第74回沖縄振興開発金融公庫運営協議会

平成16年11月9日(火)14:00~15:14
中央合同庁舎第4号館共用第4特別会議室

次第

1 開会

○大澤委員長代理 皆さんこんにちは。私、沖縄振興開発金融公庫運営協議会委員長代理の大澤でございます。
 ただいまから、第74回沖縄振興開発金融公庫運営協議会を開催いたします。本日は、御多忙の中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 前回まで委員長をお願いしておりました塚越委員は任期が満了し、今回再任されております。このため、委員長を選任していただく必要があるわけですけれども、選任に先立ちまして、私の方から委員の交代について御報告いたします。

2 新委員紹介及び委員長選任

○大澤委員長代理 まず、沖縄県議会議長の交代に伴いまして外間盛善さんが新たに委員に就任されました。また、財務省大臣官房総括審議官の交代に伴いまして、石井道遠さんが新たに委員に就任されました。石井委員につきましては、有吉章財務省大臣官房審議官が代理として出席されております。
 また、嘉陽田弘二委員、大城惟宏委員、吉山盛安委員、稲冨洋明委員、塚越則男委員は引き続き選任されましたので御報告申し上げます。
 残念ながら大城委員、吉山委員は御都合により欠席でございます。
 続きまして、その他の委員の出席状況について御報告させていただきます。
 仲井真弘多委員、呉屋秀信委員におかれましては、本日は御都合により欠席でございます。
 稲嶺惠一委員につきましては牧野浩隆副知事が、佐藤正紀委員につきましては和田智明内閣府大臣官房審議官が代理出席されております。
 続きまして、委員長の選任に移らせていただきたいと思います。本運営協議会は運営規則において委員長を委員の互選により定めることとなっております。皆様の御推挙により、委員長を選任したいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○牧野沖縄県副知事 大変御経験がおありの塚越先生にお願いしてはいかがでございましょうか。

○大澤委員長代理 ただいま塚越委員にお願いしたらどうかという御発言がございましたけれども、皆様いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大澤委員長代理 ありがとうございます。それでは、御異議がございませんようですので、塚越委員に引き続き委員長をお願いしたいと思います。
 それでは、私は席を代わらせていただきまして、塚越委員によろしくお願いいたします。

(塚越委員 委員長席へ移動)

○塚越委員長 ただいま御選任をいただきました塚越でございます。大変微力でございますが、誠心誠意務めさせていただきますので、どうぞ御協力をお願いいたします。では、座って議事を進行させていただきます。

3 内閣府沖縄振興局長挨拶

○塚越委員長 それでは、第74回沖縄振興開発金融公庫運営協議会の開催に当たりまして、内閣府の東沖縄振興局長に御挨拶をお願いしたいと思います。東局長、よろしくお願いいたします。

○東沖縄振興局長 内閣府沖縄振興局長の東でございます。
 今日は、実は小池新大臣が参りまして御挨拶をするということでございましたけれども、実は今ちょうど国会で沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開催しておりましてそこに出席しております。私も次の質問が控えているということで失礼させていただきますけれども、大臣からは、誠に残念だということで、よろしく伝えてくれということでございましたので、御報告をまずさせていただきたいと思っております。
 本日は非常に御多忙のところ、この運営協議会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。日ごろ私たち内閣府及び沖縄振興開発金融公庫に対して御支援、御指導を賜っていますことに対しまして、心から御礼を申し上げたいと思っております。
 本日は、平成17年度の沖縄公庫の概算要求の内容につきましていろいろな御説明をするということでございます。後ほど担当参事官から御説明申し上げたいと思いますけれども、事業計画の総額を1,805億円としております。これは今年度に比べますと約100億円の減少ということでございますけれども、昨今の資金需要の動向を踏まえた十分な額を計上していると考えております。
 また、貸付制度面で新しいことを考えておりまして、御案内のとおり沖縄の離島、三位一体改革等々で大変厳しい状況にあるということでございまして、私ども内閣府沖縄担当部局に設置いたしました美(ちゅ)ら島会議の離島活性化に対する取り組みということをやっておりますけれども、これに対応いたしまして政策金融面から離島活性化を支援する沖縄離島振興貸付、通称美(ちゅ)ら島貸付ということの創設を始めといたしまして3つの制度の創設、拡充を要求しております。そのほかに、地域振興策としての連携とか強化といういろいろな制度要求をしているということでございまして、それについては後ほどまた説明があろうかと思っております。
 沖縄公庫というのは設立以来、沖縄振興計画等に基づく政府の沖縄振興政策と一体となりまして、これを資金供給面から支援するという役割を担っているということは皆さん御案内のとおりでございまして、これも民業補完という考えの下で民間金融機関が供給を困難とする長期の設備資金と低利かつ安定的な供給ということ、または出資業務を通じまして沖縄の自立型経済に向けての発展に寄与してまいったと考えております。
 しかしながら、皆様御案内のとおり、平成14年12月の経済財政諮問会議の決定では、平成17年度から3年間は政府金融機関があるべき姿に移行するための準備期間ということになっております。国土交通省におきましては住宅金融公庫を平成18年度末までに廃止をいたしまして、独立行政法人化する法案を平成17年度の通常国会に提出するというような報道もなされているということでございまして、政策金融の改革に関する議論というものは動き始めつつあると考えています。
 私どもといたしましては、この沖縄金融公庫の業務の見直しということにつきましては、政府と一体となった沖縄政策ということでやっておられるということでございまして、こういう機能が損なわれることがないように、各方面の御理解を得ながら対応してまいりたいと考えておるところでございます。
 本日のこの運営協議会は、地元の皆様方の御意向を公庫の業務運営に反映させるという目的で設けられたものでございます。委員の皆様の貴重な御意見を今後の公庫の業務運営に十分に生かしていくということでございます。忌憚のない御意見を賜りますようよろしくお願い申し上げまして、簡単でございますが、私のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。東局長は、国会対応のためここで退席されます。

