第71回 沖縄振興開発金融公庫運営協議会
日時:平成15年3月10日 午後2時00分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室
2 委員の出席状況及び新委員紹介
3 内閣府沖縄振興局長挨拶
4 沖縄公庫の平成14年度補正予算及び平成15年度予算案の概要について
5 特殊法人等改革について
6 平成14年度の沖縄公庫の活動について(事業の進捗状況及び計画、新規事業)
7 質疑応答等
8 沖縄県経済の現状と見通しについて
9 閉会の辞
1 開会の辞
○塚越委員長 ただいまから、第71回沖縄振興開発金融公庫運営協議会を開催いたします。本日は、御多忙の中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日のこれからの御議論を含め、その成果を今後の運営に十分反映させてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
2 委員の出席状況及び新委員紹介
○塚越委員長 まず、委員の交代につきまして、今回の人事異動に伴いまして、藤井秀人前財務省大臣官房総括審議官に代わりまして、津田廣喜大臣官房総括審議官が新たに就任されました。続いて、委員の出欠状況について御報告いたします。
仲井真弘多委員、大城惟宏委員、吉山盛安委員、崎間晃委員につきましては、御都合により欠席でございます。
津田廣喜委員につきましては、谷口財務省大臣官房政策金融課長が代理として出席されております。
それでは、まず、内閣府の武田沖縄振興局長に御挨拶をお願いしたいと思います。武田局長、よろしくお願いいたします。
3 内閣府沖縄振興局長挨拶
○武田沖縄振興局長 内閣府の沖縄振興局長の武田でございます。国会の関係で大臣が出席できませんので、私から御挨拶を申し上げたいと思います。本日は、皆様方、大変御多忙のところを沖縄振興開発金融公庫の運営協議会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。また、日頃から、内閣府及び沖縄振興開発金融公庫に対しまして多大な御支援、御指導を賜っておりまして、この場をお借りして厚く御礼を申し上げたいと思います。
沖縄公庫は創立以来、本土におきます政策金融業務を沖縄において一元的に行う総合的な政策金融機関ということで、低利かつ安定的な長期資金の供給等を通じまして、沖縄の基幹産業の発展や中小零細企業の経営基盤の安定強化あるいは住宅建設の促進、農林水産業の育成、医療水準の向上など様々な分野で、産業の振興と社会の開発の推進に重要な役割を果たしてまいりました。申すまでもなく、沖縄公庫は、政府の沖縄振興施策と一体となって、これを資金供給面から支援する役割を担っているわけでございまして、民業補完という基本原則を踏まえて沖縄の金融情勢全体に配慮しつつ業務を行っているところでございます。
こうした中で、特殊法人等改革の一環として、政策金融機関についても、そのあり方を含めて見直しが行われたわけでございますけれども、政策金融機関については、昨年12月13日の経済財政諮問会議におきまして、民間金融機能の正常化への道筋を踏まえ、3段階で改革を進めることや政策金融機関8機関について、「廃止・民営化を含めて組織のあり方を検討し、平成19年度末までに現行の特殊法人形態は廃止する」といったこと等が決定をされております。
また、各機関別の検討課題として、沖縄公庫については、「沖縄特利制度のあり方」及び「特定業種向け・産業振興目的の一般的な貸付制度のあり方」の2点が特記事項として掲記されております。
さらに、12月17日の閣議決定において、政策金融については経済財政諮問会議の結論を踏まえ、さらに検討を進めること等が決定されております。
申すまでもなく、沖縄公庫の業務等の見直しにおきましては、沖縄の金融の実情を踏まえることはもちろん、政府の沖縄施策と一体となって沖縄の振興開発を図るという機能が損なわれることがないように、各方面の理解を得ながら対応してまいりたいと考えておりますので、皆様の御支援をよろしくお願いいたしたいと思います。
さて、公庫の予算につきましては、後ほど担当参事官より御説明申し上げますけれども、14年度の補正予算において、中小企業者に対する資金供給を円滑化するための出資金 8億 5,000万円が認められておりますほか、新事業創出促進出資、いわゆるベンチャー出資でございますが、これに充当する資金として新たに7億 5,000万円の出資金が追加されたところでございます。
また、15年度予算案におきましては、事業計画の総額を 2,015億円としているほか、貸付制度面で既存制度の拡充等を行うこととしておりまして、資金需要の動向等を踏まえた十分な額の計上や、沖縄の実情に即した融資制度の充実・改善をいたしているところでございます。
本日のこの運営協議会は、地元の皆様の御意向を公庫の業務運営に反映させる目的で設けられているものでございます。委員の皆様の貴重な御意見は、今後の公庫の業務運営に十分生かしてまいりたいと考えておりますので、忌憚のない御意見を賜りますようによろしくお願い申し上げまして、はなはだ簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。今日はどうも本当にありがとうございました。
○塚越委員長 武田局長、どうもありがとうございました。
議事に入ります前に、本日は、稲嶺惠一沖縄県知事に御出席をいただいておりますので、御挨拶をお願いいたしたいと存じます。
○稲嶺委員 公庫運営協議会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
沖縄公庫におかれましては、昭和47年の設立以来30年間にわたり、エネルギー等の基幹産業の整備をはじめ、中小企業や農林水産業の育成、住宅建設の促進、医療水準の向上等、本県の振興開発に大きく貢献されました。御支援をいただいている都市モノレール事業についても、インフラ整備がほぼ完了し、今年の8月には開業の運びであります。また、一昨年の米国における同時多発テロ事件の影響で、県内観光関連業界の経営環境が悪化している際には迅速な金融支援をしていただきました。おかげさまをもちまして、入域観光客数も回復し、難局を乗り越えることができたものと考えております。平成14年度は、新事業創設促進のための出資の原資が大幅に追加されるなど、産業支援体制の充実が図られました。これまでの御尽力に対し、厚く御礼を申し上げます。
さて、政府は、特殊法人の見直しをはじめとする構造改革に取り組んでいるところですが、沖縄公庫がこれまで果たしてきた役割、これから期待される役割を十分に勘案していただき、その機能が損なわれることのないように期待しております。昨年は沖縄振興特別措置法と沖縄振興計画が実現し、本県は新たな沖縄の創造に向けて歩み出しました。平成15年度は、新たな沖縄県づくりに実質的に乗り出す重要な年であります。県としましては、今後とも国、沖縄公庫との連携を深め、県民と一体となって自立的発展に向けて着実に取り組んでいきたいと考えておりますので、引き続き御協力をよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○塚越委員長 どうもありがとうございました。
