第76回沖縄振興開発金融公庫運営協議会

平成18年2月6日(月)14:00~15:30
中央合同庁舎4号館共用第2特別会議室

次第

1 開会

○塚越委員長 それでは、ただいまから第76回沖縄振興開発金融公庫運営協議会を開催いたします。
 本日は、大変ご多忙の中をご出席いただきまして誠にありがとうございます。また、委員の方々の中には特に日程をお差し繰りいただいた方もあるようでございまして、大変ありがとうございます。

2 新委員紹介及び委員の出欠状況

○塚越委員長 それでは、まず委員の交代についてご報告をいたします。
 コザ信用金庫理事長の交代に伴いまして、山口善永さんが新たに委員に就任なさいました。

○山口委員 山口でございます。よろしくお願いいたします。

○塚越委員長 また、野崎四郎委員に代わりまして上江洲純子沖縄国際大学講師が新たに委員に就任されました。女性委員としては初めてということでございます。

○上江州委員 今のお話にございましたように、女性委員は初めてということで緊張しております。沖縄国際大学の上江洲です。よろしくお願いいたします。

○塚越委員長 また、内閣府審議官の交代に伴いまして、武田宗高さんが新たに委員に就任されました。

○武田委員 武田でございます。よろしくお願いいたします。

○塚越委員長 また、財務省大臣官房総括審議官の交代に伴いまして、杉本和行さんが新たに委員に就任されました。本日は、林信光財務省大臣官房参事官が代理出席をしておられます。

○林財務省大臣官房参事官 どうぞよろしくお願いいたします。

○塚越委員長 次に、委員の出欠状況についてご報告をいたします。
 稲嶺委員におかれましては牧野浩隆沖縄県副知事が代理出席されております。
 吉山委員におかれましては本日ご出席の予定でございましたが、お仕事の関係がありまして残念ながら急きょご欠席となりました。以上でございます。

3 小池沖縄及び北方対策担当大臣挨拶

○塚越委員長 本日は、小池沖縄及び北方対策担当大臣にご挨拶をお願いする予定でございましたが、衆議院予算委員会がちょうど開催中でございますので、残念ながらご出席になれないということになりました。
 最初に、内閣府藤岡沖縄振興局長からご挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。

○藤岡沖縄振興局長 沖縄振興局長を拝命いたしております藤岡でございます。よろしくお願いいたします。
 本日、小池大臣は予算委員会に出席いたしておりましてこの場を欠席させていただいております。その関係で、小池大臣の挨拶を私から代読させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。代読申し上げます。
 皆様方には、沖縄振興開発金融公庫の運営に関しまして、日頃、一方ならぬご指導、ご鞭撻を賜り、厚く御礼申し上げます。
 沖縄公庫をめぐる政策金融改革については、私も政府・与党の各種の検討の場で、公庫存続の必要性を訴え、また、稲嶺知事をはじめ沖縄の皆様からも折にふれ公庫存続の要請がございました。その結果、沖縄公庫については、現行の沖縄振興計画の最終年次である平成23年度までは公庫として存続し、それ以降については、沖縄振興策と一体となって、自己完結的機能を残すこととなりました。今後とも、沖縄振興に支障のないよう万全を期してまいります。
 本年は沖縄振興計画の計画期間10年の中、計画のスタートから5年目の節目の年であり、自立型経済の構築を目指す沖縄振興にとって非常に重要な時期です。そうした中でも、沖縄科学技術大学院大学設立構想の推進、離島の活性化などの取組は、今後の沖縄の産業発展に有益と考えております。
 沖縄の離島が持つ自然や伝統文化の魅力は、他の地域には見られない素晴らしいものがあります。私自身も大臣に就任してから14の離島を訪問し、実情をつぶさに見てまいりました。離島活性化については、有識者による会合「美ら島ブランド委員会」から提言をいただき、その内容の具体化に着手するなど、その取組を積極的に進めているところです。今後とも、沖縄における離島がそれぞれの魅力を存分に生かし、自信を持ってオンリーワンの輝きを放てるよう、地元の取組を支援してまいります。
 大学院大学設立構想につきましては、昨年9月に独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構が設立され、また、18年度予算案では、前年比5割増となるなど、大きな前進がありました。今後7年程度以内を目途としている開学に向け、引き続き、関係者や地方自治体と一体となって、構想の推進に努めているところです。
 沖縄の自立型経済の構築に向けて、沖縄振興策を金融面から支える沖縄公庫は大変重要な役割を担っております。本協議会は、地元の皆様のご意見、ご要望を公庫の業務運営に反映させる目的で設けられたものであります。委員の皆様方には、忌憚のないご意見をいただくとともに、今後とも沖縄公庫に対し、一層のご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。以上でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。