○東沖縄振興局長 申し訳ありませんが、ひとつよろしくお願いいたします。

(東沖縄振興局長退室)

4 平成17年度沖縄公庫予算案の概要について


5 平成16年度沖縄公庫の活動等について

○塚越委員長 それでは、これから議事に入ります。本日の議題はお手元の資料、第74回沖縄振興開発金融公庫運営協議会議事次第にありますとおり、「平成17年度沖縄公庫予算案の概要について」及び「平成16年度沖縄公庫の活動等について」の2点でございます。 更に、大澤委員から「沖縄経済の現状と課題」について御説明をいただくことにしております。
 なお、本日の御報告に対する皆様方の御質問、御意見でございますが、後ほどまとめてお伺いすることとしておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、内閣府沖縄振興局の山田参事官から「平成17年度沖縄公庫予算案の概要」について、引き続き沖縄振興開発金融公庫の木幡総務部長から「平成16年度の沖縄公庫の活動等」について御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○山田参事官 担当参事官の山田でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
 それでは、17年度の沖縄振興開発金融公庫の予算の概算要求の概要につきまして、私の方から計数面の御説明をさせていただきます。恐縮でございますが、資料の2ページをお開きいただきたいと思います。
 ここに計数を1ページで用意してございます。左側の欄をごらんいただきますと事業計画がございまして、それに対する裏付けになります資金交付計画、それから補給金等とあります。御案内のように公庫の損益計算上の不足額を一般会計から収支差補給金という形で補填しております。
 まず1番の「事業計画」でございます。(1)の「貸付」でございますが、この総額をごらんいただきますと平成16年度予算額は1,900億円、これに対して17年度要求額は1,800億円と100億円の減ということになっております。事業計画は各資金ごとに最近の貸付実績、資金需要等を勘案しながら決定をしているものでございますけれども、この真ん中の欄の増減額のところをごらんいただきますと、産業開発資金が30億円減、そのほかに住宅資金が70億円減となった結果、総額で計100億円の減になっております。
 住宅資金は、県民の住宅取得ニーズに公庫として対応しつつ、先ほども局長の話にございました公庫の民業補完という観点から民間金融機関の最近の融資動向を勘案しつつ、その役割分担にも配慮した結果、70億円の減という形で計上させていただいております。
 ちなみに、100億円の減ということになっておりますけれども、実績を申し上げれば14年度は1,441億円、15年度は1,328億円ということでございますので、沖縄公庫に期待されている資金需要には十分対応できるものと考えているところでございます。
 事業計画の(2)は「企業に対する出資」でございますけれども、これにつきましては今年度予算と同額の3億円を要求いたしております。
 それから、(3)の「新事業創出促進出資」でございます。これにつきましては毎年2億円の出資計画でやっておりますので、新規に予算要求もしておりますが、今年度同様2億円という要求になっております。なお、「新事業創出促進出資」については新規に予算要求もしておりますので後ほど御説明いたします。
 それから、2番は「資金交付計画」でございます。これは、住宅資金が年度をまたがるところがございますので事業計画額とは一致しておりません。17年度は1,767億円を要求しております。「原資の内訳」をご覧いただきますと、財政投融資、自己資金等と書いてありますが、自己資金で足らない残りの部分を財政投融資という考え方でございます。うち書きで財投機関債と書いてあります。これは200億円と16年度と同額を計上してございます。7ページをごらんいただきますと、後ほど総務部長から御説明があるかと思いますが、沖縄振興開発金融公庫債券、財投機関債でございますが、14年度から16年度の発行実績がでております。今年度分、第3回、第4回で計200億円発行しておりますが、順調に消化をしている状況でございます。
 2ページ目に戻っていただきまして、3番目の「補給金等」は先ほど申し上げましたように損益計算上の不足額を一般会計から補填しているものでございますが、平成16年度の予算額52億4,000万円と同額を計上しております。
 それから、出資金とございます。この出資金は先ほど申し上げました新事業創出促進出資のためのものでございまして、16年度はゼロと書いてありますが、17年度要求額として4億円という形になっております。したがって、形式的には新規要求になっております。
 新事業創出促進出資につきましては沖縄振興特別措置法で公庫の業務として特別に加えられたものでございます。具体的には毎年2億円ずつ、10年間で20億円出資したいと考えております。実は既に13年度、14年度の補正予算で16億円の財源を一般会計からいただいております。
 これまでの実績を見ますと、14年度に開始しまして当該年度は4件で9,000万円、それから15年度は9件で1億9,500万円ということでございますので、大体予定どおり順調に進んでいる。現在までの相談件数は50件以上ということで、相当な相談もきているということでございます。今年度は現在まで2件で3,500万と聞いておりますが、こういう状況を勘案して本年度に原資20億円の残り4億円の新規要求をしたものでございます。
 以上でございます。

