第28回 沖縄振興開発金融公庫運営協議会(現地懇談会)

日時:平成14年6月18日(火)14:00~16:00
場所:沖縄公庫本店4階役員会議室

1 開会あいさつ
2 委員の交代等について
3 委員長の選任について
4 沖縄振興局長あいさつ
5 平成14年度第1・四半期事業計画及び資金交付計画について
6 平成13年度事業実績について
7 新事業創出促進出資業務の概要について
8 沖縄振興開発金融公庫の30年及び今後の役割について
9 質疑応答等
 休憩
10 沖縄振興計画(県案)について
11 沖縄県経済の現状と見通しについて
12 閉会のあいさつ

1 開会あいさつ

○竹嶋内閣府沖縄振興局参事官 内閣府沖縄振興局調査金融担当参事官の竹嶋でございます。ただいまから沖縄振興開発金融公庫運営協議会現地懇談会を開催いたします。
 この協議会の進行につきましては、委員長にお願いするわけでございますけれども、前回まで委員長をお願いしておりました塚越委員は任期が満了いたしまして、今回再任をお願いしているところでございます。このため、後ほど改めて委員長を選任していただくまでの進行につきましては私の方で進めさせていただきたいと思います。

2 委員の交代等について

○竹嶋参事官 それでは、まず委員の交代につきまして御報告いたします。
 沖縄県銀行協会会長の交代に伴い大城勇夫さん、沖縄県農業協同組合連合会会長の交代に伴いまして大城惟宏さん、それから沖縄県医師会会長の交代に伴いまして稲冨洋明さんが新たに就任されました。
 また、塚越則男委員及び内田真人委員が引き続き再任されましたので、御報告申し上げます。
 続いて、委員の出欠状況について御報告いたします。稲富委員につきましては、御都合により御欠席でございます。稲嶺委員につきましては、与儀朝栄企画開発部長が代理として御出席されております。それから、藤井財務省大臣官房総括審議官の代理といたしまして二宮大臣官房参事官が御出席でございます。

3 委員長の選任について

○竹嶋参事官 さて、冒頭申し上げましたように委員長の選出を行う必要がございますけれども、この運営協議会におきましては運営規則により、委員長は委員の互選により定めることとなっております。皆様の御推挙により委員長を選任したいと思いますが、いかがでございましょうか。
 崎間委員、お願いいたします。

○崎間委員 塚越委員は今度委員に再任されますが、今まで我が運営協議会の会長として非常に立派に適切に運営をされてこられました。見識といい、能力といい、是非再任して続けていただきたいというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。

○竹嶋参事官 崎間委員から、塚越委員にお願いしたらどうかという御意見がございましたけれども、いかがでございましょうか。
 (「異議なし」と声あり)

○竹嶋参事官 それでは、異議なしということでございますので、塚越委員に引き続き委員長をお願いしたいと思います。それでは塚越委員、こちらの席でよろしくお願いいたします。
 (塚越委員委員長席へ移動)

○塚越委員長 ただいま選任をしていただきました塚越でございます。至りませんが、委員の皆様方の御協力をいただきまして職責を果たしてまいりたいと存じます。どうぞ御協力をお願いいたします。
 さて、当協議会の運営規則によりますと、委員長はあらかじめ委員長代理を指名することとなっております。これまで委員長代理をお願いしておりました内田さんが、先ほど御紹介にありましたとおりこの度、再任をされたところでございます。そこで、委員長代理につきまして、引き続き内田委員にお願いいたしたいと思います。大変、御苦労様でございますが、よろしくお願いいたします。
 議題に入ります前に、内閣府の武田沖縄振興局長にごあいさつをお願いしたいと思います。武田局長、よろしくお願いいたします。

4 内閣府沖縄振興局長あいさつ

○武田内閣府沖縄振興局長 内閣府沖縄振興局長の武田でございます。本日は御多忙のところ、沖縄振興開発金融公庫運営協議会に御出席をいただきまして誠にありがとうございます。また、日ごろ内閣府及び沖縄振興開発金融公庫に対しまして多大な御支援、御指導を賜っておりまして、この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。
 御承知のとおり、本年は沖縄の本土復帰30周年に当たるわけでございます。先月の19日沖縄におきまして記念式典が行われたところでございます。復帰後の沖縄でございますけれども、3次にわたる振興開発計画によりまして本土との格差は着実に是正をされてまいりましたが、復帰30年を迎えた今日におきましても、なお多くの課題を抱えているというのが現状でございます。このような中で、沖縄振興特別措置法が4月1日に施行されたわけでございます。また、これに基づく沖縄振興計画の県案というのが先月31日に内閣総理大臣あてに提出されまして、現在沖縄振興審議会におきまして、この計画案の調査審議が行われているところでございます。7月上旬には、最終決定されるというふうになっているところでございます。
 沖縄公庫におきましても先月15日に30周年を迎えたところでございますけれども、この間、沖縄公庫は復帰後の沖縄県におきます産業の振興を積極的に推進するということで、長期低利の資金の供給や、あるいは地域開発プロジェクトへの出資といったことを行って、沖縄県の発展に重要な役割を果たしてきたところでございます。今後とも引き続きこの新しい振興計画に沿いまして、沖縄県の自発的発展に向けて政策金融の面から積極的な取り組みをされるよう期待申し上げる次第でございます。
 一方、特殊法人改革につきましては、前回の運営協議会においても御紹介をしたところでございますけれども、現在、経済財政諮問会議におきまして検討が行われておりまして、できるだけ早い時期に結論を得るというふうに聞いております。民間でできることはできるだけ民間にゆだねるという原則に基づきまして業務の見直しを行いますとともに、組織の在り方についても、より効率的で透明性の高い組織事業運営を実現するための取り組みを行っていく必要があるとの考えで進んでいるところでございます。
 本日は、定例の議題に加えまして、4月から公庫の新たな業務として開始されました新事業創出促進出資業務の概要について御説明をしますとともに、先ほど申し上げましたように沖縄公庫が先般創立30周年を迎えられたということで大変よい機会でもございますので、これまでの30年間にわたる公庫の活動について振り返っていただくことといたしております。
 御承知のとおり、この現地懇談会でございますけれども、地元沖縄において幅広く御意見を承るということで、昭和50年6月に第1回を開催して以来、毎年1回開催をしてきておりまして、今回で28回目ということになります。委員の皆様方からの貴重な御意見は今後の公庫の業務運営に十分生かしてまいりたいと考えておりますので、忌憚のない御意見を賜りますようよろしくお願いを申し上げまして、簡単でございますが、私のごあいさつとさせていただきます。

○塚越委員長 武田局長、ありがとうございました。

5 平成14年度第1・四半期事業計画及び資金交付計画について

6 平成13年度事業実績について

7 新事業創出促進出資業務の概要について

○塚越委員長 それでは、これから議事に入ります。本日の議題は、お手元の資料にございますように「平成14年度第1・四半期事業計画及び資金交付計画について」、「平成13年度事業実績について」、「新事業創出促進出資業務の概要について」及び「沖縄振興開発金融公庫の30年及び今後の役割について」の4つでございますが、そのほかに「沖縄振興計画(県案)について」及び「沖縄県経済の現状と見通しについて」、それぞれ沖縄県企画開発部長及び日銀那覇支店長から御説明を伺うこととなっております。
 議事次第はお手元の資料にあるとおりでございますが、まず4つの議題について一括して御審議をいただき、一たん休憩の後、県、日銀から御説明を伺うことといたしたいと存じます。皆様からの御質問、御意見をいただく時間は、4つの議題について沖縄公庫の説明を聴取した後、用意してございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず「平成14年度第1・四半期の事業計画及び資金交付計画」、「平成13年度事業実績」及び「新事業創出促進出資業務の概要」につきまして、沖縄公庫の原田総務部長から説明をお願いいたします。