4 報告事項 財政金融改革について

○塚越委員長 本日はお手元の資料、「第76回沖縄振興開発金融公庫運営協議会議事次第」にありますとおり、まず報告事項として「政策金融改革について」、続いて議題といたしまして「平成18年度沖縄公庫予算案の概要について」及び「平成17年度の沖縄公庫の活動について」を取り上げます。そして、その段階でご質問、ご意見を伺いまして、最後に恒例となっております「沖縄経済の現状と課題」について、日本銀行那覇支店長の大澤委員からご説明を伺うという段取りで進めてまいりたいと思っております。
 それでは、内閣府の山田参事官から「政策金融改革について」のご報告をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○山田参事官 参事官の山田でございます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、政策金融改革における沖縄公庫の取扱いについて、お手元に資料1として「行政改革の重要方針」がありますので、それをご覧いただきながらご説明をいたします。
 この「行政改革の重要方針」は、「平成17年12月24日閣議決定」と書いてございますが、小さくて効率的な政府への道筋を確かなものとするため、行政改革の重要課題について一括して閣議決定を行い、更に改革を続行するためのものでございます。政策金融改革の他にも独立行政法人等の見直し、特別会計改革、総人件費改革等、幾つかの項目が盛り込まれております。今後のスケジュールにつきましても、「本重要方針で定める改革の今後における着実な実施のため、基本的な改革の方針、推進方策等を盛り込んだ「行政改革推進法案(仮称)」を策定し、平成18年通常国会に提出する」とされております。
 それでは、「1 政策金融改革」の内容についてご説明いたします。
 ご案内のように、本重要方針では、経済財政諮問会議の「政策金融改革の基本方針」、それから政府・与党政策金融改革協議会における政府・与党合意、いずれも11月29日でございますけれども、これらに基づいて政策金融の抜本的改革を行い、平成20年度から新体制に移行するということになっております。後で申し上げますが、沖縄振興開発金融公庫は20年度では統合いたしませんのでこれとは別になります。
 「(1)基本原則」ですが、アからエまで4つあります。ア「政策金融は3つの機能に限定し、それ以外は撤退」をするということで、「(1) 中小零細企業・個人の資金調達支援」など、政策金融として残す機能が3つ書いてございます。
 イは「「小さくて効率的な政府」実現に向け、政策金融を半減」、具体的には貸出残高の対GDP比半減を平成20年度中に実現することなどが書いてございます。
 ウでは「民間金融機関も活用した危機」、金融危機、国際通貨危機、大災害・テロ等が書いてございますけれども、それに対応できる体制の整備をしておくということです。
 エは「効率的な政策金融機関経営を追求」するということで、「部分保証、証券化、間接融資等を通じた民間金融機関の補完」を行うことなどが掲げられております。以上が基本的な原則ということであります。
 (2)では「政策金融の各機能の分類」ということで、どういう機能を残すか、あるいは撤退するかということが書いてございます。ご覧いただきますと、「現行政策金融の各機能を、(イ)政策金融から撤退するもの、(ロ)政策金融として必要であり残すもの、(ハ)当面必要だが将来的には撤退するもの、に分類する」ということで、以下アからクまで機能毎に分類をして書かれております。クが沖縄振興開発金融公庫分野でございます。
 幾つか本土公庫について申し上げますと、「日本政策投資銀行分野」は(イ)ということで政策金融から撤退をするという位置付けになっており、「大企業、中堅企業向け融資であり、国全体として資金不足であった高度成長期とは異なり、民間市場から貸付けのみならず、社債や株式等様々な形態で資金の取り入れが可能であり、政策金融として行う必要がなくなっているため、撤退する」と書いてございます。
 「商工組合中央金庫分野」、これも撤退、それから「公営企業金融公庫分野」も撤退ということでございます。