4 沖縄公庫の平成14年度補正予算及び平成15年度予算案の概要について
5 特殊法人等改革について
○塚越委員長 それでは、これから議事に入ります。本日の議題は、お手元の資料にございますように、「沖縄公庫の平成14年度補正予算及び平成15年度予算案の概要について」、「特殊法人等改革について」、「平成14年度の沖縄公庫の活動について」及び「沖縄県経済の現状と見通しについて」ということになっております。議事次第は、お手元の資料第71回沖縄振興開発金融公庫運営協議会議事次第にあるとおりでございます。なお、皆様からの御質問、御意見をいただく時間は後ほど用意してございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、沖縄公庫の平成14年度補正予算及び平成15年度予算案の概要及び特殊法人等改革につきまして、沖縄振興局の馬渕参事官から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○馬渕調査金融参事官 馬渕でございます。よろしくお願いいたします。
お手元の資料に一連の通し番号を打っておりますので、2ページを御覧いただきたいと思います。そこに、平成14年度補正予算及び平成15年度予算案の数字を載せております。
最初に、平成14年度補正予算案について申し上げます。平成14年12月に、改革加速プログラムというものが決定されまして、その一環として補正予算が組まれたわけでございますが、沖縄公庫の場合は、中小事業者に対する資金供給の円滑化を図るための財源手当てと、ベンチャー企業に対する出資の財源手当ての2点が補正予算の対象となりました。前者につきましては8億 5,000万円、後者につきましては7億 5,000万円の出資金が認められまして、都合16億円が補正予算で追加されております。
次に、平成15年度予算の数字でございますが、これは、10月28日の運営協議会で御説明しました予算要求時と変わっておりません。事業計画全体が 2,015億円、内訳は、貸付が 2,010億円、出資が5億円でございます。出資の内訳は、第3セクター等に対する出資が3億円、ベンチャー事業等に対する出資が2億円で、都合5億円を計上しております。
資金交付計画は全体で 1,962億円、内訳は、財政投融資等で 1,600億円、繰越金で 362億円でございます。
次に補給金等でございますが、公庫は収支差補助法人になっておりまして、51億 8,000万円が予算上手当てされております。
これが数字の概要でございます。
3ページを御覧いただきますと、平成14年度補正予算で手当てされた8億 5,000万円の出資金の充当目的を掲げております。中小企業者に対する資金供給の円滑を図るということで、いわゆるセーフティネット貸付あるいは事業再生支援貸付、こういったものの充実強化を行う、再建に取り組む中小企業者に対する貸付制度の創設等を行うということで、中小公庫及び国民公庫並びで、既存の融資制度の充実改善等を図っております。それらの財源として8億 5,000万円の出資金が手当てされたということでございます。
4ページを御覧ください。平成15年度予算で行います制度の充実改善の内容を掲げております。2点ございまして、1点目は「赤土等流出防止低利」の創設でございます。産業開発資金、中小企業資金等の貸付対象者が対象になるわけでございますが、そこに書いてあるような条件に合致する者に対して、5年間に限り、本来適用される利率から 0.2%控除した利率で貸付を行うというものでございます。
2点目は、「自由貿易地域等特定地域振興資金貸付」の拡充でございます。自由貿易地域並びに特別自由貿易地域内で、主務大臣から認定を受けて事業を行おうとする者で、同地域への入居が決定している者も貸付の対象に加えるということで、要件を緩和するものでございます。
この2点が平成15年度から行います制度の改善でございます。
3点目は、これは毎年つけているものでございますが、他の政策金融機関、本土公庫と横並びで沖縄公庫の制度も改善していくというものでございます。
それから、残念ながら、15年度予算要求等では認められなかったものとして2つ載せております。「金融業務特別地区振興貸付」と「沖縄情報通信産業支援貸付」については、残念ながら認められませんでした。
5ページを御覧ください。平成14年度補正予算で手当てされた出資金のうち、いわゆるベンチャー事業等に対する出資の財源となるものについて、政令で金額を手当てしたという説明でございます。ベンチャー事業等に対する出資は、当然のことながらリスクを伴うということで、沖縄公庫の経理上は別勘定で経理しております。その上限の金額は政令で定めているわけでございますが、14年度補正予算で約7億 5,000万円増加されましたので、既存の8億 5,000万円に加えて16億円にするという政令改正を行いました。施行日は3月5日でございます。
このベンチャー事業等に対する出資でございますが、そこに条件が3つ書いてございます。沖縄において新たな事業の創出を促進するために、新たに事業を開始しようとする者、事業を開始した日以降5年を経過していない者、新たな事業分野を開拓する者に対して出資を行うということでございます。
14年度につきましては、1億円の財源を計上しております。15年度は2億円ということで、先ほど御説明したとおりでございます。この財源が、増資後、都合16億円になったということでございます。
御参考までに、14年3月末の公庫の資本金について載せております。増資前のベンチャー事業関係の資本金が8億 5,000万円、一般の資本金が 677億 3,000万円でございます。
6ページでございますが、14年度におきましてベンチャー事業関係の出資を行った実績でございます。予算上は1億円を用意し、3件、 7,000万円実行いたしております。
7ページを御覧いただきたいと思います。沖縄公庫では住宅ローンに関する証券化支援事業を15年度から開始することにしております。沖縄公庫は、沖縄において住宅公庫並びの業務を行っておりますが、住宅公庫が民間金融機関等による長期固定金利の住宅資金の供給を促進するために、住宅ローン債権の証券化支援事業をお始めになるということで、沖縄公庫も沖縄においてそれを行うために、こういった制度を設けたものでございます。
この証券化支援事業には2つのタイプがございまして、買取型と言われるものと保証型と言われるものでございます。いずれも民間金融機関等が今後新規に融資する長期固定金利の住宅ローンについて証券化を行うものでございまして、買取型は、民間金融機関等の住宅貸付債権を住宅公庫が買い取る、その買い取った貸付債権を信託会社等に信託し、それを担保に債権を発行して投資家に販売するというものでございます。沖縄公庫は住宅公庫の委任を受けまして、民間金融機関の債権の買取代金の支払い等を受託するというスキームになっております。
