第32回 沖縄振興開発金融公庫運営協議会(沖縄開催)

平成18年6月15日(木)15:00~16:30
沖縄振興開発金融公庫本店役員会議室

1 開会
2 新委員紹介及び委員の出欠状況
3 武田内閣府審議官挨拶
4 松田沖縄振興開発金融公庫理事長挨拶
5 報告事項 政策金融改革について
6 議題 沖縄公庫の活動状況について
7 質疑応答
8 沖縄経済の現状と課題
9 閉会

1 開会

○塚越委員長
 それでは時間もまいりましたので、ただいまから第32回沖縄振興開発金融公庫運営協議会の現地懇談会を開催いたします。
 本日は、御多忙の中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。

2 新委員紹介及び委員の出欠状況

○塚越委員長
 まず、委員の交代について御報告をいたします。
 沖縄県銀行協会会長の交代に伴いまして、大城勇夫さんが新たに委員に御就任なさいました。

○大城委員
 大城でございます。

○塚越委員長
 また、沖縄県中小企業団体中央会会長の交代に伴いまして、屋田直勝さんが新たに委員に御就任なさいました。

○屋田委員
 よろしくお願いします。

○塚越委員長
 また、沖縄県医師会会長の交代に伴いまして、宮城信雄さんが新たに委員に御就任されました。

○宮城委員
 宮城です。よろしくお願いします。

○塚越委員長
 それでは、次に委員の出欠状況について御報告を申し上げます。
 稲嶺委員におかれましては、牧野浩隆・沖縄県副知事が代理出席されておられます。
 また、杉本委員におかれましては初岡道大・沖縄総合事務局財務部長が代理出席されておられます。
 沖縄県農業協同組合中央会会長の大城委員、コザ信用金庫理事長の山口委員は、御都合により欠席ということになっております。

3 武田内閣府審議官挨拶

○塚越委員長
 それでは引き続きまして、本協議会の委員でもありますが、内閣府沖縄担当部局の事務方の責任者をやっておられる武田内閣府審議官にごあいさつをお願いしたいと思います。

○武田内閣府審議官
 御紹介いただきました内閣府審議官の武田でございます。日頃、内閣府及び沖縄振興開発金融公庫に多大な御支援あるいは御指導を賜っておりますことを、この場を借りまして厚く御礼申し上げたいと思います。
 本日は、ご多忙のところ、沖縄振興開発金融公庫運営協議会(現地懇談会)にご出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 今、御紹介にありましたように、私はちょっと微妙な立場にございまして、この運営協議会の委員の委嘱をされているわけでございますけれども、同時に内閣府の沖縄担当部局の事務方の責任者ということでございますので、ちょっと時間を頂戴して最近の沖縄政策をめぐる動きに触れながら一言述べさせていただきたいと思います。
 内閣府におきましては、沖縄の振興について沖縄振興計画に基づきまして、沖縄の自立型経済の構築に向けまして社会資本整備に加え、観光あるいは情報通信、農林水産業等の各種産業の一層の振興、またはそれを支えます人材の育成あるいは科学技術の振興といった諸施策の推進を図っているところでございます。
 沖縄科学技術大学院大学でございますけれども、これは昨年9月に独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構が設立されておりまして、着実に構想は進展しているところでございます。
 また、離島の活性化にも力を入れておりまして、沖縄県などと連携しながらそれぞれの離島の魅力が最大限活かされるように、地元の方々の具体的なアイディアや取組みに対して支援を行っておるところでございます。
 沖縄の基幹産業でございます観光につきましては、皆様方御案内のとおり、昨年度の入域観光客数が550万人ということで、観光客数の伸びは好調に推移をいたしております。今後は環境の保全に努めながら歴史文化あるいは自然以外の沖縄の魅力も取り入れるなど、より付加価値の高い観光を目指すということが大事になってこようかと思います。
 また、5月30日には在日米軍の兵力構成見直し等に関する閣議決定が行われまして、今後跡地対策あるいは雇用対策などの検討が進められるということになっているわけでございます。
 こういったように、沖縄を取り巻きます経済社会情勢というのは刻々と変化をしてきておりまして幾つかの課題を抱えているわけでございますが、本年は沖縄振興計画が平成14年に決定をされまして以来5年目ということで、ちょうど10年計画の中間年度ということで節目の年に当たります。現在、18年度末を目途に沖縄振興審議会におきまして計画前半の総括を行う。それとともに、計画後半の施策展開の方向性について議論を行っているところでございます。
 引き続き自立型経済の構築に向けました沖縄の一層の振興を図っていくためには、政府の沖縄振興策と一体となって、それを金融面から支えていただく沖縄公庫の役割というのは従来にも増して重要であると考えております。
 沖縄公庫につきましては、現行の沖縄振興計画が終了する平成23年度までは存続し、その後、新政策金融機関に統合するということにされております。
 政府といたしましても、沖縄振興に果たす公庫の役割に支障がないように万全を期してまいりたいと考えております。皆様方の御支援をよろしくお願い申し上げます。

○塚越委員長
 どうもありがとうございました。

4 松田沖縄振興開発金融公庫理事長挨拶

○塚越委員長
 続きまして、沖縄公庫の松田理事長にごあいさつをお願いします。

○松田理事長
 理事長の松田でございます。一言ごあいさつを申し上げます。
 委員の皆様方には沖縄公庫の運営に関しまして日頃から御指導、御鞭撻をいただきまして厚くお礼を申し上げます。私、公庫の理事長を拝命いたしましてから早1年が経過しておりますけれども、地元沖縄に在任しておりますことから、より一層地域密着を心掛け、これまで以上に的確な政策金融を実行するよう努めているところでございます。
 17年度の沖縄公庫の出融資実績でございますけれども、1,016億円と前年と比べますと約126億円、11%相当の減少となっております。しかし、内容を見てみますと、離島の実情に合致するように制度をリニューアルいたしました、ちゅら島貸付、つまり沖縄離島振興貸付でございます。あるいは、担保・保証人に過度に依存しない貸付けにつきましては、前年度に比べますと大幅に増加いたしております。
 また、新事業やベンチャー事業向けの沖縄創業者等支援貸付、セーフティネット貸付など、民間金融機関との役割分担を踏まえまして、県民ニーズに適切に対応するよう努めてまいっております。
 18年度におきましては、融資第二部に創業支援班を設置いたしまして、更に新規企業や新規事業に対し、積極的な支援をしていくことといたしております。
 ところで、武田内閣府審議官からもお話がございましたけれども、昨年末の政策金融改革におきまして、国、県及び経済団体等の温かい御支援をいただき、私ども沖縄公庫は当面、公庫のまま存続されることとなりました。沖縄公庫といたしましては、なお一層、国、県及び経済団体等との連携を密にいたしまして、沖縄の特殊事情を十分に反映させた業務執行に努めてまいりたい。そして、沖縄の自立型経済の構築に向けて沖縄振興策を金融面から支えるという大変重要な役割を果たしていきたいと決意を新たにしているところでございます。
 どうか皆様方には今後とも一層の御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。本日は大変ありがとうございます。