○塚越委員長 それでは、木幡総務部長お願いいたします。

○木幡総務部長 公庫の総務部長の木幡でございます。残余の資料につきまして、私の方から御説明をさせていただきます。
 3ページをお開きください。「融資制度の充実・改善」についてでございます。今回は、多くの制度がサンセット方式に基づく期限がくるということもございまして、私ども所要の見直しを行いまして必要な充実・改善等を要求させていただいております。今回の柱といたしましては、資料にございますように1点目は地域の振興策との連携強化をもっと図っていこうではないか。2点目には、先ほど東局長の方からもお話がございましたが、離島活性化に向けた内閣府の取り組みと符合を合わせて公庫としても取り組んでいこうではないか。3点目は、本土の各政府関係機関と並びの制度の拡充を図っていこうということでございます。
 まず「地域振興策との連携・強化」の最初の中小企業経営基盤強化貸付の創設でございますが、沖振法に経営革新計画の承認といったような制度がございます。これは特定の事業については現在もあるわけですが、本土とは違って現時点では一般的な業種に対する経営革新計画の承認に対する支援制度がないような状況になっておりますので、その点で是非その制度を設けたいということで、今回この制度を立ち上げるという要求をいたしております。
 2点目は、特産品振興貸付の取扱期間の延長、泡盛特例の創設ということでございます。これも期限がきますので、それを延長すると同時に、泡盛業界が品質表示の自主規制を厳格化しまして、例えば5年古酒であれば5年古酒と表示するからには100%5年以上の古酒でなければいけないということになりましたので、その点ではかなり在庫のための資金とか、そういったものが必要になってまいります。こういったことに着目いたしまして、貸付期間や、あるいは据置期間を長期化する泡盛特例を創設するという形にいたしております。
 それから、自由貿易地域等の貸付の担保特例制度を延長するとともに、対象を拡充しようというものでございます。これまで1年ごとに延長してまいりましたが、引き続き延長をお願いすると同時に、県の方で今回リース制度を導入されまして、それに対する担保特例の方も対象にしていこうではないかということで要求をいたしております。
 4つ目は、情報通信産業支援貸付を延長すると同時に対象を拡充しようということでございまして、沖振法の中で情報通信関連産業という定義がございまして、いわゆるコールセンターでございますが、そのコールセンターにつきましてもこの支援の対象にする。それと同時に、またコールセンターにかかる施設のリース事業者の方にも対象を拡充しようという要求でございます。
 その次の観光・国際交流拠点整備貸付と位置境界明確化資金につきましては、いずれも単純な延長ということでございます。
 次に離島活性化でございますが、1つ目は通称美(ちゅ)ら島貸付、離島振興貸付の創設ということでございます。内閣府の方で美(ちゅ)ら島会議が創設されまして、地域に合わせた特色ある地域づくりを進めていくということで、一島一物語という考え方の下に進めていくということでございますが、島の特色ある産業振興、経済活性化を支援するために、例えば中小企業者の経営拡充はもとより、多角化とか、あるいは事業転換といったことにつきましても幅広く貸付対象にしていきたい。合わせて、担保・保証人面での特例措置を講じたいと考えてございます。
 実は、これまでにも離島活性化貸付という仕組みがございました。こちらの方では設備投資が必要であるとか、あるいは雇用拡大が必要であるとか、離島の実情を考えますとややハードルの高い要件になっていたわけでございますが、今後はそれを緩和いたしまして、できる限り離島の皆さんが使いやすいような制度にしたいということで要求させていただいております。
 次に、教育資金の離島特例の創設ということでございますが、離島には高校がないところが多数ございます。そういったところの方々は沖縄の本島なり、他の離島に行って進学、通学するという形になるわけで、当然就学の費用もかさんでまいります。これに着目いたしまして、通常でございますれば限度額200万円というところですが、100万円引き上げまして限度額を300万円にするというものでございます。
 3つ目に、災害復旧貸付の拡充というものがございます。貸付限度額あるいは適用利率等を拡充いたしまして、通常の貸付に上乗せをして有利な利率あるいは限度額というものが適用できるように制度を改善しようというものでございます。また、あわせまして災害復旧貸付につきましては原則災害救助法が発動されたときとなっておりまして、災害救助法の発動要件というのは住家被害が一定程度、かなりの数に上らないと発動できないような仕組みになっております。そういう点では沖縄の場合は住家被害はなかなか生じないけれども、経済的な被害はかなり大きいという場合もございます。公庫では昨年、宮古地方を中心に襲った台風につきまして特例的にこの制度を発動したわけでございますが、今後はそういった場合に弾力的に発動できるようにしてまいりたいということで要求をいたしております。
 なお、資料の4ページ目は美(ちゅ)ら島会議の方で決定されました「離島活性化に向けた課題と対応策」ということで、内閣府の事業、そして公庫の事業も含めて整理されてございます。後ほど御参考にしていただければということでございます。
 続きまして、6ページをお開きいただきたいと思います。公庫の事業計画及び資金交付計画の今年度の上半期実績でございます。15年度は、下から2段目にございますように、1,330億円余の実績がございまして、上期では619億円余ということでございました。16年度の上期は、当初計画の1,905億円に対しまして589億円余、進捗率で30.9%ということになっております。前年度同期の比較で申し上げますと95.1%ということですから、4.9%のマイナスということになってございます。
 資金の内訳で見てみますと、住宅資金を除きますれば、景気の回復などに伴います資金需要に対応しまして、前年度に比べますといずれもプラスという形になっております。産発資金の方は30%以上の増、中小資金は17.9%の増、農林は5.5%、医療資金はかなり大きな増、生活衛生資金も9.3%の増という形で増えてございますが、一方で住宅資金の方につきましては民間金融機関へのシフトといったようなこともございまして45.7%という形に減少してございます。その結果、全体として4.9%のマイナスということでございます。
 なお、出資でございますが、9月末までの段階では1件、1,500万円の出資、新事業創出促進出資でございました。これは服飾製品の開発、製造、販売を手掛けるマドンナという会社に1,500万円出資したものでございます。その後、ソフトウェア会社のジャスミンソフトというところに2,000万円を出資いたしておりまして、これまでのところ2件、3,500万円出資をいたしております。
 なお、一番右側の第3・四半期の計画でございますが、これまでも年度後半に増えるということもございまして、年間の4分の1ベースよりはやや大目の503億円ということで第4・四半期の計画を組んでございます。資金交付計画につきましては一番下の段にございますが、上期で647億円ほど執行してございまして、進捗率は36.4%、昨年度との比較で申し上げますと約15%の増という形になっております。