それから、保証型は、政令とか通達で、もう少し中身が詰まらないとはっきりしたことは言えないのですけれども、民間金融機関の住宅資金に係る貸付債権であって、なおかつ住宅公庫が住宅融資保険制度により信用を補完しているものが対象になります。この住宅融資保険制度というのは、住宅公庫と金融機関との間の保険関係でございまして、顧客は、とりあえずは関係ございません。そういった要件に合致する債権について、買取型と同じような手順を経まして、信託の受益権を民間金融機関から特定目的会社に売却し、特定目的会社が特定の社債を発行する。そして、それを投資家に販売するというスキームでございます。その特定目的会社が販売する特定の社債について、期日どおりに元利金の支払いが行われることを住宅公庫が保証するというものでございます。沖縄公庫は住宅公庫から委任を受け、そういった業務の一部を受託するということでございます。
7ページに戻っていただきたいと思います。そもそもこういったものを沖縄公庫がなぜ独自にやらなくて住宅公庫の委任を受ける形をとったかといいますと、1つは、スケールメリットの問題がございまして、沖縄の民間金融機関等から、こういった債権を購入し、マーケットで販売していくに十分なロットが集まるのかどうかという点がありました。もう1つは、こういったことをやるには、大がかりな電算のシステム開発が必要であること等を勘案し、住宅公庫の委任を受けてやらせていただくという整理をしたわけでございます。所要の法律改正は、住宅公庫法の方でやりまして、その附則で沖縄公庫法も改正するという手当てをすることにしております。住宅公庫から委任を受けて仕事を行うことにつきましては、既に住宅融資保険という先行事例がありますので、それに準じた扱いをすることにしております。
以上が予算関係の概略の御説明でございます。 次に、特殊法人等改革ということで、資料10ページに進みます。特殊法人等改革につきましては、昨年来いろいろ検討されていたわけでありますが、平成14年12月13日に、経済財政諮問会議で大きく2つのことが決定されました。1つは、改革達成に向けての道筋をどうするかということ、2つ目は、政策金融のあるべき姿の実現をどうするかということでございます。
少し復習も兼ねて11ページを先に御覧いただきたいと思います。そこに、平成13年12月19日の「特殊法人等整理合理化計画」ということで、閣議決定の概要が書いてございます。これは大きく2つに分かれておりまして、1つは「事業について講ずべき措置」、2つ目は「組織形態について講ずべき措置」ということで、沖縄公庫につきましては、事業について講ずべき措置として6項目のことが言われております。このうち上の5項目については既に措置済みでございます。最後に残りました「政策金融について評価手法を検討し、その結果を反映させる仕組みを検討する」という点でございますが、この点についてはただいま検討中でございます。
なぜ検討中かと申しますと、沖縄公庫は本土公庫並びで、例えば国民公庫、中小公庫、そういった公庫の業務を沖縄においてやっておりますので、国民公庫とか中小公庫等で確立された評価手法を準用してやる必要がある、軌を一にしてやらなければならないということで、全体の進め方をどうするかを検討しておるからでございます。
それから、平成13年12月19日の計画では、組織形態は経済財政諮問会議において14年年初に検討を開始し、その結果を踏まえて結論をということが決められたわけでございます。それに基づいて、14年12月の決定があったということでございます。
10ページに戻っていただきたいと思います。最初の「改革達成に向けての道筋」でございますが、そこは、いわゆる3段階方式ということで決定を見たわけでございます。その3段階というのはどういったことかと申しますと、平成16年度末までは、金融円滑のために政策金融を活用する。平成17年度から19年度までは、あるべき姿に移行するための準備期間として位置付ける。それから、平成20年度以降は、速やかに新体制に移行するということでございます。こういった3段階の手順を踏んで政策金融改革を行うということでございます。
それでは、政策金融改革の行き着く先は何処かといいますと「政策金融のあるべき姿の実現」の「対象分野の厳選」のところに、こう書いてございます。「遅くとも平成19年度末までに、‥‥別添2に掲げる事項に留意しつつ、国として政策金融の手法を用いて真に行うべきものを厳選する」となっております。この「別添2」というのは、同じページの一番下に書いてございますが、8つの政策金融機関についてそれぞれ別添事項があるわけでございますが、沖縄公庫の場合は2点が別添事項になっております。
1点目は、沖縄特利制度のあり方でございます。これは、沖縄公庫の場合、一般的に貸付の基準金利を、本土公庫と比べて 0.3%低くしております。もともとこれは 0.7%とかそういったレベルのものでありましたが、それを 0.3%まで下げてきております。それをどうするかという問題でございます。
2点目は、特定業種向け・産業振興目的の一般的な貸付制度のあり方でございます。沖縄公庫は、基幹産業の支援と地域産業の振興を一方の旗印として掲げておりますので、いわゆる産業開発資金のうち大企業向けのものをどうするかといった趣旨で書かれたものでございます。
ここのところは重要なポイントですので、行革事務局等々ともいろいろ議論しましたが、結論的に申し上げれば、この2つのことについて、ただちにやめるという議論ではございません。政策金融機関のあるべき姿について考える際に念頭に置いて、存続する場合あるいは廃止する場合、それぞれ理由付けをきちんとした対応を行うということでございます。常にこれを念頭に置いて今後のことを考えるという趣旨でございます。
それから、事業規模の半減というとこでございまして、現行政策金融機関8機関の貸出残高について、将来的に対GDP比率で半減するということになっております。GDPが伸びなければ融資を減らしていくという計算になります。それを目指すということでございます。
そして、これらの見直しとあわせつつ、平成19年度末までに現行の特殊法人形態は廃止することになっております。特殊法人としての「○○公庫」といった形態はなくなり、新たな形態にする。国として必要な政策金融機能を担う後継組織については大胆に統合集約化を進めることになっておりまして、その新たな組織は、次に掲げてあるような6項目について、きちんと対応したものになるということでございます。
これが、平成14年12月13日の経済財政諮問会議の決定でありまして、この決定を閣議決定のレベルに持っていくということは行われませんでした。ただ、これを受けて、平成14年12月17日に「道路関係四公団、国際拠点空港及び政策金融機関の改革について」という閣議決定が行われておりまして、そこに政策金融機関について書かれております。「政府は、経済財政諮問会議の結論を踏まえ、経済情勢を見極めつつ」云々とございまして、「特殊法人等整理合理化計画の着実な実行等の措置を講じる」となっております。
したがって、平成13年から行われました一連の特殊法人改革の中の政策金融改革として今後対応していく事項は、平成14年12月13日の経済財政諮問会議の決定、それから、平成13年12月の閣議決定で1つだけ残っております政策評価の問題、こういうことになってくると思います。