○原田沖縄公庫総務部長 沖縄公庫の総務部長の原田でございます。よろしくお願いいたします。それでは、お手元の資料の1から3につきまして御説明を申し上げたいと思います。
 表紙をめくっていただきまして1ページでございますが、「平成14年度第1・四半期事業計画及び資金交付計画」について御説明を申し上げたいと思います。御存じのとおり、沖縄公庫は各四半期ごとに事業計画、そして資金計画を策定しまして、主務大臣の認可を受け事業を行っています。上段の四半期の事業計画欄をごらんいただきますと、第1・四半期は貸付430億円、出資1億円を予定しております。これは、各資金の需要を勘案しておりますので、6月までの資金需要には十分対応できるものと考えております。資金交付計画は下段でございます。資金交付計画額は貸付462億円、出資1億円を予定しています。
 1枚めくっていただきまして2ページです。「平成14年度第1・四半期資金計画」をごらんください。この表は、今年4月から6月までの第1・四半期に予定されております収入、支出を現金ベースで示したものです。詳細の説明は省略させていただきます。
 3ページ目には一応参考に「金利改定の概要」の資料をつけています。最近では先般6月11日に金利の改定をしています。
 続きまして2つ目の資料でございますが、「平成13年度事業実績」について御説明をいたします。表紙をめくっていただきまして1ページ目です。この資料では、13年度の事業実績につきまして、12年度の実績、13年度の当初計画との対比で示しているものでございます。
 まず初めに13年度の実績合計欄でございますが、出融資の実績はD欄の一番下でございます。1,635億2,600万円となっていまして、当初計画2,405億円に対しまして769億7,400万円の減、実行率としては68%となっています。これは中小企業等の設備投資に盛り上がりが見られないことや、個人住宅資金の申込み受理戸数が低調に推移したこと等によるものです。また、A欄の前年度実績と比べますと213億6,600万円の減となっています。
 資金別に見ていきますと、上から2つ目の欄、産業開発資金ですが、13年度の実績は498億8,200万円となっていまして、前年度と比べますと116億3,900万円の増となっています。これは航空、海運等の運輸業、小売業の設備投資にかかる需要増、ホテル業の運転資金の需要増等によるものです。
 その下の欄、中小企業等資金ですが、13年度実績は534億3,100万円でして、前年度に比べますと23億800万円の減となっています。これは景気回復の足取りが重く、企業の設備投資に盛り上がりが見られないことが主な要因です。
 3段目の住宅資金についてですが、13年度実績は530億700万円で、前年度に比べますと302億8,300万円の減となっています。平成13年度は個人住宅資金の申込み受理戸数が低調に推移したことや、融資限度額の引下げにより個人住宅の申込み受理平均単価が低下していること等により、前年度を大幅に下回る実績となったところです。
 続きまして農林漁業資金ですが、13年度の実績は14億8,600万円で、前年度に比べますと8億2,100万円の減となっています。農林漁業を取り巻く状況は依然として厳しく、低調な融資実績となったところです。
 その下の医療資金ですが、13年度実績は17億500万円で、前年度に比べますと3億8,600万円の増となっています。これは、病院の建替えによる大口の資金需要があったものですが、融資実績としては低調でした。
 その下の生活衛生資金ですが、13年度実績は38億1,600万円でして、前年度に比べますと2,100万円の増となっています。13年度の生活衛生関係業者の資金需要は堅調でして、12年度並みの実績となったところです。
 次に出資ですが、平成13年度はモノレール、鉄道業に対しまして2億円を実行いたしました。
 なお、2ページには「沖縄公庫の年度別融資実績の推移」、3ページには「沖縄県内融資残高構成比の推移」の資料を付けています。これについては、後ほどまた30年の歴史の中でお話をさせていただきたいと思います。続きまして、3番目の「新事業創出促進出資業務の概要」です。お手元の表紙を1枚めくっていただきますと概要のペーパーがございます。今年度は沖縄新法の下で向こう10年の新たな沖縄振興施策がスタートする非常に大事な年です。そのような中で公庫の業務の特例として新事業創出促進出資の機能が付与されたところでして、企業への投資活動を通じて、ベンチャー企業とか起業家を生み出す土壌づくりに取り組んでいきたいと考えております。
 業務の目的は、沖縄の自立的発展に資するため、新事業創出促進出資業務を通じ、新事業の創出・育成により産業の振興、地域経済の活性化を図り、ひいては雇用の創出に寄与するというものです。
 出資の内容につきましては、まず出資の相手方は沖縄において新たに事業を開始しようとする者、事業を開始した日以後5年を経過していない者、また新たに事業分野の開拓を行う者でして、出資の限度額は沖縄における新事業に必要な資本の額の5割以内の額とすることにしています。また、出資の方法は株式または持分取得の方法によることとしています。
 資料の下方に組織体制があります。真ん中に沖縄公庫という部分があり、その真ん中辺りに新事業育成出資室があります。この室は、この4月1日から新たに設置したものであり、この室を中心に新しい業務を行っていきます。組織の体制は公庫職員3名と、あわせて地元3行からも職員を派遣していただくことにしていまして、今年は琉銀、沖銀からそれぞれ1名の方を派遣していただいています。
 組織の中で、左の上辺りに運営評議員会があります。お手元の資料の2ページに運営評議員会の名簿を付けてありますが、県内各界の代表者にお集まりいただき、公開の下で運営をいたしまして、大所高所からの御意見を伺うための組織です。このようにオール沖縄という体制で新たな事業を推進していきたいと考えています。
 また、資料の右の方ですが、ベンチャーが対象ということもあり、まず案件が挙がってきたときに専門調査機関で技術面からの専門的な調査をしていただき、その結果を踏まえて更に別の組織である評価委員会、これは産学の専門家にお集まりいただく、事業の内容を精査していただく組織ですけれども、この評価委員会でいろいろな議論をしていただき、公庫が現実に出資するか否かを評価委員会の意見を聞いた上で決めていくということです。
 また、資料の下ですが、案件の紹介等々に当たりましては県の産業振興公社等の新事業育成支援機関、民間ベンチャーキャピタルや証券会社などというところと幅広く連携をした上で情報交換もし、案件の紹介もしていただくような体制を考えているところです。
 以上、簡単ですが、議題の1から3につきまして御説明を終わらせていただきます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

8 沖縄振興開発金融公庫の30年及び今後の役割について

○塚越委員長 次に「沖縄振興開発金融公庫の30年及び今後の役割について」ですが、公庫30周年を迎えましてせっかくの機会ですので、まず沖縄公庫の八木橋理事長に一言お願いをし、その後、原田総務部長から説明をお願いしたいと思います。では、八木橋理事長どうぞよろしくお願いします。

○八木橋沖縄公庫理事長 沖縄振興開発金融公庫理事長の八木橋でございます。皆様方には、沖縄公庫の運営に関しまして日頃から一方ならぬ御指導、御鞭撻を賜り、この機会を借りまして厚く御礼を申し上げます。
 ただいま御紹介がございましたように、お陰様で当公庫は去る5月15日をもちまして創立30周年の節目を迎えることができました。この間、県民各位各層から寄せられました御支援、御協力に対しまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 この間の公庫の融資実績等につきましては、後ほど総務部長から資料に基づきまして詳細な報告をいたすことになっておりますが、設立以来30年間の融資累計額は4兆5,435億円、融資残高は1兆6,641億円に達しております。政府の一般会計から公共投資等に投入されます沖縄振興開発事業費とともに、民間部門の投資活動を促進、誘導する沖縄公庫の政策金融が、沖縄振興開発のいわば車の両輪といたしまして、復帰後の沖縄の産業社会や社会開発に貢献してきたのではないかという具合に私ども自負しているところでございます。
 また、社会経済の変動に対応いたしまして、民間金融機関を補完し、適時適切に金融面から政策的に対処することも公庫の重要な役割であろうかと認識しております。最近では米国同時多発テロの影響を受けまして、観光関連事業者に対する緊急特別融資、または狂牛病関連対応融資、県内信金の破綻に対応する融資等、機動的に実施しており、いわゆる民間金融のセーフティネットとしての役割をも果たしてきているという具合に考えております。
 ところで、今年度は沖縄振興特別措置法の下で向こう10年間の新たな沖縄振興施策がスタートする重要な年に当たっております。新沖振法におきましては、民間主導による沖縄の経済の自立化を図ることが基本目標に掲げられていると承知しております。そのため、公庫の民間企業に対する政策金融の役割が一層期待されておりますとともに、新たに公庫の業務の特例としまして、ただいま御説明申し上げました新事業創出促進出資の機能が付加をされたところでございます。
 これは、従来の融資業務に加えまして、企業への投資活動を通じてベンチャー企業や起業家を生み出す土壌づくりに取り組みまして、本県の新事業創出促進を支援しようとするものでございます。この業務の運営に当たっては地元経済界、学界等の有識者から意見要望をお聞きする場として運営評議員会を設けておりまして、いわばオール沖縄としての力を結集して業務に臨む体制を整えているところでございます。この新たな業務につきましても、皆様方の御支援、御助言をいただきたいと存じます。
 先ほど武田振興局長がごあいさつの中で触れておられましたが、現在財政投融資改革、更にそれに引き続いて特殊法人改革というものが行われている中で、公庫におきましても新しい時代、新しい社会情勢に対応した的確かつ効率的な業務を行う必要があるという具合に考えており、そのため組織改革を実施しつつあるわけでございますが、それと同時に役職員の意識改革の一環といたしまして、企業の成長とゆとりある県民生活をサポートし、お客様のよきパートナー、またアドバイザーを目指しますという3つから成る行動指針を私どもは昨年策定したところでございます。今年度は創立30年の節目に当たりまして、改めて役職員一同が公庫に課せられた使命を再確認しつつ、新たな気持ちで職務に励むという意味を込めまして、新しい公庫のマークを制定し、合わせて公庫の旗を作成いたしましたので、この場を借りて御紹介申し上げます。
 そちらに今、旗が飾ってございます。これがどういう趣旨かということを簡単に申し上げますと、沖縄のシンボルマークの赤を使っておりますので、赤を基調にした色になっておりまして、従来は平仮名の「お」を図案化した旗になっておりました。それを、これから21世紀に向けまして新しい人々、またはグローバルな世の中になりつつあるということも込めまして、沖縄の「お」の左側に赤の半円と白の半円のところがございますが、これは「OKINAWA」のOでございます。それから、右のところにございますのが開発、または発展という意味の「DEVELOPMENT」を図案化したD、すなわちOとDを図案化したものでございます。
 従来の平仮名によるマークというものを発展継承するような意味におきまして、しかもグローバル時代にふさわしい格好でということでOD、OKINAWAのDEVELOPMENTということで新しいマークを制定させていただいたところでございます。若干時間をいただきましたが、これを御披露申し上げたいと存じます。
 最後になりますが、私ども沖縄公庫は今後も政策金融の立場から民間金融を補完し、民間の投資活動の支援を通じて沖縄の振興を図るという使命を的確に果たすため、主務官庁の御指導、御協力を得て精一杯努力してまいりたいと思います。今後とも私ども沖縄公庫に対する御理解と御協力をこの運営協議会の皆様方に再度お願い申し上げましてあいさつに代えさせていただきます。どうもありがとうございました。