 続きまして、7ページは沖縄公庫債の発行実績についてでございます。先ほど参事官の方からお話がございましたが、16年度の2回目になりますけれども、その発行条件は表面利率1.66%という形になりまして、国債との金利差、スプレッドと申しますが、10bp(ベーシス・ポイント)いう形になりました。これは金利にして0.1%高いという状況でございます。公庫の方ではこの財投機関債の発行に当たりましてIR活動、公庫としての広報説明活動を活発化させまして、機関投資家の方々などにいろいろ御理解を得ました。第1回、第2回目を見ていただきたいのですが、国債との差が0.15%ございました。これが今回は0.1%の差ということですから、1回、2回目に比較しますと0.05%、前回に比較しますと0.02%発行条件が改善し、金利負担は小さくなってございます。
 続いて、8ページは「沖縄公庫のセーフティネット機能について」という資料でございます。政策金融機関の役割として、中小企業等に対するセーフティネット機能というものが求められておりまして、特に沖縄の地域ではそれが強く求められると考えてございますが、その実施状況をコンパクトにまとめさせていただいております。
 1つには、セーフティネット貸付というものがございます。これは平成12年12月に導入されましたが、それ以降、この表にございますように本年度の上期までに累計で428件、金額にいたしますと234億実行されました。これはいずれも中小企業資金あるいは生業資金の中で執行しておりますが、それに占める割合は累計で申し上げますと件数では3%、金額では10.2%という形になってございます。
 このセーフティネット貸付の雇用の喪失防止効果というものを、貸付をした企業の従業者数を積み上げまして測ってみました。累計で約1万2,000人、1貸付先で平均28人という形になっております。中小企業資金があることから、1貸付先平均28人と結構多人数になっておりますが、こういった状況になっております。これを失業率に換算してみますと約1.9%に相当いたします。その点では、この貸付をして失業率の高い沖縄の失業の防止に役立っていると言えるのではないかと考えてございます。
 17年度は先ほど参事官の方から御説明申し上げましたが、中小企業等資金は前年度と同額の700億円を要求してございます。政策金融改革におきましては16年度までは積極的にセーフティネットを活用するという形になっておりましたが、その役割はある程度縮小するにしても沖縄では引き続き重要だということもございまして、前年度と同額を要求いたしております。
 それから、前回のこの運営協議会の場で御説明申し上げました中小企業向け無担保貸付制度の状況でございます。今年度から導入したものでございますが、9月末までに14件、8億円ほど実行をいたしております。どのようなものに貸付を行ったかということを累計でまとめてみますと、担保不足の状態にあった事業者に運転資金を提供するというものが9件ほど、それから、事業環境の厳しい建設関連の業種でメイン銀行の根抵当枠余力を保持しながら運転資金を調達していただくというようなものが5件ほどございました。
 この中小無担保の制度につきましてはできる限り迅速な対応に努めてございまして、16年度の案件で申し上げますと審査資料の受領から融資決定まで、平均7営業日という形で短縮化といいますか、短い期間の中で処理をいたしております。
 なお、中小無担保に限らず、生業資金の方でも現在、迅速な対応を心掛けておりまして、本店の方では、従来の審査日数に比較しますと約半分ほどに縮減をして今スピードアップをしている状況にございます。
 3点目は、災害等における特別相談窓口の設置と特別融資制度の実施でございます。経営環境の激変や大きな災害等があった場合に特別相談窓口を設置をして、御相談に応じて融資や返済条件の緩和といったようなことを実施しているほか、特に影響が大きい場合には独自の特別融資制度を発動しております。
 主なものを次に掲げてございますが、13年10月にはアメリカの同時多発テロを踏まえまして、観光関連業界を支援する特別相談窓口を設置しまして、1年間の時限措置として緊急特別貸付を実施いたしました。このときには358件、約100億円の実績がございました。
 それから、昨年の9月、宮古地方を中心に襲った台風14号の被害につきまして特別相談窓口を設置して災害復旧貸付を特別発動いたしております。このときは64件、3億4,000万円ほどの実績がございました。
 それから、今年度は台風18号、23号災害で特別相談窓口を設置しているという状況にございます。先ほど御説明しましたように、17年度の予算で弾力的発動なり、融資条件の拡充を要求しておりますので、引き続きこのようなセーフティネットの機能は強めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、9ページは「平成15年度行政コスト計算書等について」でございます。この行政コスト計算書というのはどういうものかということにつきましては、表の下の小さい字でございますが、(注1)にありますように特殊法人等が民間企業として活動を行ったというふうに仮定をいたしまして、企業会計原則に準拠した損益計算書を元に認識された費用、これは業務費用という形になりますが、それ以外にも政府出資等、見えない国民負担というものも数字に表して機会費用という形で算出し、それを合計して総体として国民負担がどれだけあるかを計算したものでございます。
 この行政コストにつきましては、14年度は196億円かかっていたということでございますが、今年度は2億円と大幅に減少いたしまして193億円ほど減少したということになってございます。
 主な要因といたしましては次のページをごらんいただきたいと思いますが、これは一番上で業務費用が199億ほど減少したというものでございます。15年度は△10億円ということになっておりますが、△10億円というのは企業の損益計算書でいうと10億円の黒字という形に相当いたします。これがこのように減った要因といたしましては(2)の「業務収益」のところを見ていただきたいのですが、3の「その他収支」のところで貸倒引当金の繰入額が150億円ほど減少することになりました。そればかりか次の引当金の戻入益が26億円戻ってくるという形になりまして、差し引きこの引当金の関係だけで176億円改善したというのが大きな要素でございます。
 これは、私どもとして不良債権の減少というものに努めた結果、引当てを増加させる必要はなかったということが主な原因でございますが、それ以外にも(2)1の「資金運用収支」のところにありますように、資金調達費用が61億円ほど改善をいたしております。これは低金利に伴う改善ということで、運用収益面で47億円ほどこれも減ってございますが、差し引きでも14億円改善を見ているということでございます。
 前の9ページに戻っていただきまして、2の「リスク管理債権」でございます。これにつきましては、金融検査マニュアルに準拠いたしまして貸出資産の自己査定というものを実施しまして、その結果を踏まえ、集計、公表いたしております。表の合計の欄にございますように、15年度は54億円ほど前年度に比較して減少しまして1,531億円という形になりました。しかしながら、貸付金総額が大きく減少している関係から、リスク管理債権の比率としましては14年度が9.90%に対しまして、参考の沖縄公庫の欄のところにございますように10.17%という形で若干リスク管理債権比率が上がっております。これは、経済基盤の弱い沖縄地域に特化して民間金融を補完しつつ、政策金融機関としてセーフティネット機能を果たすという役割を遂行した結果だと受け止めてございます。
 私の方からは以上でございます。