○塚越委員長
 どうもありがとうございました。

5 報告事項 政策金融改革について

○塚越委員長
 それでは、議事に入ります。本日はお手元の資料、「第32回沖縄振興開発金融公庫運営協議会現地懇談会議事次第」にありますように、まず報告事項として「政策金融改革について」の説明をしていただきます。続いて、議題として「沖縄公庫の活動状況について」を御議論いただきまして、最後に恒例となっております「沖縄経済の現状と課題」について、日本銀行那覇支店長の大澤委員から御説明をいただくことにしております。
 それでは、まず、内閣府沖縄振興局長の藤岡局長に御発言をお願いいたします。

○藤岡沖縄振興局長
 内閣府沖縄振興局長の藤岡でございます。
 本日は、御多用のところを沖縄振興開発金融公庫運営協議会に御出席を賜りまして誠にありがとうございます。また、日頃より内閣府及び沖縄振興開発金融公庫に多大な御支援及び御指導を賜っておりますことに対しまして、この場をお借りいたしまして厚く御礼申し上げたいと思います。
 政策金融改革でございますが、去る5月26日にいわゆる行政改革推進法が成立いたしました。これによりまして、平成20年度において政策金融を一体的に担う新政策金融機関が設立されるとともに、日本政策投資銀行及び商工組合中央金庫は民営化、また公営企業金融公庫につきましては廃止されまして、現行の政策金融機関の業務については所要の見直しが行われた上で新政策金融機関に承継されることとなりました。
 沖縄振興開発金融公庫でございますが、政府の沖縄振興策と一体となって金融面から支える役割を担っているということでございまして、先程松田理事長からも御案内がございましたように、新政策金融機関への統合時期につきましては現行の沖縄振興計画が終了した後とされております。
 公庫の業務でございますが、本土公庫等と同様な業務は平成20年度に本土に準じた見直しを行うということでございます。しかしながら、沖縄新事業創出出資や、ちゅら島貸付など、沖縄公庫の独自制度や沖縄の特利制度につきましては、引き続き存続することとなってございます。
 現在、平成20年度の新体制に向けまして、新政策金融機関の詳細な制度設計の作業を進めておりまして、内閣府といたしましては沖縄振興に支障のないように配慮してまいりたいと考えてございます。
 現在、我が国経済は活力がよみがえりつつあるということでございまして、沖縄の当地でも実感できるようになってきているというふうに認識いたしております。また、沖縄科学技術大学院大学、あるいは基地の跡地対策などの大きなプロジェクト等が予定されてもいますし、また事業再生・再編でありますとか、その活発化や企業価値、あるいはキャッシュフローを意識した経営など、金融を取り巻く環境というのは非常に大きく変化しつつございます。こういう新しい時代におきまして、自立型の活力ある沖縄振興に向けまして、沖縄公庫の役割というものは益々大きなものがあると考えてございます。
 以上のような考え方の下で、本日、委員の皆様方からいただきます御意見につきましては、今後の沖縄公庫の果たすべき役割の検討あるいは沖縄の振興に向けまして十分生かしてまいりたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

○塚越委員長
 どうもありがとうございました。次に、内閣府の山田参事官から政策金融改革について御報告をしていただきます。

○山田参事官
 山田でございます。よろしくお願い申し上げます。
 今、お話がありましたけれども、今国会でいわゆる行政改革推進法が成立をいたしまして、6月2日にこれが公布をされております。お手元に、「第32回沖縄振興開発金融公庫運営協議会配布資料 政策金融改革について」がありますので、これをご覧いただきたいと思います。
 4ページをお開きいただきますと、これが公布したときの官報でございまして、全体をご覧いただこうかと思ってこの資料を付けてございます。いわゆる行政改革推進法、正式名称は「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」ということでございまして、昨年の12月24日に行政改革の重要方針が閣議決定をされておりますが、それをできる限り忠実に、法律的な文言に落として作ったものがこの法律でございます。
 この一番上の目次をご覧いただきますと3章からできておりますが、第2章の第1節のところに政策金融改革というものがございます。条文としては第4条から第14条、あとは特別会計等々が規定されております。第4条をご覧いただくと、これが「趣旨及び基本方針」でございまして、平成20年度において現行政策金融機関、8機関でございますが、この組織及び機能を再編成して新しい政策金融機関をつくるということが法律上明記をされております。ただし、沖縄公庫については第11条で別に規定されております。
 第5条をご覧いただきますと、ここに20年度にできる新しい新政策金融機関の組織と業務の在り方が書いてございます。
 第6条には「商工組合中央金庫及び日本政策投資銀行は、完全民営化するものとし」ということで、完全民営化ということがここに謳われております。
 また第7条では、「公営企業金融公庫は、平成20年度において、廃止する」こととされております。
 第8条以下は統合される政策金融機関について書いてございます。第8条をご覧いただきますと「国民生活金融公庫の在り方」ということで、「国民生活金融公庫は、平成20年度において、新政策金融機関に統合するものとする」。業務は新政策金融機関に承継することになります。
 同じように第9条で農林漁業金融公庫、第10条で中小企業金融公庫について規定されております。
 それから、第12条をご覧いただきますと、「国際協力銀行の在り方」ということでございまして、「国際協力銀行は、平成20年度において、新政策金融機関に統合するものとする」。国際協力銀行業務の2つのうち1つでございますが、統合ということが明確になっております。
 沖縄公庫につきましては、平成17年12月24日の閣議決定で「現行「沖縄振興計画」の最終年次である平成23年度までは公庫として残す。それ以降は、沖縄振興策と一体となって、自己完結的機能を残しつつ、統合する」。閣議決定の1の(3)の[3]のところでございますが、こういう方向性が決まっている。それから業務につきましては、沖縄公庫が行っている業務は本土公庫等と同じ業務と、それから沖縄独自制度の2種類がございます。本土公庫等と同じ業務については、20年度において本土公庫等が統合するときに業務の見直しを行いますので、それと同じ見直しを行うこととなります。
 しかしながら独自制度、それから本土より0.3%沖縄は金利を低くしてございます、いわゆる沖縄特利制度でございますが、この2つにつきましては1の(2)のクの[2]というところに書いてございますが、「沖縄独自制度、特利制度は、歴史的・地理的特殊性等にかんがみ、残す」ということで、引き続き残ることになっております。これを法律的に書いたものが第11条というふうにお考えいただければいいかと思います。
 第11条はいろいろ細かく法律用語で書いてございますが、ポイントだけ申し上げますと、沖縄振興計画10箇年の期間が経過した後において新政策金融機関に統合するものとすると。「経過した後」という表現にしておりますが、先程申しました沖縄振興計画終了以降ということになります。
 第2項でございますが、統合時点においては、沖縄振興開発金融公庫の業務は新政策金融機関に承継をされます。「ただし」と書いてありますが、政策金融機関は平成20年度において再編をいたしますので、先程申しましたように本土公庫との平仄をとって沖縄公庫も業務を見直すことになります。それがただし書きでございますが、「ただし、平成20年度において、沖縄の置かれた特殊な諸事情にかんがみ特に存続させる必要があるものを除き、日本政策投資銀行の業務に相当する業務は廃止し」、各公庫が見直しをするものは同様の扱いとします。
 例えば、国民公庫であれば第8条第2項にただし書きがございまして、教育資金の貸付けについては貸付けの対象の範囲を縮小するとか、第10条ただし書きは中小公庫の規定でございますが、一般貸付、いわゆる中小企業者一般を対象とするもの、沖縄公庫では基本資金に該当いたしますが、これについては廃止をする。20年度においてこのような措置をとることになります。
 「沖縄の置かれた特殊な諸事情にかんがみ特に存続させる必要があるもの」、これが先程申し上げました沖縄独自制度と沖縄の特利制度ということになっていまして、国会においても衆議院、参議院とも中馬行革担当大臣が、これはそういう意味だということで答弁をされております。
 それから、第3項は、「統合に当たっては、沖縄県の区域を管轄する新政策金融機関の事務所が、沖縄の振興に関する施策に金融上の寄与をするため、前項本文の業務を自立的かつ主体的に遂行することを可能とする体制を整備するものとする」と規定しております。自己完結的機能という閣議決定の文言を法律的に書いたものでありますが、今、地域密着で地域に精通して沖縄公庫は業務を行っております。その機能を維持していくというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
 今後のスケジュールでございますが、今、行革本部を中心に具体的な制度設計、詳細な制度設計をやっております。例えば、新政策金融機関は、株式会社または独立行政法人等々と法文には入っているのですが、これをどういう形にするのか、各機関の支店をどうするのか、あるいは企業会計の導入など、いろいろな議論がございますので、そういう制度設計を行っているところです。先週、新聞にちょっと出ましたけれども、まだ最終的には固まっておりません。その制度設計ができましたら、今度はそれに伴って新しい法律案を作成して国会に提出することになります。以上でございます。

