の使命を果たすよう精励する決意でございますので、皆様も引き続きご指導、ご鞭撻くださいますよう、お願い申し上げます。
ところで、既にマスコミ等の報道でご案内のことかと存じますけれども、今回の理事長交代を機にいたしまして、理事長と副理事長の在任地を変更することにいたしましたので、改めてご報告申し上げたいと思います。
つまり、理事長は地元沖縄に在任し、副理事長が東京に在任することといたしました。この変更の理由でございますが、先ほどお話がございましたけれども、政策金融改革の本格化に伴い、政府方針を踏まえた公庫の方針づくり、あるいは公庫債券発行等に関するマーケットへの対応等が重要となります一方で、今後重点を置くべき政策分野をどう捉えていくか、あるいはリレーションシップ・バンキングをいかに推進していくかという、現場に根差した改革を強く求められているという事情がございます。
今般、私と金井副理事長という体制ができたことに伴いまして、それぞれの得意とするところを最大限に発揮しながら、公庫業務の推進、改革を進めていくことが適当ではないかと判断した次第でございます。
このため、当然理事長は全体を掌握し統率いたしますけれども、日常は現場に根差した業務推進や改革に重点を置いて職務を遂行することといたします。
そして副理事長は、東京本部の業務、すなわち政府との予算折衝や国会対応、債券発行等に関するマーケット対応等の業務に特化し、理事長を補佐することとしたところでございます。
なお、公庫業務運営に当たりましては、県民、企業の声を聞き、その立場を十分くみ取りながら、親身で迅速な対応を心がけ、お客様のよきパートナーとなれるように努め、県民から信頼され、親しまれる公庫づくりに取り組みたいと思っております。重ねて皆様のご支援、ご指導をお願い申し上げまして、私の就任のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○塚越委員長 どうもありがとうございました。それでは、金井副理事長、お願いいたします。
○金井副理事長 副理事長を拝命いたしました、金井でございます。松田理事長を補佐し、沖縄の役に立っていきたいと考えておりますので、どうか今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○塚越委員長 どうもありがとうございました。新理事長、新副理事長の益々のご活躍を祈念申し上げます。
5 沖縄公庫平成16年度事業実績等について
○塚越委員長 それでは、これから議事に入ります。本日の議題でございますが、お手元に資料をお配りしてございます、「第31回沖縄振興開発金融公庫運営協議会(現地懇談会)議事次第」にありますとおり、「沖縄公庫平成16年度事業実績等について」、それから「沖縄経済の現状と課題」の2つでございます。最初に「沖縄公庫平成16年度事業実績等」について、沖縄公庫の木幡総務部長から、引き続き「沖縄経済の現状と課題」について、日本銀行那覇支店長の大澤委員からご説明をいただきます。
その後、今回は現地懇談会でもありますので、皆様から沖縄公庫の新体制に対する期待、その他を含めましていろいろご意見、ご質問をいただく機会にしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、木幡総務部長、お願いいたします。
○木幡総務部長 公庫の総務部長の木幡でございます。私から、平成16年度の事業実績等についてご説明をさせていただきます。
まず、16年度の事業実績についてでございます。16年度の実績は1,141億円余となりまして、前年度に比較いたしますと188億円余の減、比率にいたしますと14.2%のマイナスということになりました。
事業計画が、1,905億円でございますので、事業計画との比率でいきますと、59.9%、約6割の進捗という結果になっております。
全体的な状況を申し上げますと、中小企業等資金とか、医療資金、生活衛生資金、こういった事業系の資金は、事業者の堅調な資金ニーズに対応いたしまして、概ね前年度を上回るというような結果になっておりますが、一方で住宅資金が前年比52.1%と約半減いたしまして、これが大きく全体の実績を下げているという状況にございます。
この状況は、前回の運営協議会でもご説明申し上げましたが、決算見込みとの対比で申し上げますと、3月末の最後の追い込み時期に業務が集中したこともございまして、約22億円のマイナスということになってございます。
個別に申し上げますと、産業開発資金は事業者との調整といったことが、最後新年度にずれ込みまして、約53億円のマイナスということで308億円でございます。
中小企業等資金につきましては、後ほど申し上げますが、創業の資金ニーズが非常に高かったといったようなこともございます。また、セーフティーネットのニーズも高くて、こういったものに対応した結果、全体で7.9 %の伸び、特に中小企業資金におきましては、12.9%の伸びということになっております。
住宅資金につきましては、個人住宅の着工自体がマイナスになったこと、また民間金融機関へのシフトが進みまして、52.1%の進捗ということになっております。
農林漁業資金につきましては、おおむね7%のマイナス、医療資金・生活衛生資金につきましては、それぞれ18.3%、22.5%のプラスということになってございます。
次に出資でございますが、企業に対する出資、いわゆる産投出資につきましては、昨年度は実績がございませんでした。沖縄独自の制度でございます、新事業創出促進出資、いわゆるベンチャー出資でございますが、こちらの方は2億円の事業計画に対しまして、1億6,000万円、9件の実績がございまして、ほぼ順調な進捗ではないかと考えてございます。
続きまして、17年度の事業計画及び資金計画についてでございます。こちらの方も、何度かご説明申し上げておりますので、簡単にご紹介したいと思います。
17年度の事業計画は、1,805億円ということで、前年度と比較いたしますと100億円の減少ということになっております。住宅資金は最近の傾向を踏まえまして、70億円、13.5%の大幅減という計画にいたしておりますほか、産業開発資金を30億円の減ということにしております。
資金計画でございますが、こちらの方で特出すべきは、財投機関債を17年度は100 億増額いたしまして300億円という計画にいたしました。財投機関債を出し始めて4年目になりますが、1年目が100億円、2年目が200億円、3年目が同じく200億円、4年目は300億円ということで、私どもは財投改革の流れに従いまして、自己資金の増というものを今、図ってございます。これが今年度の特徴でございます。
続いて、16年度の事業実績の特徴を、今回は中小企業等資金に絞ってご説明申し上げたいと思います。政府系の金融機関といたしまして、私どもの民間補完の役割で何が重要かということで申し上げますと、いわゆる新事業とかベンチャー支援のような創出期の企業支援、こういったものはかなりリスクを伴うということで求められると思いますし、それから中小企業の金融円滑化、いわゆるセーフティーネットの関連です。それから、離島振興のようにかなり政策性の高いもの。こういったものの貸し付けがあるかと思います。
こういったものにつきましては、公庫の今後の重点的な役割ということで、積極的に対応いたしております。
平成16年度は、これらの資金で前年度比53億円増の194億円を融資いたしました。先ほど申し上げましたように、中小企業等資金の全体は41億円の増でございますので、いかにこの重点分野の融資が伸びているかといったことがご覧いただけるのではないかと思います。
まず「1.新事業・ベンチャー企業の支援」でありますが、こちらに対応する貸付制度としては、沖縄創業者等支援貸付という独自制度がございます。この制度の対象となった融資で申し上げますと、550件、貸付額が88億円となっておりまして、前年度に比較いたしますと13億円の増ということになっております。こちらの方は、また後ほど詳しく申し上げます。
続きまして「2.中小企業金融の円滑化」という点でありますが、セーフティーネット貸付、これは融資実績で196件、実績が82億円となっておりまして、前年度に比較いたしますと33億円の増加ということになっております。