以上でございます。
○塚越委員長 ありがとうございました。
6 平成14年度の沖縄公庫の活動について
次に、平成14年度の沖縄公庫の活動につきまして、沖縄公庫の原田総務部長から説明をお願いいたします。原田さん、よろしくお願いします。○原田沖縄公庫総務部長 沖縄公庫の総務部長の原田でございます。よろしくお願いします。
それでは、私から、12ページからの資料について御説明をさせていただきます。
まず1枚めくっていただきまして13ページでございます。ここには、平成14年度の四半期別事業計画及び資金交付計画を掲げております。御承知のとおり、沖縄公庫は、各四半期ごとに事業計画と資金計画を策定し、主務大臣の認可を受けて事業を行っているところでございます。現在は第4四半期ですけれども、右から2つ目の欄を御覧いただきますと、事業計画については、貸付が1,120億1,000万円、出資が3億3,000万円を計画しておりまして、合計では1,123億4,000万円という事業計画になっています。これは、年間の予算から第3四半期までの実績見込みを差し引いた金額となっているところです。下の欄が資金交付計画でございます。資金交付計画につきましては、貸付が1,116億1,200万円、出資が3億3,000万円、合計1,119億4,200万円となっているところでございます。
1枚おめくりいただきまして14ページでございます。ここには、平成14年度第4四半期の資金計画を掲げております。この表は、今年の1月から3月までの第4四半期に予定されている収入・支出を現金ベースで示したものでございます。
次の15ページの事業実績の推移の表を御覧いただきたいと思います。沖縄公庫の平成14年度の事業実績の見込みについて御説明をいたしたいと思います。資料では、12年度、13年度が当初計画と実績を掲げております。14年度につきましては、当初計画と1月時点での実績見込みを掲げているところでございます。初めに、右から2つ目の大きな欄の14年度の欄を見ていただきますと、まず貸付につきましては、当初計画が2,180億円でございました。これに対しまして事業実績の見込みは当初計画よりも700億円減の1,481億7,600万円であり、計画の達成率は68%になっています。その下の括弧の欄は、住宅資金を除いた貸付でございますが、これにつきましては、当初計画1,420億円に対して実績見込みは1,025億4,300万円となっておりまして、計画達成率は72.2%となっています。
御承知のように、今年度は、昨年度から引き続きまして、景気回復の足どりが重く、民間企業の設備投資に盛り上がりが見られないことや、個人の住宅資金の需要が落ち込んでいることなどから、資金需要は低調裏に推移してきているところでございます。
それでは、資金別に見ていただきますと、上から3つ目ですが、産業開発資金につきましては、計画が560億円に対して実績見込みは439億円余の額となっており、当初計画に比べると121億円の減になります。これは、電気事業、不動産賃貸業や運輸通信・倉庫業で大型投資の資金需要が見込まれておりますが、小売業やホテル業の資金需要が大きく減退すると見込まれていることによるものです。ただ、個別の案件につきましては、8月に開業する都市モノレール事業への融資面での対応や、環境関連、リゾート開発融資などの分野で民間銀行との協調融資なども実行しております。
その下の欄は、中小企業等資金でございますが、計画が710億円に対して実績見込みは506億円弱となっており、当初計画と比べて204億円の減となっております。これは、景気回復の足どりが重く、設備投資の不振を背景に、引き続き資金需要が弱含みで推移しているためでございます。
この資金に関連しまして、セーフティネット貸付につきまして実績を若干ご紹介させていただきますと、昨年末現在でセーフティネット貸付は86件、58億9,100万円の実績となっています。件数では前年同期比で43%増、金額ベースでは67%増の実績となっています。
また、いわゆるテロ資金、沖縄観光関連業者緊急特別貸付の実績でございますが、10月28日で期間終了となりました。平成13年度が314件、92億2,700万円の実績であり、14年度は44件、7億円強の実績でした。
また、中小企業等資金につきましては、セーフティネット貸付以外にも公庫の取組みとして、物的担保がない場合、知的所有権担保、特許権を担保評価するような形の新たな貸付手法を開発しまして、貸付を実行しています。
続きまして、住宅資金でございます。計画額760億円に対して456億円余の実績で、当初計画に比べて304億円の減となっています。これは、個人住宅の受理件数が、所得の伸び悩み等に起因し、前年度に比べて低い水準で推移してきていることによるものです。現在まで、第5回の申込受理戸数が実績として上がっていますが、前年度比48.9%の減という状況になっています。
その下の農林漁業資金でございますが、70億円の計画に対して28億円弱が実績見込みであり、当初計画に比べて42億円の減となっています。農林漁業を取り巻く状況は依然として厳しく、資金需要は低調になるものと見込まれています。
医療資金につきましては、計画額40億円に対して実績見込みは16億円余で、当初計画額に比べて24億円の減となっています。今年度は、病院の新築等の大型案件がありましたものの、全体としては資金需要は引き続き低調であります。
その下の生活衛生資金でございますが、計画額40億円に対して36億円余の実績を見込んでいます。入域観光客数の増加などを背景にして生活衛生関係業者の資金需要が根強く、堅調に推移してきています。
次に出資の関係ですが、企業に対する出資につきましては平成14年度の予定はございません。
新事業創出促進出資につきましては、先ほど参事官からも御説明がありましたけれども、沖縄振興特別措置法の重点施策でございまして、現状では当初計画どおり1億円を見込ませていただいております。出資につきましては、12月までに3件、7,000万円を出資済みです。前回の運協で、化粧品メーカーへの出資について御報告をさせていただきましたが、それ以降、ソフトウェア業に1,000万円、リサイクルプラント及び軽量資材販売業に 2,500万円の出資を行っています。今後も3月中に1件の出資が見込まれているところでございます。
以上が平成14年度の事業実績見込みでございますが、これに対する資金交付計画は、下の欄でございますが、合計で1,381億 700万円を予定しております。当初計画に比べますと、711億2,400万円の減となっています。
なお、16ページは、参考までに金利改定の概要を添付させていただきました。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。
○塚越委員長 どうもありがとうございました。ここで、質疑に入ります前に、沖縄担当部局の事務方の責任者でもあります大坪内閣府審議官に御発言をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○大坪委員 私も皆さんと同じで、委員ではあるのですけれども、今回の運営協議会はちょうど年度末という状況でもありますので、私から、最近の沖縄政策の状況、去年から今年にかけて、ごくごくかいつまんで数点申し上げたいと思います。