○塚越委員長
 どうもありがとうございました。ただいまの御説明にいろいろ御質問や御意見はあろうかと思いますが、「沖縄公庫の活動状況について」の説明を聞いた後に議論を一括してやっていただきたいと思います。

6 議題 沖縄公庫の活動状況について

○塚越委員長
 それでは、引き続き、沖縄公庫の木幡総務部長から「沖縄公庫の活動状況について」の御説明をいただきます。よろしくお願いします。

○木幡総務部長
 公庫の総務部長の木幡でございます。お手元にカラフルな資料があるかと思いますが、そちらの方で御説明をさせていただきます。
 2ページの目次をご覧いただきます。今回は17年度の公庫の事業実績と、それから2点目といたしまして内閣府で沖縄振興計画の前期の検証をされるというふうに伺っておりますので、私ども沖縄振興計画にどのような関わりをしてきたかということを公庫の観点からまとめてみました。
 まず3ページでありますが、17年度の公庫の事業実績であります。先ほど理事長の方から御報告がありましたように、17年度の融資実績は1,014億円、出資は1.3億円ということで、前年度に比較いたしますと11%の減少となりました。
 下の左側の図をご覧いただきますと資金別の伸びが書いてございますが、産業開発資金は9.5%のマイナス、それから住宅資金は大きくダウンいたしまして22.9%のマイナスです。それから左の黄色の部分ですが、中小等資金です。これは中小資金と生業資金を合わせたものでありますが、合計いたしますと10.4%のマイナスとなってございます。
 17年度末の融資残高は上の丸の2つ目にございますように1兆3,067億円、出資残高は27億円という形になります。
 出融資残高の内訳をご覧いただきますと、右側の図でありますが、住宅資金が償還年限が35年ということで非常に長いものですから残高としても多く残っておりまして46.2%を占め、それから産業開発資金が28.5%、中小等資金が20%ということでございます。残高は前年度に比較いたしますと約1,000億円減少をいたしております。
 続いて、4ページをお開きください。これは、17年度に新たに創設した制度の実績を御報告するものでございます。まず通称ちゅら島貸付、沖縄離島振興資金でありますが、これが80件、35億円ということで、旧制度の沖縄離島地域経済活性化資金と比べますと大きく伸びまして、約3倍に伸びております。これは離島地域の実情に合わせまして、これまで雇用要件等が現実的には離島にしては厳しかったということもありまして、この雇用要件を緩和いたしました。こういったことから、この資金が大きく伸びております。
 2点目に泡盛製成業者への融資でございますが、16年度にもろみ酢などの県外出荷が伸びまして、それで設備投資がかなり伸びました。その設備投資が17年度で一段落したということもございまして13件、9.5億円ということで減少いたしております。この中で17年度に制度を創設いたしました、いわゆる泡盛特例制度でありますが、これは3件、3.7億円となっております。これは泡盛の業界が自主規制をいたしまして、古酒であれば古酒100 %のものでないとそういう表示をしない。こういったものに対応いたしまして、設備投資の回収期間とか、あるいは運転資金の期間がかなり延びるだろうということで、泡盛の特例として償還年限などを延ばしております。今回は3件ということでございますが、これから品薄状態の解消をするためにこういった投資が増えて、利用が伸びるのではないかと期待しております。
 それから、17年度創設の沖縄中小企業経営基盤強化資金でございますが、こちらの方は5件、2.2億円ということになりました。これは、企業が経営革新計画を作って県の認定を受けたものを公庫が融資をするというものでございます。
 それから不動産担保・保証人に依存しない貸付けは193件、32億円ということで、これは政策金融の流れとして、できるだけこういった担保に依存しない貸付けを伸ばしていくということでございますが、前年度と比較しましてかなり伸びてございます。
 続いて5ページです。ここから沖縄振興計画との関わりに着目した御報告でございます。まず観光施設の中核となる宿泊施設への資金供給というものを示してございます。沖縄観光振興計画の整備目標が3年ごとに作られてございまして、下の図にありますように客室の整備目標は最初の3年間は2,700室、次の17年からの目標については4,700室となっておりまして、これは年次ごとの目標はございません。
 そこで、便宜上、4,700室の3分の1を17年度の目標ということで仮置きをいたしまして、そして14年度から16年度の目標の2,700 室と合わせた4,266 室という一種の目標に対して公庫がどれだけ関わったかということを試算しております。この4年間に公庫の方では22施設、228億円を投入しておりまして3,403室の整備に寄与しております。これは割合にして80%ということになります。
 ただ、下の注2にございますように、これは竣工後の客室が50室以上となるものを集計いたしております。その点では小規模のホテルとか、あるいは民宿のようなものはカウントしておりません。そういったものも含めると、かなりの数になるのではないかと考えてございます。当該融資における雇用創出効果は945人という形になります。
 続いて6ページでございます。観光振興と情報通信産業の振興に対する関わりでございます。公庫に沖縄観光・国際交流拠点整備資金というものがございますが、こちらの4年間の実績は19件、148億円となりました。うちリゾートホテルへの融資は6件、107億円となっておりまして、例えばラグナガーデンとか、あるいはマリオットのかりゆしリゾート、アッタテラス、こういった県内の大手のリゾートホテルについては、ほとんど関わっているという状態にございます。
 それから、このおもろまちのデューティーフリーショップでありますが、その施設整備に関しましてはプロジェクトファイナンスに関わりまして24億円を融資いたしております。それから、情報通信産業の関係では沖縄情報通信産業支援資金という独自制度がございますが、これは39件、19億円を融資いたしております。大きなものでは光ファイバー整備に対して2件、10億円を融資してございます。沖縄における情報通信産業で申し上げますと、コールセンターの立地が非常に顕著でございますが、コールセンターの場合は余り当初の設備資金を要しないということもございまして公庫の関わりは余りございません。
 続いて7ページになります。農林水産業の振興についてでありますが、おきなわブランドの確立と生産供給体制の強化を金融面からサポートしたということで、4年間で194件、28億円の実績を持っております。そのうち、スーパーLという非常に償還期間の長い資金でございます。20年の償還期限でありますが、その融資実績は82件、18億円です。それから、おきなわブランド振興資金の融資実績は5件、1.1億円となっておりまして、カボチャやマンゴー、ウコン等のブランド品目を支援しております。