(質疑応答)
○塚越委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ここでこれまでの議事内容を通じまして御質問、御意見等がありましたらお伺いいたしたいと思います。いかがでございましょうか。では、牧野副知事よろしくお願いいたします。

○牧野沖縄県副知事 代理で参りました牧野でございます。今、16年度の実績を踏まえながら17年度の計画の御説明をいただきましたけれども、特に17年度の資金枠につきましては若干100億の減でございますけれども、昨今の県内景気の動向を踏まえたらそれなりに妥当な線かと思います。ただ、産業開発資金が実態が弱いというのは残念だという感じがしました。
 あとは、いろいろな意味で今、県は沖縄振興計画に基づきまして産業振興に力を入れているところでございますけれども、その中でも産業振興につきましては観光リゾート、情報通信、特別自由貿易地域、泡盛などの地場産業の育成、更には県内の企業の大勢を占めています中小企業、それに対するいろいろな意味での制度の緩和だとか創出だとか、そういったものがあったことをうれしく思います。
 それからもう一つ、沖縄振興計画の柱であります県土の均衡ある発展、特に県内の場合、離島が多いわけですから、内閣府の計画によりまして離島振興、新たに振興計画などに非常に重点を置かれまして、それに金融面から対応するための離島振興貸付が新たに創設されたということ、それから教育資金、特に去年、今年は台風の災害がありましたので、災害復旧貸付の拡充などが出たことをうれしく思います。
 それから、出資でございます。県の方としましても、産学官の研究開発を投じながら新規企業あるいはベンチャー企業の掘り起こしに力を入れているところでございますけれども、13年度から産学官の研究開発、共同研究などもして、そろそろ研究成果が上がってきて、これから新規だとかベンチャーなどが出てくるかと思いますけれども、5億ありましたが、産学官の研究については半ばであり、この後から具体的な資金需要が出てくるかと思いますが、それに対する配慮もお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。ほかにどなたかいかがでございますか。御意見、御発言等がございましたら、どうぞお願いいたします。
 大変細かい点で恐縮なのですけれども、私から1点伺いたいのは、中小企業の無担保融資でございます。この点はリスクを加味した、リスクを考えた金利を適用するという御説明が前にあったと思うのですが、大体どれぐらいの金利を適用しておられるのか。もし差し支えなければ聞かせていただきたいと思います。

○八木橋理事長 では、私からお答えを申し上げます。
 ただいま委員長からお話がございましたように、この制度は、私どもが各お客様の財務状況を把握するということが前提になってできた制度でございます。これは、金融庁のガイドラインに沿ってやっております、お客様の資産、私どもの持っている債権を自己査定して、それがどのくらいの危険度にあるかというデータを持っていることを前提にして初めて成り立つ制度でございます。言ってみますれば、そういった債務者の集まりを一つの母集団としてとらえまして、ここでお貸しすれば確率的に何%くらいの貸し倒れが発生するであろうかということを計算しまして、その分については財政で持つというのは、すなわち税源負担でそれを行うのはふさわしくないというようなことから、その集団の中でその危険分、リスク分を負担していただくということで計算したものでございます。それを統計的処理によって計算しますと2.5%という数字が出てまいりましたので、通常金利に2.5%上乗せするというようなことでこの金利を決定いたしております。
 それから、先ほど総務部長から御説明しましたように、そういうことで背景にデータがそろっているから貸付の審査も時間をかけないで早期に決定するようにということで、平均的には先ほど申し上げました7営業日ということでやっておりますが、特殊なケースで20日くらいかかったというものを除きますれば、大体翌日か翌々日ぐらいには決定できるものが大多数でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。ほかに何かございませんでしょうか。