 「中小企業金融公庫分野」は「(1)一般貸付は量的補完であり、国全体として資金不足であった高度成長期とは異なり、資金余剰になっているので、中小企業といえども、量的補完は国が行う必要はなくなっており、撤退する。(イ)」、「(2)特別貸付は、国の中小企業政策の中に明確に位置付けられ、政策誘導を目的とする範囲に限定して残す。(ロ)また、定期的に見直しを行い、必要性の低下した特別貸付からは、撤退する。(ハ)」、こういうふうに書いてございます。
 「国民生活金融公庫分野」につきましては、残す分野がある一方、「民間金融機関や独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度で代替可能な分野については撤退する」と書いてございます。
 「農林漁業金融公庫の分野」につきましては、(2)の「食品産業向け金融は、大企業・中堅企業向けは撤退する」となっていますが、そのほか残す機能が掲げられております。
 以上のような本土公庫等の撤退もしくは残すもの、あるいは将来的に撤退というものを踏まえた上で、クの「沖縄振興開発金融公庫分野」をご覧いただきたいと思います。
 「(1)本土公庫等見合いの機能は、本土と同様の扱いとし、撤退又は残す」。これは、沖縄公庫が行っている本土と同じ制度について、本土公庫等が撤退するものにつきましては20年度に撤退をする、という意味でございます。
 しかしながら、(2)をご覧いただきますと、沖縄独自制度、それから特利制度、沖縄特利のことでございますが、それらは「歴史的・地理的特殊性等にかんがみ、残す」ということになっておりますので、沖縄に必要な独自の制度は残ることとなります。
 それから、「(3)新組織の在り方」でございますが、これは先ほどの機能を踏まえた上で組織をどうするかということでございます。「政策金融から撤退する機能に係る組織」に掲げられている政策投資銀行、商工組合中央金庫、それから公営企業金融公庫は民営化・廃止されることとなります。
 沖縄公庫の組織の取扱いでございますが、「イ 政策金融として残す機能に係る組織」をご覧いただきますと、「(1)一つの政策金融機関に統合することを基本とし、以下の機関を統合する」としてアからオまでございますが、沖縄振興開発金融公庫はこの統合する5機関の一つでございます。本土公庫見合いで廃止する貸付けを除く、とありますが、先ほど申し上げましたように、本土公庫等で廃止されるものは廃止はいたしますけれども、あとは独自制度により必要なものを残した状況で統合することになります。
 先ほど申し上げましたように、政策金融は20年度から新体制に移行しますが、沖縄公庫についてはイの(3)で、「沖縄振興開発金融公庫については、現行「沖縄振興計画」(平成14年7月9日内閣総理大臣決定)の最終年次である平成23年度までは、公庫として残す。それ以降は、沖縄振興策と一体となって、自己完結的機能を残しつつ、統合する」と書かれております。この結果、沖縄公庫については、現行沖縄振興計画の最終年次である23年度までは残して、それ以降、時期はまだ明記されていませんけれども、統合の方向性は示されつつも沖縄振興策と一体となって自己完結的機能を残しつつ、統合するということになります。この(3)は政府・与党合意に盛り込まれた部分でございまして、それ以外は経済財政諮問会議の「政策金融改革について」の中に書かれているところでございます。
 (5)は「新組織移行への工程等」が書いてございます。アは、政策金融改革推進本部、これは全閣僚で構成されておりますけれども、ここにおいて政策金融改革を進めるということで12月9日に、本部の設置が閣議決定をされております。
 イですが、「本重要方針に沿って、詳細な制度設計に取り組み、「行政改革推進法案(仮称)」の成立後速やかに本部で成案を得るとともに、政策金融改革関連法案の国会提出時期についての結論を得る。成立した「行政改革推進法案(仮称)」及び詳細な制度設計に基づき、同関連法案の作成作業を開始をする」というスケジュールが示されております。
 沖縄公庫の統合は24年度以降になりますけれども、20年度からの新体制につきましてはこの工程に基づいて、準備が進められているところでございます。以上でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。
 