先ほども沖縄の振興特別措置法が話に出ておりますけれども、昨年、新法ができたわけでございます。それまでは、沖縄振興開発と言って、「開発」という言葉があったわけでございますが、今後の沖縄振興のあり方を考えたときには、経済の自立的発展という観点を重要にすべきだろうということで、その象徴ともいうような観点を踏まえて「開発」という言葉は使わなかったという新法の体制ができたわけでございますが、それに基づきまして各種の事務が進められてきております。沖縄振興計画の策定あるいは観光、情報通信といった世界での各種の分野別計画もできましたし、様々な地域指定についても指定がされてきたということで、振興法は着実に動いてきているという状況にあるわけでございます。
それを推進するための裏打ちとしての国の予算につきましても、今、国会で審議いただいているわけでございます。平成15年度の当初予算としては 3,073億円、対前年比で見ますと若干のマイナスではあるわけでございますが、今年の15年度予算は、御承知のとおり、14年度の補正と一体的に編成する方針のもとで補正予算ができたわけでございまして、それを入れますと、14年度補正と15年度をあわせまして3,398億円ということで、前年比 6.6%増という予算が今できているわけでございます。
これは、先ほど知事も言われましたように、新土俵での沖縄振興を考えるときの実質初年度予算という位置付けもあるわけでございますが、必要な事業執行についてはしっかり計上できたものと考えているところでございます。
それから、昨年は、御承知のとおり、夏から秋にかけて失業率がかなり悪かった状況にございます。たしか9%を超えた月もあったと思います。そういう意味で、沖縄における雇用問題が喫緊の課題になりました。これにつきましては、11月に、関係省庁あるいは地元の県市町村の方々と会議を設けまして、様々な検討を行い、12月に沖縄政策協議会において産業雇用対策の追加的実施を決めたわけでございます。これを実施するための財源措置としては、調整費と補正予算の活用により、予算規模で360億円、事業規模で430億円の措置をとった次第でございます。
それからもう1点、大学院大学でございますけれども、これは昨年6月、万国津梁館で第2回の国際顧問会議が開かれたわけでございます。国際顧問会議は、今年1月、第3回がアメリカのサンフランシスコで開催されまして、知事にも御出席いただいたわけでございますが、ここでは、基本計画を具体的に推進するための協議会を設けることと、その議長には、フリードマン先生、副議長にはブレア教授になっていただくことが合意されました。この基本構想推進とは、ある意味で車の両輪になります立地の問題につきましては、昨年12月に県から3つの区域の推薦がありました。
これにつきまして、今、有馬先生を座長といたします構想検討会でいろいろ検討が進んでいる状況にあります。検討会の先生方には、現地も見ていただきました。その際、いろいろな御注文、御意見がありましたので、その辺を踏まえての事務的な現地調査もいたしました。そのような状況のもとで、今日の夕方からでございますけれども、検討委員会を開く状況になっておりまして、そのような経緯のもとでの説明をし、意見交換がされる状況に今あるわけでございます。
それから、普天間の基地移転の関係につきましては、昨年7月、移転先の代替施設をどうするかということにつきましての基本計画が7月に決められまして、それに基づきまして、今、建設についての諸事務が進んでいるわけでございますが、今年の1月には、その建設に関する様々なことを調整するための代替施設建設協議会が設けられております。
それから、普天間を含みます様々な基地の跡地利用の問題につきましては、昨年9月、跡地利用対策協議会が設けられて、いろいろな点での検討が進んでいるわけでございます。昨月2月には、沖縄現地におきまして、関係市町村の方々といろいろと意見交換、情報交換もしている状況にあります。
かいつまんで申し上げましたけれども、昨年から今年にかけての施策の状況はこのような点でございます。
7 質疑応答等
○塚越委員長 どうもありがとうございました。それでは、これまでの議事を通じまして、御質問、御意見等をお伺いいたしたいと思います。いかがでございましょうか。
○大城(勇)委員 大城でございます。
平成15年度においても、沖縄公庫さんが、ぜひセーフティネットの役割をさらに発揮していただきたいと期待もしております。ただ、現在の状況を見ますと、公庫さんと私ども民間金融機関の競合という問題が、いろいろと影響も大きくなってきております。今さら公庫法第1条の趣旨を申し上げる必要もないかとは思うのですけれども、現在、沖縄公庫さんが、沖縄県内におきまして、私ども民間金融機関の優良取引先に対する肩代わりの推進、公庫役職員による企業を直接訪問しての融資セールス、公庫融資の折り返し推進をしておられますが、こういったことは明らかに公庫法にも抵触する問題で、論外なことではないかと考えております。こういった現状について、公庫サイドの認識と、具体的な改善策、こういったものについてぜひお考えをお聞きしたいと考えております。
○塚越委員長 理事長、いかがでございますか。
○八木橋沖縄公庫理事長 今、大城委員からお話もございましたように、沖縄公庫の役割は、政策金融という手法で沖縄における経済振興、社会開発を進めることにあるわけですが、最近では、県内の経済金融情勢に対応したセーフティネットの役割がかなり大きくなっております。例えば、先ほど知事さんからもお話がございましたような、同時多発テロ発生で、県内経済が苦境に陥ったときに、沖縄観光関連業者緊急特別貸付を実施するなど、当公庫としては、政策の必要性がある場合には、緊急に全力を挙げて対策を講ずるということをとってきたわけでございます。
また、現在の状況の中で、去る2月24日に、金融庁主催で開催されました年度末金融の円滑化に関する意見交換会にも、他の政府関係機関とともに私ども公庫も呼ばれまして、竹中大臣等から資金供給の円滑化に格別な配慮をするようにという要請を受けたところでございます。
こういった仕事をどういった形で進めていくかに関して、今、大城委員からお話があったわけでございますが、公庫の運営につきましては、御指摘のように、民業補完を旨として、民間金融機関との関係につきましては、私どもも十分に気を使っているつもりではございます。数字で見ましても、先ほど説明がございましたように、セーフティネット対策を講じた上での融資実績、融資残高というものは減少してきているわけでございまして、ただいま大城委員から御指摘がありましたようなことに関して、仕事の進め方において誤解を受けているのであるとするならば、私どもは大変遺憾に思うところでございます。