○外間委員 先ほどの東局長の御挨拶の中でやはり今、進められている国から地方へとか、あるいは民間ができるものは民間へというように大きく地方分権、構造改革が進められている中で、今後各都道府県にあります公庫ですね、特に沖縄県は総合窓口として振興事業、あらゆる面で国のお世話になっているところでありますが、全国的に公庫の問題は民間ができるものは民間へとか、あるいは地方にできるものは地方へと、この中に含められて現在の制度、仕組みが何か取り払われていくのかなということをいつか報道で聞いたことも見たこともありますし、さっきのお話の中にも似たような懸念される事項の説明が少しあったわけであります。このことについては、他府県はともかくとして沖縄県においては是非当面しっかりとこれまでの体制を国に継続していただきたいというのが沖縄県民の皆の願いであると思っておりますが、その辺りはどういう国の考え方であるのか。また、見通しになるのか。この機会に聞いておきたいと思います。

○山田参事官 それでは、私からお答えいたします。
 政策金融機関の改革につきましては、御案内のように13年12月の閣議決定「特殊法人等整理合理化計画」がございます。それから14年12月の経済財政諮問会議の決定では、16年度は不良債権集中処理期間、17年度から19年度までは民間金融機関の機能回復・強化の状況を見つつ、あるべき姿に移行するための準備期間と位置付けられておりまして、組織の統合、集約化を目指す観点に立って対象分野の厳選を進めつつ、可能な改革措置をできるだけ速やかに実施する。また、あるべき姿への移行を円滑に進めるための政府及び政策金融機関の会議を開催することになっております。そして平成20年度以降速やかに新体制に移行するとされております。
 今、住宅金融公庫については、独立行政法人化のための法案が、来年の通常国会に提出されると報道されているところでございます。御案内のように沖縄公庫はすべての分野を総合的、一元的に担っている政策金融機関でございます。沖縄公庫の場合には「特殊法人等整理合理化計画」において、「本土公庫に準じて、事業見直しを図る」と書いてございますが、沖縄の実情を踏まえ、議論を進めて参りたいと考えております。

○塚越委員長 外間委員、よろしゅうございますか。

○外間委員 要望だけついでに申し上げます。これは19年度までは準備期間で、20年度からは本格的に作業に入るということで、どういう形になるかはわかりませんが、この制度仕組み、沖縄振興事業がこれまで同様継続していけるような形を何らかの形で是非、総合的に御配慮をお願いしておきたいと思っております。

○塚越委員長 御要望を記録にとどめるようにいたします。
 それでは、有吉さんいかがでございますか。

○有吉財務省大臣官房審議官 私、財務省の方で政策金融機関全般を見ておりますので、その観点から若干、今の御説明に補足しておきたいと思います。
 政策金融機関改革は今お話がありましたように16年度までは活用していって、17年度から19年度の3年間にかけてあるべき姿を検討するということなのですが、実は政策金融機関の業務という点に関しましては、もともと特殊法人関係の改革と見直しということで、ある意味では既に民間の補完、あるいは政策金融機関としてやるべき分野に重点化しておこうということで、これは沖縄公庫もそうですが、各政策金融機関において着実に実行しているところです。
 したがって、機能の面で恐らく17年度あるいは20年度から非常に段差があって変わっていくということではないと考えております。むしろ恐らく17年から19年度の議論は、これは内閣府なりどこかで全体として御検討していただくことかと思いますけれども、そういう機能をうまく発揮するにはどういう形でやっていくのがいいかといったような議論ではないかと思っておりますので、現在沖縄公庫が果たしているような役割といったものが、例えば20年度以降に消滅してしまうとか、なくなってしまうとか、そういう段差のあるような議論ではないというふうには承知しております。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。そのほかいかがでございましょうか。
 それでは、ただいま委員の皆様方からいただきました貴重な御意見、御要望は、内閣府及び沖縄振興開発金融公庫、双方において今後の業務運営あるいは予算要求その他の参考にしていただきたいと思います。

6 沖縄経済の現状と課題

○塚越委員長 次に、恒例によりまして日本銀行那覇支店長の大澤委員に「沖縄経済の現状と課題」について御説明をお願いしたいと思います。大澤委員、よろしくお願いいたします。