5 議題

○塚越委員長 それでは、引き続き、沖縄公庫の木幡総務部長から「平成18年度沖縄公庫予算案の概要について」及び「平成17年度の沖縄公庫の活動について」、ご説明をお願いしたいと思います。

○木幡総務部長 公庫の総務部長の木幡でございます。資料2に基づいてご説明申し上げます。
 まず2ページをお開きください。18年度沖縄公庫の予算案でございますが、まず事業計画につきましては表の中ほど、合計の(1)+(2)+(3)の欄でございますが、18年度は1,629億円ということで17年度に比較いたしますと9.8%のマイナスということになりました。このうち貸付けの方は(1)でありますが、1,620億円でちょうど10%の減となっております。これは最近の資金ニーズの動向と政策金融改革を踏まえたものでございまして、例えば住宅資金につきましてはできる限り民間資金へのシフトとか証券化へのシフトを図るということで33.3%の減と大きく減額いたしております。
 また、産業開発資金につきましては、実は概算要求時点よりも10億円減額して予算案ができております。これは、政策金融改革でこれからはできる限り直接融資に頼らず、新しい金融手法等を用いて政策金融をやっていくといったような方針が示されましたので、私どもも保証等の新しい手法を用いて政策金融に取り組むということで10億円を減額し、500億円という形にいたしております。
 また、(2)になりますが、企業等に対する出資は全体が減額になる中でこちらの方は今年度の3億円に対しまして7億円ということで4億円増額いたしております。これは、沖縄でもようやく事業再生の取組というものが本格化してまいりましたので、私どもも出資対象に企業の事業再生支援に取り組む商法上の匿名組合等を追加するということでこの機能が認められまして、その匿名組合等に関する出資というものを想定し、合計7億円予算措置をいたしております。いわゆるベンチャー企業に対する(3)の新事業創出促進出資につきましては今年度と同額であります。
 続いて(2)の資金交付計画ですが、1,403億円で今年度に比較いたしますと14%のマイナスであります。これは、資金交付計画を資金交付の実態に合わせるということで、これまで住宅資金以外は当該年度の事業計画と同額を計上いたしておりましたが、複数年度にまたがるものにつきましては複数年度にわたって計上することにいたしまして、そういったいわゆる計上方針の変更という面でこのように事業計画を上回る減額になっております。
 この資金交付を賄う原資の内訳のうち、財政投融資からの借入金につきましては14%のマイナス、自己資金等につきましてもほぼ同程度のマイナスでありますが、沖縄公庫の財投機関債につきましては今年度と同額の300億円を予定いたしております。
 それから、補給金であります。補給金につきましては今年度の52億円に対しまして47億円、これは四捨五入の関係でこうしておりますが、増減で申し上げますと6億円近い減ということで11.3%減額いたしました。これは私どもの資金調達金利の低下といったような調達金利の好転などを反映し、かつ私どもも経営の効率化に取り組むという前提でこのような減額になっております。
 続いて3ページをお開きください。個別の重点事項でありますが、まず第1には「事業再生支援や創業支援に重点」といったことがございます。先ほど申し上げましたように事業再生支援に本格的に取り組むということで出資対象に匿名組合等を追加するとともに、予算規模も7億円に増額いたしました。