沖縄の経済振興を図るためには県内企業の育成が必要不可欠でございまして、そのため、沖縄県が置かれていた歴史的、社会的なハンディキャップの状況、また、資金力が潤沢ではないということから当公庫が設置されたということもございますが、同じような企業の取り合いをしているという現象が見られるとするならば、それは本意ではないところでございまして、やはり民間金融、また、政策金融、それぞれ立場は違うわけではございますが、それぞれの持ち味を生かしつつ、お互いに協力して県内企業の育成を図っていく。そうすることによって県内経済の振興を進めていきたいというわけで、大城さんのところの銀行協会とは、定期的に意見交換を持つ機会を持っているわけでございますが、そういう場、また、その他の場を通じながら、相補完し、相協力し合って仕事を進めていくという立場は、今後とも保持していきたいと考えます。
なお、総務部長から先ほど説明いたしましたが、公庫におきましても、最近の民間金融でとられておりますことと同じような手法、例えば期間別金利、第三者保証免除先へのリスクプレミアムを導入するといったようなことも進めているところでございまして、民間金融との協調・補完の姿勢は、今後とも私どもは堅持してまいるつもりでございます。
○大城(勇)委員 ありがとうございます。個別については特に申し上げるつもりはございませんけれども、実はこれだけ具体的な事例も出ております。これは、私ども琉球銀行だけではなくて、県内の銀行すべてにあらわれている現象ですので、ぜひ、民業補完という立場で、沖縄県の企業育成のために双方ともに努力をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○塚越委員長 ほかに何かございますか。
○野崎委員 日本経済が非常に苦しい状況にあるという御説明でした。失業率も高いし、名目でGDPも減少しているという状況にありますが、この中で何度か御説明がありましたように、沖縄のベンチャー出資につきましては、総額も倍増し、制度も充実してきたということで、ベンチャー出資に関する事業を重要視する姿勢に関しましては、私は高く評価しております。
沖縄の場合、中小企業白書によりますと、事業所開業率は10.2%とものすごく高い。これは、首都圏とほぼ同じレベルになるかと思います。この現象には、様々な理論づけが可能かもしれませんが、失業率が高い地域ほど開業率が高い、それが統計的には有意であるという説明もありますが、沖縄の起業家精神は非常に旺盛であることの1つの証左ではないかと考えております。
沖縄の経済システムを見ますと、事業所開業率の高さは今後も続く可能性があるのではないかと思っております。まず、新振計では、民間活力の重視、科学技術の促進という新たなファクターが加わっておりますし、さらに2005年には大学院大学の先行となる生命システム研究所というリーディグプロジェクトの設立も想定されているということであります。
それから、特別措置として優遇制度もあるし、特区構想に関しましても非常に議論が盛んであるということで、沖縄での起業に関しましては、県内の人たちの意欲も高く、全国的な制度と比較しても非常に優位にあると考えております。企業が様々な経営戦略とか事業プランを誕生させていくということは、生存競争の中で成功していくことになるわけですが、それがすべての企業のお手本になり、また新しい企業プランが出てくる。要するに、新しいアイデアがそこに生まれてくるという、経済の好循環が期待されるのではないか。その中でのベンチャー出資の重要性が高まることになると考えております。
新しい特区の中で、琉球大学の工学部とか農学部の教員が会社を起こして上場企業まで持っていく可能性も生じてきているわけですから、ベンチャー出資に対するPRと、公的資金出資を大きく育てていくことに関しては非常に期待しております。
○八木橋理事長 ただいま御指摘をいただきました件につきましては、私どもも非常に力を注いでやっていくつもりでございます。開業率も、沖縄では全国平均の倍くらい高かったと思います。ただ、同時に、廃業率も高くて、私どもは、それが定着するように大いに気をつけていかなければならないと考えております。従来からも、創業者支援ということで、融資の方でもメニューをそろえていたのですが、出資業務に関しましては、出資という行為を通じて、その後のアフターケアも十分見ながら、企業が十分育つような形で支援していきたい。このことに関しては、御指摘もございましたが、大いに気をつけながら、また、努力しながらやってまいるつもりでございます。
○武田局長 私からちょっと補足させていただきます。
先ほどもお話ししておりますが、特に産官学等を通じた新しい企業の育成とか、そういった面は、尾身前大臣当時から内閣府沖縄担当部局としても取り組んでおります。その中で、先ほどちょっとお話がございました大学院大学の関係でございますけれども、2005年とおっしゃいましたが、実は、来年度といいますか、この4月以降に始まる年度で、大学院大学で研究費が昨年の予算で10億円が認められております。これを活用して、沖縄県内に研究拠点を先行的に整備します。そういった活動を通じて、新産業の育成とか、そういったものにつながるような形でスタートさせたいということで、今、県の事務方等とも相談を始めているところでございます。そういった試みも積極的に進めていきたいと思っておりますので、またよろしくお願いいたします。
○塚越委員長 ほかに何かございますか。せっかくの機会でございますので、ぜひ率直な御意見を承りたいと存じます。
○内田委員 沖縄特利制度のことでお伺いします。
沖縄の特利制度は、今の沖縄の所得水準、失業状況あるいは経済の脆弱性を勘案して、これは必要なものだと思っております。ただ、従来は金利水準が、3~4%ぐらいに対して特利 0.3%だったわけですが、最近のように金利が下がってまいりまして、基準金利が1%台、あるいは、住宅でも2%となりますと、 0.3%というこの幅が、水準としてはかなり目立ってくるような感じがあります。これについて、これからいろいろと御議論されて、この辺についてのあるべき姿をお考えになると思いますが、その辺の水準に対しての論点みたいなものがありましたら、お教えいただきたいと思います。
○馬渕参事官 行革事務局で議論したときは、そういった数字の話はなかったのですけれども、私どもは当然、金利がどれくらい違うのかということは念頭に置いておりまして、最近1年間ぐらいの、沖縄の地銀3行の新規の長期金利と本土の地銀の長期金利の比較をしますと、約 0.6%の開きがあるようでございます。それに対します0.3%ということでございますから、沖縄において基準金利額を引き下げる特利制度を持続していく意味合いはあると思っております。
○塚越委員長 よろしゅうございますか。
○内田委員 はい。
○塚越委員長 ほかに何かございますか。
よろしゅうございますか。それでは、ただいま委員の皆様方からいただきました貴重な御意見、御要望は、内閣府及び沖縄公庫双方におきまして、今後の業務運営や予算要求の参考としていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、恒例によりまして、沖縄県経済の現状と見通しについて、日本銀行那覇支店長の内田委員に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
8 沖縄県経済の現状と見通しについて