 それから、流通・販売・加工対策の強化をサポートしておりまして、下の図にございますようにウェートとしてはこちらの方が大きいということでございます。72件、合計57億円でございまして、多くは製糖企業関係でございまして、これは26件、44億円という形になってございます。
 続いて8ページになりますが、これは雇用の安定との関わりでございます。セーフティネットの貸付けという制度を私ども持っておりまして、この融資がなければその企業の従業員は失業したのではないかという観点に立ちまして、雇用喪失防止効果というものを図っております。融資した企業の従業員は延べ1万2,266人でございまして、これが全部失業したと仮定いたしますと1.9%のポイントに相当いたします。その点では、かなりの改善効果があったのではないかと思っております。
 ちなみに融資実績は608件、281億円であります。また、この中には御記憶にもあるかと思いますが、米国同時多発テロ発生時の特別貸付、358件、99億円も行ってございます。
 続いて9ページになります。新規企業等の創出に関するものでございます。沖縄振興特別措置法における公庫の業務の特例として規定されましたベンチャー出資でありますが、このベンチャー出資は4年間で27件、5.8億円という形になってございます。当該出資による雇用創出効果は131人ということであります。
 内訳を申し上げますと、大体、健康産業関係がやはり大きくなっておりまして、27件のうち7件は健康食品関係です。情報関係も多くて7件ございます。それから化粧品が2つ、アパレル関係なども2件という形で、その点では沖縄の産業の特色を反映したベンチャー出資ということになっているかと思います。
 それから、県の方でベンチャー大賞というものをつくっておられましたけれども、この第1号受賞がトリムという企業、2つ目がバイオ21という企業でありますが、これはいずれも公庫の出資先ということでございます。
 それから、公庫に沖縄創業者等支援資金というものがございます。これが1,780件、295億円ございまして、当該融資による雇用創出効果は3,165人と、雇用創出を合わせますと一番上の段にありますように3,296人というふうになっております。
 沖縄の特色として、開業率は全国一高いと言われておりますが、一方で廃業率も高いという特徴がございます。そこで公庫としては、できるだけ積極的に旺盛な創業意欲を支援し、かつ、それを定着させていきたいと考えてございまして、先ほど理事長からお話がありましたように、この4月から創業支援班を設置いたしております。これによりまして、単なる創業だけではなくて、更にその後の経営指導も含めまして企業が成長していけるように支援してまいりたいと考えてございます。
 それから、ちょっと飛ばしてしまいましたが、ベンチャー出資の関係です。昨年は5件ということで、最近にしては件数は少なくなってございますが、相談実績は167件ということで増加傾向にございます。ですから、出資件数よりはるかに多くの相談件数がございますので、公庫としてはこういった相談案件が現実の出資に結び付くように今後支援していきたいと考えてございます。
 10ページは企業の立地支援ということで、自由貿易地域等特定地域振興資金というものの融資実績は4年間で92件、129億円ということになりました。そのうち、特別自由貿易地域における立地企業、これは全部で19社ありますが、そのうちの融資実績が14社、28億円となってございまして、立地企業の74%を支援しております。そのうちこの自由貿易地域に対する担保特例というものがございますが、これを利用した企業は4件、8億円となっております。
 続いて、11ページは環境保全等に関する関わりでございますが、美ら海低利制度というものが公庫にございまして15年度に創設いたしました。これは、工事等に伴って赤土が流出して海を汚すということを防止するような工事をしたところに対しては低利融資をするというものでございますが、御利用は39件、263億円ということになっております。
 主な利用先というのは、ショッピングセンターが6件、ホテルが11件、工場が10件ということでございまして、御存じのように今、郊外型のショッピングセンターとか、あるいはリゾート地でのホテルが伸びておりますけれども、そういった際にはこの制度を利用していただいて、環境に配慮した取り組みをしていただいているというものでございます。 それから、高等教育の推進という点では教育資金の融資実績が4,046件、46億円となっております。うち入学資金をお貸ししたのは2,505件となっておりまして、その点では約2,500人の進学を公庫でサポートさせていただいているというものでございます。
 それから、社会資本整備という関係ではモノレールへの出融資、これは14年度から17年度で合計すると54億円ということでございますが、13年度以前もございますので、合わせますと出資10億円、融資150億円ということで、かなりの額を公庫の方でお出ししております。
 続いて、12ページで離島地域の活性化に対する関わりでございますが、ちゅら島貸付とその前身の沖縄離島地域経済活性化資金の合計は4年間で141件、59億円となっております。雇用創出効果はさほど大きくはないかもしれませんが、205人ということになっております。
 離島活性化の取り組みとして、離島における巡回相談とか、あるいは教育資金の相談会を実施しておりますが、先程御報告しましたように、これが17年度に大きく伸びました。これは下のグラフを見ていただければおわかりのとおり、やはり離島ではそもそも事業開始自体が厳しく、かつ雇用の増大効果というものも余り見込めないということに伴いまして、貸付要件を緩和した成果であると考えてございます。
 続いて13ページになります。今後の沖縄公庫における関わりとして、更に大きな役割を担わなければいけないのではないかと考えられるのが駐留軍用地の跡地の利用促進でございます。これまでもその跡地の区画整理事業であります小禄の金城地区とか、北谷の美浜地区、それから那覇の新都心地区のまちづくりを積極的に支援しております。
 ちなみに、この新都心における融資実績で申し上げますと事業系資金、大規模商業施設等に対する融資実績は4か年では8件、72億円ということでございますが、13年度以前も含めますと17件、139億円となっております。また、賃貸住宅資金の融資実績は4年間では22件、37億円、13年度以前も含めますと38件、64億円となっておりまして、このような大規模な区画整理には、かなり公庫の資金も有効であるというふうに考えてございます。
 以上、私からの御説明は終わります。