 また、組織の方も強化するように考えておりまして、事業再生関連の増員も認められまして、現在の出資・経営管理班といったところを強化しようと考えてございます。こうしたことで、沖縄公庫としても事業再生に本格的に取り組んでまいりたいと考えてございます。また、政策金融に特徴的な取組として、やはりリスクの高い創業支援といったことがあるかと思いますが、こちらの方も体制を強化して取り組むようにいたしまして、組織を再編いたしまして創業支援班というものを創設するようにいたしております。そして、創業とか起業に関する専門的な相談、審査、融資の機能を集約いたしまして、また人員も増強して沖縄の自立的振興に重要な創業支援強化を図ることにいたしております。
 次に制度面でありますが、「貸付制度」の新たなものといいますか、変更のあったものといたしましては、今年度で切れることになっておりました2つの融資制度につきまして引き続き1年間の延長が認められたということで、中小企業経営基盤強化貸付、それから自由貿易地域等特定地域振興資金貸付の担保特例制度がいずれも1年延長ということになっております。これはいずれも時限的な制度でございまして、これがまた1年延びたというものでございます。
 それから、(2)では「本土公庫等と同様の制度拡充を予定」いたしております。
 このほかに、予算の特徴的なことといたしましては、老朽化した八重山支店を移転・建築することにいたしまして、18年度にはその移転・建築に着手することにいたしております。
 続いて5番でありますが、17年度補正予算の関係で申し上げますと、「アスベスト対策特別貸付の創設」が認められました。アスベストの飛散防止対策、除去とか封じ込め、囲い込み等を講じる事業者、あるいはアスベスト廃棄物の処理を行う者、病院、診療所等を支援するための特別貸付を緊急創設をいたしております。これは準備が整い次第、本土と同じ時期をもって実施するようにいたしております。
 以下、4ページ、5ページにただいまのアスベスト関連の制度の詳細がございますが、説明は省略させていただきます。
 続きまして、7ページをお開きください。17年度に新規創設あるいは拡充いたしました制度等の利用状況をお示ししております。
 まず1番の17年度新規創設・拡充した制度でございますが、1つ目は沖縄離島振興貸付、通称美ら島貸付というものがございます。これは従来から離島地域経済活性化貸付というものがございましたが、今年度から離島の実態をより反映させまして、より弾力的な制度にいたしました。これは、内閣府の美ら島会議による離島活性化の取組に対応した公庫のシンボリックな取組でございますが、こちらの資金の方は従来の制度にいたしますと件数では2倍以上、金額では5割以上の増加ということになっております。
 この内容を見てみますと、従来から離島では雇用要件を付けますとなかなか特別な制度が活用できないという実態にあったわけですが、これを緩和した関係でそれに対応した事業がかなり出てまいりました。特にそれによって出てまいりましたのが不動産関係の事業でございまして、ホテルを賃貸する事業とか、あるいは貸しアパートを賃貸する事業、こういったものがかなり伸びまして、不動産関係が17年度事業費の金額では50%を占めるといったような実態になってございます。
 また、地域別で見ますと従来、資金ニーズが低調でありました宮古地域で大きく伸びておりまして、その点では制度を拡充した意義があったのではないかと考えてございます。 それからその下、先ほどご説明した中小企業経営基盤強化貸付であります。これは今年度このような形にいたしまして1年限りになっている制度でございましたが、これは県の方で経営革新計画を承認いたしますと、それに基づいた取組につきましては公庫で有利な融資を行うことができるといったものでございます。今年度は12月末現在で9社、県の特例承認を受けましたが、公庫の関係でいいますと5件融資が実現いたしております。それから、最後の段でありますが、特産品振興貸付のうち泡盛特例というものがございます。これは、泡盛業界の方で自主規制として古酒ならば古酒で3年以上のものを100%にするとか、そういったような自主規制を行っております。そういたしますと、全体的に貯蔵期間が長くなるといったことを踏まえまして、公庫の方で泡盛に限っては返済期間の長期化とか、このような措置を講じたわけであります。現在までのところは3件、3億7,000万円の実績がございます。