○内田委員 それでは、沖縄経済の現状と見通しについて、資料に基づいてお話ししていたきいと思います。まず1ページを御覧ください。「短観から見た沖縄経済」ということで、いつも御覧いただいておりますが、網かけした「DI」のところが、沖縄経済の体温計のようなものになっております。この動きをみますと、ちょうど一昨年の12月、アメリカの9.11のテロの影響で、マイナス18という非常に厳しい数字となりました。そこから、多少波はうっておりますけれども、少しずつ持ち直しておりまして、去年12月はマイナス3まで改善しました。
改善してきた理由でございますけれども、業種別にみますと2つありまして、観光と建設が改善しております。観光につきましては、下から2行目の「サービス」というところにホテルが含まれておりますけれども、入込客数の増加で、ホテルがマイナスからプラスに改善しております。運輸の方も、価格は厳しいのですけれども、客数が増えているので、航空関係が改善しております。
2つ目に改善している業種は、建設関係でございます。非製造業の建設は、9月のマイナス43をボトムにしてマイナス38と改善しておりますし、建設資材もプラス14ということで、水面上にあります。これは、上期の公共事業請負額が出遅れた分が下期に出ておりまして、それを反映したものだと判断しております。この間、かなりウエートの大きい卸・小売はプラスで動いております。
次回の3月調査は、今、私どもで調査中でございまして、4月に発表になります。ただ、前回予想に比べまして、他の調査では観光は予想以上に好調になっているようでございます。
以下では、最近、好調な観光と建設を中心にもう少し細かくみてまいりたいと思います。2ページをお開きください。まず観光でございますけれども、 (1)入域観光客数はこのところ好調に推移しております。去年が低水準でありましたけれども、一昨年に比べても10%程度増加しておりまして、非常に入ってきている状況でございます。観光客の中身をみますと、修学旅行は、
13年度はテロの影響で減りましたけれども、 (2)の14年度をみていただきますと、個人及び一般団体がかなり増加しております。この個人・一般団体が増加している理由でございますけれども、今沖縄はブームになっておりまして、年齢を問わず、かなりの人気でございます。これは、健康志向もありますし、癒しもあります。NHKの紅白で沖縄関係者がかなり出演されたということもあります。2つ目は、年末年始にかけて、海外ではグアムの台風の影響があって一部ツアーがとりやめになったり、東南アジアのテロの影響で、宮古、八重山にシフトするといった動きもあります。今後もこのブームが続くように対応していくことが大事かと思われます。
(3)はホテルの稼働率ですけれども、こちらも好調でございまして、軒並み前年を上回っております。
続きまして、観光についてもう少し中期的に、最近はどのようなことが起きているのかを3ページで御説明したいと思います。まず(1)の客単価でございますが、テロの関係で、去年の1-3月はかなり値段を下げてお客を呼び込み、前年を5%から7~8%下回る状況でございましたけれども、その後、少しずつ回復しております。最近特に目立つのは、リゾートと市内ホテルを分けますと、テロが起こるまでは、那覇市内ホテルの方が値段がよかったのですけれども、テロ後の回復過程では、リゾートの方がより回復がみられておりまして、那覇市内ホテルは引き続き値戻しが遅れている状況にあろうかと思います。
それは、(2)の稼働率を見ていただいても同じでございまして、従来から那覇の市内ホテルは80%くらいの稼働率で、今も変わっておりません。これに対してリゾートホテルは、平成9年は66%ですが、最近は76%まで上がってきておりまして、稼働率がリゾートホテルで上がってきていることが御覧いただけようかと思います。
なぜ、最近、那覇市内の方が少し厳しくて、リゾートの方が少し良くなってきているのかということですけれども、2つの理由を挙げておきます。まず、那覇が厳しい状況は、(3)の那覇市内ホテルの形態別客室数の推移を御覧いただきますと、このところ、新しいタイプのローコストホテルあるいはウィークリーマンションといった形態の宿泊施設が増えてきておりまして、これに押される形で那覇市内ホテルも少しずつ数が減ってきております。平成12年の東急ホテル、昨年のオーシャンビューホテルの閉鎖が象徴的でありますけれども、ホテルの客室は減っております。しかし、新しいタイプの宿泊施設が増えておりますので、全体としては増えておりますし、なおかつ価格の安いところが増えております。特に、モノレールが今年の8月に開業になりますけれども、それをにらんだ進出もございまして、那覇の方は引き続き競争が厳しいといった状況でございます。
2つ目の点は、レンタカー利用者が増えておりまして、那覇に泊まるというよりは、空港から北部のビーチに直接行ってしまう傾向も強くなっております。一番下の(4)はレンタカーの利用者数を棒グラフで示しております。これに1台当たりの平均搭乗者数3人を勘案しますと、現在、沖縄観光客数に占めるレンタカー利用者の割合は、従来の37%から現在は46%、14年度はさらに上がっていると思われますので、半分近くはレンタカーを利用するといった状況でございます。また、那覇市内では駐車場の問題、渋滞の問題もありますので、これもリゾートホテルの方へ流れていく力になっているかと思われます。全体としては、沖縄の観光は良いわけではありますけれども、今後、那覇市内の中堅ホテルについては、さらなる対応が必要かと思います。
観光について今後の懸念材料は、現在のイラクをめぐる状況であります。4ページで、過去の湾岸戦争とテロのときに沖縄観光への影響はどうであったかを簡単に整理しておりますので御覧ください。(1)の湾岸戦争時の影響につきましては、平成3年1月17日に戦争が勃発したわけですが、細い実線の海外旅行への出国者数が2月、3月と3~4割減少しました。テロが起きた平成13年につきましても、やはり3~4割、期間的にも落込み幅でも大きくなっておりますけれども、海外旅行は減っております。
これに対して沖縄への観光客の入込状況は、湾岸戦争の時は3か月、3%程度減少いたしましたけれども、前回のテロ事件の際には、一番大きな時で24.4%の減少になりまして、かなり影響が大きかったわけであります。この2つを比べますと、沖縄観光への影響度が大きく違うということがございます。
この2つの過去の事例を教訓に生かして、今後、イラクについてどういう軍事展開になるかわかりませんけれども、仮に何かあったときに、1つは、従来の、特に前回のテロ事件での教訓がありますので、その分、対応あるいは観光客への正しい認識の醸成、そういったところについての対応がかなり大事であろうかと思います。
第2点は、修学旅行につきまして、前回のテロ事件は10、11月という修学旅行のちょうどピークの時期の直前に当たりましたのでかなり影響が大きかったわけですけれども、湾岸戦争の時は比較的それが少なかったわけです。仮に、3月、4月に何かあるとしても、その時期は比較的、修学旅行という意味では数はそれほど多い月ではないという状況になろうかと思います。いずれにせよ適切な対応が必要であろうかと思います。