○原田総務部長 それでは、引き続き資料の御説明をさせていただきたいと思います。一番最後の「4.沖縄振興開発金融公庫の30年及び今後の役割」と書いてある資料です。
 表紙をめくっていただきまして1ページです。先ほど理事長からもお話ししましたけれども、まず「融資実績の推移」です。そこに10年ごとに分けた[1][2][3]という期間を区切りまして、合計の欄ですが、この30年間で4兆5,434億7,800万円の融資実績があります。構成比を見ていただければわかりますように、4分の1が産業開発資金、4分の1強が中小企業等資金、それと4割弱が住宅資金というシェアになっているところでして、10年ごとの期間でいいますと平成4年度から13年度にわたる10年間が全体の融資実績の中で半分を少し超えるぐらいの比率になっています。
 その下が沖縄振興開発事業費と公庫融資実績の推移でして、昭和47年度が323億円という融資実績でスタートしました。それから30年間かけまして、累計が4兆5,435億円ということです。一方、沖縄振興開発事業費はその間、6兆7,274億円ということになっています。
 その下ですが、「融資残高の推移」です。これも10年ごとの区切りをつけていますが、一番下の平成14年3月末、現在の融資残高が1兆6,641億円です。そのシェアを見ますと、産業開発資金が一番左ですけれども、28.4%、その次の中小企業等資金が16.2%、そして住宅資金が50.1%となっています。資金別には後ほどお話をさせていただきます。
 その下の欄ですが、沖縄県内融資残高構成比の推移のグラフの一番下の欄、平成14年3月末の構成比ですが、残高に占める公庫のシェアは34.5%です。このシェアは前年、前々年から若干ではありますが減ってきています。
 1枚めくっていただきまして、2ページをお願いします。「資金別融資実績」の資料でして、融資残高の業種ごとのシェアです。[1]の産業開発資金ですが、現在融資残高は4,725億円ですが、そのうち半分を少し超えるぐらいが電気・ガス業です。あとは航空・海運業、製造業、運輸・通信業といったようなシェアになっています。また、その右の欄ですが、中小企業等資金の融資残高は2,692億円です。そのうち卸・小売が4分の1、不動産業30%、サービス業17%です。この2つの資金を使いまして、この30年の間に基幹産業部門の強化拡充に寄与してきたところです。電気・ガスといった基幹エネルギーの安定供給など生産基盤の整備が図られてきたわけです。
 また、グラフの中ではホテル業、サービス業等の中に入っていますが、多様なリゾートホテル等と観光インフラの整備もこの30年間で着実に進んでまいりまして、観光・リゾート産業の着実な発展にも貢献できたものと考えています。
 また、サービス業という分野につきましては、大規模小売店舗向けの事業の展開に対応したり、商業施設の大規模化、郊外集約化等々、個人消費の高度化にも対応してきたところです。また、あわせて特色ある地域産業の発展、新規創業の支援による産業活性化にも貢献してまいりました。
 3番目の住宅資金ですが、これが一番融資残高が多く、8,339億円でございます。このうちの9割近くが個人住宅で、特に平成6年からの数次にわたる景気対策の時期には資金需要が増大しました。この30年間を振り返りますと、住宅ストックの拡充や良質な住宅環境の整備に貢献してきたところです。
 4番目が農林漁業資金ですが、融資残高407億円、そのうち農業が約3分の2です。あとは漁業・水産養殖業が6%、食料品等製造業が16%でして、この間、亜熱帯農業の振興に努めてきましたし、またクルマエビ等の養殖にも融資をしてきました。
 下の医療資金は残高276億円、そのうち病院が56%を占めていますが、地域医療の充実、医療水準の向上に貢献してまいりました。
 最後の生活衛生資金ですが、203億円の融資残高のうち飲食店のシェアが55%、旅館業は29%で、観光産業の一端を担っているこれらの業種の資金需要に対応してきたところです。
 次の3ページをお開きください。ここでは沖縄公庫の独自制度の融資実績を掲げています。古いもの、新しいもの、いろいろとございますけれども、特徴的なものとしましては上から2つ目の沖縄観光・国際交流拠点整備です。比較的歴史のある制度で、ホテル向け等の融資ですが、独自制度の中で中核的な位置を占めている制度であろうかと思っています。
 また、一番下の欄は沖縄創業者等支援です。これは平成10年度から始まった比較的新しい制度ですが、融資実績が累計で279億5,800万円で、1,700件弱の融資をしています。非常に旺盛な資金需要がありまして、新しい制度の中では中核的な位置付けができる制度と思っています。
 その下の欄ですが、「緊急特別融資の実施」です。昨年の同時多発テロの影響による観光客の急激な落ち込み等により様々な産業に大きな影響が出ましたが、公庫としましては緊急の対応として観光関連業者緊急特別融資を実施しました。3月末の段階で92億2,700万円、314件の融資実績です。先ほど理事長のあいさつにもありましたように政策金融のセーフティネットとしての役割を十分に果たせたものと考えています。
 次に、1枚めくっていただきまして4ページをお願いします。上の方の表が「公庫の機能」のうち民間投資資金不足の補完についての資料です。左が沖縄、右が全国でして、総資金量が全国に比べて7、8割という水準の中で、総融資量は全国と比べて遜色のない水準になっているわけです。沖縄公庫が資金の量的な補完、必要な投資資金の絶対的な不足を改善しているという役割をこの表は示しています。
 中程の「民間金融機関との役割分担」という表ですが、上の[1]は公庫の融資残高のシェアです。見ていただければわかりますように、公庫は主として設備資金の融資、民間の金融機関が主として経常的な運転資金の融資というような大きな役割分担があろうかと思っています。また、業種で見ましても、公庫の場合には製造業や、電気・ガスといった主として基幹産業のシェアが相対的には大きくなっています。
 次に[2]ですが、景気循環に伴う融資補完の資料です。公庫の融資は、景気循環に伴う金融の繁閑を緩和していることがおわかりいただけると思います。好況期には公庫の融資が停滞し、景気後退期には拡大するということで、民間金融機関の実績と公庫の実績は特に近年、対照的な動きをしていることがわかります。民業補完という姿が見てとれようかなと思っております。
 次に、5ページです。「沖縄公庫の今後の役割」についてであります。今日の沖縄は復帰後30年経過したわけですが、まだ現状は高い財政依存度、慢性的な移入の超過、相対的に脆弱な企業の体力、本土に比べて7割程度と言われている低い所得水準、極めて高い失業率、低い水準の持ち家率といった現状があります。そのような現状を踏まえて、この4月から沖縄振興特別措置法が施行されているところでして、一番下の矢印ですが、法律の中で関係するあらゆる者が協力して対策を講ずることにより、沖縄振興を実現するため民間主導の自立型経済の構築、豊かな地域社会の形成を図っていくとなっています。
 そのような中で、沖縄公庫の役割としましては政策金融機能による民間投資活動の支援が求められています。資料の中の四角の左の辺り、この部分の記述につきましては関係者の共通した今後の課題とも言えるのかもしれません。産業面におきましては、良質な資金の十分で安定的な供給により産業界全体の体質強化を図っていかなければならないわけです。また、主軸産業である観光・リゾート、これからの新しい展開が期待される情報等のリーディング産業の発展を推進する必要があります。また、地域産業、中小零細企業の育成支援、特別自貿地域や金融特区における企業誘致の促進支援、出資機能を活用したリスクを伴う新規事業やベンチャー企業の創出などにより地域産業を活性化していくという課題、さらには沖縄ブランドの確立等の農林水産業の振興や緊急時におけるセーフティネットの役割を果たすことが公庫に期待されています。また、社会生活基盤につきましては、良質で多様な住宅建設の支援による居住水準の向上、多様化する医療ニーズに対応した施設整備等々が求められています。このような課題に対処していくため公庫には量的補完という面では民間投資資金不足に対応した財投資金の地域再配分を行うこと、また、質的補完という面では固定長期の融資を行うことによる期間リスクの補完をしたり、中小零細企業や新事業育成のための融資を行うことによる信用リスクを補完することが求められています。また、低利融資を実施することによる資金調達コストの低減も図っていくことも求められています。沖縄公庫としても、このような期待される役割を果たすためさまざまな面で政策金融機能による民間投資活動の支援を行っていきたいと考えています。
 また、資料の下の方に情報仲介・発信機能の強化とありますが、調査機能を一層拡充することにより、産業・経済情報をより多く提供したり、これまで蓄積してきたさまざまなノウハウに基づく企業経営へのアドバイス機能を強化していくことで、公庫の情報仲介と情報発信の機能を強化していきたい、またそのことでまた沖縄経済の発展、振興の支援をしていきたいと考えているところです。
 以上、駆け足になりましたけれども、30年の実績と今後の役割について御説明させていただきました。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

9 質疑応答等

○塚越委員長 それでは、ここでこれまでの議事を通じまして御質問、御意見等をお伺いしたいと思います。いかがでございましょうか。
 では、崎間委員どうぞお願いいたします。