○塚越委員長
 どうもありがとうございました。

7 質疑応答

○塚越委員長
 それでは、ここでこれまでの報告、議事について御質問、御意見等をお伺いいたします。どうぞ、御自由に御発言ください。
 では、大城委員どうぞよろしくお願いします。

○大城委員
 今、公庫の活動状況を詳細に伺ったわけですけれども、民間金融機関の立場から幾つか要望といいますか、お願いも含めて少しお話をさせていただきたいと思います。 沖縄公庫さんが今後とも沖縄振興開発に対する大きな役割を発揮されることを期待しておりますし、私どもも公庫さんとさらなる連携、協調を図りたいと思っております。そうした観点から4点ほど、以前にも申し上げたことと重複はしますけれども、要望させていただければと思います。
 1点目は中小企業金融、特に運転資金の問題なのですけれども、極力民間金融機関と同等の融資条件、具体的には担保の順位の問題でありますとか、極力リスクに見合った金利の設定でありますとか、そういうことについて更なる検討をしていただければということであります。
 2点目は、公庫さんの本来の政策金融機関としてのリスク耐久性といいますか、こういう言葉が適切かどうかわからないんですけれども、リスクに強い体質を生かして融資期間に長期を要するような大規模設備投資、あるいはインフラ整備、それから災害、倒産関連貸付、国の政策として真に必要な分野での融資業務を更に担っていただくように期待をしたいと思います。
 3点目はこれの裏返しということにもなりますけれども、沖縄公庫法第1条にあるように、民間金融機関の資金供給が困難な先に対する更なるセーフティネットの役割の充実強化ということもお願いをしたいと思います。
 4点目は現実に公庫さんともいろいろ協調させてもらっておりますけれども、いわゆる県内の事業先、事業再生に対して更なる民間金融機関との連携による支援、ディップファイナンス等の実施、そういうことについてもいろいろこれから御相談をさせていただければと思っておりますので、要望も含めて、また公庫さんに対する役割の発揮の期待も込めて、とりあえず4点、要望という形で申し上げさせていただきます。

○松田委員
 それでは、大城委員の御要請についてお答え申し上げたいと思います。
 まず中小企業の運転資金関係の融資条件等でございます。これにつきましては御案内かと思いますけれども、私どももやはりリスクに応じた金利設定というものを当然今後考えていかなくてはならないと考えておりますので、委員の御要望を踏まえまして基本的には補完という立場を忘れずに中小企業資金の業務を運営していきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 第2点のいわゆるリスク耐久性といいますか、長期の融資関係につきましては御要望のとおり、私どももやはり大規模なプロジェクト、社会的なインフラとか、あるいは災害、セーフティネット、そういう分野で政策金融としての役割を果たしていきたいと考えておりますので、そういう方向で重点的な取組みを進めていきたいと思います。
 3番目は今、申し上げましたようにセーフティネットはまさしく私どもの役割でございますので、これにつきましては例えば今、起きております地滑り等とか、そういったものにつきましても適切に迅速に対応していきたいと、このように考えております。
 最後の事業再生につきましてはこれまでもいろいろと協調、それから意見調整させていただいてやっておりますし、今年度から再生ファンド等も認めていただきましたことでございますので、更にこの機能も生かしつつ、再生ファンドを使わない事業再生案件につきましては中小企業再生支援協議会でございますか、そういった案件の御紹介等も民間金融機関さんといろいろ協調、調整をしながら積極的に進めていきたい。
 私どもの方でも組織を変えまして、経営支援班というものを人員増で強化しておりますので、この面も重点的に対応していきたい。このように考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○稲嶺委員(牧野沖縄県副知事)
 私の方から2点ほどお願いしたいと思います。
 最初に、先程公庫の融資の内容をいろいろ御説明いただきまして、まさに振興開発との連関など大きなものがありますので、その件についてはお礼を申し上げたいと思います。
 お願いでございますけれども、2点ほどございます。
 1つは今、私ども地元企業が新しくベンチャー、新規投資ということで産学官で政府の御支援を得て平成13年度からやっていますけれども、びっくりするようなものが産学官から出てきていまして、もうそろそろ芽が出てくるような状況にありますので、利用創出できるような産学官が出てくれば、その融資対策に取り組んでいただきたいと思います。
 もう一つは、公庫との今後の問題でございます。行革針の中で平成23年度まではということでございますけれども、その後も沖縄に独自なものをどう残していくかという課題が出てくるわけです。今、新しく出てきましたのは米軍再編等の問題です。今、再編計画の内容によりますと、もちろん予定でございますけれども、2014年までにグアムに移転が完了することになりますので、完了して移転した後、1,500ヘクタールと言われています跡地利用対策が始まっていきます。そういった意味では、跡地利用につきましても開発主体をどうするかという問題と、事業内容などもそれこそちょっと予想できないような多様な、まさに文字どおり沖縄独自の開発形態、融資形態が必要になってくるかもしれません。
 そういうことを考えますと、もし2012年度以降に公庫がなくなった後に沖縄独自の跡地利用というのはびっくりするような大きな問題が残りますので、公庫のそれ以降の問題とも絡み合いまして、今のうちからどういうことをやっていかなければならないかということを我々も検討していかなければならないんですけれども、この辺りは是非認識しておいていただきたいというお願いでございます。
 ですから、公庫がなくなった後、沖縄独自の開発、跡地利用でびっくりするような問題が出てくると思いますので、これは公庫の存続とも是非絡み合いながら考えていただきたいと思います。

○塚越委員長
 どうもありがとうございました。ほかにございますか。

○上江洲委員
 では、質問をさせていただきます。
 ここの委員になってからまだ日が浅いもので政策金融について詳しくないものですから、こういったことは皆さん御存じだということを質問するかもしれませんけれども、6ページのところで2番目に平成15年度にプロジェクトファイナンスの融資を実施した実績が載っていまして、これが振興策に関わるような部分で出てきているのですが、ほかに公庫としてプロジェクトファイナンスを実施した例がこれまでにあるのかということをお聞きしたいのです。
 それから、融資の方法として、種類は産業開発資金であるとか、それ以外にも種類が分かれているのですけれども、どういう方法、どういう種類の資金を使ってプロジェクトファイナンスを実施しているのかということが実は気になります。
 どうして気になったかといいますと、先程大規模開発について、これから先は再編の問題と絡めて跡地利用が出てくるというお話がございましたけれども、今後こういうプロジェクトファイナンスというのは沖縄でもかなり必要になってくるのではないかと私は個人的に思っておりまして、このプロジェクトファイナンスが現在、実績としてどれぐらいあって、方法として確立されているのであれば、今後どういう形の融資を実施していくのかということが気になったものですから、その辺りを質問させていただきました。
 それから、先ほど事業再生の面で御要望が出ていたんですけれども、私もその点はちょっと気になりまして、最近公共交通機関の法的整理のニュースがかなり新聞をにぎわせていますが、その際に例えば融資などはどうなっているんだろうというのが新聞を見ている読者側としてはとても気になるところなんです。
 それで、その事業再生に関してディップファイナンスという言葉が出てきていましたが、公庫としてディップファイナンスの実績がどれくらいあるのかというのが素朴な疑問で少し気になりましたので、その辺りも教えていただけるとうれしいです。私からは以上です。