次に、建設関係について簡単にお話ししたいと思います。5ページでございますけれども、一番上の公共工事保証請負額の四半期の数字をみていただきますと、去年は4-6月がマイナス41%、7-9月がマイナス 9.6%ということで、上期でマイナス24%となりましたので、下期はその出遅れを取り戻す形でプラスになってきております。ただ、年度全体としてはマイナス 10%ぐらいで推移しております。そして、来年度は来月からですけれども、予算は、先ほどお話もありましたけれども、今のようにプラスになることはなかなか難しいと思います。
一方で、民間工事につきましても、那覇の新都心の住宅建設も高水準にはありますけれども、もうこれ以上は伸びない状況になってきておりまして、4月以降の建設については、小幅ではありますけれども、引き続き厳しい状況が続くことが見込まれておりまして、これについてはやや懸念されるところであります。今は一時的にプラスになっておりますけれども、これは一時的でありまして、客観情勢は非常に厳しいと思われます。
次に個人消費であります。6ページでございます。沖縄の個人消費は、失業率が厳しい中でもかなり健闘しておりまして、底堅いという判断をしております。百貨店、スーパーにつきましては、新都心への新しい施設の進出で、企業によって多少の良し悪しはありますけれども、全体としてはプラスを維持しておりまして、10-12月で 2.4%、1月は 3.4%という数字です。車もこのところ4年間、5~6%という安定した伸びを続けておりまして、こちらも当面は問題ございません。家電についても、13年はパソコンの売れ行きが悪くて落ちましたが、このところ、4か月連続で増加しておりまして、この4か月連続増加というのは4年振りのことであります。家電で売れておりますのは、DVD、新機種の携帯、プラズマ液晶テレビといったところでありまして、新しい製品が出てきているので、少し元気があると思います。
他方で、これまで伸びてまいりました通信費はほぼ飽和状況になってきておりまして、頭打ちになってきたかなと思います。その分、家電がよく、あるいは、スーパーをはじめとする百貨店・スーパー・コンビニの売り上げがよくなってきているというのが現状かと思います。
ただ、個人消費は今のところはいいのですけれども、やはり失業率が最近また少し上がってきているので予断は許されないところかと思います。
なお、資料には、提出の時期の都合もあって12月のデータまでしか出しておりませんが、1月の有効求人倍率は0.38と久しぶりに大きく上がりました。ただ、完全失業率も、私どもは季調済みの数字をとっておりますけれども、8.87%と上がってきております。有効求人が上がっているのに失業率が高まっているのはなぜかということは謎ではありますけれども、1つの仮説として、新規求人をみますと、県外あるいは那覇以外の北部の方でかなり大口の募集がありましたけれども、どうもそれに対する応募がよくないといった多少地域的な問題があったのかなとみております。
最後に、金融動向について御説明したいと思います。7ページでございます。 (1)の預金動向ですけれども、沖縄県内はこのところ2%程度の増加が続いております。全国は最近は3~4%増えておりますけれども、これは、昨年の4月の一部ペイオフ解禁に絡んで、大銀行に少しお金が集まったというやや特殊要因でございますので、お金の集まり方が県内が弱いというわけではなくて、これまでと同じような形で伸びていることが御覧いただけようかと思います。
次に、(2)の貸出金の動向でございますけれども、県内はこのところ1%台後半の伸びであります。全国はマイナス3%台ということで、対照的に県内では前年を上回っておりますけれども、中身は住宅関係であります。すなわち住宅ローンが伸びていることと、アパート経営のための設備資金が出ております。しかしながら、その他の資金需要は引き続き弱いという状況であります。
ただ、県外と比べますと県内はプラスになっております。それから、ここには図表を出しておりませんけれども、企業から見た金融機関の貸出態度については、平成12年のころはかなり厳しくてマイナス22ということで、4~5社に1社が厳しいとみていたのに対して、最近はわずかマイナス2ですので、その辺の見方は、私どもの調査先の企業からはそういう声はあまり聞かれていないというのが現状であります。今のところ県内では、他県に比べて大きな、あるいは3年前に比べて、企業からみた貸出態度はそれほど変化はないと言えようかと思います。
(3)の金利につきましては、2.9%台で低位小動きといった状況でございます。
最後に、8ページで県内の不良債権の状況について、簡単に御説明いたします。まず、上の棒グラフが、不良債権の処理金額でございます。増えたのが平成7年、これは住専の処理の関係で、当県も全国と同じように増えております。それから、平成9年から11年は、負債金額が50億円以上の大口倒産が県内でも相次ぎまして、その関係で不良債権処理がかなり膨らみました。その後、200億円ぐらいまで減ってきておりまして、今年度は上期の実績を踏まえた計画で100億円強まで減少してくる見込みでございます。
この水準をどうみるかということですけれども、不良債権を処理する収益がどれくらいあるかが非常に大事になってきます。その収益水準が棒グラフのところで、一時は 200億円ぐらいまで落ち込んでおりました金融機関の収益が、このところは少しずつではありますけれども、改善傾向にありまして、平成13年度は、不良債権処理を上回る業務純益を出し、今年度も引き続き収益は増益方向でございますので、不良債権を処理しても内部留保を取り崩すことなく対応できる状況にあるというのが、今年度の姿かと思われます。
ただ、そうは言いましても、下の折れ線グラフを見ていただきますと、県内の不良債権比率は依然として非常に高いのが現状です。14年3月末で12%台。昨年9月末には少し改善して11.4%になっておりますけれども、全国が 8.6%ですので、まだ 2.8%高いという状況にあります。県内の場合、不良債権処理といいましても、失業率がかなり高い中で、地域経済と雇用を維持しながら対応していく必要がありますので非常に難しいかと思います。県内企業と金融機関が互いに企業再生に向けた対応に注力しながら、できることを先のばしせずに対応していくことでやっていくしかないのかなと思いますけれども、このところ、少しずつではありますけれども、改善方向には来ているのかなということが、この表からは御覧いただけるかと思います。
以上でございます。
9 閉会の辞
○塚越委員長 どうもありがとうございました。以上をもちまして、本日の議題は滞りなく終了いたしました。
お時間も参りましたので、本日の会議はこれで終わりたいと思いますが、委員の皆様方には、今後とも引き続き、御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。
次回は、5月末から6月ごろに沖縄で開催したいと考えておりますが、いずれ事前に御通知を申し上げますので、よろしくお願いいたします。
本日は、御多忙のところ、大変ありがとうございました。