第75回沖縄振興開発金融公庫運営協議会

平成17年3月22日(火)14:45~16:15
中央合同庁舎第4号館共用第4特別会議室

次第

1 開会

○塚越委員長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第75回沖縄振興開発金融公庫運営協議会を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
 本日の各報告に対する皆様方の御意見は、沖縄振興開発金融公庫の今後の業務運営に反映させていただくこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。

2 委員の出欠状況

○塚越委員長 それでは、まず委員の出欠状況について御報告を申し上げます。
 稲嶺惠一委員につきましては、牧野浩隆沖縄県副知事が、また石井道遠委員につきましては有吉章財務省大臣官房審議官が代理出席されておられます。
 また、仲井真弘多委員、西銘仁正委員、吉山盛安委員、呉屋秀信委員は、残念ながら御都合により欠席されておられます。
 なお、この運営協議会は、国会と重ならないようにいろいろ事務方で御努力いただいているわけですけれども、今回も国会の都合と重なっておりまして、現在、参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会が開かれており、内閣府沖縄振興局の東局長は委員会終了次第、こちらに来て出席される予定になっております。

3 内閣府審議官挨拶

○塚越委員長 それでは、続いて佐藤内閣府審議官に御挨拶をお願いしたいと思います。佐藤審議官、よろしくお願いいたします。

○佐藤委員 内閣府審議官の佐藤でございます。私はこの運営協議会の委員でございますが、内閣府の沖縄政策の責任者ということにもなっておりますので、その立場で沖縄政策をめぐる動きに触れながら、一言御挨拶申し上げたいと思います。
 沖縄の振興につきましては、昭和47年に沖縄が本土に復帰して以来、沖縄振興開発のための施策をいろいろ講じてきたわけでございますが、こうした取り組みを通じまして、特に公共事業の面、施設整備の面におきましてはかなり進展を見まして、各都道府県との格差は大変小さくなってきている、あるいは標準的なところまでは進んだかというような感じもいたしております。
 しかしながら、県民所得の低さや失業率の高さなど、まだまだほかの県から見ると遅れているというところが多々残っております。今後とも、産業の振興や雇用の創出など、自立型経済の構築に向けた施策を一層講じていく必要があるだろうと認識しているわけであります。
 今年は沖縄振興計画、平成14年を初年度として計画が立てられておりますが、間もなく満3年を経まして4月から4年目に入るという状況でございます。3月15日には、沖縄振興審議会におきまして第2次分野別計画の了承をいただいたところでありますが、序盤が終わりましてこれから中盤に入るというところで、沖縄振興計画が順調に推進できるかどうか、非常に重要な時期になるかと思います。
 この計画に沿いまして、内閣府としましても各分野につきましていろいろ取り組んでまいりたいと思っているところでございますが、来年度につきましては三位一体の改革等で特に影響が出ると思われます離島を特に活性化したいということで、離島活性化事業を予算に盛り込んでおります。
 それから、沖縄振興計画の中にも入っております沖縄科学技術大学院大学につきましても、9月に準備のための法人を立ち上げるという予算を組み込んでおりまして、そのための法案を今、国会に提出しており、御審議いただいているところでございます。
 こういうような施策を講じながら、沖縄の振興に内閣府としても大いに努力をしていくつもりでございますが、沖縄公庫におかれましても民業補完という基本原則を踏まえつつ、金融の面から沖縄の振興にいろいろ御努力を願えればと思っております。内閣府といたしましても、沖縄公庫の事業に十分な支援を行ってまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

○塚越委員長 佐藤審議官、どうもありがとうございました。

4 平成17年度沖縄公庫予算等の概要について

5 平成16年度沖縄公庫の活動等について

○塚越委員長 それでは、これから議事に入ります。本日の議題はお手元の資料、「第75回沖縄振興開発金融公庫運営協議会議事次第」にありますとおり、「平成17年度沖縄公庫予算案の概要について」及び「平成16年度沖縄公庫の活動について」の2点でございます。
 なお、本日の議題に対する皆様方からの御質問、御意見は後ほどまとめてお伺いすることとしておりますので、よろしくお願いいたします。
 さらに、御報告事項として「住宅金融公庫の改革」につきまして内閣府沖縄振興局の山田参事官から、また「第2次分野別計画」について牧野沖縄県副知事から御報告させていただき、最後に「沖縄経済の現状と課題」について大澤委員から御説明をいただきます。
 それでは、「平成17年度沖縄公庫予算案の概要」について、引き続き「平成16年度の沖縄公庫の活動」について、内閣府沖縄振興局の山田参事官及び沖縄振興開発金融公庫の木幡総務部長から御説明をいただきたいと思います。
 では、山田参事官、どうぞお願いいたします。

○山田参事官 山田でございます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、私から沖縄公庫に関する17年度予算案の計数面について簡単に御説明をさせていただきたいと思います。恐縮ですが、お手元の資料の2ページ目をお開きいただきたいと思います。
 「平成17年度沖縄公庫予算案の概要」と書いてございます。「1.事業計画」のところをご覧いただきますと、貸付総額でございますが、平成17年度1,800億円、16年度より100億円減となっております。(2)の「企業に対する出資」でございますが、これは3億円で今年度と同額、それから(3)の「新事業創出促進出資」、いわゆるベンチャー出資でございますけれども、これも2億円で今年度と同額の事業規模になってございます。この事業計画につきましては、前回の本協議会で御説明いたしましたが、概算要求どおりに認めていただいております。16年度に比べまして100億円の減とはなっておりますけれども、必要な沖縄県内の資金需要に十分対応できる事業規模が確保できたものと考えているところでございます。
 「2.資金交付計画」のところでございますが、これにつきましては平成17年度の特色といたしまして、「原資の内訳」のところで財政投融資、自己資金等とございますけれども、自己資金等を増額いたしまして財政投融資を減らしております。具体的には財投機関債を今年度200億円発行いたしましたが、これを100億円増額をして300億円発行するということにしております。
 最後に補給金でございます。これは内閣府の一般会計に計上するものでございますけれども、これも概算要求どおり52億4,000万円、今年度同額を確保しております。
 なお、17年度予算案につきましては御案内のように現在参議院で審議中でございます。先ほど委員長からもお話がございましたが、本日沖縄及び北方問題に関する特別委員会が開催されておりまして、ここで予算案の委嘱審査も行われております。以上でございます。