○崎間委員 今の開発金融公庫の30年及び今後の役割は非常によくまとまっていました。この資料は、我々は今、協議会でいただいたわけですけれども、何らかの形でもうちょっとわかりやすく、それからもうちょっとカラフルな少し薄いページで県民あるいは経済界にも知ってもらうという計画は持っておられるんでしょうか。

○原田総務部長 これは今日の会議のために作成した資料です。
 沖縄公庫の役割や業務の内容等につきましては、現在もディスクロジャー紙などを発行してPRしていますが、委員が御指摘のPRの重要性を踏まえてPRをこれまで以上に実施していく必要があろうと思っていますので、いろいろと工夫していきたいと思っています。この資料に基づいてPRということにつきましては現在は考えていませんが、何ができるかということを考えていきたいと思っています。

○塚越委員長 よろしゅうございますか。それでは、野崎先生どうぞ。

○野崎委員 ただいまの公庫の30年及び役割のところで、5ページに関連してお伺いしたいと思います。
 この報告で、沖縄振興特別措置法に関して公庫の役割が明記されております。我々経済学を専攻している者にとって、新たにできました沖縄振興特別措置法という制度を非常に重要視しております。制度的枠組みは経済パフォーマンスを決める重要な要因である。この分野でノーベル経済賞をもらった方もおられますし、計量経済史の分野でも非常に重要な分野となっております。新しい制度ができまして、創造的破壊が生じ、そこから技術革新が起こりそれがずっと連鎖していくようなシステム、それの基になるのが制度であるとの位置付けであります。そういうことから考えていきますと、5ページの方の沖縄振興特別措置法が今回できましたのは、後ほど御説明があるかもしれませんけれども、非常に重要な役割をするだろうと私は期待をしておりますし、公庫の役割もそこで大きくなっていくのではと考えております。
 そこで、先ほどこの10年間の住宅資金の融資量が4割、それから残高で5割という御説明がございました。それから考えますと、今年4月に施行されている住宅資金制度の改定は非常に大幅な制度改正だと私は考えております。全国でもとりわけ所得力の弱い地域、沖縄とか、そういう地域ですとマイナスの方のインパクトが働くのかという、懸念を持っております。
 そこで2点ご説明をお願いしたいのですが、今年の4月からの単純横並び制度を考えてみますと、5ページの良質で多様な住宅建設の支援による居住水準の向上という沖縄公庫の役割がございますが、沖縄の所得水準から考えますとあまりにも急激な制度変化ではないかと懸念しております。それで、今後の対応についてまずお伺いしたいというのが1点です。
 それから、この制度というのは長い時間にわたって変化を与えていくということでございますが、本土の住宅公庫の場合ですと、今後5年間で住宅融資を民間金融機関にゆだねるという改革の方針がありますが、この点について沖縄公庫はどのように認識しておられるのかをお伺いしたい。一般的に、資金量やコストの点で沖縄の既存の民間金融機関だけでは十分じゃないのではないかということが言われておりますので、長期的な視点に立って現状も踏まえまして、御説明を受けたいと思います。この2点です。

○塚越委員長 いかがですか。

○八木橋理事長 かなり大きい問題の御指摘でございました。私どもの考え方を、それではお答え申し上げます。
 まず最初に今年の制度改革でございますが、これにつきましては国の特殊法人等整理合理化計画、昨年の年末でございますが、そこにおきまして住宅金融公庫は融資業務について段階的な縮小を求められたことになっており、それを受けて住宅公庫は融資限度割合の設定とか、特別加算額の縮減等によりまして、14年度から融資規模を縮小したところでございます。
 沖縄におきましてどうするかということでございますが、これにつきましては住宅資金は政策的な見地から本土と同様の融資制度としているという従来の経緯がございます。また、特殊法人等整理合理化計画、先ほど申し上げました国の計画でございますが、この計画におきましては沖縄公庫も本土公庫等に準じて事業の見直しを図るという具合に決められたところでございます。
 そういったような一般的な情勢を踏まえまして、今年の制度改正に当たりましてどう対応するかということでございますが、年収800万円未満の世帯の割合は沖縄県では9割弱ございます。この年収800万で切ったというのは融資率を8割にとどめる。それ以上になると5割にしてしまうというところでございますが、沖縄ではその層が9割弱、全国ではこれは6割強ということになっておりまして、この融資限度割合の設定の影響は本土に比べては小さい。5割まで極端に落とすというところの割合はかなり本土に比べて低いのではなかろうかというようなことが一つございました。
 もう一つは、地元金融機関におかれましても協調融資等によりまして住宅に対しては住宅ローン等々、商品開発を盛んにやっておられるということもございまして、そういう積極的な対応というものが沖縄においても期待できるということから、本土並びでこの制度改正を沖縄公庫が受け入れることとしても、それほど大きな影響を与えないで済むのではなかろうかという判断をいたしまして、国全体の政策に協力しなければならぬという状況もございますことから、今回はそういう制度改正を受け入れたというのが経緯でございます。
 また、この融資限度額を縮減するに当たりましては、公庫と民間金融機関は相互に補完するというようなことから協調融資制度を4月から導入することとしておりまして、現時点におきましては沖縄銀行、沖縄県労金と業務協定を既に結んでおるところでございます。その他の機関につきましても、協定締結に向けて検討中という段階でございます。
 ただ、今後さらなる措置がとられる場合についてはどうするかということになりますと、公庫としては先ほど申し上げましたような県民への影響とか、地元金融機関の対応状況を踏まえながら、これは検討する必要があるのではないか。その辺につきましては、十分主務官庁とも協議をしなければならないと考えております。これが第1の経緯で、今年の話でございます。
 それでは、今後どう考えていくか。先ほど野崎先生の方からのご質問で、5年間における住宅公庫の方向でございますが、これは先生がおっしゃるように先ほどの特殊法人等整理合理化計画におきましては住宅公庫は5年以内に廃止して、証券化支援業務について新設される独立行政法人が担い、融資業務は段階的に縮小する。更に、民間金融機関が円滑に業務を行っているかどうかを勘案しながら最終決定するということが閣議決定されたところでございます。
 そこで、沖縄におきましてさてどういうふうに考えるかということですが、住宅需要や取得環境等が本土とはちょっと違っている部門がある。また、今度の振興計画の県案におきましても、住宅投資促進に必要な資金供給の面でも民間ではなし得ない領域が広く存在するということが県の振興計画の原案において述べられているところでございます。こういったものを踏まえながら、検討する必要があるという具合に一般的に考えておるわけでございます。
 特に私どもが気にしておりますのは今、民間の資金需要がかなり弱い局面にあるわけですが、今度は事業資金需要が伸びてきたときに本当に県内民間の資金量で長期安定的な対応が可能かどうか。個人の貯蓄が大体本土の3分の1から4割ぐらいしかない状況でございますから、そういった資金需要が旺盛になったときに果たしてどうなるかということも考える必要があろうかと思います。
 更には、沖縄の中低位所得層、先ほど申し上げましたように9割ぐらいは融資率が8割でいけるなということが仮に可能であったとしても、住宅を建設するためのコスト負担がどうなのか。それは、一方では県民所得が全国平均の7割ぐらいしかない。それに比べて、一般的な民間の資金コストは1%弱ぐらい本土より高い状況にございます。民間の方がどのぐらいのコストで住宅資金を提供し得るかという状況にもよりますが、民間で商品開発された住宅ローンのコストが果たしてどのぐらいなのか。それに対して、住宅を建てる側の事業者がそれに耐え得るのかどうかという点も見極める必要があるでしょう。
 それからもう一つは、一般的に言いますと沖縄は台風の常襲地帯でございますから、建設コストが本土よりは高くつくわけですね。そういった事情をどう考えるのか。更に、住宅の居住水準というものが全国平均に比べると沖縄の場合は質が悪くなっている。すなわち、面積当たりにしてみますと全国平均の8割程度しかいっていない。そういった事情をどう考えるのか。そういったようなもろもろのことを考えなければならない。
 これは、一般的な特殊法人改革、または財投改革という動きの中で、沖縄のこういった事情をどのぐらい全国レベルで受け止めてもらえるかどうかという問題もございますが、私どもしてはそういった事情というものも理解していただくように、これから努力していかなければならないのではないかというようなことを現段階では考えている次第でございます。

○塚越委員長 よろしゅうございますか。それでは、ほかにどなたか御発言の方はいらっしゃいませんか。

○大城(勇)委員 特に理事長の言葉に反論するというわけではないんですけれども、民間金融機関の立場から一言二言お話をしておきたいというふうな感じがしております。
 沖縄公庫の役割というのは御説明の中でもありましたけれども、民間金融のセーフティネットとしての補完の役目、それからもう一つは民業補完ということに尽きるというふうな感じがしております。そういうことでよく論議になるのは今、御質問にもありましたし、お答えにもありましたけれども、いわゆる住宅融資の問題ということが民間金融機関側からしても非常に重要な問題だというふうに認識をしております。
 確かにこれからの資金需要、事業性の資金需要がどうなるか、景気の回復がどうなるかによるわけなんですけれども、現状の資金量が横ばいという前提に立ちますと、少なくとも県内3行においては恐らく9年から10年ぐらい現在の年間の住宅資金500、600億が毎年継続するとして、10年ぐらいは十分対応ができるわけです。これは回収ということを全く考えておりませんので、月々の回収ということも考えますと相当程度現状の資金量の中で賄える、いわゆる住宅資金をコザ信金さんも含めて県内の金融機関で賄えるという状況にあろうかと思います。
 それから、本土と同じような融資制度というお話があったんですけれども、これは沖縄公庫さん独自の制度として、例えば住宅資金についても0.3%、住公より0.3%金利が低いというふうな特殊な制度もございますので、こういう0.3%という問題を別にすれば、今、民間金融機関といわゆる住公、本土との住宅融資金利はほとんど同一かなというふうな感じもしておりますので、この辺を民間金融機関と公庫の方でどういうふうな折り合いをつけてやっていくかということが大きな課題であろうと思います。
 それから、協調融資制度というお話もありました。これは私どもの方でもいろいろ問題提起をしておりますが、琉球銀行、沖縄海邦銀行も含めて、まだこの協調融資制度に参加をしておりません。これはまだ細かな部分で民間金融機関の負担の部分、この辺の問題がクリアになっていないということで、この辺も継続的に議論をしながら県内の前向きの住宅資金需要といったものに対して協力して対応していきたいというふうに考えております。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