また、無担保等貸付、これは最近の政策金融改革でも、担保や保証に過度に依存しない融資を推進することになっておりまして、私どももこういった制度の充実に努めておるわけでございます。これらの融資実績は、133件、額にして26億円となっておりまして、対前年度比18億円の増ということになっております。この18億円の増に大きく貢献しておりますのが、一番最初の中小企業無担保貸付でございまして、これは16年度に新設した沖縄公庫独自の制度でございます。本土公庫でもまだ実施していないものを、沖縄公庫で先駆けて導入したものでございまして、担保を必要としない代わりに1億円を限度に2.5%を上乗せし、3か年でお返しいただくという制度でございます。これが26件、13億円に上っております。担保徴求の特例が16件の7億円。保証人徴求の特例が38件の2億円。第三者保証人特例が53件の4億円ということになっております。
「3.離島振興」でございますが、こちらの方は昨年度から内閣府で「美ら島会議」を設置いたしまして、重点的に取り組まれているところでございますが、私ども公庫の方でもそれに呼応いたしまして、積極的に取り組んでおります。
これに関連いたしますと、沖縄離島地域経済活性化貸付という制度が16年度はございました。これに関する実績を申し上げますと、28件、12億円となっておりまして、対前年度比3億円の増となっております。
この沖縄離島地域経済活性化貸付というのは、16年度までの時限的な制度でございまして、本年度からは、いわゆる美ら島貸付という名目に衣替えをいたしまして、こちらの新しい制度では、離島の厳しい雇用等の実態を踏まえまして、雇用条件を緩和するなど、より利用しやすい条件に変更いたしておりますので、私ども今年度以降のご活用を期待しているところでございます。
次に、先ほどの沖縄創業者等支援貸付を、より細かく分析したものをご説明します。これで見ますと、沖縄県における新規開業関連、あるいは経営多角化関連で、件数、金額とも年々伸びており、過去最高となっている実態が見えるところでございまして、その点では沖縄経済が厳しいといえども、それなりに創業意欲が旺盛で、新規開業が増加しているという実態がうかがえるのではないかと思います。
このうち新規開業ということで分類されますものが、16年度は466件、55億円余でございまして、前年度に比較いたしますと約100件、金額にして約6億円ほど伸びております。
経営多角化の関連ですが、これは既存の事業者が別の分野に手を広げていくというものに対する融資になりますが、16年度の件数は前年度比倍増の80件、金額は2億4,000万円増の27億円ということになっております。
また、技術、ノウハウ等の面で特に斬新性、新規性が見られる事業、これを新規性事業関連と呼んでおりますが、こちらの方は非常に数が少なくて4件となっておりますが、こちらの方もさまざまな沖縄の独自性を生かした事業の取組みの中で、私どもも対応させていただいているということでございます。
どんなものがあるかと申し上げますと、A社と書いてありますが、沖縄特産のシークワサーから、血糖上昇抑制作用を持つ機能性物質を工業的に抽出・精製し販売しているといった事業が代表的な事例として挙げられるかと思います。
こういった新規開業分野、どういったものが伸びているんだろうかということを、業種別に見てみますと、観光の好調といった面や、あるいはそれに伴う本土からの移住者の増といったものを背景に、不動産業が非常に伸びているという実態が伺えます。ホテル業への賃貸用の不動産とか、あるいは本土からの移住者、長期滞在者用の賃貸住宅、こういった面での供給が非常に伸びているということでございます。
ホテル業と言うと観光業ということになりますが、当公庫の分類で申し上げますと、ホテル自体は運営業者が委託を受けて実施するという形態がどうも主流でございまして、ホテルの本体は土地所有者なり別の会社が建てて貸すということが主流になっているようでございます。そういったことから、沖縄公庫の方では不動産業というものに分類される部分が非常に伸びておりまして、不動産業は金額にいたしますと約3倍になっているという状況でございます。
建設業者も公共事業の減少に伴いまして、非常に厳しい環境にあるわけですが、自らも生きる道を探っていくということで、最近では不動産賃貸業などへの経営多角化といったような動きも見られておりまして、資材置き場の一部を利用してマンション経営を行うといったような取組みが見受けられます。こういったものに対応して、建設業への貸付も、71.8%の増ということで、厳しい業界ながらも伸びているという状況でございます。
それから、伸びている分野で申し上げますと、やはり観光に関連してか、卸売・小売業。それから、サービス業の方でありますが、こちらは前年度より若干マイナスになりましたが、高水準で推移している状況にございます。
こちらの方も、本土からの移住者がダイビング教室を開業するとか、あるいは高齢化に対応いたしまして、介護関連の事業で新規開業したり、他業種から進出する例が挙げられております。
以上、沖縄創業者等支援貸付から見た新規開業の特徴についてご説明申し上げました。
話題の2つ目といたしまして、「住宅資金に係る証券化支援事業の動向」についてご説明申し上げたいと思います。
沖縄県の方は、まだ十分お聞きになってないかもしれませんが、今、住宅公庫がやっている新規ローンとして、フラット35という仕組みがございます。これはどういうものかというと、通常の金融機関の融資は、自分で調達した資金を顧客にお貸しするという直接融資が中心でございますが、これは沖縄公庫にしても、住宅公庫にしても、これまでは同様の仕組みでございました。
これに対しまして、証券化支援事業というものは、まず民間金融機関が住宅公庫の枠組みに従いまして融資を行います。その融資は長期固定の金利による住宅ローンでございまして、その融資実行された債権を住宅公庫が買い取ります。それで、住宅公庫がその買い取った債権をまとめて投資家に証券を発行し、公的機関の信用力を活用して、低利で発行するわけです。そういうことで、民間の方にも安い金利で資金供給ができるし、またそれを受けて民間の方も安い金利で、かつ長期固定の住宅ローンを実施できる仕組みになっているわけでございます。
この証券化支援事業は、本土でかなり伸びてございまして、沖縄では住宅公庫と民間金融機関の間を沖縄公庫が媒介し受託するという仕組みで進められることになっておりましたが、これまで沖縄県内では取り扱う機関がございませんでした。
それに対しまして、この4月から、沖縄県においても、これは全国の金融機関、県外の金融機関でありますが、住宅金融公庫のフラット35の取り扱いが開始されました。現在までに取り扱いを行っているのは、日本住宅ローンという、これは住宅ローン専門の会社でございまして、大和ハウスなど4つの住宅メーカーが住宅ローンの会社をつくりまして住宅ローンを行っているというものでございます。
また、県内に1つしかございません、みずほ銀行が那覇支店の方で取扱いを開始してございます。
なお、日本住宅ローンは、県内でその4社の住宅メーカーの窓口というのは大和ハウスしかございません。ですから、取り扱っている窓口は大和ハウスの那覇支店しかないという現状でございます。
このフラット35というものの金利でありますが、(参考)の全国データを見ていただきますと、これは金融機関によってどれだけ手数料を取るかということで違ってくるわけですが、金利幅が2.15%~3.60%まで設定されておりまして、平均金利が2.69%ということになっております。参入機関が226機関あるわけでございます。
この状況の中で、日本住宅ローンは全期間一律の金利で申し上げますと2.47%、段階金利で申し上げますと、当初10年が2.17%、11年目以降が2.47%ということになっております。みずほ銀行は全期間同一でございまして、2.59%ということになっておりまして、実は沖縄公庫の住宅融資の金利は、これまで10年を境に段階金利を設けておりましたが、この6月から一本化することになりまして、その金利が2.76%でございます。本土より0.3%低くなっておりますが、この金利よりも民間のフラット35の金利の方が安くなっているという状況になるわけであります。
このフラット35のメリットを申し上げますと、先ほどご説明いたましたように、住宅公庫が民間金融機関から住宅ローンの債権を買い取りますので、本来ですと自己調達をした資金については、調達する金利の動向によって、金利上昇局面であれば、前に安く貸していても、後に調達金利が高くなるとか、そういう逆ざやになるようなケース、そういったリスクが伴うわけですが、貸し出しの時点で全額住宅公庫が買い取ってしまいますので、その点ではそういった逆ざやになるというリスクはなくなります。