○大澤委員 それでは、お手元の「沖縄経済の現状と課題」という横長の資料を用いて、沖縄経済について御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料で細かいことを申し上げる前に全体的評価を申し上げますと、前回こちらの協議会でお話させていただいたときと状況はあまり変わっておりません。基本的には沖縄経済は観光、個人消費を主導とした緩やかな回復を続けていると私どもは評価をしております。
 ただ、中身をやや細かく見ますと少し変化も見られておりまして、まず前向きな動きといたしましてはそうした観光とか個人消費の好調を背景に設備投資に動意が見られます。それから、雇用についても新規求人等が増える、あるいは就業者数が増えるといったようなポジティブな変化が見られております。
 それからもう一つ、逆にネガティブな方ですけれども、かねてから沖縄経済はさまざまなリスクにさらされているというふうに私どもは認識しておりました。その一つは天候リスクですし、それから地政学的なリスクもそれに入ります。あるいは、所得環境を取り巻く情勢、この辺もやはり大きなリスク要因だなというふうに見ておりましたけれども、その中で最近になって台風、それから原油価格の上昇の影響が徐々に顕現化してきていることが懸念材料であります。
 ただ、冒頭に申し上げましたように、こういうプラスマイナスそれぞれの材料がある中で、基本的には「緩やかな回復を続けている」という面で変わりはないということでございます。
 その辺の事情を図表等で御説明をしたいと思います。まず1ページをごらんください。こちらに日銀短観の沖縄での業況判断D.I.がございますが、真ん中辺を見ていただきますと全産業というところで16/6月はプラス13でございましたが、9月はやや低下いたしましてプラス7ということになっております。このマイナスの背景ですけれども、やはり非製造業のところが10からプラス3に変化したということが最も大きな要因になっているかと思われます。建設については、やはり公共工事を中心に受注が減少している。小売とか、好調な観光を中心とする飲食店とか宿泊、この辺りも少し指数が悪化しておりますけれども、この辺りは先ほど申し上げた天候の要因もありますし、それからやはり競争の激化というものが一つの大きな背景になっているかと思います。ホテル業界における競争激化の実態については、最後に少し申し述べさせていただきたいと思います。
 2ページをごらんください。いま申し上げたように実際にD.I.は悪化はしているわけですけれども、私ども全国の32の拠点で短観というものを集計しておりまして、それを順位といいますか、いい方から並べたものが図表の2でございます。これを見ていただきますと、全産業のところで沖縄は7ということで、名古屋、静岡、横浜に次いで第4番目に高い水準になっております。16/6月はプラス13、これは全国一高いD.I.の水準でございましたけれども、今回は少しそれが下がりましたが、全国でまだ相当高い水準にある。特に非製造業の分野は全国はまだまだ回復とは言えない状況にありますけれども、沖縄の場合には今回大きく下がったとはいえ、まだプラスの水準ということで、この辺が沖縄の特徴であると言えるかと思います。
 続きまして、個別の産業について少し御説明したいと思います。まず観光でございます。3ページでございますが、15年の第3・四半期以降増加基調にありました入域観光客数は今月の7-9月には一服、前年比マイナスということになっております。ただし、水準的には過去2番目の水準で、15年が過去最高で今年も2番目の高い水準を維持しております。
 今回、その増加基調が一服した背景でございますが、1つはやはり台風の影響が大きかったということであります。例えば、9月ですと飛行機のキャンセルが5万人ほど出ております。月ごとの観光客数の1割強に当たるキャンセルが出たという大きな影響があったわけでありますし、それからホテル業界等で昨年まではかなりオーバーブッキングというような現象が起こっておりましたので、それに伴うさまざまな管理コスト、あるいはお客様に対する迷惑、そういうことを考えて、今年はなるべくオーバーブッキングを抑制しようということで、予約管理をよりきめ細やかなものにするといったようなことも―私としては予約管理をよりきめ細やかにすること自体はポジティブな動きだと思っておりますけれども―こうした予約管理面における対応が、観光客数に影響を及ぼした可能性があるかと考えられます。
 なお、観光客数の県の年間目標の525万人でございますが、前回こちらで御説明したときはたしか余裕を持って達成できるペースで増加しているというふうに申し上げたかと存じますが、台風でやや水を差された感じになっておりまして、10-12月がプラス4.1%くらいの伸びにならないと525万人が達成できないという感じでございます。ちなみに、この1月から9月までの伸び率は年率換算、かつ今年はうるう年でありましたのでそのうるう年を調整しますとプラス2%の巡航速度で上がってきているということですので、この10-12月はちょっと加速しないと目標には届かない状況になってきているということでございます。
 4ページはホテルの客室稼動率でございますけれども、こちらがちょっと特徴的な動きがみられておりましてこのところ大分低下してきております。これは後ほど詳しく御説明をしたいと思います。
 続きまして、個人消費です。こちらの方は引き続き堅調ということでございますが、第3・四半期は久方ぶりに前年比マイナスになっております。これも1つは台風の影響であります。特にスーパーとか百貨店については店を休業した影響がかなり出ている。それから、昨年は猛暑で相当個人消費が上ブレしましたので、今年はその猛暑効果の反動という面もかなり出ているかと思います。
 しかしながら、例えば9月についてみると台風でスーパーとか百貨店は1営業日から2営業日閉店を余儀なくされたわけですけれども、三業態の売上高というのは1%台のプラスというふうに再び回復をしてきておりますので、地合いとしては堅調、底堅い動きというふうに見ております。引き続き郊外型の店舗が好調ですし、新商品開発も効を奏しています。また、台風対策も例えばコンビニなどですと、去年辺りですと停電に伴ってかなり影響が出たのですが、そういう教訓を生かして今年は自家発電を据え付けるといったコンビニもかなり増えている。そういうことで、営業を停止せずに済んだということもプラスのファクターとして効いているようであります。そのほかの小売関連では、6ページが新車販売台数です。こちらは昨年までのようなレンタカーの強い需要というのはないのですが、沖縄の場合は軽自動車のウエートが56%と非常に高いのですが、こちらの売行きが引き続き好調ということで堅調に推移しておりますし、家電製品販売額が7ページでございますけれども、こちらも全国と比べるとかなりいい状態になっております。要因としては当然アテネオリンピック効果もありましたが、沖縄の場合に大手の有力な家電小売店がこの夏に新たに進出をしてきていまして、それに伴って需要が喚起されたという面もあったかと思います。