○塚越委員長
 どうもありがとうございました。

○松田理事長
 基本的にプロジェクトファイナンスは産業開発資金でやっております。それで、純粋な意味のプロジェクトファイナンスは、実を言いますとデューティーフリーショップ1つでございます。
 もちろん融資する場合には、大抵大きいプロジェクトというのはその単体の事業からの収益性といいますか、そういうものを見ますけれども、ある意味ではやはり既存の事業主体の力というものをかなり見ますので、そういう意味ではコーポレートファイナンスがほとんどでございます。純粋な意味でのプロジェクトファイナンスというのはデューティーフリーショップが最初でございます。私どもは実はこういった案件が今後とも出てくれば、当然プロジェクトファイナンスで対応したいと考えております。
 それから事業再生関係でございますけれども、ディップファイナンスは実績がございます。そう多くはございませんで、中小企業資金関係でディップファイナンスは10件ほどございます。大体、1件が1億1,000万、それから8,000万、2,000万、6,500万、具体的に手元にあるのはその数字で、10件弱程度のディップファイナンスがございます。
 それで、基本的には先程申しましたが、私どもは既存の分は事業再生ファンドを使わない、いわゆる中小企業再生支援協議会ですか。これは、これまで20社程度策定されていまして、そのうち8社については先程申しました事業再生資金の融資、あるいはその償還条件変更、リスケジュールですけれども、そういったもので支援してきております。現在も、5社についていろいろ支援に向けて協議をしているところでございます。
 それから、中小企業再生支援協議会案件とは別に再生支援のお手伝いをしておりまして、お取引先で経営困難に陥っている大規模事業等についてはこの間、8社に対しまして、民間金融機関さんと協調いたしまして協定を結び、償還条件の変更を行ったりという支援を行ってきております。そして、現在では8社の中で1社が再生を果たしているというような状況でございます。

○塚越委員長
 それでは、仲井真委員どうぞ。

○仲井真委員
 確認なのですが、沖縄公庫のこの姿は結局いつまであるんですか。20年度とか、沖縄振興開発計画のある間とかとありますが、この形はいつまであるんですか。今の見通しです。

○松田理事長
 一応、先程御説明があったように、2011年度まではこの形であります。平成23年度でございます。

○仲井真委員
 この形で、このままですね。

○松田理事長
 はい。それ以降については統合するという法律上の規定にはなっております。それで、今ちょっと副知事から御要望があったことは内閣府の方でいろいろお考えいただけるかと思います。

○仲井真委員
 2011年度まではこのままの形ですね。

○松田理事長
 若干、先程御説明がありましたように融資制度等につきましては、いわゆる本土公庫見合いの制度については廃止または残すというようなことになっております。

○仲井真委員
 そこら辺からわからなくなるのですが、何ですか。

○松田理事長
 私どもがいわゆる本土公庫の融資制度横並びでやっているものと、それから沖縄独自の融資制度があるわけでございます。沖縄独自の融資制度と、それから沖縄特利という本土の政策金融機関に比べますと0.3%安いところで貸付金利を設定しているわけです。これも残す。これも沖縄独自でやる。だから、沖縄独自というのはそのまま残すけれども、本土見合いの制度についてはそれが必要かどうかというようなことになろうかと思います。

○山田参事官
 補足をさせていただきます。委員が御指摘の点は、統合の時期は具体的にいつなんだということかと思いますが、中馬大臣の国会答弁を引用させていただきますと、こういうふうに中馬大臣は答えております。「沖縄振興開発金融公庫が新政策金融機関に統合される時期に関しては、平成23年度に現行の沖縄振興計画が終了した後としているところでございまして、今後適切な時期にいろいろな決裁ですとか、いろいろな在り方等を含めて具体的な姿を検討していくこととなろう」ということでございます。ですから、23年度まではとにかく公庫として確実に残る。ここまでは決まっているというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
 それから、業務の点でございますが、もう一度整理をしますと、沖縄公庫が行っているものには2種類ございます。本土と同じ融資制度と、それから沖縄独自制度。電力も独自制度と位置付けられておりますが、農業で申し上げますと製糖ですね。それから、先程から出ております沖縄創業者支援制度ですとか、沖縄にしかない独自制度は26制度ございます。これはそのまま残ります。統合しても、統合時点であるものについては全てそのまま新政策金融機関に承継されます。
 ただし、本土公庫と同じ制度については本土公庫が20年度で整理をいたします。先程申し上げましたように、中小企業資金であれば一般貸付はなくなりますので、これに対応する沖縄公庫の基本資金は整理をするということになります。

○仲井真委員
 なくなるという、今おっしゃる表現がわからないんです。それは本土と一体となった政策金融機関へいくという話ですか。沖縄独自のものはわかりました。一般の、例えば我々だったら当時、日本開発銀行にいかないでこちらにお邪魔していましたよね。どこでも共通のものは東京へ行きなさいという話ですか。

○藤岡沖縄振興局長
 民間に任せるということです。

○仲井真委員
 もともと政策金融の対象にならぬという意味ですか。
 だけど、沖縄分というのはわかりますけれども、それ以外の政策金融というのはあるんでしょうか。

○山田参事官
 あります。

○仲井真委員
 これは新しく統合された一つの政策金融機関というものがあって、それはどうするんですか。我々が何かそこを活用したいというのが出てきたときに。

○山田参事官
 沖縄公庫はそのまま、先程から申し上げておりますとおり存続しまして、今やっているもののうち本土と見合いのなくなるもの以外はそのまま業務を行います。あくまでも沖縄においては政策金融は沖縄公庫が担っていきます。
 ですから、例えば本土公庫で20年度になくなるものがあって、沖縄で独自にやはりその対応が必要であれば、沖縄公庫に沖縄のための独自制度をつくって、それで引き続きやっていくということになります。ですから、ワンストップは変わりません。

○仲井真委員
 沖縄独自のもの以外の政策金融というのはあるんですか、ないんですか。あるんでしょう。

○山田参事官
 あります。

○仲井真委員
 そうすると、これは沖縄の対象になるんでしょう。独自のもの以外にもあるから。そうすると、これはどこへいくんですか。我々がもし、こういうふうな活用をするときは、ここへ来るんですか。

○藤岡沖縄振興局長
 沖縄公庫です。ここがやります。

○仲井真委員
 そこは続くということですか。

○山田参事官
 本土に政策金融機関があって、沖縄は沖縄公庫がやるという形は崩れないということです。本土の場合には幾つかあるものが一緒になります。沖縄も本来一緒になるのですが、23年度までは残ります。ですから、沖縄においては政策金融は引き続き沖縄公庫がやっていく。