また、そういった仕組みになっている関係上、いわゆるこれまでなかなか民間とすれば厳しかった、長期固定の融資ができる。更に、いわゆる貸し倒れのリスクも住宅公庫の方で吸収しますので、その点では民間金融機関にとっては非常にメリットのある仕組みになっているわけでございます。これが、今後の政府系の住宅融資の根幹になっていくような状況でございまして、私どももこのフラット35の取扱いの推進というものを今、進めている状況にあるわけでございます。
私の方からは、以上でございます。
○塚越委員長 どうもありがとうございました。続いて、大澤委員、お願いします。
6 沖縄経済の現状と課題
○大澤委員 それでは、私の方から沖縄経済の現状についてご説明をした後、先般16年度の県内金融機関の決算が出ましたので、その状況等についてもご説明したいと思います。まず、入域観光客数の推移を表した図表を見て下さい。沖縄県の場合、競合する海外旅行は回復をし、かつ3月からは愛知万博も始まっておりますので、競合先が増えているわけですが、3月、4月の沖縄への入域観光客数は過去最高を記録したということで、非常に好調な状況にあります。
ゴールデンウィーク中も、これは航空会社の旅客数ですが、前年比11%増ということで、例えば、競合する北海道は前年比マイナス4%でありましたし、国内全体の航空会社の旅客数もマイナス1.5%でありましたので、その中で沖縄が1割強増加をしているということで、沖縄観光は際立って好調という状況にあります。
こうした点を反映して、主要ホテルの客室稼働率の方も徐々に回復をしてきており、11か月ぶりに過去最高を記録したというのが、4月の状況であります。
こうした観光の波及効果が、他の分野にも徐々に見られ始めておりまして、百貨店・スーパー・コンビニの売上高を見ましても全国比より良好な状況にあり、特にコンビニとスーパーが堅調です。新車販売台数を見ていただきましても、沖縄は好調で、ここに来て観光がまたペースを上げてきている中で、レンタカー各社が新車を購入するという動きが強まってきているようにみられます。
更に個人消費の動向を左右すると言われております雇用とか、賃金の動向ですが、新規求人が順調に拡大してきている状況にあります。これは全体的に、今申し上げたような、観光を主導とする景気回復の動きが背景にあるということに加え、県内のコールセンターからの求人、あるいは県外ですと製造業、特に東海地区の自動車関連の製造業からの求人が、沖縄県内で相当増えているということを反映して、求人数も順調に伸びております。こうした状況の下で、雇用情勢が改善してきております。
それから、給与額の推移でございますけれども、こちらも今年の1-3月期は、9四半期ぶりに前年比プラスということになっており、ようやく全国並みに賃金の方も底を打った状況にあります。
このように、観光と個人消費は好調ないし堅調を続けておりますが、一方で建設の方は非常に不振な状況が続いており、公共工事の保証請負額は、16年度は前年度比マイナス10%ということで、これは既住ピークの平成10年度の6割の水準まで落ち込んできているということであります。こうした厳しい状況の中で建設業の倒産も全体の件数に占める割合が5割を超えて推移しております。
県の財政の中期見通しをご参考までに載せましたが、中期的にも県の財政の方は非常に厳しい状況になってきています。これは、中期見通しで発表されたものですが、基金の残高を食いつぶしても収支が不足するというような見通しが示されており、そういう中で公共事業に5割以上も依存している沖縄の建設業においては、今後も相当厳しい状況が続くことが予想されます。
次に、物価の動向ですが、ただ今、ご説明しましたように、経済の回復、原油価格の高騰といった物価押し上げ要因がありますが、足元までを見ますと、こうした押し上げ要因が物価にはまだ反映されていない状況にあります。一方で、マイナスのファクターは、これは全国でも共通ですが、電話料金の引き下げ、それから昨年不作で高騰しておりました米価が今年は一転落ち着いているということで、これらがマイナス要因として寄与しているということで、物価はほぼゼロの近傍で推移しているという状況に変わりはありません。
今、申し上げましたように、沖縄経済の動向ですが、一言で申し上げると、昨年の夏以降、台風とか、暖冬、それから原油価格の上昇というような、乱気流の中を飛ぶような感じでしたが、今年の春ごろからようやくその乱気流を抜け出して、その上昇ペースを観光主導で再びやや加速させているというのが、沖縄経済の現状かと思います。
次に、沖縄の金融機関の16年度決算ですが、地銀3行の不良債権処理額と収益力の推移を現した図表をみて下さい。16年度のコア業務純益、すなわち収益力ですが、こちらは323億円ということで、前年を48億円上回る高いレベルになりました。
この背景には、幾つか要因がありまして、一つはこれまで取り組んできた人件費を中心とするコスト削減、これは早期退職制度の導入等によるもので、これがコスト削減に大きく寄与しました。
更には、有価証券投資、これまでペイオフ完全解禁を控え流動性を高めに確保する観点から、日本銀行の当座預金も含めてすぐ現金化できる資産を多く持っていたのを、少し有価証券投資に回すというような動きも最近になって強まっており、それが収益向上に寄与したということもあります。
16年度については、地銀の1行が住宅ローンの証券化をやりまして、それに伴う収益が、これは一時的ですが、30億円出たというのも、かなり大きく寄与しております。
こうした中で、不良債権の処理額は、コア業務純益すなわち、323億円を大幅に下回る161億円で済んだ状況にあります。自己資本比率もこうした状況を反映して、更に上昇しており、県内金融機関の経営体力は非常に安定しているとみられます。
一方、課題である不良債権比率の高さですが、これまで全国の地方銀行と比べると沖縄県の場合は、不良債権の比率がかなり高かったわけですが、ここに来てその格差を大分縮めてきております。これは企業業績がかなり改善する中で、銀行内における融資先の格付がランクアップしていることのほか、沖縄の金融機関が積極的にオフバランス化を進めてきているということも背景にあります。
17年3月末における県内地銀3行平均の不良債権比率は6.6%まで下がっておりますが、3行のうちの1行は既に全国平均を下回るまでに下がってきており、県内地銀の不良債権比率の低下はかなり顕著になってきております。
最後に、こういった不良債権の処理を進めていく中で、非常に重要なことはやはり不良債権の処理に関与している専門家の人たちが、横の連携を図りつつ進めていくのが何より重要だと思われ、去る3月になりますが「沖縄事業再生研究会」というものが設立されております。これには沖縄公庫さんもメンバーになっていただいておりますが、公庫さん以外にも、金融機関、弁護士、会計士、事業再生ファンド、事業再生アドバイザーといったような方々が参加されておりまして、ここにたまたま本土でも非常に有名な松嶋弁護士が理事の一人になってくださっていることを資料に書かせていただいていますが、松島弁護士以外にも本土のファンドとか、事業再生アドバイザーの方々も、研究会の理事として活動してくださっておりまして、横の連携につなげたいと思います。加えて、ノウハウの蓄積にも努めることに取り組んでいこうと考えておりまして、地方における「事業再生研究会」の立上げという取組みは、全国発であり、非常に注目を集めております。既に検討会、勉強会を3回開催したほか、昨年11月にはシンポジウムもやりました。皆さんから非常に好評を得ており、前回5月の研究会は公庫さんの会議室をお借りして、岡山のある鉄鋼会社、事業再生ファンドを非常にうまく活用して、V字型で事業再生を図った鉄鋼会社の社長さんに来ていただいて、その体験談をみんなで聞くといったことを行いました。沖縄で事業再生を進める観点からは、やはり沖縄の貸出市場において、3割以上のシェアを占めている公庫さんの協力がないと、なかなか事業再生が進まないという面がありますので、その点で公庫さんに研究会の活動に非常に積極的に取り組んでいただいていることは、極めてありがたいことだと思っています。私からの報告は以上でございます。
○塚越委員長 大澤委員、どうもありがとうございました。
7 自由討論