 続いて2の「担保・保証に依存しない貸付制度」でございます。これからの政策金融として、過度に担保・保証に依存しないような貸付制度を推進していくというようなことが求められてございます。沖縄公庫では、10年度から本土公庫に先駆けまして中小企業無担保貸付というものを創設いたしました。それで、16年度はこれに重点的に取り組みました結果、24件出ておりましたが、17年度は本土公庫の方でも担保徴求特例を充実させまして、当然のことながら沖縄公庫でもこれが適用になるということになりました。
 こうした関係もございまして、いわゆる担保に依存しない融資としては担保徴求特例、(2)の方に今シフトしているような状況でございまして、沖縄独自の中小無担保制度はかなり減額しておりますが、(2)の担保徴求特例の方はかなり伸びているという状況にございます。
 また、自由貿易地域等におきましては賃貸工場とか、借地の上で事業が行われるといったことを反映させまして、50%までは担保を徴求しないことができるというような仕組みをつくっておりますが、こちらの方は1件増えまして2件ということになっております。全体では25%ほど件数にして減り、または金額にして3%ほど減っておりますが、こういった担保に依存しない特例、融資に対するニーズというものは非常にまだ根強いものがあると感じてございます。
 それから、次の保証人の徴求特例あるいは第三者保証人特例、こちらの方は全体的に伸びてございまして、合計では件数にして63%の増、金額にしては65%の増ということで、今、申し上げました担保・保証に依存しない貸付制度全体で申し上げますと、件数では32%の増、金額では1割近い増という形になってございます。
 最後に8ページになりますが、「住宅資金に係る証券化支援事業の動向」ついて報告をさせていただきます。これは、前回の運営協議会のときに沖縄でも証券化の事業が始まりましたということでご紹介をさせていただきました。おさらいで申し上げますと、参考にございますように、従来、長期固定の住宅ローンというのは政府系だけが実施していたというものでありますが、これをできるだけ民間の方にシフトしていこうということで、住宅公庫が長期低利の資金を民間に供給いたしまして、その資金によって民間金融機関の融資債権を買い取っていただく形で民間が長期固定の住宅資金を供給できるというような仕組みでございまして、ある意味では官独占の市場がこれによって民に変わってきているというものでございます。
 前回の報告の時点では、沖縄県内では日本住宅ローンとみずほ銀行だけが取り扱っておりましたが、その後、4つの機関で新たな取扱いが始まりまして、合計6つの会社でこのフラット35というものが取り扱われております。12月末までの累計ベースで申し上げますと件数で30件、金額7億4,000万円というものが出てございまして、その点では徐々にではありますが伸びてきていると感じております。
 この6つの機関の取扱金利は、2.46%から2.81%という範囲に分布しております。金利だけで融資手数料はさまざまでございますが、これだけで見ますと現在の沖縄公庫の金利が2.98%ですから、いずれも公庫の金利より安い金利で提供されているというものでございます。引き続き、この事業の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 私からは以上でございます。