○大坪委員 内閣府審議官をしております大坪です。あまり皆さんから御質問がなければ、私の方からも沖縄振興施策の概要を含めてちょっとお話方々質問しようかと思ったのですが、結構御質問がありましたので簡単に一つだけ御質問します。
 これからの振興施策展開で、昨日も審議会でいろいろ議論がありましたときに、やはりインセンティブが大事だという意見が結構あるのですが、そういう目で見ましたときに先ほどちょっとお話のありましたベンチャー出資、インセンティブとして大きいテーマは本来的にあると思うのですが、この制度の運用が今、どうなっているのか。スタートしたばかりですから、まだなかなか御説明の材料はないんじゃないかとは思うんですが、現実にここでこういう出資室をつくられたという中で、具体的に審査案件として挙げてもいいようなものがあったのかどうか。それから、今後あり得るのかどうかの見通しみたいなお話と、もう一つはこういうことをやるには一つは掘り起こしという作業が大事ではないかと思うのですが、審査する方が掘り起こしはなかなか難しいと思うので、県庁も含めていろいろな連携をとる中での掘り起こしだろうと思うんですけれども、その掘り起こしということについてはどのような体制、準備がなされているのか。その2点を教えていただきたいと思います。

○原田総務部長 1点目の現状ということですが、実はこの体制は先月整備できましたので、まだ体制が固まったばかりの段階です。やっとスキームができましたのでこれから頑張っていきたいと考えています。まだ具体的なお話ができる段階ではありませんが、現状でも問合せも含めまして10件程度の相談もきている状況でして、県内では強い関心があるという状況であろうかと思っております。ただ、今の10件がすべてものになるかどうなのかというのはこれからの審査次第ということになろうかと思います。
 また、掘り起こしの件ですが、審議官がお話のとおり、我々だけで全て掘り起こしができる訳ではありませんので、県、産業振興公社など情報を幅広くお持ちの機関あるいは民間のベンチャー関係の情報を持っている組織とも十分な意見交換、情報交換をしながら事業を進めていきたいと考えています。仮に、そのような体制でも足りないということになればさらに工夫していきたいと考えています。

○塚越委員長 県の方からいかがでございますか。今の掘り起こしの点で何か御発言はありますでしょうか。特になければ、ほかの方いかがでしょうか。
 今の点に関連がなくても結構ですが、ほかに何かございますか。

○武田沖縄振興局長 当局の方から言うのも変なんですが、ただ今の公庫の新規出資につきましては新しいポスト3次振計の中の一つの大きな目玉の施策という意味合いを持っております。ただ、多分公庫として従来融資を中心にやってこられた業務とかなり違う性格もございますし、また相当リスクの高い分野でございますので、いろいろ既にお願いもいたしておりますけれども、その辺りはリスクを十分勘案しながら、といって余りリスクを避けているとこれまたせっかくの制度の意味がないということもございますので、是非よろしくお願いをいたしたいと思います。

○仲井真委員 先ほど住宅資金関係のお話があって、地元行との関係があったわけですが、一般的な産業開発資金といいますか、内容はこれからも変わっていくと思うんですが、私ども電力も随分実はお世話になっています。やはりこれからもいろいろな事業資金については公庫さんの役割というのは依然としてあと10年、20年、大変重要な役割を沖縄では持っているだろうと思います。姿形はどうなっていくか、我々も新聞でしか知りませんが、例えば沖縄電力の格付けなどはほかの電力と今は同じになっているわけですが、公庫さんがあるからだとも言われております。そういう要素もあるようですし、産業事業資金というか、産業展開資金というのは是非ひとつ末長く維持していただきたいと思います。これはお願いです。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。それでは、どうぞ。

○吉山委員 いつもお願いばかりしておりますのでお礼を申し上げます。
 今度の新事業創出促進出資の制度ですね。これは私の方の理事会でも非常に話題になりまして、高く評価しております。今、掘り起こしの話が審議官からありましたけれども、中小企業団体中央会と、それから産業支援センター、それから県の産業振興公社とタイアップしてそういう創業の芽出しをしていこうという話を今、進めておりますので、是非公庫さんとの情報交換もしていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。ほかにいかがでございますか。

○照喜名委員 13年度実績も含めて毎回ですけれども、農林漁業資金がどんどん減っていく中で、特に漁業者の投資意欲がなくなると言えばおしまいですが、そういう形なのかなと思っておりますが、ひとつ考えてみますと、金融の使いにくい点、利用しにくい点があるのではないかなと、一方ではそういうことも考えたりいたします。
 その理由は、我々が水産の問題をひとつの金融も含めて考える場合、いわゆる水産金融という面で系統の信漁連があったり、農林中金があったりする。そしてまたほかに補助事業については公庫から借り入れる。こういう設備投資については公庫のお世話になっておりますけれども、それ以外のいわゆる経済事業の運営についてはすべて信漁連ということになってしまって、非常に高い利息で現在運営せざるを得ないということで、投資意欲そのものも非常に弱きになってしまう。
 投資や設備まではいいけれども、その後の運転でどうなるかということで、非常に心理面での心配事があって使いにくい点もあるのではないかなと、一方にはそういう考えもあったりしますので、そういう金融機関間の連携プレーといいますか、最終的に消費者がどのぐらいの低い利息でベターなのかというところまで金融機関として融資側の協調の何らかの乖離があって、ある意味では競争もあるかもしれませんけれども、しかし消費者に対してこのぐらいが適当な現在の利息だろうというめどはあっていいんじゃないかと思っているので、私どもが今、使っている利息を申し上げるわけにはいきませんけれども、銀行利息あるいは公庫の利息、すべて農林中金も含めて考えた場合、やがては倍近くの利息を払って運転せざるを得ないような状況に現在あるわけです。ちなみに、合計すると4.24%で運転資金を調達しなければならない。現在、超低利時代で政府の恩恵もあると言いながら、漁業関係はそういう利息で運転をせざるを得ない苦しさもあるんだと。これは別にいくわけにはいきませんので、そういう面で何かあった方がもっと活発な投資意欲も出てくるのではないかなと、ここにきてそういうことを申し上げたいのです。
 実は明後日、6月20日をもって私は漁連会長を退任するわけですけれども、次の後任の会長に対しては水産金融の解決策を課題として引き継いでいくというようなことを考えていますので、ひとつその辺も含めていいお知恵を貸していただければ非常に幸いだと思います。ありがとうございました。

○塚越委員長 これは制度問題ですので、なかなか公庫だけではお答えできないと思うんですが、よく承りましたので。
 ほかにどうぞ。

○普天間委員 協調融資商品、住宅資金の協調融資をしようということで民間金融等にも先ほど来お話がありますが、いまだ検討の段階でございます。これも、こういう商品ができた場合は是非事務方との協議を頻繁にやってほしいと思います。今、一方的にこういう商品がありますということで民間金融機関に言われましても、文書で協議しているものですから非常に時間がかかっているのではないか。このスタートも4月からというのが、まだ6月になっても民間金融機関の3行の方では協議している段階でございます。それはむしろ関係者に集まっていただいて、協議することによってスピーディーに解決できるんじゃないかと思うんです。それが1点です。
 あとは、産業資金についてそういう協調融資をお考えになっていらっしゃるかどうかですね。これも是非そこら辺りをお考えいただきたいと思います。先ほどもお話がございましたが、沖縄においては大きい資金の需要の場合はやはり公庫さんが前になってやっていただきたい。
 ただ、その場合、過去この運営協議会の中でも何回か話が出たんですが、どうも公庫は第1担保で取ってしまって、民間企業は2番、3番となるわけです。そうでなく、初めから協調ということで共同担保みたいな格好で同時の設定で担保を取っていきますよと、そういうことをすることによって民間金融機関から公庫に対するそういう資金の紹介というのも出てくるんじゃないかと思います。
 新規事業の掘り起こしの話がございましたが、民間金融機関が公庫との協調をできやすくするような方法を講ずることによって民間金融機関でもそういう事業の掘り起こしをやって、お互いに事業の創出というのができるんじゃないかと思います。その辺、よろしく御検討のほどをお願いいたします。