○木幡総務部長 公庫の木幡でございます。私から続きまして、17年度の予算案につきまして、制度面等の特徴について御説明をさせていただきます。3ページをお開きください。 「2.貸付制度」でございますが、今回は地域振興策との連携強化を図る沖縄独自制度の創設・拡充に努めました。その代表的なものといたしまして、まず1つは泡盛の自主基準の厳格化に対応して、沖縄特産品振興貸付のうち「泡盛特例」を創設いたしました。具体的には、自主基準の厳格化に伴い、いわゆる寝かせる年限が増えてくる。それに対応して設備資金の据置期間、あるいは償還期間を通常の制度より延長する。運転資金につきましても貸付期間を延長するという内容でございます。
 続きまして(2)ですが、先ほど佐藤内閣府審議官の方からお話がありましたが、内閣府の美ら島会議、離島活性化の取り組みと連携いたしまして、沖縄離島振興貸付、通称「美ら島貸付」を創設するなど、離島活性化を政策金融面から支援することにいたしております。この資金の創設以外にも、台風等に対する災害融資の弾力的な運用、あるいは教育資金の面で円滑にサポートをしていくということを考えてございます。
 そのほかに中小企業者の経営革新等を支援する中小企業経営基盤強化貸付、これは県の方で中小企業者の経営革新制度に取り組んでおられますが、それに対応した貸付制度でございます。また、情報通信産業貸付につきましても、コールセンター等を新たに融資対象とするなど、拡充を図ってございます。
 こういった貸付制度につきましては、その後の4ページ、5ページに具体的に変更点、拡充点等を記載しておりますので、後ほど御参考までにしていただければと存じます。
 また(2)ですが、本土公庫等と同様の制度拡充を予定いたしております。
 それから、政策金融改革が今年度から本格的に始まりますが、その流れに対応いたしまして、私ども公庫の方ではさまざまな自己改革の取り組みを進めております。これも新年度の予算の1つの特徴、柱と言えるかと思います。
 1つ目には、先ほど参事官の方からお話がありました財投機関債の増発によりまして、資金調達面での自主性を高めていくというものでございます。
 2つ目には今、調査課というのがありますが、この課を調査・政策評価課と改組いたしまして、政策評価というものを表に出し、それを実施するための体制を整備することにしております。
 また、事業計画で申し上げれば、公庫のセーフティネット機能というものが反映していると考えられます中小企業等資金につきましては前年度と同額というような形で確保いたしましたが、一方で住宅資金につきましては、13.5%のマイナスと大幅に減額するなど、民間との役割分担を踏まえた事業の推進を図ることにいたしております。
 続きまして、沖縄公庫の16年度の活動につきまして御説明を申し上げます。7ページをお開きください。7ページは、今年度の実績見込みについてでございます。16年度実績見込み、(C)の列をごらんいただきますと、貸付の方は1,162億円の見込みでございます。また、出資の方は1億6,000万円の見込みということで、合計いたしますと1,163億6,000万円という形になります。当初計画に対する進捗率、(C)/(B)でごらんいただきますと約6割ということになっております。対前年度との比較で申し上げますと87.5%、マイナス12.5%という姿になっております。
 資金の内訳の特徴的なことを申し上げますと、産業開発資金は相手様の都合もございまして最終的にマイナスになりましたが、終盤までは前年度を上回って推移しておりまして、おおむね事業系の資金につきましては前年度を上回る伸びという形になっております。
 一方で、住宅資金につきましては民間の取み組み等もございまして約半分ということに減っておりまして、その点では事業系の資金と住宅資金の方で大きな差が出たということが特徴的には言えるのではなかろうかと思います。
 一方、資金交付につきましては、できる限り迅速な資金交付に努めました結果、16年度の実績見込みでは1,318億円ということで、昨年度よりは6.7%上回り、進捗率にして74%という状況でございます。
 続いて、8ページをごらんください。「16年度の業務運営方針の実績評価について」というペーパーをお出しいたしております。沖縄公庫では、毎年業務運営の基本方針といたしまして業務運営方針というものを定めてございます。今回は、私どもの活動につきましてできる限り具体的に報告をし、かつ皆様方に評価いただこうということで、16年度の業務運営方針に対する実績への評価、現時点では最終実績は出ておりませんので実績見込みということになりますが、それに対する自己評価をお出しをいたしまして、そして御議論いただこうということで資料をお出ししております。方針の方はできる限り簡単に御説明しますので、御了承いただければと思います。
 まず初めに「当公庫の果たすべき役割」ということでございますが、沖縄振興計画の下でできる限り政策金融機能の積極的な活用を図っていく。それから、円滑な進捗管理に努める。さらに、中小企業等の資金につきましてはできる限り円滑な供給をしていく。こういったような役割を記してございます。
 それに対しまして事業執行面ではセーフティネット貸付、これは現在5つの資金がございますが、そちらの方は前年度と比べますと倍増という形でありまして、かなり出ております。また、公庫では特別相談窓口というものを設置いたしまして、できる限り顧客の皆様方に窓口を開放いたしまして親切な対応を心掛けておりますが、昨年は台風に対応した特別相談窓口の設置が2回、それから貸し渋りとか、あるいはBSEの関係で引き続き設置しているものが3つほどございまして、そういった部分でのセーフティネット機能を発揮いたしております。
 また、昨年度から公庫の制度としては初めて中小企業に対する無担保貸付制度を創設いたしました。こちらの方は1月末現在24件、12億円余の実績となっております。また、事業再生につきましてもできる限り対応していこうということで今、取り組んでおりまして、中小企業支援協議会関係の二次対応案件4件など、合計5件の事業再生の実績となる見込みでございます。
 また、教育資金につきましては離島活性化等も絡みまして、この2月に特別相談窓口を新たに開設いたしてございます。
 また、17年度予算につきましては当然当公庫の果たすべき役割を果たしていく上では、制度の拡充などが必要になってまいりますが、その内容につきましては先ほど御説明申し上げたとおりでございます。
 続きまして(2)で「政策金融改革の対応」ということでございます。その主なものは先ほど予算の特徴で申し上げましたが、右側の丸の4つ目、先ほどのものとは別個に加えまして、リスクに応じた金利設定等を導入するとしております。これまでですと、例えば保証人の特例ということで、保証人がいなくても金利の引上げなどをしないでも大丈夫な面があったわけですが、やはりこの政策金融改革の中でリスクに応じた金利設定をしていくということで、当然リスクが増せばそれだけ金利が上がるというような仕組みを取らざるを得なくなってきておりまして、私どもとしてもそういった方向で今、金利設定等、融資制度の設定を進めているところでございます。
 続きまして、9ページで「コンプライアンス(法令等遵守)の徹底」でございます。私ども金融機関としても基本的には法令遵守というものを徹底しなければならないわけですが、昨年の4月にコンプライアンス総括室というものを設置いたしました。その上でコンプライアンスプログラム、いわゆる実行計画、行動計画を立てまして、実際にできているかどうかのチェックとか、例規等の点検を実施しております。
 また、警察と連携いたしまして、反社会的勢力への対応として不当要求防止責任者を設置するなどの体制整備を行うとともに、役職員に対する研修会なども実施しております。 また、4月の個人情報保護法の施行に向けまして、規程策定などの管理体制を整備してございます。
 続きまして「リスク管理の徹底」でございます。私ども、民間金融機関とは異なった面でリスクを適切に取っていかなければならないという面がございますが、それなりにリスク管理というものを徹底していかないと、また公庫の運営上、非常に問題になってくるという面がございまして、こちらの方は金融庁検査等が入りましてチェックされる形になるわけですが、取り組みを進めてございます。
 そこで、今年度はリスク管理責任者会議という部長クラスの連絡会議を設置いたしまして、監査法人による金融検査マニュアルとのギャップ分析、どういう点がマニュアルどおりにいっていないかの分析を実施いたしました。その結果を踏まえまして、改善策の計画的な取り組みを現在、推進しております。内容的には、通達の見直しとか、あるいは法人文書の整備、それからその下の丸にあります情報セキュリティ対策実施プラン、それからシステムが故障した場合にどのような形で事業を継続していくかといったものも、現在策定中でございます。
 それから、できる限り業務を標準化しよう、それによってリスクも少なくしようということで、会計、庶務関係の質疑応答集とか、あるいはマニュアルの整備等を実施しておりますし、最後の丸にありますように、こういった危機管理は身近なところからということで、施錠の徹底とか、そういった身近なリスク管理を推進いたしております。