○塚越委員長 それでは、自由討論ということになるわけでございますが、本日は先ほど申しましたように、懇談会ということでございますので、委員の皆様方から沖縄公庫の新体制への期待なども含め、忌憚のないご意見、ご質問をいただきたいと思います。大変勝手でございますが、お座りになっている順に発言をいただくということにさせていただきたいと思います。
まず、最初に内閣府沖縄担当部局の責任者でもある、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 内閣府審議官の佐藤でございます。
最近の内閣府の沖縄振興施策に触れながら、ちょっとお話をしたいと思います。
平成17年度は、沖縄振興計画の10年計画の4年度目に入るところでございます。
それから、具体的なアクションプランであります、分野別計画が第2次に入るというところでございまして、10年計画の中盤ということでこの計画がきちっとでき上がるかどうかの重要な時期に差しかかっていると思っております。
内閣府におきまして、今年度、特にどういうものに重点を置いているかということから申しますと、まず自立的な経済をつくるということにつきましては、県や市町村がいろいろご相談しながら施策を進めているところでありますが、沖縄振興特別措置法の中に書いてございます、大学院大学の設立構想、これにつきましては、本国会にその準備に当たります基盤をつくる機構の法案を提出いたしまして、3月末に成立いたしております。9月にその機構を立ち上げるという状況になっておりまして、沖縄大学院大学構想は順調に進行しているところでございます。
それから、三位一体の改革ということで、補助金の整理合理化等が図られました。それに伴いまして、沖縄に関しましても、いろいろな変更がございましたが、補助金が廃止されて交付金化されたものにつきましては、従来どおり内閣府に一括計上するなどの措置を取りました。
それから、完全に任務を終えて廃止されたという補助金も幾つかあるわけですけれども、それにつきましては、従来の補助金のかさ上げ分につきましては、内閣府に計上いたしまして、特別の交付金を創設するということで、今年度につきましては廃止された補助金がそれほど大きくなかったということで、金額は3,000 万円ほどでありますが、そういう使い勝手のいい交付金というものをつくることができたということがございます。
もう一つは、昨年「美ら島会議」を立ち上げまして、離島の活性化事業を始めるということで、17年度につきましては、大臣折衝まで行きましたけれども、美ら島活性化のための事業費として7億円ほどを計上することができたということがございます。この離島活性化事業を始めた経緯と言いますのは、特に三位一体改革が進められて補助金等が抑制され、それから、地方に権限を移譲して補助金を廃止していくということになりますと、特に財政力の弱い離島が特に大きな影響を受けるということで、この際離島の活性化を進めていこうということで始めたわけでございますが、今年度については7億円ほどの予算を計上したということでございます。
そろそろもう来年度に向けての予算編成に入るということで、今、私どもの考えているところからいきますと、まず第一に大学院大学の関係では、今年度から施設の建設等に入っていくということになり、かなりの予算増が見込まれますので、これをどうやってシーリングに収めていくかということが、1つの大きな課題になっております。また、三位一体の方では、来年度についてどれぐらいの補助金の整理合理化が出てくるのかというところを注視しなければならぬということがございます。
離島活性化につきましては、今年度から始めます離島のブロードバンド化、来年度もどうなるか。それから、各島に担当者を張り付けて、いろいろご相談しながらアイディアを募集しておりますが、今年度もこれからいろいろ各島に派遣をいたしまして、アイディアを募集することになりますが、どういう事由が挙がってくるかということを注視しなければいけないと思っております。
また、この場でいきますと、一番大きな問題でありますが、政府系金融機関の見直しというのが、今年行われるということで、公明党のワーキンググループがヒアリングをやるということで、近く多分沖縄公庫も呼ばれて意見を聞かれることになると思います。
秋に向けて、どういう見直しをするかということがまとめられるかと思うんですが、それに向けまして、私からも1つ要望しておきたいと思うんですけれども、沖縄公庫は民間の補完をしながら長期的な資金を融通して民間企業を育成することが任務でございますけれども、この沖縄公庫というのは沖縄振興特別措置法に基づきまして、沖縄振興計画に基づく財政支出を内閣府がしていきますけれども、それを金融面から補完すると、車の両輪みたいなものだと思います。特に自立型経済を構築する上では、財政資金だけではできないわけでありまして、特に金融の面からのてこ入れが重要でございます。そういう意味からいきまして、沖縄公庫というものが特に特殊性があるんだということをきちっと説明できないといけない。新聞紙上では、政府系金融機関の見直しについては、いろんなことが書かれておりまして、2つぐらいに集約されるんではないかと思います。政策金融と貿易関係の金融の2つにする。あるいは公営公庫と何とかということで、いろいろなことが書かれておりますが、そういう意味で沖縄の特殊性を十分説明するような理論武装をしなければいけない。沖縄の金融の実態、それから長期資金の需要、その他を見ながら、沖縄の金融公庫を残さねばならぬということを、きちっと説明していかなければいかぬだろうと思います。以上でございます。
○塚越委員長 それでは、有吉審議官、お願いします。
○有吉審議官 財務省の有吉でございます。総括審議官の石井が正委員なんですけれども、国会等いろんな関係がございまして出席できませんで、私が代わりにまいっております。私は財務省では政策金融機関の関係、あと預金保険とか金融システムの関係など、財務省に残っている金融行政の部分を担当いたしております。
加えまして、財務総合研究所の次長の併任もございまして、実は金井副理事長は、3週間ぐらい前まで私の上司でありました。実は3週間前、私、当時財総研所長がちょうど退官されるという日に海外出張中でおりませんで、ご挨拶をする機会もなくて、ちょうど4週間ぐらい前は難しい財政理論か何かの研究会に出ていて、しばらく経つとお互いかりゆしウェアでこうやっているということで、何か不思議な縁を感じております。
私ども財務省の方で政策金融機関9つございますけれども、それを全部見ておるんですけれども、どちらかと言うとそれぞれ主管省庁が政策の部分で、財務省というのはどちらかと言うと金融機関という観点をより重視しながら見ていくといったような感じかと思います。
そういう点で、沖縄公庫を横に並べてみますと、一番特徴的なのが沖縄という地域を対象にして考えているということで、私はどちらかというと本土公庫が中小企業とか分野別縦割になっているのに比べ地域別になっている。恐らく金融機関という立場から見ると、沖縄の振興・発展のためにいろんな金融の手段をいろいろと動員できる。かつ農業とか中小企業、あるいは今回やられました出資まで含めて、いろんなものをそれぞれ適切に組み合わせながらできるという強みが非常にあるんではないかと思っております。
他方、逆の意味の難しさもあるんではないかと思っておりまして、1つは地域的に集中していると、こういう金融機関としてはリスク分散が難しいだろうという面もあります。もう一つ、もっと大きいのは、本土の公庫で言えば、いろいろと分野別になっているので、中小なり農林なりそれぞれの専門分野の専門性を高めながら、特にいろんな借入、あるいは借りる方々と相談しながらアドバイスしていけるという機能があるんですけれども、比較的小さな機関で非常に幅広い仕事をやっておられると、いかにそういう専門性をうまく発揮して、利用者にこういう知的な支援という意味でもいかに役に立っていけるかというのが、言ってみればチャレンジなんではないかと思っております。
特に、今、政策金融の見直しの議論がございましたけれども、従来で言えば量的な補完といったところから、だんだん質的な補完、あるいはそういう知的支援的なものが非常に公庫と言うか、政策金融機関の機能としてクローズアップされていましたので、そういう意味でこの沖縄公庫としての付加価値というのを高めるための努力がいろいろと必要ではないかと思っております。
現在、松田理事長、金井副理事長という極めて強力な体制の下で、そういうことを是非やっていただけるものと確信いたしております。以上です。
○塚越委員長 どうもありがとうございました。それでは、牧野副知事、お願いします。