○塚越委員長 その点は何か御発言ありますか。

○八木橋理事長 ただいまございました御意見については、私ども何回も聞かせられておるところでございますので、私がここに着任しまして協調融資体制を取っていくためのやり方の改善についてはかなり導入しつつあるという具合に私どもは考えております。
 ただ、この問題は利用者側において私どもの資金をどのぐらいの率で借りたいのかという融資比率の問題と、それからリスク負担をどうやっていくかというようなことと絡み合っておりますので、私どもとしては民間金融機関の方々とのお話し合いの中でその辺を解決していくべく、同時の担保をとる手法というものも取り入れているところでございます。今、申し上げました融資率とか何とかということで個々の事情によって変わってくる場合もございますが、どういうふうにも取れる方策を講じているところでございます。私どもとしては、立上がりのところだけ公庫に持ってきましても、先ほど漁協の方からお話がございましたように、その後、今度は事業運営したり何をしたりするという場合に、民間金融機関の運転資金のお世話にどうしてもならざるを得ないわけです。そうしますと、立上がりのところからむしろ民間金融機関といい関係をつくっておいた方が、その後の事業展開におきましてもいい展望が開けるのではないかという考え方を持っておりますので、今お話があった線につきましては十分私ども心してやってまいりたいという具合に考えています。

○塚越委員長 ありがとうございました。それでは、ここで一応議題の関係はこれで終わりにしたいと思います。
 大分、実は時間が過ぎてまいりましたが、5分間休憩を取りまして、その後に御説明を県の方、それから内田さんの方から伺いたいと思います。それでは、休憩をいたします。
 (休憩)

○塚越委員長 それでは、再開をいたします。

10 沖縄振興計画(県案)について

○塚越委員長 先月、内閣総理大臣に提出されました沖縄振興計画の県案につきまして、沖縄県の与儀企画開発部長に御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○与儀沖縄県企画開発部長 県の企画開発部長の与儀と申します。本日は、沖縄振興計画の県案につきまして、皆様に紹介する場を設けていただきまして大変ありがとうございます。
 この計画は、先ほど武田局長から話がありましたように、5月31日に国に提出しまして、現在国の方で調査審議されているところでありまして、順調にいきますと来月上旬か中旬に向けて決定されるという予定になっております。そういう意味で、案としては約3週間程度のものであるわけなんですけれども、説明させていただきます。15分ほど時間をいただきまして、座って説明させていただきます。概要を差し上げておりますので、概要に沿って簡単に説明いたしたいと思っております。
 まず目次の方をお願いいたします。この計画は4章で構成されておりまして、第1章が「総説」ということで計画作成の意義、目標等について述べております。第2章は「振興の基本方向」ということで、基本的課題あるいは基本方向といったもの等について述べております。第3章は、2章の基本方向を受けまして具体的な施策の展開を述べております。ここでは1から9までの産業から雇用、科学技術、国際交流、環境共生型社会、健康福祉社会、人材基盤、それから駐留軍用地跡地等、すべての計画が網羅されている形になっております。第4章の方では圏域別計画ということで、本県の5つの圏域に分けて、それぞれの地域特性に合わせる形で計画をやっております。
 それでは、1ページの方をお願いいたします。「総説」の「計画作成の意義」を簡単に説明申し上げますと、これまでの3次にわたる沖縄振興開発の成果と課題、これは総点検という格好で出ておりまして、通常これまでの振計は総点検を中心に格差是正ということで足りない分をいろいろ計画していくということでしたけれども、今回は新たな法律に基づきまして計画の方もこれまでの3次にわたる総点検に加えまして、時代の進展に伴い、生じた新たな課題を踏まえる形で沖縄振興策を、これまでの本土とのいわゆる格差是正を基調とするキャッチアップ型の振興開発だけではなく、沖縄の特性を十分に発揮したフロンティア創造型への転換を進める必要があるということで位置付けしております。
 「計画の性格」につきましては、総合的な計画であるということと、この計画そのものが国、沖縄県、市町村についてはその施策の基本となる。県民を始め、企業等の民間部門については自発的活動の指針となります。また、財政投融資などによる民間部門の誘導助成はこの計画に沿って行われるといった位置付けをしております。
 「計画の目標」としましては、沖縄の特性を積極的に生かし、自立的発展の基礎条件を整備し、それと我が国、ひいてはアジア・太平洋地域の発展に寄与する特色ある地域として整備を図っていく。究極の目的は、平和で安らぎと活力のある沖縄県を実現するといった目的であります。
 2ページの方をお願いいたします。「振興の基本方向」ですけれども、まずその前に「基本的課題」をどうとらえるかということで2つの特性、1つは「時代の潮流」です。時代の潮流はいろいろなとらえ方がありますけれども、ここでは少子高齢化であり、地球環境問題であり、国際化進展、そういったいろいろな時代の潮流と、もう一点は沖縄の地域特性、自然的特性等の「地域特性」、こういったいろいろな視点から7本の課題をとらえております。1つは産業の振興、それから国際的な交流拠点形成に向けた結節機能の育成強化であり、それから人々が自然と共生する社会の構築、あるいは人材の育成、社会資本の整備、均衡ある県土の発展、それから駐留軍用地跡地の有効利用等、そういった7つの課題を踏まえております。
 それから次の「基本姿勢」、これはこれまで振計になかったもので初めて導入したものでありますけれども、今後沖縄県がいろいろな振興開発計画に沿って施策展開をする場合に、基本的な姿勢として3点挙げております。1つは「参画者責任」、いわゆる参画と責任を基調に国、県、市町村及び民間部門の役割を明確にした上で一体となって取り組んでいく。それからもう一点は「選択と集中」であります。これから限られた予算、限られた体制、それから限られた時間の範囲内でまんべんなくやるのではなくて、いわゆる効率とその公平の調和を図りながら優先的な課題を選択して集中的に取り組みを行っていく。そういったスタンスで次の10年間に臨んでいきたい。あとは「連携と交流」というのを掲げております。
 そういった基本的課題あるいは基本姿勢等を踏まえまして、「基本方向」として6本の柱を挙げております。
 1点目に「民間主導の自立型経済の構築」であります。これは観光・リゾート産業あるいは情報通信関連産業など、発展可能性の高い産業領域を戦略的に振興するという形で、そのほか既存産業であります製造建設業等、地域産業について市場競争力の強化等を図っていく。
 2点目に「アジア・太平洋地域の発展に寄与する地域の形成」ということで、これにつきましても結節機能を育成、強化して空港、港湾等のいわゆるハードの整備、それから国際貢献活動の促進等、ソフト網を広げていきながら拠点整備を図っていく。
 3点目に「世界的水準の知的クラスターの形成」、これは大学院大学の設置でありますけれども、大学院大学を中心としまして知的クラスターの形成に取り組むとともに、科学技術創造立国を担う人材の育成確保に努めていく。
 4点目に「安らぎと潤いのある生活空間の創造と健康福祉社会の実現」ということで環境共生型社会等、いろいろな抱負を挙げております。
 4ページの方へいきまして、こういったいろいろな産業振興で国際交流拠点というのにかかっていける横断的な施策としまして、まず人づくりと基盤づくりというものがあります。これは学校教育の一層の充実と家庭や地域の教育力の向上を含めまして横断的にやっていく。
 それから、6番目に「県土の均衡ある発展と基地問題への対応」ということで掲げております。
 以下「県土利用の基本方向」、それから「人口及び社会経済の見通し」としまして、平成10年度をベースにしまして、10年後の平成23年には人口が132万人から139万人に増えていきます。それから、県内総生産が平成12年度の3兆4,000億から平成23年には4兆5,000億ということで、約1兆1,000億円の増加を予定しております。
 1人当たりの県民所得が平成12年度の218万円から、平成23年には270万円を超えるという形で想定しております。こういった産業フレーム等も一応想定しておりまして、具体的に第3章の方で「振興策の展開の主要施策」を述べています。ここは先ほど目次で説明しましたように9本の柱がありまして、そのうちの1番目に「自立型経済の構築に向けた産業の振興」ということで、この中では観光・リゾート産業、情報通信関連産業、農林水産業、特自貿等、こういった主力産業に加えまして、地域資源を生かした健康食品産業あるいは環境関連産業、そういったものを重点産業として戦略的に展開していく。
 また、後のポツで書いてありますけれども、概略を申し上げますと、例えば観光でありますと国際的な海洋性リゾート地の形成、あるいは国民の総合的な健康保養の場の形成とか、そういった形で通年滞在型の質の高い観光リゾート地の形成、それから観光客の受け入れ体制の整備とか、あるいは他産業との連携等を図っていく予定であります。
 それから、情報通信関連産業につきましてはマルチメディアアイランド構想という基本姿勢を持っておりますので、これも踏まえて情報サービス、コンテンツ制作、ソフトウェア開発の分野を中心に積極的に情報産業の育成、集中化を図っていく。それに対応する形で人材の早期かつ大量な育成、それから基盤の整備、産業の情報化等を促進する予定であります。
 6ページの方へいきまして、農林水産業につきましては亜熱帯性気候特性を生かす形で例えばマンゴーだとか、いろいろな沖縄ブランドを確立する。その一方で、輸送上の不利性がありますので、そういったものも軽減を図っていきながら技術の開発、生産基盤の整備に努める形にしております。
 次に上からポツの5番目ですけれども、創造性に満ちた新規企業及び新規事業の創出です。これにつきましては、先ほど来公庫の方の新事業創出促進出資業務に関わりますので、ここだけちょっと本版の方で説明させてもらいます。
 冊子の32ページの方を見ていただきますと「創造性に満ちた新規企業及び新規事業の創出」という項目がありまして、その中で具体的に33ページにいきますと、アの方で「新規事業展開の促進と創業支援体制の整備」ということで、かなりボリュームをさいていろいろ述べております。例えば、産業振興構想を中核として各産業支援機関との連携を強化して、研究開発から事業化までの技術面、資金面、経営面の総合的な支援体制の充実強化、あるいは産学官の連携の強化とか、あるいは共同研究とか、それからTLOの創設を支援していわゆる大学発のベンチャーの育成とか、それから健康バイオ、その他産業につきましてはもう既に中部地区の方に国の支援もいただきまして健康バイオ研究開発拠点がスタートしますので、そういったものを核に付加価値の高い新商品の開発、それから海洋深層水、それから34ページにいきましてそうしたいろいろな情報関連等もやるわけなんですけれども、こういったものにつきまして上から6行目にありますように、沖縄振興開発金融公庫の出資制度を積極的に活用し、ベンチャー企業等の新規創業創出を促進するという形でタイアップする形で計画にも位置付けしてあります。そのほか、若い世代の起業家精神の発揚とベンチャー企業への支援のための学生のベンチャー企業のインターン、そういったものも想定しております。
 それで、また先ほどの概要に戻りまして、それ以外にも一般の関連企業についての支援もあります。
 それから、7ページにおきまして上から2つ目の丸で、産業振興を支援する金融機能の充実については、沖縄振興開発金融公庫及び民間金融機関の円滑な資金供給源の円滑化等についても書いてあります。
 2番目が「雇用の安定と職業能力の開発」、3番目に「科学技術の振興と国際交流・協力の推進」ということで、ここでは特にポツの方で世界最高水準の自然科学系の大学院大学を核とした大学、公的研究機関、あるいは民間の研究所などの教育研究機関の整備充実に努めて、科学技術の集積を図る。そのほかにも、子どもの科学技術への関心を高めるための施設等、いろいろ考えております。
 8ページにいきまして、国連機関を含む国際機関の誘致とか、あるいは国際交流拠点のためのハードな整備等についても述べております。
 それから、4の方で「環境共生型社会と高度情報社会の形成」につきましては、ここにありますように循環型社会の構築に向けた廃棄物の減量化であり、リサイクル等の促進とか、いろいろな環境整備に関わるものをやっていく予定にしております。それから、赤土等の流出対策等についても述べてございます。
 9ページの方は高度情報社会の形成ということで、沖縄の場合にはかなり離島地域、本土から遠隔地にありまして、なおかつ沖縄本島そのものが島嶼県になっておりますので、効率的ないろいろな運営をやるためにも情報化社会というのは非常に大事でありますので、そういった実現に向けたいろいろな整備もやっていくという形にしております。
 以下、5番目に健康福祉社会の実現であり、それから10ページへいきまして「多様な人材の育成と文化の振興」の方でも初等教育から高等大学教育における人材育成等について述べております。
 11ページにおきましては、同じく「持続的発展を支える基盤づくり」につきましては那覇空港の整備、那覇港の整備、それから都市モノレールと他機関との連携とか、鉄軌道を含む交通システムについての調査検討、それから12ページへいきまして情報通信基盤の整備、あるいはダム、エネルギー等についても述べております。
 それから、8番目の「離島・過疎地域の活性化による地域づくり」につきましても、それぞれの地域の形で農林水産業振興であり、観光・リゾートあるいは伝統工芸産業等、それぞれ離島・過疎地域における地域特性を踏まえた形で産業振興、それから人、物、情報等の交流を活発化するための航空路線網の整備とか、あるいは定住環境の整備、そういったものをやっていく予定にしております。
 13ページにいきまして、9番目の「駐留軍用地跡地の利用の促進」につきまして、これは今回の振計で初めて入ってきておりまして、国、県、関係市町村による跡地対策協議会を新たに設置して、駐留軍用地跡地の利用の体制を強化して、特にSACOの最終報告等で示された返還が予定されている駐留軍用地跡地について円滑な利用を図るためのいろいろな計画をやる予定にしております。
 14ページ以降につきましては「圏域別振興の方向」ということで、沖縄県を本島の方で北部、中部、南部、それから宮古、八重山と5つの圏域に分けまして、それぞれのこれまでいろいろ説明しました施策を更に5つの圏域で地域特性を踏まえる形で産業の振興であり、基盤整備であり、それからそれぞれの地域における居住環境の整備等、いろいろな形で述べてあります。
 以上、簡単でありますけれども、説明を終わらせていただきます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