 続きまして「(5)財投改革への対応」ということでございますが、ALMの強化とか、あるいはディスクロージャー、情報開示ですが、こういったものの充実に努めてございます。公庫の中で委員会を設置いたしまして、資金運用等の分析結果を報告いたしておりますし、今年度は財投機関債の円滑な執行を目指しまして投資家訪問等、説明会を充実させました。特に、地方などへの投資家の個別訪問は38か所に及んでおります。
 その結果、丸の下から2つ目にございますが、投資家あるいは市場での公庫の認識度合いが深まりまして、対国債スプレッド、金利の差ですが、第4回の公庫債では10ベーシスポイントということで第1回目、2回目に比べますと5ベーシスポイントの改善に役立っております。また、当然のことながら、募集開始日に完売をいたしてございます。
 それから「(6)政策金融評価について」ですが、今年度は今後の政策評価のステップアップの第1弾といたしまして個別案件の評価業務を試行的に実施をいたしました。またどのような評価をやっていくか、公庫の中で外部有識者も入れて検討するとともに、講演会等によりまして浸透を図ってございます。
 それから、体制整備は先ほど予算のところで申し上げたとおりでございます。
 続きまして、10ページの「出・融資業務の迅速・適切な執行」ということで、公庫でも顧客信用情報、いわゆる自己査定をやってございまして、それに基づき、その結果を生かした出・融資業務の円滑かつ迅速な実行、適切な実行というものを進めてございます。
 また、私ども融資をする上では、やはり「目利き能力」を高めるといったようなことで顧客サービスの向上に努めてございます。
 そうした中で、今年度は顧客信用情報というものを活用いたしまして、審査の標準化、処理の迅速化等を図りました。
 それから、(1)のところに対応した右側にございますが、生業・生活衛生資金の関係で申し上げますと、できる限り迅速な処理を心がけようということでさまざまな改革、改善に取り組みました結果、15年度の平均処理日数が28日だったのですが、今年度は15日ということで約半減をいたしてございます。
 顧客の皆様方に対しましてできる限りの制度の周知を図るということで、説明会等も随時実施してございます。
 (2)の方に対応いたしましては新事業創出促進出資、いわゆるベンチャー出資ですが、こちらの方は今年度、最終的には9件、1億6,000万円の見込みでございます。
 (3)は、先ほど申し上げたとおりでございます。
 続いて11ページをお開きください。事業再生の観点でございますが、当公庫におきましては北部支店におきまして破綻懸念先に陥る蓋然性が高い取引先に対して、主力行と協調いたしまして経営改善計画等を策定の上、1億5,000万円の貸付を実施いたしてございます。
 また、中小企業再生支援協議会の関連では、二次対応案件4件を実施するほか、当公庫の方に出資経営管理班という特別の管理体制を必要とする企業に対する専門の部署があるわけですが、そちらの方に移管をする仕組みを整えまして、できる範囲で業務を推進することにいたしてございます。
 それから(2)の債権管理の関係で申し上げますと、信用リスク管理規程等、規程関係を見直す一方で、自己査定結果を活用しまして、これは融資だけではなくて債権管理の方にも活用し、業務を推進してございます。
 また、(3)におきましては代理貸し、代理店との情報交換の仕組みでございますが、代理貸回収システムの基本設計等に着手したほか、住宅資金につきましては外部のメンバーも加わっていただきまして、事務ベースの勉強会で住宅資金に関する諸分析を行ってございます。
 続きまして、12ページをお開きください。これは、沖縄振興計画の中で第1次分野別計画が今年度をもって終了するということになりましたが、その期間の中で沖縄公庫がどのような貢献をしているか、実績を挙げているかということを、私どもでデータが取れる主な範囲で整理をしてみました。データの取れる部分も十分ではない面もございますが、できる限りのものをお出しするということで作成いたしましたので御理解いただければと思います。
 まず「観光振興」の関係ですが、宿泊施設につきましては積極的に対応してございます。(注1)にございますが、14年度から平成17年2月末までの期間におきまして供用が開始された宿泊施設、それから客室規模がおおむね50室以上となるものをピックアップいたしました。現実には民宿とか、あるいは小規模のホテルにも融資してございますので、そちらの方も計画との関係で言うとデータを取らなければなりませんが、データ整理の関係上これに限定をさせていただいております。
 融資施設は15の施設、融資規模で言いますと約129億円ということになっております。 整備された客室数は2,162室ということでございまして、県3か年の目標に対しましてはかなりの数字がいっていると考えてございます。
 ただ、(注3)にございますように、14、15年度の実績というのは公庫ではなくて沖縄県全体の客室整備数ですが、かなりの数字に上っておりますので、私どもも民宿等も入れるとかなりになるかとは思いますが、一応そういった数字が出ているということはご覧いただければと思います。
 また、沖縄では最近、新たな観光施設の拠点となるデューティー・フリー・ショップが開店いたしましてにぎわってございますが、それに対しましても24億円の融資を実行してございます。
 次に情報通信産業の関係で申し上げますと、これは情報通信産業支援資金の融資実績で捉えてみました。この3か年に32件、約6億円の実績がございます。
 それから「農林水産業の振興」に対応いたしましては、まずおきなわブランドの確立と、生産供給体制の強化という観点です。主なものとしては、下にありますようなスーパーL資金とか、おきなわブランド振興資金といったものがございますが、合計いたしますと133件、19億円という実績でございます。また、流通、販売、加工の関係で言いますと42件、48億円ございますが、その多くは製糖関係でございまして、39億円が製糖に対する融資ということでございます。
 続いて、13ページをお開きください。「職業安定」の関係ですが、セーフティネットの貸付の実績というのはこの3か年で416件、212億円ございました。これに対応した融資をした先の従業員数、これはある意味ではもしかすると会社が倒産をして失業が出たかもしれないという前提になるわけですが、従業員数は9,761人になりまして、これを失業率に換算いたしますと1.5ポイントの改善に相当するということです。もしなかりせばの議論をすれば結構な数字になっているのではないかと考えてございます。
 以上、国の同意を得た分野別計画に対応したものでございますが、それ以降は県の計画に対応したものでございます。
 「産業振興」の面で申し上げますと、企業の立地支援に対しましては、自由貿易地域等特定地域振興資金というものがございまして、その融資実績を見てみますと48件、77億円がございます。この中であくまでも自由貿易地域と特定地域に限定したとしますと9件、10億円の実績になります。
 また、産業振興の柱としてオキナワ型産業の支援というものがございますが、その代表的なものとしては泡盛があるかと思います。こちらの方は3年間で50件、39億円の実績となっておりますが、最近の傾向を見てみますと県外向けの出荷に対する融資というものが徐々に多くなってきてございます。
 また、ベンチャーへの出資で申し上げますと今年度は9件、1億6,000万円と申し上げましたが、3か年では22件、4億4,500万円の見込みでございます。2月末までに実施した18件の雇用を見てみると、出資当初の時点でいいますと280名ほどの雇用効果がございました。最近の雇用の状況を見てみますと、これに110名ほど雇用が増加してございまして、その点では当公庫が出資したベンチャー企業が徐々に業績を拡大していると考えられるのではなかろうかと考えてございます。
 また、環境保全の面では美ら海低利という沖縄公庫独自の融資制度がございます。こちらの方は15年度からの2か年ということになりますが、26件、146億円ほどでございます。内訳を申し上げますと、いわゆるショッピングセンターのような小売向けの貸店舗が7件で57億円、宿泊施設が8件で32億円、工場が5件で30億円というような内容になってございます。この融資を利用しまして、赤土の流出防止とか、そういったような環境対策が施されていると考えてございます。
 それから教育資金でございますが、これは3か年の実績で3,201件、36億円ほどございます。うち入学資金は1,988件ございまして、その点では約2,000人の進学を当公庫においてサポートしていると言えるのではなかろうかと思います。また、2月に特別相談窓口を設置したというのは先ほど申し上げたとおりでございます。
 また、「社会資本整備」の関係で申し上げますと、モノレールの融資はこの3か年の中では約54億円でございましたが、全体で申し上げれば出資が10億円、融資が150億円になってございます。
 また、航空・海運関係、これはターミナルビルとか、あるいは港湾の施設関係、更には船舶とか航空機そのものに対する融資ということでございますが、こちらの方は48件、733億円ほどございまして、こういった交通基盤に対してはかなりのものを融資していると言えるのではなかろうかと思います。
 これ以外につきましても、医療福祉の関係とか国際文化交流といった計画がございますが、なかなかデータ的に取ることができませんでしたが、今後はこういったような取りまとめを充実させまして御提示してまいりたいと考えてございます。私からは以上でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