 以上のような景気の好調さが労働市場にも好影響を及ぼしつつあるというのが8ページでございます。先ほど申し上げたように新規求人数が着実に増えている。業種的に見ますと、やはり観光、小売、コールセンター、あとは県外ですね。東海地方等の特に自動車関連ですけれども、県外からの新規求人も沖縄という労働コストが安い地域に目を付けてかなり増えてきているということも背景にございます。こういったことを背景に、緩やかながらでございますが、失業率も低下傾向にあるという現状です。
 それから、9ページは所得環境、給与の推移であります。こちらの方はまだはかばかしい改善は見せておりませんで、引き続き1人当たりの給与はマイナス4%から5%のところで推移しています。ただ、給与の下落ペース自体はかなり緩くなってきているという感じです。特に所定内の正規の賃金ですね。所定内給与のマイナス幅というのがここにきて急激に縮小してきているというのは注目すべきかと思われます。全国レベルで見ますと、パートとか派遣社員で正規雇用を代替しようという動きがありまして、なかなか所定内給与のところが増えないのですけれども、沖縄の場合にはこのような形で減少ペースはかなり急速に緩やかになってきておりますので、私どもも注目して見ております。
 10ページ、11ページは公共工事関係でございますが、こちらの方は引き続き厳しい状況が続いているということであります。11ページを見ていただきますと、16年度の公共工事ですけれども、15年度の完工高の1割強相当がまた減るということで引き続き厳しい状況が続いております。一方、観光とか小売の好調ということで、民間のいわゆる非居住用の建設投資というものは増えてきております。これはホテルですとかオフィスといったものですが、ただ、沖縄県の場合には民間の非居住用の建設投資が全体の建設投資の1割にしか過ぎないということで、これが増えてもなかなか公共工事の減少を補い切れないということで、建設業界をめぐる、あるいは建設資材業界をめぐる環境というのは非常に厳しい状況が続いております。
 12ページの住宅も、昨年度の下期以降マイナスに転じるなど全国とは少し対照的な動きになっているということでありますので、建設をめぐる状況というのは厳しいと思います。
 物価の方ですが、沖縄の場合にはこれもやや全国と違う動きになっており、9月は0.6%のプラスということになりました。沖縄の場合にはガソリンの需要が強いということを背景に、ガソリン価格の上昇の影響がかなり出ております。今のところそんなに大きな広がりは見せておりませんが、電力料金については10-12月、1-3月についても上方改定ということでございますし、それから比較的川上に近いようなガソリンをかなり使って生産するような、例えば包装材のようなものですね。スーパーなどのパッケージみたいなもの、あるいはビニールとか、そういったものの値段が上がってきておりますので、この辺を一部食品関連業界では価格に転嫁しようという動きも出ておりまして、この辺は少し全国と違う動きなので私どもも注目して見ております。
 最後に、先ほど少し申し上げたホテル業界での競争激化ということでございます。14ページの図表は、私ども那覇支店の方で発表されているホテルの新設状況というものを細かく数字を拾ってみまして、年にどのくらいホテルの部屋数が増えているかというようなことを見たものでございます。実は14年は新設ホテル数というのが400室でございました。それが15年になりますと600室に増えたのですが、平成16年についてはそれが一挙に1,750室増えています。このように16年中の増室数は、15年のほぼ3倍になるということでありまして、17年についても今のところ発表されているものだけで1,050室程度増える見込みにあります。特にこの新規のホテルの中でも那覇市内のホテルの部屋数が増えるというのが、ここに書いてある数字でございます。
 当然、観光が好調ですのでホテルの客室数が増えるという動きが起こること自体不思議ではないわけですが、一挙に3倍も客室数が増えるという状況は、ひょっとするとバブルのようなものが起こっている可能性もあるのではないかという問題意識を持って我々は調査をしてみました。新規の進出ホテルにつきましては非常にきめ細かい経済計算をしていて、一言で申し上げると収益率が高いホテルが進出をしてきているということであります。主としてビジネスホテルが多いわけですけれども、こうしたビジネスホテルは損益分岐点がかなり低い。すなわち、低い稼働率、例えば50%とか60%くらいの稼働率でも十分もうかるようなビジネスモデルになっています。
 これはなぜかと申し上げますと、まず建設費が非常に安いということであります。建設費を非常に節減している。それから、オペレーションのコストも人件費を大幅に削っています。これは例えば料飲部門を持たないというようなことですとか、あるいはフロント事務を極端に簡素化して機械で人間を置き換えてしまうというようなことですとか、あるいは客室の清掃なども全部外注化するといったような形でオペレーションコストを極端に低く抑えています。それから、販売促進費につきましても、従来のホテルはエージェントに15%から20%くらいの手数料を払ってお客さんを呼んできている訳ですが、こうした新規のホテルはすべて直販で対応、電話とかインターネットを通じて直接お客様から注文を取るということで、その辺の販売促進費などもかなり抑えられており、非常に収益力の高いホテルが沖縄に進出してきているということかと思います。
 これはそういう意味では非常にポジティブな動きなわけですけれども、ただ、この裏側に我々が認識しておかなければいけないのは、従来の沖縄にある特に那覇市内のホテルですが、こちらはかなり損益分岐点が高く、かなりお客さんを入れないともうからないような構造になっています。彼らは、主として例えば修学旅行客を入れなければいけないためにレストラン部門というものを必ず持たなければいけないということで、料飲部門の人件費が相当かかっておりまして、その辺のホテルは80%、90%の稼働率を確保して初めて収益的にプラスになるという構造であります。
 そういうことですので、新規のホテルが入ってくるということ自体は歓迎すべき動きですが、既存のホテルにとっては当然お客さんの数がどんどん増えるということでない限りは稼働率が下がっていき、収益が下がるということで、この辺の既存の那覇市内のホテルを、どのように今後できるだけ早く事業再生をしていくかということが一つの課題かと思います。この辺は公庫さんにとりましても多分インプリケーションのある話かと思いますので、ご参考までに申し上げました。
 私からの説明は以上でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

7 閉会

○塚越委員長 以上をもちまして、本日の議事も滞りなく終了いたしました。大体お時間もまいりましたので、本日の会議はこれで終わりたいと思います。
 なお、本日の各報告に対する御意見は沖縄振興開発金融公庫の今後の業務運営に反映させていただきますので、委員の皆様方におかれましては今後とも引き続き御支援、御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 次回の会議でございますが、3月ごろに東京で開催いたしたいと考えております。いずれ事前に御通知申し上げますのでよろしくお願いいたします。
 本日は、御多忙の中を御出席いただきまして誠にありがとうございました。それでは、これで会議を終わります。どうもありがとうございました。