○仲井真委員
 沖縄独自のもの以外もここでやりますと。それで、23年度を経過した後はどうなるかは……。

○山田参事官
 それ以降については統合ということに法律上なっております。あくまでも23年度までは残してそれ以降ということです。

○仲井真委員
 窓口はあるんでしょうね。

○山田参事官
 大丈夫です。

○藤岡沖縄振興局長
 そのために、統合後も自己完結的機能を残すということが書いてあります。

○仲井真委員
 ありがとうございました。

○外間委員
 関連しまして、1点だけ聞いておきたいと思っておりますが、沖縄復帰の際にできた沖縄特別措置法は1次振計、2次振計、3次振計ということで相当の成果を収めてまいりましたが、この法律では今後の対応は難しいという立場から新しい振興特別措置法ができて5年目を今、迎えたところでございます。
 この新しい振興特別措置法は23年度までだから、公庫もそれまでですという説明を今いただいているところでありますが、1次、2次、3次があったように、この新しい振興特別措置法そのものにも、まだまだ沖縄としては振興特別措置法というのは5年間で全部本土並みに落ち着いたというふうなことは余り大きく期待できないような気がいたします。その場合、政府と沖縄間がうまい具合に相談できて、あと10年延長となれば、公庫の問題も10年延長となるのではないかと、その辺りがちょっと見えてこないんです。
武田内閣府審議官
 今回、この政策金融の計画につきましては沖縄の経済界、県議会、大変いろいろ御心配いただき、またいろいろ御支援をいただきました。
 結果として今、御説明したような形になっておるわけでございますけれども、現在新たな沖縄振興計画がちょうど中間年を迎える。現在、先程私が申し上げましたように、現状総括をし、今後の5年間をどうするのかという議論を進めているところでございますけれども、その後どうなるのかというのは今の時点で直ちに申し上げるわけにもいきませんが、沖縄にとってまだまだ大きな課題が幾つも山積をしている。あるいは、牧野副知事がおっしゃいましたような跡地の問題とか、いろいろな大きな問題も控えております。
 そういう状況をにらみながら、あと5年、とにかく今の振興計画の期間を精一杯私ども努力をして大きな事業に育てていくということが必要だと思います。
 その上で平成23年度に終了を迎える時期において、今後どうするのかという議論も当然必要になってきますし、その時点でまた新たな計画をどうするのか。振興をどうするのか。当然そういう議論になってこようと思います。
 そういう中で、特に今、自立型経済をつくるということで公庫の役割というのは非常に大きな期待が一方にございます。もちろん国全体として政策金融というものをどうするかということについては一つの方向性が出ているわけでございますけれども、そういう中で沖縄のいろいろな特殊性というもの、あるいは今後の課題というものを織り込みながら、その時点で皆様方の御要望を伺った上で適切に判断をしていく必要があるんだろうと思います。
 何分、法律が通ったばかりでございますので今、直ちに申し上げるわけにもいきませんけれども、是非そういう御意見をまたいろいろな形で出していただければと思います。

○外間委員
 ありがとうございます。

○塚越委員長
 では、大澤委員どうぞ。

○大澤委員
 ややテクニカルな質問なんですけれども、4ページにあります不動産担保とか保証人に依存しない貸付けが193件、32億円というふうにかなり増加したという記述があります。確か、これは数回前のこの協議会の席上で、これのスプレッドをどういうふうに設定するかということについて内部で検討されて、確か2%くらいだったのではないかと記憶していますけれども、実際に民間の金融機関等の状況も見てみますと、なかなかリスクに見合ったスプレッドというのは取りにくいという状況が一方でありますので、公庫さんの場合、当初想定されていたスプレッドの水準と、それから実際に貸付けをされて193件おやりになったこの時点で、どのくらい理論的なというか、当初予想されていたスプレッドから乖離しているのか。あるいは、ほぼそれに見合うようなスプレッドが取れているのか。その点のところはどういう評価をされているかということを教えていただければと思います。

○松田理事長
 おっしゃった御指摘のリスクに見合ったいわゆる金利設定なんですが、リスクに見合った金利設定を明確に私どもで打ち出しているのは例の無担保融資貸付ですね。これはいわゆる2.3%乗せてやっているわけですけれども、これと実態的にはどうなんでしょうか。これについて、それでは適正かどうかというのは、まだ今のところちょっと見えない。詳細な分析はしていないという状況でございます。
 それから、これは突き詰めますと、制度の内容なんですけれども、生業資金、あるいは中小企業資金も無担保の場合には金利を幾らというのは、これは実を言いますと本土並びの金利の乗せ方でございまして、私ども独自でリスクの計算をして乗せているものではありません。
 ですから、今、支店長のお話の実態のリスクに見合った設定かどうかについては、現段階ではちょっと申し上げられないです。2.3%だけは一応、私どもの自己査定等もやっておりますので、そういったものから導き出した数字ではございますけれども、それ以外のいろいろ制度上の金利、上乗せ分というのは、実を言いますと全国横並びの設定でございまして、実態的な沖縄のリスクに合っているかというと、ちょっとそれは違うだろうし、分析で明確に言えない状況だというふうに感じています。不明確で申し訳ありません。

○塚越委員長
 よろしゅうございますか。それでは、ほかにどなたかございますか。

○宮城委員
 初めて参加してまだはっきりしないところがあるのですけれども、医療界についてもいろいろ貸付をしていただいて非常に沖縄としては助かっています。沖縄の医療の状況というのは、復帰前から比べると、本土に比べると7割くらいの復旧ではなかったかと思うんですが、その後、急速に整備されてはきているのですが、まだ他府県並みにはなっていないということです。
 医療に関しての枠も大分あるようですが、今後沖縄の医療の状況を見ていきますと大型な病院、200床から300床くらいの病院が移転計画をしている。これがはっきりしているだけでも既に3か所くらいあります。そういう意味で、できるだけそういう病院に対しては優先的に貸付けしていただけるかどうかということで、そういうお願いをしたいと思います。また、こういう制度があるということは当然そういう医療機関も十分知ってはいると思うんですが、その辺のところは公庫の方からももっとアピールをしていただければ利用しやすいのではないかと思います。
 新しい病院というのはできないのですが、移転というのはここ1、2年のうちに決まるということで、先程もお話がある沖縄公庫が23年度までは存続するということですが、それ以降どうなるのかというのは非常に心配してはおりまして、それまでに何とか大型の病院が移転できたらいいとは思っております。以上です。

○松田理事長
 病院関係につきましては結構、私どもにも大型病院の移転の御相談がございまして、もう既に貸付けを実行しているものも数件ございます。したがいまして、これにつきましては御相談があれば前向きに対応していきたいと考えております。

○塚越委員長
 それでは、委員の皆様方からいただきました貴重な御意見、御要望は、内閣府及び沖縄公庫双方におきまして、今後の業務運営や予算要求の参考にしていただきたいと思います。