6 質疑応答

○塚越委員長 ここで、これまでの議事内容を通じまして御質問、御意見等をお伺いしたいと思います。いかがでございましょうか。
 野崎委員、お願いいたします。

○野崎委員 ただいま御報告があったのですが、要望が2点、それからお伺いしたいことが1点あります。
 13ページにあります第1次分野別計画期間での産業振興に関する沖縄公庫の実績報告では、新事業創出促進出資、ベンチャー企業等への支援等で良好な効果が出そうだということで非常にうれしく思っております。数年前に比べますと景気は回復しておりますが、企業立地とりわけ製造業の企業誘致には非常に厳しいものがあります。
 3月18日の沖縄公庫のホームページを見ますと、今年に入って2件のベンチャー企業に対する出資が記載されておりました。それぞれの事例は非常に面白い魅力的な案件ですが、特にその中の1件につきましては、ある市町村の企業立地委員会の委員をしておりましてその経緯はよく知っております。この案件で、公庫は企業と共に需要想定や販路確保等の資料を作成したと聞いております。これらのベンチャー企業の活動により、今後、民間金融に対する呼び水効果、いわゆるカウベル効果が期待され実際にまた創出していると理解しておりますが今後もこの姿勢を堅持し、企業創出に努めるよう御努力をお願いしたいと思います。それが1つ目の要望になります。
 それから、第2番目の要望ですが政策評価についてお願いしたいことがあります。それは9ページにございましたように、既に、公庫で委員会も立ち上がっておりますが、国民的視点からの財投機関に対する政策コストに関しましては、平成9年の資金運用審議会で政策コストベネフィット分析を導入するように位置づけられており、財務省の財務融資レポートにも記載されておりますし、インターネットでも公開されている。それは非常に有効な手段でありますし、その成果に対しては高く評価しますが、沖縄振興開発金融公庫につきましては沖縄地域振興という観点から独自の政策評価を充実させ、その情報公開を一層高めることによって公庫の活動に対する理解も深まるかと思います。そのような観点から政策金融評価についても、しっかり御努力をお願いします。
 最後となりますが、これは後ほど住宅金融公庫の改革について御説明があるとのことですが、沖縄公庫の住宅取得に対する支援は、利用率が低くなったとは言え40%を超えている。かなりのシェアです。沖縄県全体の総資金量を考えますと、資金量そのものの変動は少なく短期的に増えることはありません。住宅金融公庫については、証券化支援業務を中心とすることも検討されているようですが、その様なことが沖縄公庫で具体化した場合にどの様な影響が生じるのか、ほかの産業資金に本来ならば回っていくような資金が住宅融資に回っていきますと、全体の資金がものすごくタイトになるのではないか。そうすると、沖縄振興の必要な分野に対する民間金融機関からの融資量の確保が可能かどうかを検討する必要があります。そこで、この住宅融資に関しまして公庫はどのようなお考えをお持ちかをお伺いしたい。以上、3点です。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。ただいまの御意見のうち、特に第3番目の件はいかがでございましょう。住宅公庫の改革についての御説明がありますが、そのときに一括してお答えいただくようなことでよろしゅうございますか。

○野崎委員 結構でございます。

○塚越委員長 では、そのように取り扱わせていただきます。
 ほかにどなたか御意見のある方、いらっしゃいませんでしょうか。牧野委員、お願いいたします。

○牧野委員 資料の11ページです。真ん中に「債権管理の充実強化」とございまして、その右側に自己査定結果とありますけれども、それに関しまして2点ほど教えていただければと思います。
 1つは、自己査定という場合、一般の民間機関でなさっているような公庫の融資状況の中の悪い状況ですね。そこはどのような状況なのかということで、むしろお聞きしたいのは、そこを踏まえてどの辺りが弱いから、融資面から見た場合に沖縄の産業の弱さがどの辺りに現れているのか。その辺りは我々も非常に気になるところですので、融資面から見て産業のどの辺りが非常に弱っているというふうなアドバイスなりをいただければと思います。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。今の点は、いかがいたしましょうか。理事長、お答えいただけますか。

○八木橋理事長 概括的なお答えしかこの場ではできませんが、私どもが自己査定によりまして問題のない企業、ちょっと注意して見なければならない企業、それから私どもで定期的に一定の管理をするというような視点から注意深く見ていかなければならない企業、それから更にはもっと悪くなると、破綻は宣言していないけれども、実質的に破綻しているので何らかの経営改善計画を立てていかなければならないのかどうかというような目でもって、私どもの持っている資産というのは債権額ですね。債権額を、その企業が属するグループも含めましてどういう状況にあるかということを定時的に観測していこうというような作業をやるわけでございますが、この作業自体が実はそれほど歴史が古くありません。今年で3年目に入るというような状況で、まだ詳しい、例えば資金ごとに区分してどういう状況にあるかを見ているのですが、どういった産業かというようなものとの関連づけてのデータ整理はまだやっていないというところが現状でございます。
 ただ、私どもは、その企業の置かれている一般的な産業動向ですね、例えば、建設業が弱い、小売業が弱いといった世の中で一般的に言われているものと、大体パラレルの関係にあるのではなかろうかというような気はいたしますが、まだデータとして整理しておりませんので、その辺はもう少し勉強させてからお答えさせていただきたいと思います。

○牧野委員 ありがとうございます。我々は新しいものを一生懸命育てるというか、企業誘致などを一生懸命やっておりますけれども、せっかくの既存の企業もレベルアップしていけないだけに、認識が我々自身ちょっと薄いような気がするので、融資から見た場合にどの辺りが注意かということがもしわかればと思いました。ありがとうございます。

○八木橋理事長 ついでに、野崎先生から先ほど要望のありました第1点につきまして、これはいつかも申し上げたことなのですが、沖縄経済の特色として開業率も高いけれども、閉業率も非常に高いという私どもの一つの思わしくない特色がございますものですから、少なくとも出資する企業につきましては単に出資をするということではなしに、出資する以前における経営をどういう具合にやっていこうかというところから、実際に創業するまで、これは地元3行からの出向者の応援も得ながら、ずっと継続的に見ながら相談に乗っていくという体制を取っておりますので、この御指摘の御要望については十分注意しながらやってまいりたいと考えております。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。ほかに何かございますか。いかがでございましょう。

○牧野委員 では、もう一点だけお願いいたします。
 17年度予算をたっぷり取っていただきましてうれしく思います。そして、予算とは別に制度の面につきまして、今回離島振興貸付が新しく創設されたことは我々にとりまして、均衡ある県土の開発ということからしますと、離島面で遅れていることがあるだけにありがたく思います。
 それから、もう一つは自由貿易地域等特定地域に対しまして担保特例の貸付制度、これも新たにやってくる企業ですから必ずしも実質的に担保を持っていないというような状況がありますので、この辺りも活用できるのは非常にうれしく思いますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

○八木橋理事長 今お話のございました件につきましては予算要求時に非常に考えまして、県の方では賃貸で工場を提供する。そうなると実質的に担保がないわけですね。また、定期借地権付きのような問題、そういったものに私ども金融面からいかなる工夫をしながら対応していくべきかということですが、まず県の皆さん方ともその辺の意見を十分調整していきながら制度がうまく動くようにと考えておりますので、どうか県の方の御協力もよろしくお願いしたいと思います。

○塚越委員長 それでは、ほかにございませんようでしたら次に移りたいと思いますが、ただいま皆様方からいただきました貴重な御意見、御要望は内閣府及び沖縄振興開発金融公庫双方におきまして、今後の業務運営や予算要求の参考にしていただきたいと考えております。

7 報告事項

(1)住宅金融公庫の改革について

○塚越委員長 それでは、これから報告事項に移らせていただきます。報告事項につきましては、沖縄公庫をめぐる状況に関して情報提供を行うという趣旨で行うわけでございますので、委員の皆様方におかれましては本日は御質問にとどめていただければと存じます。
 まず、「住宅金融公庫の改革」について内閣府の山田参事官より御説明をお願いしたいと思います。

○山田参事官 それでは、「独立行政法人住宅金融支援機構法案の概要」という資料で御説明をいたしたいと思います。
 御案内のように、平成13年12月に特殊法人等整理合理化計画が閣議決定されておりまして、ここに5年以内に住宅金融公庫を廃止し、証券化業務を行う新たな独立行政法人を設立するということが明記をされております。これを前提にいたしまして、今回の法案が国会に提出されたわけでございます。
 この法案は「国民の安定的な住宅取得等を図るため、住宅金融公庫の権利及び義務を承継し、債権の証券化等により一般の金融機関による住宅資金の貸付けを支援する独立行政法人住宅金融支援機構を設立することとし、その名称、目的、業務の範囲等を定める」ものでございます。財投資金を活用した直接融資を行ってきた住宅金融公庫を廃止し、新しく証券化支援業務等により、民間金融機関の支援・補完を行う独立行政法人が設置される。この設置時期は平成19年4月1日でございます。
 業務の範囲でございますけれども、ここに(1)、(2)、(3)と書いてあります。(1)は証券化支援業務、融資保険業務となっております。ポイントは(2)です。左側に住宅金融公庫の融資業務として、個人向け住宅ローンが書いてございます。右をご覧いただきますと、新たな独法では、個人への直接融資を原則廃止して災害と財形融資が直接融資としては残るということになります。(3)は住宅の建設等を促進するために必要な情報の提供等でございます。
 法案では個人への直接融資を原則廃止するということになっておりますけれども、資料の最後に「政府は、公庫から独法への移行に際し、国民の住宅の建設等に必要な長期資金の調達に大きな支障が生じないよう、必要な施策を推進。さらに、民間金融機関の貸付状況を勘案し、平成19年度予算編成過程で個人融資の取扱いを最終判断」するということが書いてあります。先ほど13年12月の閣議決定に触れましたけれども、この決定の中では直接融資については民間金融機関が円滑に融資を行っているかどうかを勘案して、独立行政法人設置の際、最終決定するということが書き込まれております。
 沖縄公庫に関しましては、基本的に直接融資等についての規定には手をつけておりませんが、住宅金融公庫法の条文の引用、例えば幼稚園等の定義は住宅金融公庫法を引用している、という場合につきましては、新たに沖縄公庫法で定義規定を書きくだします。それから証券化支援業務につきましては、現在住宅金融公庫の受託という形になっておりますけれども、これが法施行後は住宅金融支援機構からの受託ということになりますので、こういうような条文の整理をしなければいけません。従って、沖縄公庫法の改正が必要となりますが、これはこの法案の附則の中ですべて処理をするということになっております。
 本件法案でございますが、2月8日に閣議決定をされ、国会に提出をされておりますけれども、まだ審議は始まっておりません。以上でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。先ほどの野崎委員の御質問に関して、今の説明では直接融資の話が、要するにそのときの状況によっていろいろ判断する要素が残っている。また、沖縄公庫の場合はそれには触れないというようなことになっておりまして、現在、直ちにどうこうということではないと思います。これからの沖縄全体の金融の状況を見て判断するという答えになったんだと私は理解いたしますが、それでよろしいですか。

○東沖縄振興局長 今、委員長の方からお話がありましたとおり、端的に申し上げれば、住宅金融公庫の改正の際にも、ここに書いてありますとおり、更に慎重に判断をするということで、平成19年度の予算編成過程で民間金融機関の貸付状況を勘案して最終的に判断をしようということでございます。
 我が方とすれば、平成20年にこの公庫の全体の改正をしなければいけない。これはあらゆる公庫等、中小企業金融公庫も、そういうものを含めてでございますけれども、やらなければいけませんので、同じようなスタンスを取らざるを得ないのではないかと思っているということでございます。そういうことでございますので、今は住宅金融公庫の改正に引きずられることなく、従来のとおりの形で、沖縄公庫は活動ができるという形を取っているということでございます。
 ただ、言えることは2つあります。1つは、幾ら現在民間金融機関のシェアが少ないからと言ってそのままでいいという話にはならない。これはやはり大きな流れとして官から民へ、民ができることは民がやるという姿勢でございます。
 それからもう一つは、独立行政法人で見られますとおり証券化支援業務ということをやって、民間金融機関がいわゆる貸付けをしたがらない状況を打破するためにやるということでございます。現在も、住宅について協調融資的なことをたくさんやっています。それと同じような形での部分で、そこの肩代わりということでございますので、証券化をやると今までの世界とは相当違うのではないか。2つの流れがありますので、そこは今までどおりの公庫の動きでいけるとか、そういうことにはならないと思っていただいた方がいいと思います。
 最後の部分は少し言い過ぎかもしれませんけれども、将来予測をするとそういうことです。ただ、沖縄の事情がありますので、いわゆる県民所得が低いとか、それで住宅ができるか、台風があるわけですから相当強固なものを建てなければいけない、そうすると、それだけコストがかかる。そのときにどうするんだということがございます。そこの知恵は、ひとつ考えなければならないだろうということは思っております。以上です。

(2)第2次分野別計画について

○塚越委員長 それでは、引き続きまして牧野沖縄県副知事より「第2次分野別計画」について御説明をお願いしたいと思います。

○牧野委員 たくさんの資料を配っていまして、時間もありませんので簡潔に御説明させていただきます。
 まず分野別計画という呼び名でございますけれども、沖縄には沖縄振興計画という10年計画がちゃんとあるわけですが、それとは別に分野別計画をつくった意義ですが、実は過去3度の振興開発計画は10年計画でした。残念ながら、その10年計画には年次計画がありませんでした。10年計画でありながら、5年ごろに、前半でどのような実績を上げて、後半にどういう課題があるのかという検討を始めまして、実際にそれが挙がってくるのが6年目、7年目辺りになりますと、前半でできなかったこと、積み残しのものの取り返しがつきませんので、せっかく検討しましてもその検討結果というのは次の新たな計画をつくる参考資料にしかならなかったという残念なことがありましたので、今回の現計画からは年度ごとのいわゆるプラン・ドゥ・シーをつくってやっていこうということでつくった次第でございます。
 その場合、やはりプラン・ドゥ・シーですからプランをつくる場合の計画で一番難渋しましたのは、沖縄の場合は財政的なものが多くなってきます。しかしながら、財政というのは単年度主義ですから、単年のものを年度ごとにつくるということは一種の限界でした。しかしながら、予算だけではありませんのでその他の工夫、その他の指標をたくさん工夫しまして、約200件近くのいろいろな指標を集めまして、それを年度ごとにつくってやっていくという状況でやりました。
 その指標に応じまして、年度ごとに目指すべき数量的な、あるいは定量的なものでもありますけれども、目標を指標化する。そして、その目標を達成するために個別の具体的な事業を張り付ける。そして、年度ごとに進捗状況をチェックしていくということで、10年計画がうまくいくような趣旨からつくったというのが目的でございます。
 今、この分野別計画につきましては、沖縄振興特別措置法に基づきまして観光振興計画、情報通信産業振興計画、農林水産業振興計画、職業安定計画の4件を法定のものとして策定しております。しかしながら、法定とは別に県単独であとの7件、産業振興計画、国際交流・協力推進計画、環境保全実施計画、福祉保健推進計画、教育推進計画、文化振興計画、社会資本整備計画の7件も県単独で策定しているところでございます。
 なお、1次計画は今年の3月で終わります。その状況ですけれども、現段階で171件の指標を点検しましたが、80%以上は目標達成したという指標が145件の中の55件ありまして、うれしいことに目標達成した指標が90件ありまして、全体的に9割近い、85%ぐらいの計画がチェックできたという状況があります。
 第2次に当たりましては、その1次計画の実績と再分析をしまして、その要因分析なども行いまして、取り残されたものは今後挽回できるような施策を新たな計画でつくっていくという趣旨で第2次分野計画をつくりました。
 その分野別計画のうち、今日は法定の4分野と1つの産業振興計画だけ概略を御説明いたします。
 まず最初に、資料に沖縄県観光振興計画というものがございます。この計画は、1つに基本目標としまして、質の高い沖縄観光の実現を図るための施策に重点的に取り組むということで、5つの方向を掲げています。
 1つ目は、国際的海洋性リゾートの地域を形成する。
 2つ目は、国民の総合的な健康保養の場の形成と体験・滞在型観光を推進する。
 3つ目は、コンベンションアイランドを形成していく。
 4つ目は、そのために国内外の観光客受入体制の整備、誘客活動を活発化・強化する。
 5つ目は、観光産業は創造産業でございますので、観光産業を中心に産業間の連携を図っていく。
 そういう5つの柱が立っております。その柱に基づきまして、これを実現するために主な施策を申し上げますと、健康保養やエコツーリズムなどの体験・滞在型観光を推進していく。それから、コンベンション誘致に力を入れていく。観光産業の人材育成や、観光のバリアフリー化などの受入体制を整備していく。更には新しくリゾートウェディング、あるいはショッピング観光の展開、離島観光の推進、そういうことを具体的に挙げております。
 なお、観光振興計画のもので別途、今回は観光振興地域の指定を2つ変えました。1つは、新たに4地域を観光振興地域に加えました。この4地域は金武湾の海洋性リゾート地域、エアウェイリゾート豊見城地域、平久保・野底地域、伊是名島・尚円王夢航海リゾート地域です。
 それから、北谷西海岸地域と宮古島南海岸・東平安名崎地域につきましては地域を拡大し、それから那覇中心市街地・新都心地域を拡大しております。
 なお、観光振興計画の中で添付されております2枚目の4ページ目に第1次計画の実績などを加えておりますので、ご覧いただければと思います。ちなみに、1次計画ですと入域観光客の目標は510万にしましたが、16年度の実績で515万ということで、101%の達成率となっております。以下、同じような形で達成状況をチェックしております。
 続きまして、情報通信産業振興計画につきましては、振興の基本方向としまして持続的発展と高度化を理念としまして、3本の項目を掲げております。
 1つ目は、第1次計画で達成してきた集積基盤を活かしていく。
 2つ目は、持続的な発展を可能とする産業基盤を強固なものにする。
 3つ目は、付加価値の高い高度な業務へ移行、発展を目指していくというようなことであります。
 このために基盤を固めていく、実績を活かしていく、得意分野を育てる、次のステップの足がかりを確保するという4つの戦略を柱としまして事業展開を図ることとしております。
 主な事業としまして、1つ目は情報通信産業振興地域制度及び情報通信産業特別地区制度を活用していく。
 2つ目は、一元的な企業誘致、県内企業活性化体制を図っていく。
 3つ目は、情報通信関連産業の集積と研究開発を推進していく。
 4つ目は、人材の育成と確保。
 5つ目は、情報通信関連産業の立地施設の整備。
 6つ目は、情報通信基盤を整備していく。
そういうことを具体的な施策として掲げております。
 次に、沖縄県農林水産業振興計画について御説明申し上げますと、振興の基本計画としまして、食料の安定供給、産業振興及び多面的機能の発揮に向けた施策事業を推進するとしまして、7本の具体的な基本方針を掲げております。
 1つ目は、おきなわブランドの確立と生産供給体制の強化。
 2つ目は、流通・販売・加工対策の強化。
 3つ目は、農林水産業・農山漁村を支える担い手の育成・確保。
 4つ目は、農林水産技術の開発と普及。
 5つ目は、亜熱帯・島しょ性に適合した農林水産業の基盤整備。
 6つ目は、多面的機能を生かした農山漁村の振興。
 7つ目は、環境と調和した農林水産業の推進。
 以上を掲げております。この基本方向を実現するための主な施策としまして、例えば拠点産地を形成していく。新しい技術、新しい品種の普及を図っていく。沖縄和牛のブランド化の推進を図っていく。更に、安定的な生産供給体制の強化と伝統的な島野菜などの地産地消を推進していく。それから、地域の実情に即した効率かつ安定的な農業経営を目指す認定農業者等の育成確保をしていく。そして、沖縄産の天敵等を活用した病害虫防除技術の確立を図り、実用化していくことなどを具体的な施策として掲げております。
 続きまして、4番目の職業安定計画につきましては、施策の基本方向としまして次の3本を掲げております。
 1つ目は、雇用機会の創出・拡大と求職者の支援。
 2つ目は、若年労働者の雇用促進。
 3つ目は、職業能力の開発と人材育成。
 以上の基本方針を実現するための主要施策としまして、地域主導の雇用対策を推進していく。民間ニーズに対応した情報通信関連産業向けの人材育成を図っていく。若者の自立、挑戦プランに基づく若年者対策事業を積極的に活用していく。さらには、沖縄県キャリアセンターにおける職業観の形成から就職までの一貫した総合支援を行っていく。そして、専修学校など民間を活用したデュアルシステムを実施していくなどを掲げております。
 以上が法定の4分野でございますけれども、県独自の7つのうちの1つとしまして産業振興計画について御説明申し上げますと、施策の推進方向としまして、県内企業の市場競争力の強化と本県の地域特性を生かした産業の集積を図るための施策としまして5本掲げております。
 1つ目は、製造業等地域産業を振興する。
 2つ目は、地域特性を生かしたオキナワ型産業の振興と新事業を創出していく。
 3つ目は、企業の立地を促進する。
 4つ目は、県産品消費拡大の促進と、県外への販路拡大を図っていく。
 5つ目は、産業人材の育成を掲げております。
 以上の方向を実現するための主要な施策としまして、中小企業の経営基盤の強化及び経営革新の促進、企業連携を促進していく。更には健康食品産業、バイオ関連産業、健康サービス産業、泡盛産業などの重点産業を戦略的に展開していく。更には、新規事業の創出とベンチャー企業を支援していく。それから、特別自由貿易地域等への戦略的な企業誘致を図っていく。更には、販路拡大のネットワークを更に構築していくなどを掲げております。
 以上が4分野及び独自計画のところでございますけれども、他の分野につきましても1次計画の再分析と2次計画への実現可能になるような形で作業を進めているところでございます。
 今回、以上御説明申し上げました2次の分野別計画がちょうど10年計画の沖縄振興計画の4年目、5年目、6年目の3年、いわゆる沖縄振興計画のちょうど中期に当たる極めて重要なものでありますので、そこでがっちりとした底固めをすることが大切と思っております。特に沖縄振興計画におきましては、民間主導の産業振興を図るため、沖縄振興開発金融公庫によります沖縄振興特別措置法に基づく地域指定制度等に対する資金制度の整備と企業等への積極的な活用促進、更には民間金融機関等との連携によるベンチャー企業等への出資や助言等の支援などが規定されておりまして、これまでも先ほども御説明いただきましたように、観光、農林、ベンチャー企業など、各般にわたった御支援をいただいているところであります。
 今後とも沖縄振興計画を着実に図る上でも、沖縄振興開発金融公庫の御支援が大きな力になると思いますので、今後とも御支援をいただきますようよろしくお願いします。以上でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

8 沖縄経済の現状と課題

○塚越委員長 それでは、引き続きまして、恒例によりまして、日本銀行那覇支店長の大澤委員に「沖縄経済の現状と課題」について御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○大澤委員 それでは、「沖縄経済の現状と課題」について御説明をしたいと思います。時間も余りありませんので、かいつまんで要点のみを御説明したいと思います。
 沖縄経済につきましてはこのところ状況は変わっておりません。基本的には沖縄の場合には3つのエンジンがあると私どもは考えております。1つ目は観光、2つ目は個人消費、3つ目は建設ということですが、そのうちの2つ、すなわち、観光と個人消費に支えられる形で緩やかな景気回復を続けているということは、このところずっと変わっていない姿でした。
 ところが、前回の協議会でも申し上げたかと思うのですが、去年の後半ぐらい、夏場以降ですけれども、少し雨雲が経済に漂い始めたという状況にあります。その雨雲といいますのが台風の多発であるほか、暖冬であります。それから原油価格の上昇、年末年始はカレンダー要因といいますか、日並びが悪くて観光に影響したとか、そういった幾つかの要因がありまして、経済が一時的に乱気流の中に入っているというような感じだったかと思います。
 ところが、今年に入りまして徐々に乱気流から抜け出し始めたということで、経済のファンダメンタル自体はその乱気流によって大きく影響を受けることなく、乱気流を抜けたことによって再び上昇過程というものがはっきりしてきたというようなことが全体的な評価かと思います。
 少し特徴的な動きを見てみたいと思います。お手元の資料の1ページ目をごらんください。観光客数ですけれども、青で示しました沖縄への入域観光客数は去年の7-9月、10-12月と前年比マイナスでございましたが、この1月にまたプラスに転じております。去年の1月というのはかなり高水準だったことを考えますと、それを更に上回るということで、観光についてはやはりかなり強いものがあると感じております。
 一方、個人消費ですけれども、これは3ページ目で、百貨店、スーパー・コンビニの売上高で、これは全国との比較ですが、沖縄の場合にはやはり第3クォーターの台風、それから第4クォーターは暖冬の影響というものがございましたけれども、1月には寒さが戻ったこともあって個人消費が回復をしてきているということであります。
 新車販売台数は4ページですけれども、これを見ても全国に比べるとかなりよい状態になっておりますし、5ページの家電製品についても全国よりは好調ということで、やはり人口が増えている、市場が拡大している中で、まだまだ掘り起こされていない潜在的な需要があるということかと思います。新車の場合もそうですし、家電についてもデジタル家電ですとか、パソコンの普及度合いがまだまだ沖縄の場合には低いですので、そういうところで販売額がまだ伸びる余地がかなり残されているということが背景にあるかと思います。
 更に個人消費について申し上げますと、雇用情勢ですとか、あるいは賃金動向も少し好転し始めておりまして、6ページのところで見ていただきますように、新規求人数は、このところコールセンターですとか、あるいはサービス産業等を中心に、かなり伸びている状況にあります。
 それから、給与額の方も7ページ目でございますけれども、前年比マイナスがずっと続いていたのですが、そのマイナス幅がようやく縮小、今はマイナス1.3%ぐらいまで縮小してきているということで、給与の減少傾向もほぼ一巡してきているという感じで、この辺も個人消費を下支えしている要因ではないかと思います。
 一方、8ページ目の建設投資ですけれども、沖縄の場合には公共工事への依存度が高いですので、公共工事の減少に伴って工事が少なくなるという状況が続いています。
 16年度ですけれども、9ページをごらんいただきたいと思います。公共工事の方は、2月までの累計ですと前年を1割程度下回っているというような状況になっておりまして、引き続き建設をめぐる状況は厳しいということであります。
 さらに1点だけ建設について付け加えさせていただきたいと思いますが、ちょっと特徴的な動きとして最近、私どもが注目をしておりますのが住宅であります。民間の住宅着工でございますけれども、これは10ページをごらんいただきますと、15年の下期辺りからずっとマイナス傾向にあったのですが、昨年の後半ぐらいからまたプラスに転じてきております。
 11ページをごらんいただくと、マイナスの時期というのはやはり那覇新都心における借家建設というのが一巡をしたということが大きかったわけですが、去年の後半ぐらいから再びこれが上昇に転じてきておりまして、内訳としては、貸家、分譲が増えております。
 それから、12ページの地域別というのをごらんいただきたいと思うのですが、割と広範囲な地域で住宅が増えているという傾向がございます。右の上のところに、最近における主な増加地域ということで幾つか例示をしておりますけれども、こういうふうにかなり月ごと、あるいはクォーターごとに違いますが、いろいろな地域で住宅が建設されているという状況にあります。
 その背景になっていますのは、県外からの移住がこのところ増えているということがございまして、12ページの左の隅のところに、「沖縄県の人口増加率の前年比寄与度の推移」というものがございますけれども、昨年中―これは統計の関係で15年10月から16年9月までの合計値ですけれども―社会増という、いわゆる県外からの移住に伴う増加が2,300人ということで前年を倍以上、上回っており、全体の増加に対する寄与度は0.2%増です。全体では0.7%増えたわけですが、そのうちの0.2%は社会増、すなわち、移住に伴う増加であったということであります。
 こういう社会増のみならず、最近では長期滞在という新しい形態も見られております。そういったことを背景に、例えばウィークリーマンションとかマンスリーマンションの建設が非常に増えている。あるいは、リゾートマンションですとか別荘といったものもかなりこのところ増える傾向にありまして、特に高所得者を対象にした物件等でかなりの動意が見られております。ある大手のデベロッパーの話ですと、最近では購入するお客さんの3割程度は県外からのお客さんだということでありまして、そういった需要が、これはある意味で観光のスピルオーバー効果というか、波及効果みたいなものですが、住宅分野でも出てきているというのが注目されるところだと思います。
 そういう意味では、先ほど住宅金融の話がありましたけれども、住宅金融については公庫の住宅ローンが減る一方で、民間の住宅融資が増える傾向にあるというのが1つの特徴的なところでございます。更に先ほど証券化という話がありましたけれども、民間金融機関の方で住宅ローンの債権を証券化するというような動きもごく最近、起こり始めておりまして、こういう動きは民間金融機関が住宅ローンをこれから増やしていく上でも非常に重要な動きだと思っておりまして、私どもも見守っているところでございます。
 最後に今の証券化との話とも関係するんですけれども、14ページに1枚紙を付けておきましたが、去る3月3日、4日に「第2回沖縄金融専門家会議」というものを開催いたしました。開催に当たりましては、内閣府の方々にも非常にサポートいただきまして、会議を無事終えることができました。実際に会議では五味金融庁長官にも来ていただいて、「金融特区」をめぐるさまざまな新しい金融サービスを沖縄からつくっていこうという動きをサポートして下さるというふうな御発言もいただいております。
 その中で1つ、今日のお話との関連で申し上げておきますと、今「全国版CLO構想」というのを進めております。これはどういうことかと申しますと、地銀が新規に中小企業向けの貸出しをする。これを一括して証券化をし、売っていくということです。バランスシートから切り離して売っていくというふうなスキームでございまして、今日は安里頭取がいらっしゃいますけれども、現在、沖縄銀行と琉球銀行がリーダーシップを取って、沖縄県庁の方でつくられた証券化研究会というものに集まった専門家の方々と共同でそういうスキームをつくりまして、全国の地銀にも参加を呼びかけているというところであります。
 既にアレンジャーと言いまして、そういった証券化業務を進めていく専門の会社を選定するという作業に入っておりますほか、その証券化事業をこれから進めていく上でのいろいろな作業をやっていく別法人をつくろうということで、来月、4月になるかと思いますけれども、沖縄金融特区研究所という新しい会社を、名護市につくるということにもなっておりまして、少しずつですけれども、着実に金融をめぐる動きにも新しい動きといいますか、進展が見られ始めているということでございますので、御参考までに御紹介しておきます。私からは以上でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

9 閉会

○塚越委員長 以上で、本日の議事も滞りなく終了いたしました。お時間もまいりましたので、本日の会議はこれで終わりたいと思います。
 なお、本日の議題に対する御意見は、沖縄振興開発金融公庫の今後の業務運営に反映させていただきますので、委員の皆様方におかれましては今後とも引き続き御支援、御協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 次回の会議は、6月ごろに沖縄で開催いたしたいと存じております。いずれ事前に御通知申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、御多忙の中を御出席いただきまして誠にありがとうございました。

○東沖縄振興局長 最後に一言申し上げたいと思います。
 今日は国会審議のために遅れまして、誠に申し訳なかったと思っております。
 最後に2点ばかり申し上げたいんですけれども、1つは先ほどのCLOです。これは私の個人的な見解も含めますれば、成功をさせたいと思っております。そういう意味で、公庫にはまだ全然話をしておりませんけれども、公庫の方だとか、そういうところで御支援すべきこと等々があれば是非行って、そういうことが新しい政策金融の流れの中で活きていけるように努力したいと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思っております。
 2点目は、分野別計画をいろいろたてさせていただいております。本当に細かいことも含めてよくやっていただいておりますので、よくそれを読んでいただいて、金融面からも非常にサポートをして是非、実現ができるように我々も努力したいと思います。公庫の方も努力していただいていると思いますけれども、沖縄振興局としても全面的なサポートをしたいと思いますので、委員の皆様にはその2点だけお伝えしたいと思います。
 以上でございます。どうもありがとうございました。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。