○牧野副知事 今日は稲嶺知事の公務が輻湊しておりまして、代理で出席させていただきました。私から2、3申し上げます。
1つは、松田理事長を始め、新体制においても引き続きよろしくお願いいたします。
2つ目は、17年度の予算は既にスタートしておりますけれども、こういった厳しい折、予算を満額確保できて新たな事業がスタートしたということに対して、御礼を申し上げたいと思います。
3つ目は、17年度に改めて公庫独自の融資制度をつくっていただきました。1つ目は、沖縄離島振興貸付、いわゆる美ら島貸付と言われております。2つ目は、沖縄中小企業経営基盤強化貸付。3つ目は、沖縄特産品振興貸付における泡盛特例。そのような公庫独自の融資制度をつくっていただいたということは、まさに本県が目指しております民間主導型の自立型経済の構築に向けて、大きな力になると思いますので、よろしくお願いいたします。
特に沖縄の場合は、既存企業が新たな展開をどう図るかという、既存企業の限界からの新たな展開が必要とされているということと、それから、私ども県は今、企業誘致に一生懸命努めているということと、もう一つ、13年度から産官学の研究開発を進めておりまして、もうそろそろそういったものの事業化の芽が、いわゆる沖縄型の従来のものとは違ったようなものが出てくると思いますので、従来の発想にとらわれずに、引き続き公庫さん独自の融資制度をつくっていただきますよう、よろしくお願いいたします。
○塚越委員長 ありがとうございました。それでは、外間委員、お願いします。
○外間委員 「沖縄経済の現状と課題」という資料の「公共工事保証請負額の推移」についてお尋ねしたいのですが、平成10年度と平成16年度を比べると、40%ほど事業量が減っております。それから、倒産については、また逆の状態ということで、ある意味では落ち着きが出てきたのかなと。仕事の減った分に対する倒産件数が落ち着いてきたと言いますかね。
いずれにしましても、この平成10年度と比べて平成16年度は、40%ほどの公共工事の予算といいますか、金額が減ってきたというご説明がございましたけれども、特に沖縄県の場合は、公的資金への依存率が非常に高くて、公共事業建設業が非常に経済を左右したり、雇用効果を生んだりいたしまして、大きな役割を果たしてきておりますが、公共事業が10年度に比べて16年度も減っておりまして、これから先どういう形で推移していくのか、三位一体改革で地方財政が年々厳しくなっていくことを思うときに、建設産業に従事する企業がどこまで生き延びていけるのかという部分が、大変懸念されると思います。
特に倒産企業が増えていきますと、更に全国の2倍失業者が多くなって、雇用環境への配慮と言いますか、雇用の面から見て更に逆の流れをつくっていきました場合に、産業の混乱とか、あるいはまた失業者の増大について、県経済が大きなダメージを受ける。企業一つの倒産というのは、連鎖反応として他の企業にも影響すると言うんでしょうか。こういう悪循環が生まれかねないということがございます。
三位一体改革の中で、全国議長会の中でもこの点については、政府側に相当、あるところの議長さんから厳しい意見、注文があり、失業者の問題、倒産の問題等が心配される質問が何件かございましたが、これに対する確固たる対策、政府側の考え方が十分示されなかったということを、今、思い起こしながら、私はこの席についておりますが、沖縄県においてはこの点は今後はどうなるのか、あるいはまた心配はないのか、その辺りを少しご説明いただけたらありがたいと思います。
○塚越委員長 外間委員のご質問でございますが、今日は沖縄公庫の運営協議会ということで、どちらかというと金融関係のお話が中心となりますので、公共事業の予算等については責任を持ってお答えできる用意がないように思います。公共事業をできるだけ民間の方に移していこうという政府の大方針、基本があるわけだと思いますけれども、沖縄の場合にどうなるか、ということを今お答えできる状況にないと思いますので、これは、持ち帰ってお伝えするという形をとらせていただきたいと思います。
○外間委員 これは、沖縄振興審議会がありますね。その辺りの課題になりますか。こちらは、政策金融を担当するということでありますから。
○塚越委員長 そのように思います。それでは、仲井真さん、いかがでございましょうか。
○仲井真委員 特にまとまった考えはないんですが、1つはやはり沖縄公庫さんが、このままとは言いませんが、やはりあってほしいと。我々電力をやっていますと30数年大変お世話になりっぱなしで、2千何百億円も借入残があるので、金融面では何の心配もなく、この資金調達をやってこられた。全国の電力会社に比べて安いコストで調達できた、ここ何年か少し逆転したりしていますが、まだ大分よくて、ですから、そういう面では実は大変お世話になって、今、私どもの株価は5千円を超えているんですが、これは株式数が非常に少ないというのが一番の理由なんですけれども、一株当たりの純資産その他、ほかの電力に比べてまだまだもう少し余裕があって、もう少し経営さえしっかりすればもうちょっと行くかなというぐらいに実はあるんです。
そういうこともだんだん軌道に乗ってきたりしていますので、いろんな産発資金だとか中小企業資金、いろんな面で大変お世話になって、これが一々また東京までお願いに行くというのはなかなか大変で、地理的な距離は変わっていませんので、どういう形であれ、いろんな機能、いろんな当時の開発銀行から始まる、今、政策投資銀行という、そういう機能を持った政策金融機関の存在というものは非常に大きいし、今の沖縄振興特別措置法、それから沖縄振興計画、沖縄公庫さん、これまでは山中先生とかが、いろんな意味で我々会社の事業なり株価も支えているんですと申し上げたことがあったのでございますが、そういう面でも大変意味があるので、これからどういう方向に進むのか、是非今までの機能に近いものを残していただければというのが第一です。
あとは、非常に雑談的になるんですが、これは税なんですが、昔あった合併税制だとか、転廃業資金だとか、これも税制だとか、いろんなものがあったんですが、沖縄は逆にようやくそういう時代に入ってきたかなという予感がして、大型合併であるとかいろんな昔で言う転廃業、今の建設業も含めてだと思うんですが、当時は繊維とかがいっぱいあって、あの何十年か前に入りつつあるのではないかとなると、やはり一種の政策金融とか、勿論税制もあるかもしれません。そういうことが必要になってきた感じがします。
ですから、そういう意味で政府系の金融機関があるというのは非常に重要だと思います。
更に今の、那覇空港にもう一本滑走路をというのは、私も民間サイドの会長をやっているわけですが、常識で考えても、今の新石垣を始めるまでは飛行機の空港特会、なかなか余裕ができないだろう。更に羽田だ何だというのがかなり出てきていますから、そう簡単にいかないだろう。
それと、お客さんの需要予測で今ごちゃごちゃして、何年先になるかわけわからぬというふうに我々が受けてとめている。実際どうなっているのか。できれば辺野古がうまくいって、15年後には民間飛行場が返ってくれば1本の滑走路になるかなと思っていろんなことを考えている。自衛隊がどこかに少し移っていけば比較的余裕ができるだろうが。
いろんなことを考えているんですが、要は滑走路をもう一本早目にやろうと思ったら、中部国際空港でもやったように、いろんな種類のPFIとかいろんな形が、今、普通に行われていますから、逆にいろんな形で、今、政府にお金がなければ、我々がある種のリスクも負いながらやっておきましょう。丸ごと民間で負えるほどの事業性があるかどうかちょっとわからないが、要するに、その手のものがいろいろ出てくるだろうと思うんです。
ですが、これは沖縄の金融機関ではなかなか対応し切れないかもしれないので、またこれは東京に行って頼んでこないといかぬかなとか。要するにそういうものが待ち切れぬ、先が見えない。
したがって、我々の方でとりかかるかという話というのは、実はいろいろありまして、そういうときにはやはり政府系金融機関、しかも沖縄独自のものがあるというのは大変心強い話。まだ具体的に公庫さんとの関係のイメージが出ませんが。
それと先ほど日銀の支店長さんがおっしゃった一番最後のこういう事業再生のこういうファンドを今まさにやっていただきたい部分があって、これが沖縄の中の4行でできるかとなると、よくわかりません。