8 沖縄経済の現状と課題

○塚越委員長
 続きまして、日本銀行那覇支店長の大澤委員に、「沖縄経済の現状と課題」について御説明をお願いします。よろしくお願いします。

○大澤委員
 時間も余りないようですので、簡単に御説明をしたいと思います。資料の2ページ目を開いていただければと思います。
 まず私ども6月初めに実は景気判断を少し上方修正いたしまして、11か月ぶりの上方修正だったのですが、それまで回復を続けているという表現を使っておりましたが、力強く回復しているというふうに見方を変えております。
 その背景には、非常に力強く景気全体をリードしている観光の動向、それからその波及効果等で個人消費あるいは民間の建設投資、こういったところに波及が及んできているということを踏まえて上方修正をしたということでございます。
 2ページ目の観光客数ですけれども、こちらは14か月連続で前年度比プラスということになっております。今のピッチでいきますと、平成18年の年間の観光客数は574万人ということで、県の目標の565万人をも上回る、そのようなペースで今、観光客の方は増加をしているということであります。
 特に最近の特徴は、いわゆるリゾートウエディングですとかエステ、スパあるいはリゾートショッピングですね。さっきDFSの話がございましたけれども、そういった付加価値の高いサービスが非常に観光客から評価を受けているということでございます。
 これに伴いまして、沖縄の観光は従来ですと夏場に集中するような傾向がありましたけれども、今や通年型観光という形に変化してきているということがございまして、例えば今年の3月の月間の観光客数というのはこれまでの歴史上、単月としては2番目に多い観光客数ということになったことが一つ証左として挙げられるかと思いますが、そのような形で通年型観光への移行というものが急速に進んでいるということでございます。
 それで、観光の波及効果として移住も今、増えているというのが特徴でありまして、年間2,000人から2,500人、沖縄へ移住する方が出てきているということであります。訪ねたい沖縄から住みたい沖縄へというふうに変化を遂げてきているということでありまして、その観光客、移住者の増加の効果等もあって個人消費も非常に堅調に推移しているというのが3ページ、4ページ、5ページ辺りの図表で示されているところだと思います。
 それから、6ページに労働市場の状況ということで、こうした景気の回復を反映して求人数も増加してきている。それから、就業者数も増加をしているということであります。こういったことも背景に、個人消費の方は引き続き堅調に推移している。あるいは、堅調の度合いを強めているというのが我々の評価でございます。
 一方、7ページ、8ページのところは建設関係の指標でございますが、公共工事の方は量の面でも、あるいは価格の面でも非常に厳しい状況になってきております。価格面では特に談合事件以降、落札価格がやはり相当下がってきているというのが実態でございますので、量、収益ともに非常に厳しい環境にあるということは引き続き従来同様か、あるいは厳しさを若干増している面もあるかと思います。
 ただ、8ページで見ていただくような新設住宅着工戸数、あるいはホテルですとか店舗ですとか、そういった民間の建設工事の方は着実に推移しているようでありまして、この辺がいつの時点で公共工事のマイナスというものを補う形になるのか。その辺のところを我々は今、注目をして見ているという状況でございます。
 9ページを見ていただくと、そういった経済動向を反映して消費者物価指数が沖縄でもようやくそのプラス基調が定着してきたということではないかと思います。4か月連続で消費者物価指数は前年比プラスになっております。もちろん、国際商品市況の高騰ということでガソリン価格が上がるとか、電力料金が上がるといったようなことが一つの大きな背景になっていることは間違いないわけですけれども、ただ、やはり需要の底堅さというものを反映して企業の価格設定戦略にもこのところ少し変化が見え始めているのかなというふうに我々は見ております。
 例えば、割と零細業者が多いクリーニング業界辺りはかなりエネルギー投入額が多いわけですけれども、こういったところで価格の引上げというものが見られている。あるいは小売りスーパー、食料品スーパーなどでも、従来ですとかなりの値引き戦略をやっていたところが、そういった値引き戦略を修正していくといったような動きも出ているということが特徴であります。かなりこの辺は企業の価格戦略が変わってきている。すなわち、物価のプラス基調というものが定着するような兆候が見られるというのが最近の特徴ではないかと思います。
 10ページ以降は若干金融面での話でございますけれども、こうした実態経済の回復を金融面からもきっちりサポートしているというのが現在の沖縄県の状況ではないかと思います。10ページは、企業の皆さんに金融機関の貸出し態度について聞いたDIを載せてありますけれども、今はむしろ金融機関の貸出し姿勢は緩いというふうにお答えになっている企業の方が沖縄県でも多くなっているということであります。
 この背景には11ページあるいは12ページ、13ページでお示ししてあるような県内の金融機関の経営状況の改善というものがございまして、11ページで見るように、業務純益が好調に推移する中、不良債権処理額、つまり信用コストが低下するという形で収益力が強化されている。
 それから12ページで見るように、不良債権残高も着実に低下をして、ほぼ全国並みの水準まで下がってきている。
 13ページでご覧いただきますように、自己資本比率の方もこうした収益の回復あるいは資本市場での調達といったようなことを背景に着実に改善をしているということで、こうした経営状況の改善に伴って民間金融機関は非常に積極的な貸出し姿勢にあるという状況であります。
 こういったことを鳥瞰するために、14ページで県内の金融機関、これは地元の地銀さん、信金さんと、それから本土系の金融機関、ここではメガバンクさん1行と、それから政府系金融機関1行を合わせております。それと沖縄公庫さんということで数字を示しておりますけれども、特徴的なのはやはり本土系のメガバンクあるいは政府系金融機関というのもこのところ非常に活発に貸出しを伸ばそうという姿勢が見られているということが1点でございます。
 2点目は、ここには残念ながら統計がありませんので載せていませんけれども、本土系のファンドが非常に今、活発に沖縄県の中に入ってきている。観光関係もそうですし、それから事業再生案件でも相当大きなエクスポージャーを抱えるようになってきているということで、こういうところとの競争もますます激化するということになっているというのが実態であります。
 金利の方も、実は量的緩和政策を始めた2001年の3月から2006年の3月まで、この5年の間にマイナス0.45%ということで、市場金利はゼロに張り付いたままでしたけれども、貸出金利の方はこの間、毎年ほぼ0.1%ずつ下がってくるというような競争状況の厳しさにありました。
 量的緩和を解除した以降は、さすがに市場金利が少し上がってきておりますので、こうした低下傾向には歯止めがかかっているように見えますけれども、ただ、金利の方はそういう意味では競争激化というものがやや一服したかなという感じではございますが、引き続き量の面での貸出し競争というのはこれからもかなり続いていくのかなというのが現在の沖縄県の状況ではないかと思います。
 私の方からは以上でございます。

9 閉会

○塚越委員長
 どうもありがとうございました。以上で、本日の議事は滞りなく終了いたしました。お時間もまいりましたので、本日の会議はこれで終わりたいと思います。
 なお、本日の議題に対する御意見等は沖縄公庫の今後の業務運営に反映させていただきすので、委員の皆様方におかれましては今後とも引き続き御支援、御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 次回の会議でございますが、まだ未定ですけれども、いずれ事前に御連絡を申し上げます。よろしくお願い申し上げます。
 本日は、御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございました。