第30回沖縄振興開発金融公庫運営協議会(現地懇談会)

平成16年6月2日(水)14:00~16:15
沖縄公庫本店4階役員会議室

1 開会の辞
2 委員出席状況及び新委員紹介
3 内閣府沖縄振興局長挨拶
4 沖縄公庫を巡る当面の諸問題について
5 沖縄公庫平成15年度事業実績等について
6 質疑応答等
7 沖縄県の農業及び農業協同組合の概況について
8 沖縄経済の現状と課題
9 閉会の辞

1 開会の辞

○塚越委員長 それでは定刻となりましたので、ただいまから第30回沖縄振興開発金融公庫運営協議会現地懇談会を開催いたします。
 本日は、御多忙の中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。また、本日の各報告に対する皆様方の御意見は、沖縄振興開発金融公庫の今後の業務運営に反映させていただくこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、今回の現地懇談会は、沖縄では公式行事等の場でかりゆしウェアの着用が定着しているということを伺っておりますので、これを踏まえまして初めての試みといたしまして、かりゆしウェア着用で行うことといたしました。時間の関係、周囲の会議との関係で今日はどうしても背広という方もいらっしゃいますけれども、皆様の御理解と御協力をいただきましてこのような形にさせていただきましたことに厚く御礼を申し上げます。

2 委員出席状況及び新委員紹介

○塚越委員長 それでは、まず委員の交代について御報告をいたします。沖縄県銀行協会会長の交代に伴いまして、安里昌利さんが新たに委員に就任されました。安里さんは、平成14年6月27日から沖縄銀行頭取を務めておられます。本日は、残念ながら御都合により御欠席でございます。
 続いて、その他の委員の出欠状況について御報告をいたします。稲嶺惠一委員につきましては牧野副知事が、また津田廣喜委員につきましては谷口財務省参事官が代理出席をされております。
 それでは、最初に内閣府の東沖縄振興局長に御挨拶をお願いしたいと思います。東局長、よろしくお願いいたします。

3 内閣府沖縄振興局長挨拶

○東沖縄振興局長 内閣府沖縄振興局長の東でございます。本日はこの待望の雨の中、御出席いただきまして本当にありがとうございます。私、沖縄振興局長として水がめの渇水問題を一生懸命に管理している者でございますので、ダムの貯水率が今56%くらいですから早く60%にならないかということで、こうして歓迎の雨が落ちてくれていることを喜んでいるわけでございます。
 この公庫につきましても、こういうふうに雨が降って地が固まり、大きくなるといいなと思いながら今日出席させていただいております。また、日ごろ私たち内閣府、それから公庫に対して皆様方から大変な御支援、御指導を承っておることに対しまして、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 沖縄公庫は、設立以来、沖縄振興計画等に基づく政府の沖縄振興策と一体となって、これを資金供給面から支援する役割を担ってきており、民業補完という考えの下で、民間金融機関が供給を困難とする長期の設備資金等の低利かつ安定的な供給や出資業務を通じて、沖縄の産業経済の発展に寄与してまいりました。
 沖縄公庫の貸付業務は、産業開発資金から中小企業資金、農林漁業資金、住宅資金等まで様々な分野に渡っており、今日では貸付残高も1兆5千億円余を有するなど、沖縄経済を金融面から支える極めて重要な機関となっております。
 また、最近の動きといたしましては、中小零細事業者に対する「セーフティネット貸付」の一層の推進、各種の突発的な出来事に対応した「特別相談窓口」の開設、中小企業金融と地域経済の活性化に資するために県内民間金融機関4行庫と行った「業務連携・協力に資する覚書」の締結など、沖縄のその時々の金融ニーズに的確に応じた業務の運営に特段の配慮をしているところであります。
 さらに、平成14年度から開始したべンチャー企業等に対する出資は、対象事業は化粧品、健康食品、医療用器具、ソフトウェアからリサイクル製品の製造販売等まで多岐にわたり、また、事業所の立地は沖縄本島から宮古、石垣、久米島までほぼ全県的に分布しており、沖縄における新事業の創出促進を図るという事業目的を十分に果たしつつあります。
 私どもとしましても、利用者の立場に立った、こうした一連の対応に対し改めて敬意を表する次第であります。
 この現地懇談会は、地元において沖縄公庫の営業の様子を御覧いただきながら、幅広く委員の皆様方に御意見を承るということで、昭和50年6月に第1回を開催して以来毎年1回開催してきており、今回で30回目となります。
 委員の皆様方からの貴重な御意見は、今後の沖縄公庫の業務運営に十分生かしてまいりたいと考えておりますので、忌憚のない御意見を賜りますようよろしくお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

4 沖縄公庫を巡る当面の諸問題について

○塚越委員長 それでは、これから議事に入ることにいたします。本日の議題でございますが、お手元の資料「第30回沖縄振興開発金融公庫運営協議会(現地懇談会)議事次第」にありますとおり、「沖縄公庫を巡る当面の諸問題について」及び「沖縄公庫平成15年度事業実績等について」の2つでございます。更に、大城委員から「沖縄県の農業及び農業協同組合の概況について」の御説明を、続きまして大澤委員から「沖縄経済の現状と課題について」の御説明をいただくことにしております。よろしくお願いいたします。
 なお、本日の御報告に対する皆様方の御質問、御意見でございますが、後ほど取りまとめてお伺いすることとしておりますので、これもよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、沖縄振興局の馬渕参事官から「沖縄公庫を巡る当面の諸問題について」の御報告をお願いいたします。馬渕さん、よろしくお願いいたします。

○馬渕参事官 馬渕でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料の2ページをごらんいただきたいと思います。今回は2点御報告いたします。第1点は、中小企業向け貸付の証券化の話でございます。それから第2点は、内閣府の離島振興策と沖縄公庫との関わり、この2点について御報告いたします。
 まず2ページの「中小企業向け貸付債権等に係る証券化支援業務の受託に伴う法令改正」ということでございます。前回の委員会でも、まだ法案のできる前の段階でございましたが、簡単に御説明いたしました。その件につきまして法律が成立公布されまして7月1日から施行になるということで、今回は少し中身を詳しめに御説明しようと思っております。 この証券化の趣旨でございますが、民間金融機関等による中小企業者向け無担保融資の拡大を図るために、中小公庫において貸付債権等の証券化を支援する業務を追加する等の措置が講じられたということで、所要の法律改正が行われました。沖縄公庫は中小公庫並びの業務を沖縄においてやっておりますので、沖縄の民間金融機関並びに沖縄の中小企業者の方に対して同様の便益を提供する、そういった意味で、今回中小公庫の法律改正と併せまして、沖縄公庫についても所要の法律改正を行ったということでございます。
 証券化につきましては、1年ほど前に住宅公庫が同じような証券化をやりました。中小公庫は、政府関係金融機関としてはそれに次いで証券化支援業務を行うということでございます。
 具体的な内容でございますが、2ページの真ん中辺りに四角で囲った部分がございまして、改正の概要ということで載せております。これは法律の条文そのものというよりも、それをかみ砕いて説明したものでございます。それで、今回の法律改正で沖縄公庫関係としましては2つの業務が追加になるということでございます。沖縄公庫は主務大臣の認可を受けて、中小公庫の行う(1)、(2)の業務を受託する。逆に、中小公庫は沖縄公庫に対して(1)、(2)の業務を委託する。こういうふうな沖縄公庫と中小公庫との間の受託委託関係で整理をしております。
 これも住宅公庫の証券化のときに御説明しましたように、最終的な出来上がりの商品の安定性とか有利性といったものを考えまして受託、委託というふうな関係で整理したものでございます。
 (1)の業務でございますが、1つは特定貸付債権、これは民間金融機関が中小企業者向けに貸付を実行して保有した貸付債権、これの民間金融機関等からの譲り受け、それから2つは特定社債、これは中小企業者が新たに発行する社債であって民間金融機関等が取得したもの、これの民間金融機関等からの取得業務ということで、これらの業務は買取型というふうに称しております。
 それから、(2)の業務としましては、特定貸付債権及び特定社債に係る債務の一部を保証するということでございまして、保証型と称しております。後ほど簡単な概念図で御説明しますが、要するに買取型というものと保証型というものの2つの業務を受託、委託関係で沖縄公庫が行う、この法律改正を行ったということでございます。
 それから、関係政令としまして「沖縄振興開発金融公庫法施行令の改正」ということでございます。これはどういうものかといいますと、特定貸付債権等に係る回収業務を「債権管理回収業に関する特別措置法」第2条第3項に規定する債権回収会社が行えるようにするため業務委託規定を拡充するということで、非常に回りくどい書き方になっておりますが、要するに銀行の子会社等に債権回収業務を委託する。そのための政令の手当てだと考えていただければいいと思います。
 中小公庫につきましては、この関係の政令が整備されていなかったので、今回はそれをそっくりそのまま整備するということでございます。他方、沖縄公庫に関しましては、住宅公庫の住宅債権を証券化します時に関係の政令改正を一部やっておりますので、不足する部分を今回の政令改正で手当てをするということで、3ページをごらんいただきたいと思います。そこの初めのところに、「沖縄振興開発金融公庫法施行令」では業務を委託できる法人として既に債権回収会社が追加規定されていることから、今回政令改正で手当てするのは特定貸付債権等に係る元利金の回収業務等ということで、その業務を債権回収会社に委託できる、その部分だけを手当てするということになります。
 それを整理しますとどういうことになるかということですが、3ページの四角の中に、これも条文そのものではございません。要約するとこういうことだということで、沖縄公庫が債権回収会社に委託できる業務に、(1)として、特定貸付債権の金融機関等からの譲受け及び特定社債の金融機関等からの取得業務を中小公庫から受託した場合には、その譲り受けた債権、社債に係る元利金の回収業務を、そういった法律に基づく債権回収会社に委託する規定を設けたということです。
 (2)は、保証の関係です。債務の一部の保証に係る求償権に基づく回収に関する業務を追加したということで、極めて技術的な政令の追加の改正になっております。
 それから、法律政令改正だけでは若干不足しておりまして、省令も今回作らなければなりません。これはまだ中小公庫についても作られておりませんし、沖縄公庫についても作っておりません。ただ、法律の施行日の7月1日までには手当てをしたいと思います。
 これもどういうことかと申しますと、中小公庫においては、証券化支援業務を委託できる金融機関を主務省令で定めるために省令改正をすることになります。沖縄公庫においても、主務省令で定める金融機関、地方公共団体、その他政令で定める法人に対して政令で定める業務を委託できるという規定になっております。したがって、委託できる金融機関名を定めなければならないということでございます。
 具体的には何をするのかということですが、要するに今回の中小公庫からの受託業務に関して、その関係する金融機関等は次のものだというふうな規定を作っていくということで、具体的には銀行、農協、商工中金、保険会社、貸金業者等がそれに当たるということを省令で書き込むということを考えております。
 4ページをごらんいただきたいと思います。住宅貸付債権の証券化と中小企業者向け貸付債権の証券化、同じような仕組みでございますが、詳しく見るとどこがどう違うのかということで、そこに対比しております。1つは買取型と称するものについて、中小企業者向け貸付債権の方では特定社債というものが入ってくるということでございます。それから、保証型につきましても特定社債の一部保証ということで、中小企業が社債を発行する、それを金融機関が引き受けるというふうなケースが想定されますので、それを手当てしたということでございます。政令の方はそれと対応してあえて書いてみたということで特段の意味はございません。
 むしろ5ページの簡単な概念図を見ていただいた方がいいかと思います。これも法律の規定どおり概念図を作っていきますととても膨大で複雑になりますので、おおよそこういうふうなイメージだということで簡単なスキーム図にしてございます。まず買取型ということで、民間金融機関の貸付債権を買い取るということで、住宅貸付債権と中小企業者向け貸付債権とどこがどう違うかということでございますが、その大前提として住宅貸付債権は極めて均質的なものだということがございます。これに対しまして、中小企業者向け貸付債権は貸付けたときは均質なのでしょうが、相手が事業会社ですのでその債権が劣化するといったことも十分考えられるといった考え方に立っております。また、最終的に市場の投資家に売り出します債券の発行の担い手が異なるということになります。住宅債券の場合は、住宅公庫が直接マーケットに対して債券を発行するというスキームになっております。
 対しまして、中小企業債券の方はそこにSPCというふうに書いてございますが、特定目的会社といったものが債券を発行するといった立て方になっております。なぜそうなのかといいますと、中小公庫が買い取った債券のうち、非常に悪い部分については中小公庫が保有する。残りの比較的いい部分をSPC、特定目的会社に渡しまして、そこが証券化して売り出すという仕組みになっております。
 したがいまして、中小公庫なり住宅公庫は民間金融機関から買い取った債権をどうするかということも違っておりまして、住宅公庫の場合はそれを信託会社に債権信託をしまして、それを住宅公庫が売り出す債券の担保にするということになっております。
 片や中小企業者向け貸付債権の方は、中小公庫が買い取った債権を信託銀行に信託をしまして信託受益権を得る。その信託受益権を特定目的会社に売り出して、それを更にマーケットに放出していくというやや回りくどい仕組みになっております。これは、要するにいい部分だけをマーケットに売っていくという考え方になっておるわけでございます。
 それから6ページです。今度は保証型というものについてそこに概念図が書いてあります。これは多少複雑にはなっているんですが、基本的な考え方は買取型と変わっておりません。ただ、保証ですので、この場合は住宅債券、中小企業債券、いずれにもSPC、特定目的会社というものが入ってくるということでございます。
 したがって、民間金融機関がSPCに信託受益権を売る。そのSPCがそれを投資家に債券として売っていくという立て方になっております。それで、SPCがマーケットに出す社債の部分に対して住宅公庫なり中小公庫が保証をするというふうな立て方になっております。仕組みはかなり複雑ですが、要するに最終的にマーケットに出していく分についてはできるだけいいものを出すという考え方で組み立てられております。実際の仕組みはもっと複雑でして、ここに書いてあるような簡単な図ではなかなかいかないと思います。それぞれの場合ごとに、こういう場合はどうか、ああいう場合はどうかと、一々吟味する必要があると思いますが、おおむねこういったものでございます。
 いずれにしましても、買取型にしろ、保証型にしろ、沖縄公庫が間に入りましてその調整といいますか、受託、委託で橋渡しをするといったことを考えております。
 それから、中小公庫の方ではこういった民間金融機関の貸付債権を証券化するという話のほかに、中小公庫自らが持っている貸付債権も証券化するという規定が法律の中にございます。ただ、この部分については、沖縄公庫は中小公庫の実績等を見てから対応しようということで当面は留保としております。将来的にもやらないということではなくて、需要が多ければ当然法律改正をしてやるということを考えております。これが、第1点目の証券化の話でございます。
 次に、7ページを見ていただきたいと思います。「離島の活性化に向けた取組みについて」ということで、6月の内閣府沖縄担当部局の1枚紙がございます。そこを読んでみますと、『厳しい環境にある沖縄の離島の状況に鑑み、内閣府としての取組体制を整備し、離島地域の活性化を図るため、沖縄担当部局に、離島活性化調査検討会議及び島ごとの担当を設け、離島に係る(1)情報収集、(2)人的なネットワークの構築を行い、地元のアイディアを活かした離島活性化策の検討を行うこととした。第1回の離島活性化調査検討会は、5月18日(火)に開催した』ということで、そこに構成員、オブザーバー、それから活動としまして各離島ごとに担当者が実際に島を訪問し、島の実情を把握した上で沖縄県の担当部局とも協力して離島の活性化策の検討を行う。こういった内容となっております。
 これはどういうことかと申しますと、内閣府、その前身の沖縄開発庁の時代から、沖縄の離島振興ということは特に力を入れてやってきたわけでございまして、今までやっていなかったからそれをやるという趣旨ではないわけでございます。ただ、昨今言われていますように、いわゆる三位一体の改革というものが実行されますと地方に大きな影響を及ぼすと思われます。三位一体といいますのは、御案内のとおり補助金、税源、交付税という話でございます。ここをがらがらぽんで改革しようということになりますと、どうしても中央の財源に依存しているところが影響を受けやすい。特に沖縄の場合は沖縄振興特別措置法で離島と言われているところの市町村がかなり大きな影響を受けそうでして、いま現在維持しているような行政サービスを維持できなくなる可能性が考えられる。したがって、そういった状況を踏まえて内閣府としても何ができるのか、そのアイディアを募集する、逆に、地元の皆さんからは何をして欲しいのかといった意向を拝聴する。こんなふうなことで、調査会議が設けられたわけでございます。
 具体的には、来週から内閣府の職員がそれぞれ40ございます沖縄の有人離島に直接出かけます。もちろん県の方も同行されるわけでございますが、役場とか商工会あるいは青年団のようなところに出向きましていろいろお話をし、御要望も伺ってくるということでございます。いろいろな要望が出ると思います。それらを整理しまして、たちまちは来年度の予算要求に使う、あるいは来年度以降もそういう基本的な、構造的な問題があれば、それに対して対応を考えていくということになろうかと思います。
 それでは、こういう話と沖縄公庫とどういう関係があるのかということになろうかと思います。実は、今回の離島活性化の取組みというのは、いわゆる公共事業ではない非公共事業の分野で行われるということを一つの前提にしております。そうしますと、非公共事業で行う対策ということで、沖縄について申し上げれば雇用対策というものがまず頭に浮かぶだろうと思います。雇用対策ということになりますと、具体的にどんなことができるのかということになるのですが、その先例等をみますと、やはり県の方に財源を渡して教育訓練センターのようなものを作ってみたり、モデル事業をやっていただくとか、あるいは相談窓口のようなものを作っていただくとか、こんなことが考えられるわけです。それに加えまして、当然政策金融ということになるわけでございます。
 したがって、今回の離島対策も非公共事業でやろうということになりますと、そういった雇用対策で培った経験というものを活かしまして、当然政策金融もより大きな役割を占めることになると考えられるわけでございます。
 8ページを見ていただきたいと思います。現在、沖縄公庫で行っております貸付制度、それから出資制度がございます。これは沖縄本島、離島の区別なく全沖縄県に等しく及ぼされるわけでございますが、特に離島ということに着目してみますと2つの特別貸付制度というものを持っております。
 1つ目は、医療資金の関係でございます。離島において病院を新築したり、増改築したりする場合に、比較的低利の金利で資金を融通するという制度がございます。それから、2つ目の制度として、8ページにございますように「沖縄離島地域経済活性化貸付」というものがございます。これはどういうものかと申しますと、中小企業資金と生業資金とに分けて書いてありまして、そこの貸付けの相手方の欄を見ていただくとよろしいのですが、沖縄県内の離島において1名以上の雇用創出効果の見込まれる設備を取得する者に対して特別な利率でもって貸付けを行うということになっております。一番有利な貸付利率は現在の金利水準で申し上げますと償還期限6年以内のものについて0.80%ということになっております。標準的な貸付金利が1.5%とか1.7%ということでございますから、0.80%というのは比較的有利な金利ということになるわけであります。償還期限も長く、据置きもある。それから金額的にも7,200万円あるいは7億2,000万円くらいまでお貸しできるということでございます。
 直近5年間の数字を取ってみますと中小企業金の方は大体11億円くらい、生業資金の方は18億円くらい出ているようでございます。これは特別貸付制度でございますから取扱期間というものがございまして、取扱期間は17年3月31日までとなっております。したがって、来年度に向けてこれを更新しなければならないということになります。
 時あたかも、並行的に内閣府において離島活性化策というものが考えられているということで、単純にこの制度を延長更新するということがまず考えられるわけでありまして、これだけでも相当の離島活性化策になるということが考えられます。
 ただ、それだけでは不十分でありまして、私どもとしては何を考えているかといいますと、この制度をもう少し使い易くしたい。いわゆる深掘り横出しと言っておりますが、少し条件を緩和してもっと使い勝手の良いものにしていきたい。そういったことを今の時点のアイディアとして持っております。そういったことを踏まえて、離島に行ってヒアリングをしていただこうと思っております。
 ただ、この離島活性化貸付については問題がございまして、貸付けの相手方のところに書いてございますように、いわゆる雇用創出効果の見込まれる先に対して資金をお貸しするということになっておりますので、沖縄の全離島を対象とすると言いつつも、具体的には比較的大きな有人離島、宮古とか石垣とか西表とか、そういったところが対象になってきて、ほかのところはこぼれ落ちるということになります。
 したがいまして、もっと小さな有人離島に対しても何かできないかということで、我々が今の時点で頭の中で考えておりますのは、例えば教育資金のようなものがございます。離島から大きな島の高校に行く、あるいは大学に行くといった場合、教育資金を借りるわけでございますが、特に沖縄県内の離島に対しては、その教育資金を借りる場合にはもっと有利な取扱いができないかということを考えております。
 この教育資金というのは、国民公庫の制度を横に引っ張ってきて丸写しした制度でございまして、沖縄だから特に優遇しているというわけではございません。例えば、北海道の山間僻地とか信州の山間僻地、瀬戸内の離島、全部同じ条件で貸しているということでございます。これを沖縄版の新しい特別貸付制度にできないか。これはアイディアの段階でございますが、そういったもっと小さな有人離島に対しても政策金融をきめ細かく当てられないかというふうなことも考えております。
 いずれにしましても、今回の内閣府の離島活性化の一連の検討の中で、そういったことを含めて検討していきたいと思っております。御説明する内容は以上でございます。

5 沖縄公庫平成15年度事業実績等について

○塚越委員長 馬渕参事官、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして沖縄振興開発金融公庫の木幡総務部長から「沖縄公庫平成15年度事業実績等」について御報告をお願いします。よろしくお願いいたします。

○木幡総務部長 公庫の木幡でございます。公庫の15年度の事業実績等について御説明いたします。
 10ページをお開きいただきたいと思います。この表は15年度の事業実績を14年度の事業実績、それから15年度の事業計画と対比して掲げてございます。Cの欄にありますように、15年度の出融資実績は1,330億1,900万円ということになっておりまして、前年度に比較いたしますと111億8,400万円、7.8%の減となっております。また、事業計画との比較では684億8,100万円の減、執行率で申し上げますと66.0%ということになりました。
 このような実績となりました原因としましては、年度途中から全国的には景気回復の兆しが見え始め、また県内景気も観光を中心に回復基調にございましたが、企業等における資金需要の盛り上がりがそれほどなかったこと、また民間金融機関が積極的に住宅ローンに取り組んでいることを背景に、個人住宅資金の申込受理戸数が低調に推移したこと等によるものと考えております。
 これを出融資の資金別に増減を見てみますと、まず一番上の産業開発資金ですが、前年度に比較しますと57億円余、13.8%の減となりました。小売事業向け投資の資金需要が堅調なことに加え、サービス業や製造業で資金需要が増加いたしましたが、大型リゾートホテル向け投資の減少や都市モノレールの施設整備が前年度までに完了したこと等に伴い、最終的には13.8%の減となったものでございます。
 続きまして、中小企業等資金です。こちらの方は括弧書きに2つありますように、中小企業資金につきましてはマイナス、しかし一方で生業資金につきましては8.5%のプラスとなったことに伴いまして、全体では1.1%、5億7,700万円の増という形になりました。 まず中小企業資金の方ですが、こちらの方は19億2,700万円、9.0%の減となっております。その理由としましては、公共工事の減少による中堅建設業の運転資金の需要の低迷が考えられます。
 一方、生業資金の方は25億400万円、8.5%の増でございまして、これはセーフティネット関連の運転資金需要が増加をして、それに対応したことによるものということでございます。その点では、公庫の民業補完的な役割を果たしているということがこの数字にも表れているのではないかと考えております。
 続きまして、住宅資金の方です。こちらの方は前年度比較で55億9,400万円、12.8%の減となりました。これは先ほど申し上げましたように民間金融機関が住宅ローンに積極的ということで、公庫への申込みが低調に推移している。それから、所得の伸び悩み等に伴いまして個人住宅資金において前年度と比較いたしますと平均単価が20万円ほど減少したことによるものと考えております。
 続いて、農林漁業資金です。こちらの方は前年度比3億3,000万円の増、13.6%の増ということになりました。製糖企業などの資金と、共同利用施設資金について比較的大口の需要があったことに伴って増加したものでございます。
 次の医療資金につきましては、前年度比1億8,800万円、12.2%の減となりました。病院や一般診療所の資金需要が依然として低く、低調な融資実績となったものでございます。 最後の生活衛生資金ですが、前年度比6億3,000万円、16.9%の減となりました。観光客は増加しているものの、設備投資意欲の減退もありましてホテル、旅行業を中心とした大口の設備投資が低調であったことが原因として挙げられます。
 続きまして、2の出資の方であります。企業に対する出資は、事業計画の変更などに伴いまして実行はございませんでした。
 一方、新事業創出促進出資の方はまた後ほど個別に御説明申し上げたいと思いますが、全体で申し上げますと1億9,500万円、ほぼ計画どおりの執行となりまして、前年度に比較しましても1億500万円の増という形になってございます。
 続きまして、11ページをお開きいただきたいと思います。16年度の事業計画及び資金計画でございます。16年度の事業計画は中の二重線の上の合計というところにございますように1,905億円でございまして、15年度の事業計画と比べますと110億円、5.5%の減となりました。増減の欄を見ていただきますと、住宅資金が80億円の減ということで大きく減少いたしておりますが、その他につきましてはごらんのとおりでございます。
 それから、下の表の16年度の資金計画の方でございます。こちらの方は1,777億5,400万円ということになりまして、15年度の計画と比べますと184億4,600万円、9.4%の減となりました。こちらの方は事業計画に伴いまして減ということになるわけですが、資金別に申し上げますと財政投融資の資金の方は302億円の大幅減ということになっておりますが、自己資金等につきましては繰上償還等に伴いまして回収金が増加しておりますので、こちらの方は117億円余の増加という形になってございます。

 以上が事業計画の実績及び16年度の事業計画でございますが、今回3点ほど話題を提供させていただきたいと思います。12ページをお開きいただきたいと思います。
 まず最初は、「『中小企業向け無担保貸付制度』の利用状況」についてでございます。この制度は、平成16年度に政府系の金融機関として沖縄公庫が初めて導入をいたしました。それで、セーフティネットの役割を果たすということでございますが、制度の内容としましては業績が良好で財務内容に問題のない貸付先が対象でございまして、1貸付先1億円を限度に、かつ貸付期間3年以内で融資を行うというものでございます。無担保の代わりに、一方で信用コストというものを計算いたしまして、各制度の適用金利に2.5%を上乗せするということにいたしております。第三者保証人は不要でございます。
 この制度は今年度開始いたしまして、早速多くの申込みがございました。一番下にその状況を掲げてございますが、5月20日までに9件、4億7,000万円の申込みがございまして、既に3件、1億1,000万円貸付けをいたしております。
 どのようなものをやっているかと申し上げますと、上の融資の事例というところにございますように、まず観光業のA社に関しましては離島で担保不足の状態にありましたけれども、本制度適用によりまして運転資金を調達したというような事例がございます。また、建設業B社に関しましては、メイン銀行の根抵当枠の余力、隙間というものを保持しながら資金繰りを安定させるために、本制度により運転資金を調達したというようなものもございます。また、建設資材の卸売業C社につきましては、これまで手形割引を中心に運転資金を賄うという、いわば自転車操業をしていたわけでありますが、本制度によりまして長期運転資金を調達し、資金繰りを安定させたというものがございまして、こういった点からも民業補完的な役割というものが見てとれるのではないかと思います。

 続きまして、13ページをお開きいただきたいと思います。「財投機関債の発行実績等について」でございます。沖縄公庫では14年度から財投機関債を発行いたしまして、14年度は100億円、15年度は200億円発行いたしました。16年度は昨年度同様200億円を発行する予定ですが、金利リスクの平準化や投資家との対話機会の増加をねらって、2回に分けまして年2回発行とする予定でございます。そのうち1回目の100億円につきましては先月実施いたしまして、格付けはAA+とこれまでと同様であったわけですが、いろいろなIR活動、投資家への説明会を充実させたということもございまして、これまでの国債とのスプレッド、15ベイシスポイント、いわゆる0.15%ですが、それだけ国債との開きがあったわけですが、今回は12ベイシスポイント、0.12%の差に縮まりました。
 今回の財投機関債の発行に当たりましては、1社ごとの説明会というものを合計28回実施いたしました。それにより、投資家の間に沖縄公庫に対する理解、信用が高まった結果としてこのようなスプレットが縮小することになったのではないかと考えておりますし、この債券につきましては即日完売ということで1日で売り切れたということでございます。

 次に、14ページをお開きいただきたいと思います。「新事業創出促進出資の実績」についてでございます。この業務は、沖縄振興特別措置法に基づきまして公庫業務の特例として設けられたものでございまして、先ほどの表にもございましたように14年、15年度はほぼ予算枠いっぱいの実績でございます。それで、15年度実績の4番の「シーピーファーム」まではこれまでこの協議会におきまして御説明申し上げておりますので省略させていただきますが、5番以降につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。5番の「パラダイスプラン」は宮古の案件でございまして、ミネラルの成分18種類というギネス認定を受けました世界一ミネラル成分の多い塩でございますが、この塩の製造販売につきまして2,500万円出資したというものでございます。
 それから、6番の「手作り館工房海人」でございます。これは石垣発のTシャツブランドでありますが、こちらの方はフランチャイズとして県内外に本格展開をしたいということで具志川市の方で工場を作る。それに伴いまして3,000万円の出資をいたしております。
 7番は「ポイントピュール」でございます。こちらの方は海洋深層水を活用した基礎化粧品や製造販売ということでございまして、海藻やゴーヤーのエキスも配合した自然派化粧品が売りのようでございますが、こちらの方に2,500万円出資をいたしております。
 8番の「バイオマリン」は、一番上の1の「バイオ二一」の方に原料を供給するという目的で関連会社として設立されているという面もございますし、それから独自の商品として飲む化粧品の開発といったようなこともやっております。3,000万円の出資でございます。
 9番の「沖縄健康創業」は、もろみ酢の製造販売でございますが、2,000万円の出資をいたしております。
 ただいまの事例でもわかりますとおり、離島の方でも5番の宮古、7番8番も工場は久米島に立地いたしておりますので、離島の案件も出ております。その点では、地域的にもいろいろな地域から出資要請があり、当公庫の方でも対応しているということが見てとれるのではないかと思います。
 また、当公庫の方でも単に出資するという頭の部分だけではなくて、出資後におきましてもきめ細かい経営面のフォローを実施いたしまして、こうした新事業の育成に努めているところでございます。私からの説明は以上でございます。

6 質疑応答等

○塚越委員長 木幡さん、どうもありがとうございました。
 ここで質疑に入ります前に、内閣府沖縄担当部局の事務方の責任者でもあります佐藤内閣府審議官に御発言をお願いしたいと思います。佐藤さん、よろしくお願いします。

○佐藤委員 内閣府審議官の佐藤でございます。
 御案内のとおり、最近の沖縄の経済は、基幹産業であります観光が好調であり、個人消費も堅調に推移しているということで明るさが見えているように思いますが、他方で公共事業の縮減もあり、あるいは依然として雇用情勢が厳しいというようなことがございますので、引き続き注意を払った適切な対応が必要だろうと考えております。
 内閣府といたしましては、沖縄振興計画を踏まえまして自立型経済の構築に向けた産業振興その他、いろいろな対策を講じているところであります。今後とも関係省庁とか沖縄県、地元の市町村と一体となって対策を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
 最近の問題を申し上げますと、ひとつ一番大きいのが先ほど馬渕参事官の説明にもありましたが、三位一体の関係が非常に大きな問題としてございます。今週の金曜日に骨太2004が決定されると思いますが、三位一体の改革につきましてもその中で何か取り上げられるということになっております。
 三位一体の改革の税源の委譲については、総理大臣の御発言もあってある程度の金額が書かれるかと思いますけれども、補助金の削減でありますとか交付税の削減というようなことがシビアに行われますと、沖縄県とか沖縄県内の市町村に非常に大きな影響が出ると思っております。
 内閣府といたしましても、沖縄の特殊事情により設けられました、補助金というよりは国の責任で行うべきような仕事というようなものとか、そういう沖縄の特殊なものにつきましては一般の補助金とは別に考えてもらいたいということで、沖縄の特殊事情に十分配慮した対応がされるように各方面に働きかけておりますが、これは最大限の努力をしたいと考えておるところであります。
 それからもう一つ、交付金の削減で沖縄県の離島市町村が予算の編成等に非常に御苦労なさったということがございますが、とくに離島地域につきましては従前からいろいろと対策を講じておるわけでありますけれども、特に活性化を図ろうということで先ほども話が出ておりましたが、離島活性化調査検討会議ということで美ら島会議という名称を付けておりますが、これを発足させたところであります。来週早々くらいから担当職員がそれぞれの担当の島を訪れまして、関係の地方公共団体の方あるいは地元のリーダーの方々等とひざ詰めでお話をしながら御意見を吸収する。それで、何らかの活性化をするためのアイディアがあれば、それを来年度の予算に向けて反映させていこうということであります。
 この会議の発足に当たりまして茂木大臣からは、職員はそこに行ったらアイディアが出るまで帰って来なくてもいいというくらいの意気込みで取り組めというようなお話がございました。沖縄振興法上の離島で人の住んでおられるところが40か所あるようでありますが、宮古、石垣のような5万人近い人口のあるところと、本当に1世帯しか住んでおられないような島もありますので、全部一緒に扱うわけにはいきませんけれども、とにかく地元の実情をよく把握した上で、それぞれの実情に応じたアイデアが出れば、それを取り上げていきたいと考えております。
 それで、先ほども話がありましたが、沖縄公庫には離島の活性化のための貸付資金もありますが、こういうものにつきまして拡充をしていくようなことも考えたいと思っております。そういうようなことも含めまして、皆様方からの忌憚のない御意見をいただければと思いますので、ひとつよろしく御質疑のほどをお願いいたします。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。
 ここで、これまでの議事内容を通じまして御質問、御意見等をお伺いしたいと思いますが、その前に1つお断りをしておきたいと思います。コーヒーと一緒に、コーヒー皿のわきに小さいお菓子の固まりがあるわけでございますが、これは実は今日のお昼に大変話題になりました沖縄の特産品でございまして、これにつきまして金城理事からそのうんちくのあるところをひとつ御披露していただき、それを聞きながら召し上がっていただきたいと思います。金城さん、よろしくお願いします。
○仲井真委員 これは皆、知っていますよ。橘餅でしょう。消防署通りの前にしか残っていない。お土産に最近、私はよく持って行きます。
○金城理事 お手元にお菓子はきていますでしょうか。先ほど仲井真会長がおっしゃるように、橘餅(キッパン)という沖縄特産のお菓子でございます。これは方言ではチッパンということで、地元では大半の人が知ってはいると思いますけれども、ちょっと御紹介させていただきます。これは沖縄のミカン、カーブチあるいはクニブからつくられた柑橘類のお菓子で、最近はめったに庶民の目には見えてこないお菓子ということでありますが、本土からの観光客には大変上品なゆかしい味のお菓子だと評判がいいようです。漢字では柑橘類の「橘」と形が「餅」ということで、それで橘餅と呼ばれているのであります。
 もともとは中国のものでありまして、これが琉球王府に伝えられた。本来は随分高価なお菓子ということで、琉球でも高貴な人しか知らなかったということでございます。今はだれでも買えるわけですけれども、先ほどもお話がありましたようにこのお菓子を作っている店は今は1軒しかないということです。大変貴重なお菓子ですけれども、食べたい人は那覇の松尾の消防署の向かい側に謝花橘餅店というのがございます。最近は本土のお茶会用にというふうなことで注文があるように聞いております。以上でございます。
○塚越委員長 ただいまお聞きのとおり、大変高貴な方しか知らないお菓子だそうでございます。実は我々の大部分は知らなかったものですから、ちょっと御披露させていただきました。それでは、コーヒーをお飲みいただきながら、これまでの議事内容を通じまして御質問、御意見等がございましたらどうぞ御遠慮なくおっしゃっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。伊良皆委員、どうぞよろしくお願いします。

○伊良皆委員 平成15年度の事業実績を見てみますと、ほとんどのものが年々減少していく中で、新事業創出促進出資は216.7%と非常に驚異的な伸びを示してとてもすばらしいことだと思うんですが、16年度の計画を見てみますと15年度と同じ予算になっているんですが、見積もりとして今後もっともっと伸びるという見通しはないんですか。あった場合はこれから対応する方法もありますか。
○塚越委員長 それでは、公庫の方からお答えいただけますか。
○八木橋理事長 お陰様で新事業創出促進出資事業につきましては順調な滑り出しを見せておるわけですが、ベンチャー企業に対する出資ということで、これは公庫の融資業務とは勘定を別にして経理しているところでございます。その勘定におきまして、国からいただきました出資金が16億円ほどございます。したがって、現在考えられている仕事のやり振りから見ますと、当分は16億円で賄っていけるのではなかろうかと考えております。厳しい予算状況の中で内閣府の方で16億円確保していただいたわけですが、当分はこれでやっていくことにしております。
 ただ、おっしゃるように、需要との兼合いでもってこれに問題が生じた場合にはその時点でまたお役所と相談してまいりたいと考えておりますが、当座の間はこれでいけるのではなかろうかと考えております。
○伊良皆委員 ありがとうございます。
○八木橋理事長 なお、出資ですから、これは企業が成長しますとそれを市場に売り出すことによってまたそれが現金化してくるという可能性もあるわけですね。したがって、この資金枠を全部使い切ってしまったらそれでおしまいということではなくて、片方では戻ってくるということもあるわけですから、そういうことでの状況ももう片方で見ていかなければならないということもあるわけでございます。
○塚越委員長 いかがでございましょうか。では、吉山委員どうぞ。

○吉山委員 今、公庫の方から独自貸付制度の創設改善等、沖縄公庫に対する要望の提出要請が来ており、各組合員には要望を出すように言ってあるんですけれども、独自貸付制度といいますと現在の貸付制度以外にまた新しく貸付制度を作るということでしょうか。
○八木橋理事長 私は直接事務方から聞いておらないのですが、新たな予算要求をするに当たってどういうことでお困りになっているのかというようなことで、新たに設けてもらいたいような融資項目があるかどうかということで御意見をお伺いしているかと思います。したがって、現在あります制度がサンセットになってしまう、日限がきてしまうというようなものについて、これはまだ止めないでくれというようなことも当然御要望の中に入れていただきたいし、また今までない制度でこういうものを作って欲しいということも御要望の中で聞かせていただきたい。この2点をお願いしているということだと思います。
○吉山委員 わかりました。

○塚越委員長 野崎先生どうぞ。

○野崎委員 先ほど東局長の方から待望の雨というごあいさつがございましたが、沖縄の水問題に関しまして2点、それから離島振興に関しまして1点御質問をさせていただきます。
 今年の沖縄は、10年に1度の渇水ということになります。これは、沖縄が島嶼地域で、それから亜熱帯地域であるという諸々の条件が重なって10年に1度の渇水が生じますが、貯水率56%の渇水が続きますと非常に大変なことになります。県民生活や観光産業に大きな影響を与えるということです。島嶼地域であることから高いリスク、高い負担が発生することになります。そういったことを回避するために、節水型社会を実現しなければいけないと思っております。
 そこで、大型宿泊施設における中水利用システムというようなことに関しまして、沖縄公庫で独自の制度や、それに類することを考えておられるのか、あるいは過去に実際に行われたことがあったのか、それをひとつお聞かせ願いたいと思っています。
 具体的に私はある事例を知っており、那覇市内の中水道を導入した事例ですが、水使用量の27%を中水として再利用する水循環を行っております。それは大雑把に言いますと年間で4.7万トンを再利用するもので、これは相当な量になります。県民の生活水使用量に換算いたしますと、これは500人分くらいに相当する水使用量になります。500人というのはこの近くの島で言いますと座間味村や、渡嘉敷村、あるいは八重山の波照間島というように水で苦しんでいるところの島の使用量に匹敵することになります。
 それから更に、中水道の使用によりまして経費の節約効果が図られることになります。そこのホテルの事例を見れば、数年でコストの回収が可能となるようです。新聞にも出ておりますが、今後、沖縄本島では大型ホテルの立地予定があり、大学院大学で研究機関の施設、研究所を立地するという考え方もあるようです。そこでは大量に水を使いますから、5年先、10年先を考えますと、水に関しましては非常にタイトな状況になるのではないかと思っております。
 そういうことで、水の有効利用を誘導するような経済施策、金融施策が、公庫独自で可能だろうかというのが第1点です。
 第2点といたしまして、公庫の独自制度として雨水利用割増融資制度というものがあり、節水社会の構築に貢献していると思われますが、最近は融資実績が低迷しております。この制度のPRだとか、この制度が低迷している理由等がわかれば教えていただきたい、併せてその利用を高めるような方策等についてございましたらお聞かせください。それが2点目です。
 それから最後の離島振興に関しましては先ほど馬渕参事官や、佐藤委員から懇切丁寧な説明がございました。私の質問したいことは実はその中にほとんど含まれております。島はセパレートされている、物理的に分離されておりますから、資金循環はその島だけに限られてくるわけです。島が存続するためには何らかの形で生産し自分たちでお金を生み出すか、あるいは他所からお金が来るようにするかの2つしかないわけです。沖縄県全体だと3,000億円くらいの経常収支の黒字になっています。それが好循環をしているわけですが、この経常収支の黒字が近年減少しつつあり、厳しい状況にあるわけです。島の対外収支は悪化しつつあると考えられますが、公庫独自融資制度の「離島経済地域経済活性化貸付」に関しましては平成17年に何らかの形でリニューアルされるという説明もありましたし、教育資金についてもう少し拡大したいなど、さまざまな案が出ておりましたので、是非このような方向で進めていただきたいと思っております。
 そういうことで、御質問は2点ということになります。

○八木橋理事長 それでは、お答えしてまいります。まず渇水に伴う問題の第1の点でございますが、実は公庫としては制度を用意しておるわけでございます。ただ、これが余り使われていないということで、もう少しそのPRなりに力を入れていく必要があるのではなかろうかという感じがしております。お話がございましたように、中水道を使うということは、特にホテル事業の場合を考えますと節水効果ということでコスト削減につながるばかりではなく、渇水に伴う経営不安ということから経営上のリスクの低減にもつながるということで非常に意味があると思うわけでございます。
 それで、私どものところで用意している制度といたしましては、1つはそういうホテル向きには、観光振興地域内に立地する観光リゾート関連事業を対象としております沖縄観光国際交流拠点、これは本土と異なる独自制度として用意しているわけでございますが、この中で中水道設備を対象として取り上げているということが1つございます。
 また、ホテル以外におきましても、水資源の有効利用に配慮した建築物の建設事業を対象としますエコビル整備事業ということで、中水利用設備を対象とした融資を行っているということでございます。このエコビル事業については貸付実績は昨年2件ございまして、いずれも中水道を利用している。1つは新聞社の案件でございますが、そういったケースがございます。沖縄観光国際交流拠点の方は中水道施設を作るか、作らないかというよりは、これは事業者の方の判断ということになりますので、たまたま15年度はそれを取り入れた設備がなかったようでありますが、これはそういった利点をPRすることによりましてそういう設備を用意していただくということが大事ではなかろうかと思います。
 いずれにしましても、渇水対策に対する問題は行政面におけるPR、それから我々融資制度を持っている側のPRということが相まって、もう少し普及度を高めていく必要があるのではなかろうかと思います。
 それから個人住宅の雨水利用の割増融資制度、これは、それぞれ家庭で雨水利用設備を作った場合に割増融資をするという制度でございますが、便所等に雨水を利用することにより上水を節約しようという趣旨で作った制度でございまして、これも沖縄公庫独自の制度になっております。利用数を見ますと、13年度は43件、14年が26件、15年度が28件ということで、いずれもその利用率は1%内外というところで非常に低うございます。
 これは、大体そういう設備をすると費用が70万円程度かかるようなんですが、そのうち50万を限度としてお貸しするという制度ですので、融資割合としてはかなりのものを見ているということになります。これが使われるためには、やはり行政の協力も得ながら、個人住宅の場合は業者さんが案件を公庫の方に持ってくることも多いんですが、建築士とか設計士との対話におきまして制度説明、またはチラシを配布するというようなことによって、利用率を高めていくようなことを考えていく必要があるのではなかろうかという具合に考えておるわけでございます。
 御質問が水の問題に関して2点ございましたが、離島と、それから資金循環の話に少し触れられましたので、先ほどお話にありました活性化貸付ということではなくて、離島にどのくらい私どもがお金を出しているかという視点から少しお話を申し上げます。この5年間で、530億円程度のものが離島に対する貸付けとして出ております。そのうち宮古圏向けが4割強、八重山圏が5割弱、残りがその他ということでございます。そのくらいの金を離島に供給しているということでございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

○東沖縄振興局長 一言、渇水化のお話で節水の問題です。こういう言い方をしていいかどうかわからないんですけれども、行政として非常にジレンマに陥る問題でございまして、水供給をきちんとすればするほど、例えばダムを作ってきちんと整備すればするほど、いわゆる節水意識というものがダウンしてくる。そして、各家庭でも自分で雨水対策をするとか、ホテルだったら上水設備をきちんと動かして自分の営業も守らなければいけないのに、下手をすると営業がだめになるかもしれないリスクがあるのに、そういう循環的なものがうまく働かなくなってくる。しかし、そこはそう言っても行政としてはやるべきことはちゃんとやらなくてはいけない。非常に頭の痛いところでございます。
 ただ、やはり社会のシステムとして、そういう中水だとか、いわゆる雨水を無駄に使わないということは町の造りとしてやっていかなければいけないのではないかと思っております。もう御案内だと思いますけれども、例えば那覇市のいろいろな都市排水のようなものをうまく活用していこうということで、南部の方に農水をしようとか、那覇の市長さんは言っておられましたけれども、いわゆる河川の浄水対策を扱ってほしいとか、そういうことを考えていかなければいけないということで、私たちの方の対策で言うと予算を付けて研究事業を始め、事業化を進めたりということはしております。
 一方ではダムだとか、そういうものを作らなければいけないということもありますが、それを作るとまたおかしくなってくる。その辺のジレンマを感じているということであります。それで、はっきり言えるのは、そういうことをしつつも社会全体のシステムとして島嶼地でございますので、そこの中でうまく水を使っていく社会システムを造らなければいけないのではないかという意識は十分持っておるということでございます。

○野崎委員 どうもありがとうございました。

○牧野委員 お礼とお願いですが、離島活性化調査検討会議につきましては7ページの下から3行目に各離島ごとに担当者を置く、各担当者が離島を訪問するということで非常にありがたいことだと思いましてお礼を申し上げたいと思います。
 それとの兼合いで、8ページの離島地域活性化貸付の取扱期間が17年3月31日いっぱいとなっておりますけれども、これの貸付限度額は中小企業資金では設備の場合は7億2,000万円、生業資金でも7,200万円という多額な制度となっています。
 問題は沖縄で実際に事業を起こしていく期間なんですけれども、実際にアイデアを生かしてそれを事業化していく、取引先を見つけていく、どうしていくか考えるというような形になってくると、沖縄の場合には1年やそこらではちょっとやれないような気がするんです。これは北部振興策の中でも非公共事業などをやっていますけれども、新たに予算が決まって、5月、6月から走り出して、アイディアをつくってというと年度内に消化ということはほとんど難しいような経験をしています。この制度が17年の3月までという形になるとどうなるか。その辺りは、せっかくですからしばらく制度を固定化するというわけにはいかないかということです。

○馬渕参事官 現在ございます離島の経済活性化貸付制度というのは実は6年前にできた制度でございまして、3年前に行政改革の一環としてこの種の特別貸付制度についてはそれぞれ取扱期間を設けたということで期間は3年ということになっております。その期限が17年3月末ということで、当然私どもとしては更に延長をお願いしたいと思っております。ですから、常識的に考えれば3年とか5年とか10年とか、そういった延長期間はあるわけでございますから、おっしゃるように継続してやっていくようにするということは当然頭の中で考えております。

○牧野委員 わかりました。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。ほかに何かございますか。

○仲井真委員 誠に不勉強ですが今、何で離島がこんなに問題にされてきているんですか。この間やはり審議会でも大臣がおっしゃったんですが、今、何で離島なのかがわからないので、その背景を少し教えていただけますか。本島にも問題はたくさんあるかと思いますが、今、何で離島になっているのかだけ教えてください。

○東沖縄振興局長 従来から離島対策は一生懸命やられていて、なぜ今問題になっているのかというと、やはりこれは三位一体とのからみですね。補助金が非常に削減される、それから、市町村に総務省から渡される交付金が非常に減額されることになっております。

○仲井真委員 それは離島がですか。

○東沖縄振興局長 離島が特に影響を受けるということでございます。それで、今まで例えば起債が出来ていたものが出来なかったりして、その地域の雇用だとか、いろいろな事業がうまく動かなくなるということで、非常に厳しい経済状況になっていくのではないかということです。ですから、先んじて手を打っていこうということでございます。

○仲井真委員 今おっしゃっているのは、沖縄本島の市町村はそれほどでもないということですか。

○東沖縄振興局長 やはり基地があるようなところは比較的ダメージが少ない。離島の方がより端的にダメージを受けている状況だということです。

○仲井真委員 沖縄で言うと南の方、南部の方はおっしゃる基地がないところですから、そこもまたちょっと別なんですか。

○東沖縄振興局長 そこは大変な部分もございますけれども、やはり本島内ということで、そういう意味では波及効果というのが先ほどもお話がありましたが、本島の中の全体の動きとしては出てくるので、そういうところは大変ではないとは言いませんけれども、そんなにひどくないのではないかと思います。

○仲井真委員 勉強していないのでよくわかりませんけれども、自治体への影響からそうなんですか。例えば九州の島というのは長崎から始まって鹿児島までありますね。それにもまた何かで手が打たれるんですか。

○東沖縄振興局長 私は長崎県出身ですが、苦しい状況はやはり同じです。もっとひどいかもしれません。その対策を今度きちんとやってくれるところがあるかというと実はないものですから、例えば自民党、いわゆる党サイド、政治家サイドのいわゆる離島振興対策委員会だとか、各党全部持っていますので、そこが一緒にがんばらなくてはならない。そこで各党とも今いろいろなことは言っておられます。

○仲井真委員 むしろ逆に離島振興法とか、ああいうものがあるところはしっかりやっていて、あそこから外されている沖縄の方が少しおざなりになりかねないというわけではないんですか。

○東沖縄振興局長 ひょっとしたら沖縄の方が非常に他県の離島よりも扱いが良かったかもしれません。しかし、今は両方とも一緒に落ちてきているという状況です。

○仲井真委員 勉強になりました。ありがとうございました。

○牧野委員 追加でよろしいですか。沖縄本島を中心に考えた離島という場合、この離島を活性化させる方法は何かと言うと、公庫の活性化資金も一つの目標は雇用対策ということがあるわけですけれども、この雇用対策を表に出せば産業振興になるわけです。

 離島の産業振興という場合、沖振計の中でも必ずしもくみ上げ切れなかった一つの例を申しますと、農産物の輸送費が典型的なものです。具体的にお話ししますとゴーヤーですけれども、宮崎、鹿児島がゴーヤーを市場に持っていく場合はJRに乗せればキロ当たり50円前後で東京まで着くんです。沖縄の場合は船、飛行機でやるとキロ当たり150円です。ですから、宮古、八重山でゴーヤーは出来るけれども、なおさら八重山などの場合はコンテナを積める飛行機が飛んでいないということで、同じ品質のゴーヤーが出来ても本島から持っていったら商売になるけれども、宮古、八重山で作ってもなかなかそうはならないという状況があります。沖縄県全体が離島ですけれども、離島の中の離島問題ですね。そういうことがあって、輸送費コストという視点も雇用対策、産業振興という形でいろいろな意味で着眼点になるのではないかということで、その辺りをお願いしたいと思います。

○仲井真委員 要するに、雇用対策というふうに書いてあるんですか。自治体の予算の話ではなくて・・・・・・。

○牧野委員 産業資金の活性化、離島の活性化ということは何かというと、離島の人たちが生活していけるかどうか、民間主導型の自立経済を作るということに集約できるかどうかと思いますけれども、そのための最大の要件は産業振興なんです。そういう面で、産業振興で公庫さんの対応も中小企業資金であるし、生業資金であるし、その辺りだろうと思うんです。

7 沖縄県の農業及び農業協同組合の概況について


○塚越委員長 よろしゅうございますか。それでは、先ほど申しましたように、ただいま委員の皆様方からいただきました貴重な御意見、御要望は内閣府及び沖縄開発金融公庫双方におきまして、今後の業務運営や予算要求の参考にしていただきたいと思います。
 それでは、沖縄県農業協同組合中央会会長の大城委員に「沖縄県の農業及び農業協同組合の概況」についてお願いします。

○大城委員 農協中央会の大城でございます。先ほど開会のときにも塚越委員長から、今日はかりゆしウェアでということでお話がありまして、全員を見渡しますと、皆さん本当にかりゆしウェアでございます。私だけ浮いてしまって、今日はこの場で何か罰されているような感じがするわけでありますが、実は出張帰りでございまして、そのまま着替えをしないで駆け付けましたので、御了承のほどをお願い申し上げまして報告をさせていただきたいと思います。
 1ページから入ります前に少しだけ前段を申し上げますと、本県人口の8割強が中南部地区に集中しておりまして、一方県全面積の8割近くは北部や離島、先島地域が占めているというふうな人口構成になっております。そういう意味では、沖縄の人口配置は過密と過疎の二極分化した地域特性を有していると考えております。
 そういう中で、私ども亜熱帯畑作農業を展開し続けているわけですが、これが北部地域あるいは先島、離島地域におきましてはサトウキビや野菜を中心とした農業が行われております。また、中南部を中心とする本島では花きあるいは野菜、果樹の産地形成がなされていることは皆さん御承知のとおりではありますが、大まかにこのように分けられるのではないかと思っております。
 こういう中で復帰後32年になるわけですが、本県の農業農村整備事業費に約8,500億円という大金が投じられ、圃場整備灌漑配水施設あるいは機械化、ハウス導入等、多様な農業振興策の展開がなされている。これまで国から相当農業に対する投資もなされながら、沖縄農業は後で見ますとおり右肩下がりで大変説明しにくい部分もありますが、反面、最近元気を出してきているところもございますので、資料に沿って御説明を申し上げたいと考えております。
 それでは、専門の方々が多いわけではありますが、資料に沿って説明申し上げます。
 1ページは「沖縄県農業の概況」ということで、1に「農業就業者数の推移」と書いてございますが、昭和60年ごろから比較しますと相当の減少であります。更に、専業、兼業農家とも減少しております。そういうことで、平成14年度には3万3,900人というのが農業就業者の数字であります。また、グラフの下のポツの3つ目に、65歳以上の割合は増加しており、全農業就業者に占めるその割合は50%超であると書いてあります。そういう意味では、就業面では老齢化しているというふうにはなっております。ただし、反面一部明るいのは、65歳以上は多いわけでありますが、続いて多い年代は30代から40歳未満と、ちょうど中年層が2番目に農業に従事している。そういう意味では、沖縄の農業に明るい見通しもうかがえるのではないかとも考えております。
 2の耕地面積でございますが、これも本当に右肩下がりで漸減している状況でございます。地区別で見ますと、中部と北部地区の減少が大きいわけでございます。耕地面積は、大きいものはサトウキビが第1位で全体の54%、続いて野菜、あるいは花きの順となります。現在では4万200ヘクタールというのが耕地面積の状況でございます。
 続きまして2ページでございます。「農業産出額の推移」ということで、これも平成7年までは1,000億円台の大台を下がりながらも維持をしていたわけでありますが、最近では922億円ということでずっと下がっております。ただし、平成12年に底を打ちまして、それから910億円、922億円と徐々に上がりつつあります。この右肩下がりの一番大きな要因はサトウキビで、当初170万トン台あったサトウキビの収量が去年、今年と80万トン台ということでございますので、これが一番大きな減少の要因であります。
 次の4は、部門別に見た農業算出額の推移でございます。サトウキビと野菜は減少傾向にあるということを先ほど申し上げたわけでありますが、サトウキビは量的なものであります。ただ、野菜につきましては単価安で、数量的にはそう落ちていないということで外国産との競合関係も本土市場を含めてあるのではないかと見ております。この中でも、一番上にありますのが畜産ですが、畜産は大変元気がありまして、肉用牛、肉豚、ともに合わせますと349億円ということで第1位でございます。特にその中でも肉牛が8万頭ということで、全国の府県別に見ましても沖縄は上位にあることは御承知のとおりでございますし、その飼育がされているのは宮古、八重山地域で7割強を占めているということで、離島がまだ畜産では頑張っているということが言えます。
 次のページに移りまして5になりますが、「主要品目収穫量等の推移」ということで、(1)はゴーヤーの収量の推移であります。これはずっと増加しておるわけでございますが、表にありますとおり7,140トン、金額にしまして18億円の売上げでございます。その7,140トンのうち県外出荷が3,700トンということで、県外でも相当の消費がされているのがゴーヤーでございます。ゴーヤーは本土サイドでは沖縄を超える需要があるわけですので、また県や関係機関と一緒になって農家が栽培しやすい条件づくりもして、長期低利の資金の有効活用もしながら今後進めてまいりたいと考えております。
 その下の(2)はキクでございます。キクも右肩上がりでずっと上がっております。これも昭和60年にはまだまだ低かったわけですが、平成12年には金額にして87億円という形になっているわけであります。資料にはありませんが、平成14年度には93億円ということで更に増加しております。更に、彼岸の時期になりますと御承知のとおりではございましょうが、本土の各家庭で飾られている8割ないし9割は沖縄産のキクであるということで、農家も頑張っていると言えるかと思います。
 その右側の(3)は「マンゴー出荷量等の推移」であります。これも極端にぐっと上がっているわけでございまして、完熟マンゴーはやはり沖縄でも大変人気があります。宮崎産も大変頑張っておりまして、宮崎の中央会会長から私の方に1か月前に物を送ってきまして、昨日会いましたら嫌がらせじゃないですからねと言われたのですが、すごくすばらしいのを向こうでもやっております。沖縄農業ももっともっと頑張らないといけないなと思うわけです。この表では平成12年度までは1,290トンと書いてありますが、14年には1,700トン出荷しておりまして、これも18億円の売上げとなっております。
 そのほかに、資料にはございませんが、拠点産地の形成による沖縄ブランドの確立ということに今、県と一緒になって取り組んでおりますので、それも紹介をさせていただきたいと思います。それは、例えばゴーヤー、サヤインゲン、キク、ラン、マンゴー、これからはパパイヤですね。それからイモはベニイモ等々を含めて最近大変喜ばれております。あるいはウコン、肉用牛などを戦略品目として位置付けまして、JAあるいは行政と一体となりましてその拠点づくりに今、取り組んでいる最中でございます。沖縄ブランドの確立をもっともっとやっていきたいということで、去年は県知事が先頭に立ちまして2日間、本土で沖縄県産品の販売キャンペーンもしていただいたということで、私どもも力強く思っておりますし、行政、地域の役所等を含め強力に取り組んでまいりたいと考えております。
 そうした中で、沖縄観光客が500万人を突破したのは大変うれしいことでありますが、おいしい食べ物、更にそれを下支えする農産物という意味では、魅力ある沖縄農産物を作って、沖縄観光あるいは産業発展にまた尽くしていけるのではないかと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 3ページまでで農業の概況、概略を申し上げたわけでありますが、4ページは「農業協同組合の概況」ということで少しだけ紹介をさせていただきたいと思います。農協系統組織図が書いてありますが、関係者以外の方から、あなたたちの組織はいろいろ複雑で分かり難いとよく言われるわけでありますが、組合員段階がありまして、次の段階の単位農協は従来ですと28農協あったわけでございますが、平成14年4月に単一JAに合併いたしました。28が1つになりまして「JAおきなわ」が誕生し、この4月1日からもう3年目に入ったわけでございます。奈良や香川県に次いで全国でも3例目といいましょうか、香川はまだ単位農協が2、3残っているはずなので、完全統合は奈良、沖縄ということになります。
 さらに、県段階といたしまして県農協中央会あるいは県信連、県経済連、全共連とあるわけでございますが、この県信連と県経済連は米印を入れてございます。これは来年の4月を目途に「JAおきなわ」に包括承継して完全に経済事業、信用事業を含めて一つになるということで進めている途中でございます。
 あとは、その下の方に全国段階が全中、農林中金、全農となるわけでございますが、一番右側に全共連、これは平成12年4月に全協連の方に統合いたしまして、全共連沖縄県本部という形でスタートしております。これがJA関係の組織図でございます。
 5ページに入りまして、2の「組合数の推移」でございます。先ほどから申し上げましたように平成4年には52のJAがありましたが、平成14年4月1日で「JAおきなわ」が生まれたというふうな説明でございます。そのほかにも専門農協が3組合ありまして、花き専門農協、県酪農組合、あるいは養鶏農協という専門農協が3つございます。
 3つ目は「組合員数の推移」でございます。これはほぼ横ばいというふうな状況でございます。ただ、正組合員数がだんだん減りまして、准組合員が徐々に多くなっているという形ではございますが、ほぼ五分五分、ちょっと准組合員が多くなってきたというふうな状況になりつつあります。更に、全体の組合員数では11万7,500人余でございます。
 次の6ページに移ります。「各事業の取扱高の推移」ということで販売事業、これは生産物の取扱高のことでございますが、直近2年間の取扱高は若干増加してまいりました。一時496億円の販売から444億円まで下がっておりましたが、最近は464億円とだんだん上がってまいりました。そういう意味では、単一JAになってこれからもう少しまた上げていけるのではないか、指導体制の統一化で上がっていくものだと思っております。
 (2)の「購買事業」でありますが、これは生産資材、生活資材関係の供給をするものでございます。購買事業も減少をいたしております。これは、また農産物の販売が上がればこの方もついて上がっていくというような方向になろうかと思っております。
 7ページは「貯金残高」であります。平成15年度末の貯金残高は前年度末比で73億円の増ということで、平成15年度末は6,414億円となったわけでございますが、平成13年と14年の間で急に下がっております。これは先ほどから申し上げましたように、平成14年度の農協合併、この合併をいたしまして格差のある農協が1つになったものですから、基礎をつくるのに2か年間かかった。やっと最近、統一した考え方と事業の仕組みができ上がったということで、2か年間はこうした金融事業の推進がやや手不足になってきたということもあるわけでありますが、そのほかにもいろいろな社会状況も加味しますと、15年度末の増はいい傾向ではないかと思っております。
 (4)の「貸出金残高」でございますが、これも資金需要の低迷等から減少しており、15年度末の残高は2,731億円となっております。使途別に見ますと、農業関連資金と住宅資金、生活資金、教育資金、事業資金という形で利用されているわけでございます。
 8ページに移ります。(1)は「公庫農林資金残高」、これは信連代理貸付額ということで表示しております。これもまた右肩下がりで大変説明しにくいわけでございますが、農業投資の減少等が反映いたしまして15年度末の残高は96億円という状況でございます。
 (2)は「農業近代化資金残高」であります。農業近代化資金につきましても公庫農林資金と同様に右肩下がりでありまして、15年度末に30億円の残高となっております。
 最後のページになりますが、「長期共済契約高」ということで私どもJAの方にも一般で言う保険業務でございますが、生命関係、建物、火災、自動車関係の保険等というものがございます。その中の長期共済でございますが、毎年約2,000億円新規契約がなされております。しかし、棒グラフでは下がってきておりますのは、長期保有高につきましては数十年前にやりましたのが満期到来の時期にきておりまして、この影響による減少ということでございます。そういう意味では、平成15年度におきましては1兆7,000億円の長期共済の保有契約残高という形になります。
 以上、私どもの沖縄農業の概況と農協の概況について説明をさせていただきました。ありがとうございました。

8 沖縄経済の現状と課題

○塚越委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、恒例によりまして日本銀行那覇支店長の大澤委員に「沖縄経済の現状と課題」について御説明をお願いいたします。

○大澤委員 日本銀行那覇支店長の大澤でございます。お時間は20分いただいたわけですけれども、既に会合終了時間を過ぎていますので10分だけお話をさせていただきたいと思います。
 今日は2点お話をしようと思っています。第一点目が沖縄経済の現状についてのオーバービューで、もう1点は中長期的な経済活性化という観点で観光振興をどのように考えていくかということです。前半は昨日、記者会見で発表しておりますので、今日の琉球新報とか沖縄タイムスをお読みいただければ私の言いたいことは全部出ています。したがって、その部分は割愛いたしまして、本日は主に後半部分だけをお話したいと思います。
 ただ、前半部分について1点だけ確認をさせていただきたいのは、2ページ目に日銀短観の業況判断DIという数字をお示ししていますが、実は沖縄経済は16年3月の業況判断DIの数字がプラス11ということで、全国はマイナス5でございますので、全国をかなり上回る景況観の良さがうかがえます。また、各地域の業況判断DIというのをパッと並べてみてどこが一番高いかを見てみますと、実は沖縄が一番高いということになっています。
 内閣府がやっていらっしゃる景気ウォッチャー調査を見ても、沖縄の業況判断は急速に改善していますし、水準自体も高くなっています。この背景にあるのは、言うまでもなく観光業の好調、それから個人消費の堅調という2つのエンジンがフル回転をしているということで、このような姿になっていることはまず頭に入れておかなければいけないことかと思います。
 短観の業況判断DIが今回とほぼ同水準の高い状況であったのは2000年ですが、そのときはサミットの関係の官公需がありまして、建設業界が相当良くなったということが主因だったわけですけれども、今回は民需が主導でこれだけの非常に良い業況判断を示しております。そういう意味では、自立型経済タイプの景気回復のパターンを今回は示しているという点は認識しておくべきではないかと思います。
 次に後半部分の観光についてですが、資料の15ページまで飛んで下さい。観光は沖縄のリーディング産業と言われて久しいわけですけれども、やはり今一度観光というものを主軸に据えた地域活性化戦略をきちんと考えていく必要があるのではないかという問題意識を常々持っております。
 理由は幾つかあるわけですけれども、ここに書かせていただいたように沖縄の場合には観光資源では他地域を圧倒していますし、最近ではサステイナブル・ディベロップメントということを言われますけれども、自然環境や文化、伝統とも共存していることというような観点からも観光が非常に重要であるということは言えるわけです。
 それから更に、地元経済に対する経済的波及効果というものが観光の場合には非常に大きいのではないかと思われます。これは、例えば単独で企業を誘致した場合と比較して、観光の場合にはより広がりのある大きな波及効果が期待できるということであります。
 時間の都合上、全部は説明しませんが、16ページに幾つかその波及効果の例を書いておきました。特に沖縄経済では観光客による県内消費が非常に効果が大きいと言われております。小売関係ですが、殊にスーパーとかコンビニエンスストアで観光客の方々が消費するものが非常に大きな下支えになっているという声が強く聞かれるところであります。
 それから、新車登録台数なども沖縄は全国と比較して非常にいい数字になっている。これは前の方の資料を後でごらんいただければと思いますけれども、レンタカー関係の需要が相当大きく下支えしているということでありまして、そういう意味では、観光客が個人消費を支えている部分が大きいということであります。それから、土産品効果を通じた県外消費ということでは泡盛の例が一番典型的だと思いますけれども、県外消費が今、年に5割増です。沖縄に来て泡盛のおいしさを知った方々が、またそれぞれ地元に帰られて泡盛を飲まれるという好循環がうまれています。
 それから、先ほど大城さんからお話がありました農業についても、やはり沖縄のスローフードといいますか、「地産地消」といったものを求めて観光客の方が来られるということで、農業にも相当インパクトが及んでいるということでありますので、そういう意味では観光業は非常に波及効果、広がりが大きい産業だと思います。
 ただ、17ページでお示ししているように、観光業については構造的な問題がありまして、これをどう克服していくかというところが最大の課題ではないかと考えております。
 その第一は、外的なショックに対して弱いということであります。台風が来れば飛行機も止まってしまいますし、風が強く吹けば観光船も出ない、定期船も出ないということになりますので、台風とか、雨とか、風とかという気象変動リスクに非常に大きく左右される。
 それから、米国同時多発テロ事件を思い出すまでもなく、地政学なリスクに対しても非常に弱いということであります。同時多発テロ事件後の13年第四半期は前年比で2割ぐらい観光客が減りましたので、そういうリスクも考えておかなければいけない。それから、月ごとの観光客数の振れが大きいというのも沖縄の観光の特徴でありまして、逆に言えばこの辺にまだまだ潜在需要を掘り起こす可能性があるということでもあります。
 リスクに対する感応度が高いということは、企業としてのリスクプレミアムが高いということですので、同じ平均所得を上げられる企業だとしても、リスクプレミアムが高いということは企業価値がそれだけ低く評価されてしまうということですし、それから新規投資とか雇用をやるときにもキャッシュフローの振れが大きいとなかなか思い切って大きな投資に踏み込みにくいというような問題を抱えてしまうということであります。
 それに対してどういうふうに対応していくかということでありますけれども、これは公庫も含めて金融界全体としても金融面からのサポートをしていく必要があると思いますが、1つはいろいろな新しいサービスを開発していくということです。資料ではファイナンス理論的に「ポートフォリオの多様化」と書いていますけれども、かみ砕いて言えば新しいサービスをいろいろと開発をしていくということであります。「IDB総会」に代表されるようなコンベンションサービスですとか、あるいはデューティ・フリー・ショップに代表されるようなブランドショップ、長期滞在型のリゾート、リラクゼーションとか、いろいろありますけれども、まだまだ沖縄としての魅力を十分に開拓されていないのではないかと思われます。
 エコツーリズムなども、やはりインフラを見ると先進地域である北海道辺りに比べるとまだまだいろいろな意味で―例えばガイドの資格制度だとか、あるいは何か事故があったときの保険とか―手当てができていないということであります。リゾートウェディングも最近非常に注目をされてきていますが、これはアメリカ、グアムとかハワイでリゾートウェディングをやる人が多かったわけですけれども、同時多発テロ事件以降これがぱったり止まっていますので、この辺の市場をむしろ沖縄が取っていくということは十分あり得ますので、これから伸ばしていく余地がいろいろあり得ると思います。
 そういう意味で、金融業全体としてこういう新しいビジネスに如何にお金を出していくかということが重要になってくるということでありまして、その意味では先ほど御説明があったような公庫の中小企業貸出証券化支援業務というのは、それを多様化するという意味で非常に意味のあることではないかと思います。
 もう一つ、観光産業の構造問題の克服ということで申し上げておきたいのは、先ほど申し上げたようにリスクに対して非常に弱い。特に天候に対するリスクに対して弱いということでありますので、その辺は新しい商品である天候デリバティブなどをもっと使ってリスクをコントロールしていくというようなことが望まれるのではないかと思われます。これは、企業の方々もそういう頭で理解していくし、金融機関もそういうサービスを提供していく体制を整えるということが重要だと思います。
 天候デリバティブを使いますと、リスクをヘッジする、でこぼこをならすという効果だけではなくて、例えば悪天候の時に観光で来られた方々に対するそれに見合ったサービスですね、天候が悪いので例えば料理が1品多くなるとか、あるいはエンターテイメントが付くとか、そういうサービスがあればやはり沖縄に来てよかったなと思うわけでして、そういったものを提供するための原資として保険に入っておく。デリバティブというのもある意味では保険ですから、そういうものに入っておくということは非常に意味があります。
 それから、金融機関にとってもこういう商品を売っていくということは手数料収入の拡大につながりますし、何よりも観光産業の場合はキャッシュフローが非常に振れてしまうので金融機関としては融資しにくいわけです。貸出というのは常に定期的にお金を返してもらいますので、収入が全然入らないとかということになるとすぐ焦げ付いてしまう。ですから、そこをならしてなるべく貸出をし易くするという意味でも、こういう商品というのは非常に大事かと思っております。
 デリバティブなどの仲介業務というのは民間サイドでやっていくことだと思いますけれども、そういうものと組み合わせたいろいろな融資などもあり得ると思いますので、その辺はこれから皆で知恵を絞って、あるいは公庫にも御協力いただいてやっていくことが必要なのかなと考えております。
 駆け足になりましたけれども、私からの説明は以上でございます。

9 閉会の辞

○塚越委員長 どうもありがとうございました。
 以上をもちまして本日の議題は滞りなく終了いたしました。お時間もまいりましたので、本日の会議はこれで終わりたいと思います。委員の皆様方には、沖縄振興開発金融公庫に対しまして今後とも引き続き御支援、御協力をいただきますようよろしくお願い申し上げます。
 次回の会議は、10月以降に東京で開催いたしたいと考えております。いずれ事前に御通知を申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、御多忙の中を御出席いただきまして大変ありがとうございました。それでは、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。