11 沖縄県経済の現状と見通しについて

○塚越委員長 それでは、続きまして恒例によりまして「沖縄県経済の現状と見通し」につきまして日本銀行那覇支店長の内田委員にお願いいたします。

○内田委員 それでは、私の方から沖縄県経済の現状について御説明したいと思います。まず、お手元の資料の表紙をめくっていただきまして2ページの沖縄経済の全体観でございますけれども、残念ながら私どもの判断は停滞という判断でございます。全国では底入れしたということでありますけれども、沖縄は停滞ということで一歩弱いというふうに判断しております。その理由は、建設・卸売が弱いということが結論でございます。
 2ページをごらんいただきますと、いつものような業況判断DIで3月がマイナス11に対して6月の予測がマイナス19ということで悪化しております。何が悪くなっているかといいますと、その3行下の建設資材が右側の2つ目から1つ目の方に見ていただきますとマイナス15からマイナス43ということで悪くなっていますし、その2行下の建設もマイナス22からマイナス43ということで悪くなっております。それから、その下の卸・小売も卸売が悪いんですけれども、マイナス5からマイナス23ということになっていまして、沖縄はこのところ観光は回復しておりますけれども、建設関係、卸売関係が依然としてまだ厳しいというのが今の状況かと思います。これが全体観でございますけれども、ある意味でよかったのは観光は予想以上に回復しているのかなということです。
 それについて、ページをめくっていただきまして3ページで説明したいと思います。テロ以降の動向を振り返らせていただきたいと思います。
 (1)の「入域観光客数」、10月-12月は9月のテロの後、前年比マイナス18.9%ということで大きく落ちました。それで、1-3月はプラス3.4%に上がりまして、これは政府を始め支援の措置がいろいろとられましたので、そういう追い風に乗って前年を3.4%上回ったということであります。その後、4月、5月、6月の動きを見ていますと、若干のマイナスですけれども、大体前年並みにきています。私どもが思いますのは、この1-3月は相当支援措置がありましたし、2泊3日で2万円ぐらいの相当安い格安ツアーがあってプラス3.4%、4月以降はそういった支援措置がかなり薄まった中での高水準の前年並みということですので、病人にたとえば1-3月は薬で元気がよかった。4-6月は薬が切れたけれども、何とか前年の高い水準を維持しているということでありますので、私どもの判断としては観光については回復してきているというふうに判断しております。
 特に5月から6月にかけて今ワールドカップで、そちらの方にやや関心が強まっているわけですけれども、その割には沖縄は健闘しているかなというふうに思います。この理由としては、どちらかといいますといろいろな大会物といいましょうか、いろいろな団体の全国大会を沖縄でやるといった大口が結構入っているところでございまして、何とかそれで観光客数は前年の高水準を維持しているということであります。
 (2)のホテル稼働率も結構高くなっていますけれども、最近の特徴点はリゾートホテルがいいということでありまして、この10-12月は50%ということで本当に30年振りの低水準にまで落ちたわけですけれども、1-3月は約8割まで上がりまして、これは相当いいです。大体リゾートホテルというのは夏のいわゆる7、8月の夏休みの稼働率は高くてあとは低いわけですけれども、今年は3月辺りでも86%、2月もそうですけれども、かなり高い数字が出まして、むしろオフシーズンにたくさん入ったのでリゾートホテルはかなりよかったという評価かと思います。
 それに比べて、市内の方はそれほどはよくないかもしれませんけれども、いずれにせよ回復しております。去年、テロのときに心配された修学旅行の影響は(3)でございまして、このテロ以降の月別の修学旅行の当初からの予定数が黒い傍線、キャンセルが白い傍線ということで、見ていただくと去年の10-12月はかなりキャンセルが多くて観光に大きな悪影響があったわけでございますけれども、最近この白い傍線が随分減ってきております。4-6月もまだありますけれども、随分割合の比率は下がってきております。今年の10-12月がどうなるかが注目されるわけでして、まだこれから増える可能性はありますけれども、現段階で沖縄県から聞いている限りでは、キャンセルの比率というのはそんなに高くないということであります。
 これと、6月がワールドカップの割に健闘しているということから判断すると、沖縄の観光は回復してきているというのが私どもの判断でして、7、8月はやはり前年並みはいくだろう。10-12月は去年悪かった分、むしろ今年はプラスになるだろうと、私どもはそういうふうに予想しております。
 続きまして、今はいい方の観光でございましたけれども、厳しい方の建設についてお話しします。4ページでありますけれども、一番上の公共工事の保証請負額、これは昨年たまたま4-6月にこの統計では高目に出た裏が出ていまして、今年4月、5月とマイナス4割の大幅な減少になっております。そういうこともあるのですけれども、ただやはり全体として工事量は建設受注額を見ても厳しいということもあります。それから、新設住宅着工も水準は高いのですけれども、去年は前の年に比べて9%増えましたが、今年は更にそこから上乗せというのはちょっと期待できないということがありますので、建設全体として民間の方は住宅は高水準の横ばい、公共関係は少し弱いということがありますので、建設はちょっと厳しいというような予想にしております。
 建設資材の出荷動向を見ましても、鉄筋はいいのですけれども、生コンとか、公共事業に使われるヒューム管を見てみますと、水準が下がっている上に、今年はそれから上乗せも期待できないということで、しばらく建設は要注意かなというふうに見ております。
 次に5ページで個人消費の方でありますけれども、個人消費はよくも悪くもないというのが現状であります。これはむしろ全国に比べればまだ頑張っているということは言えようかと思います。いろいろいいもの悪いものがあるのですけれども、最近3月、4月の動きを見てみますと、以前に比べて少しよくなってきております。百貨店、スーパー、コンビニの売上げもまあまあですし、特に既存店ベースというものを見てみますと、今年に入ってからずっとプラスを維持しております。
 それから、車の売行きもいいです。これは特に沖縄の場合、これまで中古車が多かったのですけれども、最近、中古車を売って新車を買うという人が増えていますので、そういう特殊要因があって沖縄はいいのかもしれませんけれども、全国と比べると様変わりにいいです。それから、家電も悪かったのですけれども、このところちょっとよくなってきましたのはエアコンがよくなってまいりました。これまではパソコンがちょっと悪いので家電はずっとマイナスでしたけれども、新都心で住宅着工といいましょうか、マンションができますと、そのマンションに入れるエアコンが必要だということで、これが売れているということでして、マイナス幅がやや縮まってきたというのが最近の家電の動きであります。
 それから通信費、これは携帯電話中心にやはり非常によくなっております。したがって全体から見ると、そんなに力強さはないのですけれども、悪くはないというような、そんな感じかと思います。ただ、これでそんなに喜べないのは、沖縄の場合にはやはり失業率が高いということがありまして、私どもは季調済みの数字を使っておりますけれども、直近でも8%台という高い水準にありますし、それから給料、賃金の方もそんなにいいわけではない。したがって雇用環境といいましょうか、物を買う環境が非常に厳しいのですけれども、その割には健闘している。