ですが、これは実際どんなファンドなのか、私もよく知らないんですが、こういうことであるとか、更にもう一つ、私どもは沖縄電力といっても東京電力の50分の1、九州電力の20分の1ぐらいの会社で、実は吹けば飛ぶような会社でして、全国の電力需要の0.7%しか占めていません。実は1%以下の会社でして、沖縄の経済自立という中に気持ちの上で沖縄中心の企業のイメージがあるとすれば、横に連携を取るしかなかろうと、場合によったら、5社、10社、いろんな分野が一緒になって、持株会社でもつくって何かあったときに助け合う、何かあったときに人材の供給をする。今、新しい事業を立ち上げるのは、非常に簡単なんですが、社長がいないんです。そういうのが実感でして、そういう連携を取ればお互いにとりあえず能力がよくわかる人物をお互いに提供しあえるとか、いろんな手段があるものですから、沖縄にこだわり続けるとすれば、いよいよエネルギーだけではなくて、金融機関も含め、建設会社も含め、いろんな分野で、ビールもそうですね。要するに、そうなっていくと思うんです。
沖縄電力も、今、売上げ、需要はお陰様で伸びるんですけれども、料金をずっと下げないといかぬものですから、掛け算すると千数百億からもう大きくならぬというふうに、我々実は見通しを持っておりまして、それやこれや考えると、横の連携がどうしても要るという感じがして、そういう政策金融的なものが必要になるかどうか、実はよくわかりませんが、少し大ぐくりのものが、これからいろいろ出てくるという感じがしますから、そういう幾つか考えて是非こういう沖縄公庫さんのような性格、新しくお化粧替えとか衣替えがあっても必要ではないかという感じがいたします。これはもう雑感です。
○塚越委員長 どうもありがとうございました。それでは、安里委員、お願いします。
○安里委員 沖縄県の銀行協会の会長として参加させてもらっています。松田理事長、金井副理事長の誕生につきましては、県民の1人として非常に心強く思っております。是非頑張っていただきたいと思っています。
公庫さんは県内経済の盛り上げに大きく貢献されていると思っております。
昨今、観光の盛り上がりだとか、県経済、元気じるしだと言われております。特に地元の金融機関としまして、ベンチャー企業だとか、新規創出企業、そういう企業の立ち上げに、是非公庫さんとタイアップしながらやらせていただきたいと思っております。
先ほど、日銀の大澤支店長からいろいろ報告がありました。県内金融機関が、かつて他県に比べまして不良債権問題を大きく抱え、14年3月期、3.6 %ポイントも不良債権率が高かったと。この17年3月期には、0.9%まで縮まっているというご報告がありました。県内の金融機関も、不良債権問題という大きな問題を抱えてきましたけれども、着々と改善に至っていると思っております。
中でも観光産業の盛り上がり、これが大きく貢献しているのではないかと思っております。具体的に申し上げますと、例えば、ゴルフ場の整理、民事再生処理に伴ったゴルフ場の処理ですけれども、まだまだ県外では5億~10億程度の金額での処理と聞いております。県内では、先だっては北部ですけれども、30数億という処理額も出ております。また、昨今あるゴルフ場の民事再生が申し立てられているんですけれども、50億前後の数字で動いているという情報も聞いております。そういうものも、やはり観光が盛り上がっているのが一番大きな理由になっているんではないかと思っております。
是非、公庫さんがリードしていただいて、県内の観光産業を始め、いろいろ企業の盛り上げをお願いしたいと思います。
それとあと一点ですけれども、先ほどご報告がありました、フラット35、みずほ銀行さんだけ県内取り扱いとなっているようですけれども、是非県内の銀行全体に対しまして、1つの品ぞろえと言いますか、ある意味では取扱いができるような体制の構築をお願いしたいと思っております。以上です。
○塚越委員長 どうもありがとうございました。次に、嘉陽田委員、お願いします。
○嘉陽田委員 まず最初に、日ごろ私ども親しくご指導いただいておりました、松田副理事長がこのたび新理事長になりまして、誠におめでとうございます。
また、私どもといたしましても、大変期待しておりますので、ひとつ今後ともご指導いただければ、大変ありがたいと思っております。
せっかくの機会でございますので、私の方から1点だけお願いと申しましょうか、少しだけお話をさせていただきたいと思います。
たしか、冒頭、東振興局長のお話の中にもありましたように、今後民間金融機関の金融強化プログラムの推進と併せて連携を図っていきたいというような趣旨があったかと思います。
私ども信用金庫といたしましても、これまでの中小企業の再生支援につきましては、力を入れてきましたけれども、今後ともそういった意味では地域の活性化のためにも、中小企業に元気になってもらうという意味からも、支援活動は続けていきたい、いかなければいかぬと思っております。
その中で、これまで進めた中で、ネックとはいかなくても、やや問題になるのが経営改善計画を立てた場合に、この公庫と協調融資先につきまして条件変更、例えば、支払い期間の問題だとか、あるいは金利低減の問題だとか、そういったことでせっかく融資先と経営改善計画を進めたにしても、公庫の内規、規定とそぐわない面が出た場合に、この改善計画を再度見直ししなければいかぬというような、それがうまくいけばいいんですけれども、何しろ私どもの取引先は、結構中小・零細の小さい先が多いので、なかなかそういった意味ではうまくスムーズに公庫との連携が取れないということもありますので、その辺もう少し柔軟に対応できないかどうか。今日の実績の中では、うまくやってきたケースもありますけれども、公庫の規定の問題となかなかうまく調整できないというケースもございましたので、若干事務的な感じもしますけれども、その辺を今後ご検討いただければというふうにお願いをさせていただきたいと思います。以上です。
○塚越委員長 ありがとうございました。
それでは、いろいろなご要望ありますが、本日はご要望を伺うということで、次の方にお話を伺いたいと思います。大城委員、お願いします。
○大城委員 まず、新理事長、副理事長につきましては、もう先ほどからの歓迎の言葉でありますから、同感でありますので、そこは省略させていただきたいと思います。
公庫の必要性、これまで私どもが活用させていただいているものについては、今後も是非必要だというふうに感じております。
特に、毎年50億という予算を組んでいただきながらも、農林水産業につきましては、性格上大変足が遅いものですから、執行率は必ずしも高くない。強いて言えば低い状態ではありますが、17年度も含めまして、またこのように満額の50億をしっかり組んでいただいているという意味では、その姿勢は大変評価したいと思っております。
そういう意味では、先ほどから沖縄観光立県というふうに言われておりますが、農家、第1次産業にとりましては、低利で長期的な資金はどうしても必要であります。民間金融機関を補完していただくという意味で、政策的なものを含めたものになりますと、特に弱者である第1次産業に対応するには、通常の金利では厳しい場合もございますので、補完的資金は今後も必要でありますので、継続できるようにお願いしたい。
つきましては、特に観光立県の中で下支えをしているのが、農業であると一応自負はいたしておりまして、それだけ500万余の観光人口が、毎年右肩上がりであるのは、1つには食材と言う魅力ある食べ物も必要だと思いますし、自然景観等農業の多面的機能という立場から、私が申し上げるまでもないわけでありますが、美しい自然の中で地域を守り、産業を守る意味では、農業も大変大事だというふうに考えておりますので、是非足の遅い農業でありますが、しっかりとこれが持ちこたえられるような、補完的機能を今後もやっていただきたい。
その場合には、今の借入れ手続がもっと簡素化できないかという声もございますので、私どもも努力はしてまいりますが、よろしくお願いを申し上げたいということで、挨拶に代えたいと思います。ありがとうございました。
○塚越委員長 それでは、西銘委員お願いします。
○西銘委員 松田理事長を始めとする新体制のスタート、おめでとうございます。公庫の役割は、ますますこれから重要だと思いますので、一層のご尽力をお願いしたいと思います。
私は、水産を代表するわけなんですが、沖縄の水産と言えば、やはり10年前ぐらいに生産金額が230億円から、もう今は200億円を割っているという状況がございます。遠洋や近海が衰退して、そして沿岸に比重がどんどん置かれつつあります。
ところが、その沿岸も漁場の荒廃、漁場環境の変化といいましょうか。だんだん厳しくなっている。その生産条件が厳しくなっているというのが現状でありまして、これから先、水産基本法でいっている食料産業としての位置づけなどを本当にしっかりとその役割を担っていくには厳しい状況がございますけれども、復帰後、漁船の建造とか、あるいは水産関連施設の整備等において公庫の役割というのは非常に大きいものがありましたし、今なお、公庫の支援の下に基盤の整備あるいは施設の整備をやっているところでありますので、是非公庫の役割をまだまだ発揮できるように、ひとつ、していただきたいということをお願い申し上げます。
水産の施設なんですが、これは特に漁船建造でいいますと、西は与那国からずっと北は伊平屋島までありまして、離島の皆さんが資金を利用する場合に、大城委員からも少し問題提起があったような感じがいたしますけれども、担保の問題や手続の問題、特に担保は極端に言えば、与那国島を売っても担保が足りないというような、この島の価値がそれだけしかないということを、この前与那国に行きまして、尾辻町長ともお話をしたんですが、そういうふうにこの問題は非常に大きな問題があります。地域格差もあると思います。あとは手続の問題等も何とかもっと円滑な改善ができればと思います。関連施設の整備において、今後非常に期待される部分は大きいと思います。
例えば、モズクと言えば、フコイダンという成分ががんの効用とかで、非常に注目されておりまして、全国的にもフコイダンを抽出する工場があちこちに最近できております。
これは、本来であれば、沖縄でそういう工場を建設して、現地で対応すべきなんですが、なかなか沖縄にはプラントのノウハウも含めて、まだまだ技術的な面、あるいは資金面が準備できないという部分もありまして、連合会としても今後フコイダン抽出のプラントの建設とか、そういうものをどういうふうにするか、いろいろ関係者と話し合いをしているんですが、現地で付加価値を付けるということが、なかなかできていないというのが現状でありますので、そういう部分においても、我々も金融は独自のものを持ってはいるんですが、とても対応できない。公庫に頼らざるを得ないということが当然出てくると思いますので、そういう面で公庫の役割発揮ということで、是非ますますその機能が充実強化されることをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。以上です。
○吉山委員 中小企業団体の吉山でございます。
1点だけちょっとお聞きしたいんですけれども、国や金融機関等のセーフティーネット政策は割と浸透して、貸し渋りとか、貸しはがしというのは、最近余り聞こえなくなってきましたが、資金需要にしたがって担保不足が非常に問題提起されて、5月31日に全国の中小企業団体の総会がありまして、そこでもちょっと議論になったんですけれども、その中で、例えば売掛金を担保にということはもう既に実行されているようですけれども、いろいろ債権者と債務者の間に問題があるようで、なかなか思うように進捗しないということがあります。
そこで、それを是正するために売掛金の証券化ということを前から言われておりますし、私もそれを是非進めてほしいということで至るところでお願いをしているんですけれども、その証券化について、法的な整備の進捗状況を教えていただければと思います。
○木幡総務部長 ご説明申し上げます。証券化については、今、公庫で携われる部分というのは、先ほど申し上げた住宅資金の関係と、中小資金の関係で、住宅公庫、それから中小公庫の証券化の仲立ちをするという部分が法的には可能でございまして、公庫独自の証券化はまだ法律的にはできません。
ただ一方で、企業が証券化、私募債などを発行する場合の保証は我々は可能ですので、それはまだ実は実績もないのですが、そういった面での証券化を推し進めると。公庫が保証することによって、一定の信用力を与えて、それで金利を低くして証券を出していただくといったことはあろうかと思いますが、本土公庫でもいろいろな形で独自に、買い取りとかをやらなくても証券化に携わる例がありますので、私どももそういった金融手法の革新という観点から、取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○吉山委員 これは法的な裏づけとして、いわゆる法整備の進捗状況はわかりますか。
○木幡総務部長 現時点では、そこまでは進んでおりません。
○東沖縄振興局長 ちょっとよろしいですか、私は100 %わかっているわけではないんですけれども、貸付債権の証券化については、これは法案を準備して、昨年の臨時国会か、通常国会で審議されていると思います。中小公庫の方ですよ、本土公庫の方です。そして住宅公庫と同じような格好で、いわゆる沖縄公庫が間に入ってやっていただくという格好での整理になったんだと思います。
○吉山委員 売掛金の証券化についても、沖縄公庫ができれば、全体的に中小企業みんなの売掛金の証券化も進むのではないですかね。
○東沖縄振興局長 沖縄県内の中小企業だけで証券化をしますと、非常にコストだとか、問題があって、全国の中で整理をすると、いわゆる調達コストが安くなる、金利も安くなる、売りやすくなるということになりますので、その辺は全国の中に入れ込んだ形で、その間の仲介を公庫が取っていただくというのがいいんではないかと思います。
いわゆる証券化というのは、一般の投資家が買わなければいけませんので、買うためには非常に優良な債権じゃないとなかなか買いません。優良な債権にするためには、ある地域、それだけになってしまいますと、それは買わないんです。ですから全国に広げてなるべく証券の価値を高めた上でやると。そういうことで、貸付債権の証券化については整理をしていたと思います。
○吉山委員 売掛金担保というのが完全に実行されるためには、やはり証券化しないと、あなた方は売掛金まで担保にするのかというような債務者からの声があって、なかなかやりにくい。それで証券化ということが出ているとお聞きしているんですが。
○東沖縄振興局長 ちょうど私が中小企業庁の審議官で出向していたときに、売掛債権担保をずっとやっていたんです。それで、今お話のうまく信用関係とか、それから銀行側から言えば、そういうもの全部を含めて貸しているんだと。それだけ持っていかれたらとてもできないとか、そういう議論があってなかなかうまくいかなかったことがありまして、琉球銀行だとかそういうところにも全部説明に行きましたし、それから全国的に行脚しました。なかなかうまくいかなったという部分もあります。それを証券化すればうまくいくだろうという形で整理をして、もう一歩進めているということだと思います。
○吉山委員 それと、今、公庫さんが特許権を担保にしていますね。
○東沖縄振興局長 はい。それは公庫ばかりではなくて、ほかもやっていますけれども、いわゆる知的財産権という形で担保になるか、ならないかという議論があって、それは担保にできますよと。ですから、いわゆる物的な担保、財産だとか、そういうのがなくてもやっていきましょうと。こういうことです。
○吉山委員 わかりました。どうもありがとうございます。
○稲冨委員 公庫さんのお陰で復帰後、医療機関の整備はどんどん進みまして、現在はほぼ本土並みになっていると思いますけれども、地域医療計画というのがございまして、ベッド数に規制があり、沖縄県は既にベッドの規制の数をオーバーしておりますので、新規の病院をつくることができないわけです。今、つくっている病院というのは建替えの病院で、ベッド数も同じ数しかできないわけで、これも大体復帰後につくった病院はほぼ建替えが終わったんじゃないかと思いますので、新たな病院は難しいと思いますから、今後は診療所がどんどんできると思いますので、そちらの方をよろしくお願いしたいと思います。
それから、2~3年前にお願いして断わられましたけれども、公庫さんは金利がとても安いんです。ところが、固定金利なんです。そうすると、現在は非常に低金利時代になっておりまして、固定金利で十何年借りている病院が非常に高金利になっているということで、これは移動金利みたいなことはできないものか、何回も聞いてこいと言われておりまして、要望でございますが、一応そういうことでございます。
○呉屋委員 質問ではありません。希望を申し上げます。
資料に平成16年度の事業実績の一覧表が出ておりますけれども、これも件数を加えていただくんであれば、公庫さんの果たした役割の背景がより深く理解できるんではないかと思いますので、次からはひとつ差し支えなかったらお願い申し上げます。以上です。
○野崎委員 沖縄国際大学の野崎です。松田理事長、金井副理事長、今回は本当におめでとうございます。今回は理事長と副理事長が在任地をクロスする新機軸だと思っております。事業者の声をよく聞いて、それからマーケットや、地方の声をよく聞く新たな体制に変わったのだろうと思っております。ひとつよろしく沖縄の声を汲み取り、あるいは政策金融機関としての役割等についてもお伝えいただければと思っております。
戦後60年経ち沖縄が復帰して30数年が過ぎており、経済社会の変化、とりわけ経済の潮の移り目に来ているという印象を強く受けております。これは全国的にも沖縄でもそうだろうと認識しております。
例えば、公共投資は大幅に低下しているが、今後も確実に縮小する可能性が高い。加えて都道府県別に見ると、沖縄の財政依存度は全国でも最も高く物的生産力や域内の自給率等が際立って低い、移輸入のバランスも悪い。
このように厳しい局面は変わりませんが、それ以外に新しい芽が多く出てきているという印象を受けております。例えば、スポーツや音楽、映像等では新たな文化を全国中にあるいは世界中に新たな息吹を吹き込む若者がどんどん輩出している。それから、沖縄の食文化を全国に展開する企業、あるいは医薬品を開発する企業も出てきたということです。さらに、県内の各大学に大学院ができた。教育は経済社会の礎となりますが、そういう基盤ができてきたということです。更に、全国では、人口が伸びずに2007年をピークに下がってきますが、しかしながら、沖縄は、まだまだマーケットの基になる人口は増えており、その中身が少しこれまでとは違う。勿論、少子高齢化という傾向に変わりはありませんが、本土からの移住者が増えたということがあります。こういうことをだれが想定したかということです。沖縄の歴史で、このような傾向が生じたのは初めてだということです。
これまでは労働力が増える、労働力が増えると失業率が増えるという、まさに人口圧力で政策対応が厳しかった。しかし、今後は人口圧力は確実に低下していくわけなんですが、それを補完するような形で女性が労働市場に参加することになります。沖縄が変わっていくのではないかという予感をしております。
このような予感があるときに、経済社会が変わりつつあるところで税制、財政、金融による沖縄振興策がもう一押し欲しいというのが私の正直な印象です。
しかしながら、税制、財政による新たな制度の支援措置は難しい状況にある。それで、金融措置に頼るのがベストであり、恐らくそれしかないだろうと理解しております。そういう観点から考えると、公庫の役割は非常に重たい。
公庫に望みたいのは3点ありますが、まず、県内の金融機関と協調しながら地域金融のプロとして、沖縄の振興について協力しつつ、地域を主導してほしいというものが1点です。
それから2点目といたしましては、沖縄は中小企業、零細企業が多いですから、これまでもおやりになったように、コンサルティング・ファイナンスや経営支援業務を充実させてほしいと思っております。
それから、マーケットが変わってきております。県内だけのマーケット、それから全国のマーケット、それからベンチャー企業の登場、さまざまなものがございます。それに対応した金融新商品の開発、提供を是非やってほしいとうのが3点目です。具体的には私は不覚にも、知的財産権を担保にした融資を公庫で実施していることを知らなかったのですが、実はそれも充実して欲しい事業です。それから、大学発ベンチャー向けの融資につきましても、産官学の協力体制で掘り起こして是非企業化、商品化につながるような融資をやってほしい。それから、NPO法人に向けた融資も、今後の新たな展開になりますので、独自の融資制度、政策融資を検討していただきたい。更には、社会投資ファンドの創設に向けて、すなわちより社会性が高いところにも諸般の事情を勘案しながら融資を進めるご努力していただければと思っております。以上です。
○塚越委員長 どうもありがとうございます。次に、大澤委員にご意見をお願いしたいと思います。
○大澤委員 先ほどもお話ししたので、一言だけ申し上げます。先ほど金融のところでご説明したように、金融の世界も「非常時モード」から「平常時モード」といいますか、これからは競争の中でどういうよいサービスを提供していくかと、そういう時代に変わりつつあります。
その中で、公庫さんとしてどういう取組みをされていくのかがますます重要になってくるだろうと思います。
ですから、セーフティーネット等民間ができない部分をどうやって補完するかというこれまでの視点から、より民間のニーズに、どうやって公庫として関わっていくかというのが非常に重要な視点になると思います。
その意味では、事業再生、先ほども申し上げましたけれども、公庫さんでいろいろ取り組んでくださっていることは非常にいいことで、その辺で有吉さんもおっしゃったようないろんな知恵が公庫側からも出てくるということになれば、これは地元経済にとって非常にいいことだと思われます。
一方で、先ほどご説明があったような証券化についても、多分私はこの席で2年ぐらい前に、ちょうどまだ就任して間もないころに、それをちょっと質問させていただきましたが、取組みのスピード感という点では少し遅いと感じております。住宅金融公庫の方は、既に既存債権、既に実行している融資の証券化が今度法制化されて、それに取り組むという形になっています。そういう意味では公庫さんは、残念ながら1年、2年遅れという感じは否めないと思われます。中小企業向けのいろんな新しい市場型間接金融と言われるものについての政府系金融機関の関わりという点でも、やはり沖縄の場合には取組みがまだ遅れていると思います。
もう一点申し上げると、起業家向けの出資、ベンチャー向けの出資について、これも沖縄の特殊性ということで導入されたものがあります。それなりに意義はあると思われますが、一部の利用者の方からみると、エグジット・ポリシーというのがはっきりしない。すなわち、最近は小さな企業であっても、それこそ売上が10億円ぐらいの企業であっても、どんどん上場を目指している企業が多いわけですので、そういう意味では、もし仮に従来の制度に、新しい金融とか、経済環境が変化している中で見直すべき点があれば、それをシェイプアップしていく、もう少し洗練されたものにしていく努力は非常に重要になっていくと思います。こうした点に力を入れていただければ、沖縄経済に対する公庫さんの貢献が非常に大きくなるのではないかと感じております。以上です。
○塚越委員長 どうもありがとうございました。ただ今皆様方から大変貴重なご意見をいただきましたが、本日は松田新理事長、金井副理事長の就任直後でございますので、特にお答えいただくということを避けて、ご要望を伺って進行してまいるということで、ご理解を頂戴したわけでございます。皆様からのご意見、ご要望を、公庫において十分咀嚼して考えていただきたいと思います。特に何人かの方がおっしゃいましたけれども、沖縄の場合にはやはり開業率が高いのですけれども、やめていく企業も大変多い。これはある意味では大変大きな損失です。それに対しては、知的な支援も含めた対応をしてほしい。また沖縄公庫の場合には、大澤さんからエグジットを考えることも必要ではないかと言われましたように、いつまでも同じようなスタンスでなくて、常に前向きに見直す姿勢が必要ではないかと思っております。新事業創出促進出資などは、いろいろなお話を伺うと、知的な支援も十分されていて、そういうことを高く評価するわけでございますけれども、一つのパターンに安住するのではなく新しい手法を常に考えるという姿勢を持っていただきたいと思います。私からは以上です。
皆様、ありがとうございました。ただいま委員の皆様方からいただきました貴重なご意見、ご要望は、内閣府及び沖縄公庫双方において、今後の業務運営や予算要求の参考にしていただきたいと思います。
8 閉会
○塚越委員長 以上で本日の議事も滞りなく終了いたしました。お時間も参りましたので、本日の会議はこれで終わりたいと思います。なお、本日の議題に対するご意見は、沖縄公庫の今後の業務運営に反映させていただきますので、委員の皆様方におかれましては、今後とも引き続きご支援、ご協力をいただきますようよろしくお願いいたします。次回の会議は10月頃に東京で開催いたしたいと考えております。いずれ事前にご通知申し上げますので、よろしくお願いいたします。
本日は、ご多忙の中をご出席いただきまして誠にありがとうございました。