 なぜかというのを考えてはいるのですけれども、一つの答えはやはり人が増えているということかなと思いまして、一番下の「(3)人口の推移」ということなのですけれども、沖縄は賃金は増えておりませんが、とにかく人の数が増えていますので、マクロの消費の統計としてはとりあえずはプラスになる。0.8%ぐらい人口が増えておりますので、それだけ消費が増えればそれはそれでプラスになるわけでありますし、あとは自動車でお話ししましたように、これまで中古だったのを新車に変えているといったこともあろうかと思います。したがって、消費についてはよくも悪くもないですけれども、強いて言えば健闘しているということかと思います。
 それから、今サッカーの日本の決勝リーグをやっていますけれども、ワールドカップの影響というのを6ページに付けさせていただきました。評価は右側の方の2行でして、全国と沖縄というのがあるのですけれども、今日は仙台の方でやっていると思いますが、観光関係ではサッカーを開催する地域についてはプラスになっておりますけれども、やや沖縄が少し忘れられる環境にありますので、私どもとしてはここはちょっと悪影響があるというふうに考えております。ワールドカップがなければもっと来ていたのではないかなということからして、ちょっとバツをつけております。
 一方で、今ワールドカップがありますので個人消費が全国的には盛り上がっています。例えば、もちろん日本戦は普通のテレビで見られるのですけれども、いろいろなゲームを見たいということで特にケーブルテレビ、CS、BSの関係の衛星放送のテレビ、あるいはプラズマが売れているようでありますし、それから青い日本のユニフォームを始めとして、キャンプ地ではそのキャンプを張っている国のユニフォームが売れるとか、それからゲームソフトとか雑誌関係、この辺も売れております。
 地域によっては並んで買ったり、飛ぶように売れるという感じのようでありますけれども、沖縄はどうかといいますと、沖縄の場合にも多少、今、日本チームの成績がいいので動きはありますが、やはりまだやや話題的なところにとどまっているのかなというふうに思っていまして、活気があるというところまではちょっと言えないのかなと思っております。
 これは余談ではありますけれども、このワールドカップを記念して金銀銅の記念貨というのを発行しております。県外では並んで買ったりして、本当に500円玉を探すのが大変だったようでありますけれども、沖縄では5月27日に500円玉の交換をしてから、つい先週の末までは近くの金融機関でもまだ両替ができるといった状況にありまして、やはり盛り上がりは全国に比べればちょっと弱いということであります。消費の6月の盛り上がり効果というのも、ワールドカップという意味ではそれほどは大きくない。多少話題がある程度、少し下支えにはなっているという程度かと思います。
 以上が景気動向でありますけれども、続きまして金融について簡単にお話ししたいと思います。
 7ページの方で預金貸出しの動きなのですけれども、(2)のところで一つだけ御説明が必要かと思います。貸出金がこれまでずっと沖縄では前年比プラスできておりましたけれども、3月にマイナス0.3%ということで久方ぶりにマイナスになっております。これは特殊要因がございまして、コザ信金さんと沖縄信金さんの合併に伴って沖縄信金さんの貸出債権の一部がRCCに売却された。不良債権が売却されたという特殊要因があって減少しておりますので、実態としては貸出動向に大きな変化はないということであります。
 それから、この3月、4月で特徴的なのは次の8ページのペイオフの関係があるかと思います。沖縄のこのペイオフ前後の動きを見ますと、3月の1か月といいましょうか、3月の後半半月といいましょうか、この間にお金が少し動いた。それもいわゆる定期預金から普通預金、当座預金の方の流動性預金の方に動いたということがございました。[1]のところをごらんいただきますと、月別の流動性というのが普通預金、当座預金でございますけれども、2月から3月にかけてまず定期預金の方が前年比マイナス4.8%からマイナス12.8%に大きく落ちまして、その分どこへいったかというと上の方の流動性預金という方に10.5%から21%と、ここに移動いたしました。4月に入ってからどうかというと、末残を見ますとほとんど変わっておりません。したがって、3月の1か月に県内の預金者は定期預金から普通預金等への預け替えをして、その後は落ち着いているというのが今の状況であります。
 それから、ちまたで言われております金融機関から金融機関への大きな動きがあったのかということなのですけれども、[2]の中段をごらんいただきますと、地元の地銀・地銀IIから都銀への預金シフトがあったかどうかということなのですが、結論から言うとほとんどありませんでした。1行目の地銀・地銀IIというのは、この1年間の預金別シェアを見ますとむしろ上がっておりまして、この3月末は74.8%、1年前が73.9%ですから約1%、地銀のシェアは上がっております。これはどこからきたかと言いますと、どちらかというと4行目の農協、漁協がシェアを1%落としていまして、この分が地銀・地銀IIの方に流れてきたという形になっております。それから、都銀については0.6%から0.7%にごくごくわずか増えたという程度でありまして、それほど大きな変化はございません。
 それから、信金も合併がありましたけれども、特に大きな変化はございません。あったとすれば、むしろ農協が少し減って地銀・地銀IIが多少増えたというのが特徴的ではありますけれども、でもこれはほぼ1%以内の動きでありまして、全体的なお金の動きとしては特にそんな動きはなくて、むしろ[1]の方の定期預金から普通預金に預け替えるという動きの方が大きかったと思います。
 ただ、まだ現状は普通預金については全額保護になっておりますけれども、来年の3月末にかけて普通預金も含めたペイオフ解禁という動きの中で引き続き見ていく必要があろうかと思います。
 それからもう一つ話題的なのは、先月、地方銀行の決算が発表になりまして、個別の決算状況については既に各行から説明がされたところでありますけれども、ここで一つだけお話ししておきたいのは、地銀さんの収益が少し上がって、その不良債権の処理額よりも収益の方が上回ったといういいニュースがありましたので、ちょっとこれを御説明したいと思います。
 (5)は、棒グラフが不良債権の処理額であります。一方で、折れ線グラフが金融機関の業務純益といった収益の数字であります。大事なのは、不良債権を処理したときに処理するためのお金が必要でありまして、それを収益から出せるかどうかというところがポイントになるわけです。それで、97年から2000年までずっと棒グラフが折れ線グラフの上の方にありまして、金融機関は不良債権を処理すると、そのお金をどこかから持ってこなくてはいけないということで、いろいろと益出しをしたり、自己資本を取り崩したりということをこれまでやってまいりましたけれども、昨年度、2001年度につきましては、コア業務純益、この折れ線グラフが不良債権の処理を上回りましたので、一応収益の範囲内で処理ができたということであります。
 今後も、私どもも金融機関とともに、まずは棒グラフの方は早く処理しながら、これが余り増えないように一緒になって考えていきたいと思いますし、この折れ線グラフの業務純益も更にいろいろと経費を圧縮したりして上げていくようなことを期待しながら、私どもとしても一緒になって考えていきたいと思っております。
 以上、私の報告を終わりたいと思います。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

12 閉会のあいさつ

○塚越委員長 以上をもちまして、本日予定されておりました議事はすべて終了いたしました。本日、委員の皆様方からいただきました貴重な御意見、御要望は内閣府及び沖縄公庫双方において、今後の業務運営や政策の策定の際に参考にしていただきたいと思います。
 次回でございますが、10月ごろに東京で開催いたしたいと考えております。いずれ事前に御通知を申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、御多忙中のところ大変どうもありがとうございました。以上をもって閉会といたします。