○塚越委員長 ありがとうございました。

6 質疑応答等

○塚越委員長 ここで質疑に入ります前に、内閣府沖縄担当部局の事務方の責任者でもあります武田内閣府審議官及び沖縄公庫の松田理事長にご発言をお願いいたしたいと思います。
 それでは、武田内閣府審議官、よろしくお願いいたします。

○武田委員 内閣府審議官の武田でございます。内閣府で沖縄政策を担当する者として一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
 日頃、内閣府及び沖縄振興開発金融公庫に多大なご支援、ご指導を賜っておりますことにつきまして、まずこの場をお借りして厚く御礼を申し上げたいと思います。先ほど振興局長が代読をいたしました大臣のご挨拶にもありましたけれども、沖縄公庫をめぐる政策金融の改革につきましては、現行の沖縄振興計画の最終年次までは公庫として残すということにされたところでございます。
 ここに至りますまでは稲嶺知事、それからご出席の仲井真会頭を始め皆様方、経済財政諮問会議であるとか、あるいは与党の検討の場といったところで公庫の存続の必要性を繰り返しご説明いただきました。また、県議会におきます決議、更には経済界も含めた政府・与党への要請など、地元の強い思いを伝えていただきました。その結果、公庫存続の必要性が理解されたということと考えております。その取組に対しまして敬意を表しますとともに、厚く御礼を申し上げたいと思います。
 沖縄公庫は申すまでもなく昭和47年の本土復帰以来、沖縄振興計画等に基づく政府の沖縄振興策と一体となって、私ども車の両輪というふうに申しておりますけれども、これを金融面から支える役割を担ってきております。民業補完の徹底を図りながら、民間金融機関が供給を困難とする長期の設備資金等の低利かつ安定的な供給や、あるいは出資業務を通じまして、沖縄の産業経済の発展に依拠してこられたところでございます。
 沖縄県内の資金需要を量的あるいは質的に補完する公庫の役割というものは、県内の融資残高に占める比率が30%を超えているということ、あるいは経済財政諮問会議において公庫の独自制度であるとか、あるいは沖縄特利を維持するといったふうにされたところから見ましても、沖縄の自立型経済の構築に向けてその役割は依然として重要であると考えているところでございます。
 沖縄公庫が行政改革の重要方針に従い、自ら改革を行うことは当然のことでございますけれども、他方、例えば大学院大学など今後予想される大きなプロジェクトへの貢献も期待をされているところでございます。政府といたしましても、沖縄振興に果たす公庫の役割に支障がないように、万全を期してまいりたいと考えております。
 皆様方のご支援をよろしくお願いを申し上げたいと思います。以上でございます。

○塚越委員長 それでは、松田理事長お願いいたします。

○松田理事長 それでは、私の方からも一言お礼を申し上げたいと思います。
 先ほど来ご説明がありましたように、私ども沖縄公庫は当面公庫のまま残ることになりました。これも内閣府はもとより稲嶺県知事、それから県民を挙げての力強いご支援の賜物であったというふうに感謝いたしております。特に稲嶺知事や牧野副知事など、県関係の方々、それから仲井真会頭など県経済界の方々には何度も東京に足を運んでいただきました。また、県議会の方々には公庫存続につきまして全会一致の決議をいただきましてご支援をいただきまして、心から感謝申し上げたいと思います。
 沖縄公庫といたしましては必要な改革を進めながら、「沖縄公庫が残っていてよかった」と県民の皆様から言っていただけるよう、全力で沖縄振興に取り組んでいきたいと思っておりますので、今後とも温かいご指導、ご支援をいただきますようお願い申し上げましてお礼のご挨拶とさせていただきます。この度は本当にありがとうございました。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。
 ここで、これまでの報告、説明につきましてご質問、ご意見等をお伺いしたいと思います。いかがでございましょうか。どなたからでもどうぞお願いいたします。

○仲井真委員 政策投資銀行さんは20年で統合してなくなるんでしたか。そうしますと、公庫さんの産発資金というのはどうなるんですか。産業開発資金というのは、政投銀さん並みということになるんですか。

○松田理事長 それでは、私の方からお答えいたします。
 ご指摘のように、20年というお話でございましたけれども、実を言いますと政投銀さんは5年から7年間の移行期間がございます。その間に民営化をするということになっております。したがいまして、私ども確かに民営化されますと産業開発資金が横並び資金でございましてこの資金が問題になるわけでございますけれども、実を言いますと産業開発資金の8割方は沖縄独自制度になっております。したがいまして、沖縄独自制度で対応することが可能かと考えております。
 ただ、その中でこれまで例えば私どもおもろまちとか北谷、金城町のいわゆる再開発関係、それから地域活性化という資金で対応していた事業がございまして、これをできれば今後とも期待は大きいわけでございますから、私どもの制度としてきちんと位置付けをいたしまして、資金需要に対応していくような措置は必要になろうかと思います。以上でよろしゅうございましょうか。

○塚越委員長 よろしゅうございますか。
 それでは、いかがでございましょうか。

○大澤委員 日本銀行の大澤でございます。一言、沖縄振興開発金融公庫さんの新しい事業への取組についてお話をさせていただきたいと思います。
 先ほどご説明にあったように事業再生、証券化、離島振興の面で、新しい分野に果敢に取り組んでいかれたことは大変結構なことだと思います。
 ただ、そのそれぞれについて、若干これは老婆心ながらということでございますが、多少気になる点、あるいはこういう点に気をつけて運営していただけるとありがたいという点を申し述べさせていただきたいと思います。
 まず事業再生の方ですけれども、こちらは事業再生ファンドへの出資を多分想定されているんだと思うのですが、これをおやりになる際、当然のことでありますけれども、事業再生ファンドに不良債権が一時的に停留するだけのようなスキームだと、決してこれは沖縄経済の振興にはつながりません。つまり、厳しい経営指導とか、あるいはビジネスモデルの転換といったものがセットになって動くような仕組みというものを是非お考えいただければありがたいと思います。これは今、沖縄の方で金融機関、弁護士さん、会計士さん等で構成される沖縄事業再生研究会というものがございますけれども、その場でもその重要性というものがしばしば強調されている点でございます。
 それから、事業再生ファンドへの出資と同時に、県内の事業再生案件を見ていますと、公庫さんと民間企業が並行メイン、あるいは共通の先にローンを出しているというような場合がございます。その際に、民間金融機関は必要があれば金融支援というのは経営判断でできるわけですけれども、公庫さんの場合には内部ルールで若干そこのところが弾力的にできないような仕組みになっている部分もあると伺っております。融資をしている先に対する事業再生支援、金融支援を行うルールメイキングについても、民間と協調して沖縄企業の再生に資するという判断が下されるものについては、少し弾力的な金融支援というものをご検討いただけないかと考えております。
 それから、証券化につきましては住宅ローンの証券化が始まったということで、これも非常に結構なことだと思うんですけれども、同時に沖縄県では企業向けのローンについての証券化、いわゆるCLO構想というものも動き出しておりまして、将来的にこの分野というのはかなり大きく伸びるのだろうと考えられます。金利環境が今後変わってきますと、ニーズが一層高まってくる分野だと思いますので、その辺についての支援のご準備というのも是非前向きに取り組んでいただければありがたいと考えております。
 最後に離島振興につきまして、先ほどのお話でいわゆるアパートローンですとかホテルへの融資というものが50%ぐらいのウェートを占めているというお話だったんですけれども、実は特にアパートローンについてはなかなかリスク管理が難しい商品だと言われております。民間金融機関でも資金需要が非常に弱い中でアパートローンは伸びているわけですけれども、将来の不動産価格の動向とか、あるいは賃料収入のプロジェクションを間違えてしまうと、結構長い期間のローンになっていることもあって、リスクが数年たって顕現化するというようなかなり難しい商品でもあろうかと思います。多分リスク管理は内部できちんとなさっているとは思いますけれども、その辺については民間金融機関同様さまざまな観点から、場合によっては例えばストレステストみたいなこともやって最悪の事態にも備えるというようなことも必要なのではないかと考えられます。
 私の方からはあくまで老婆心ながらといいますか、もう既にお考えになられていることも多いかと思いますけれども、気になった点をいくつかお話させていただきました。以上でございます。

○塚越委員長 松田理事長、いかがですか。

○松田理事長 どうもありがとうございました。ご指摘の件につきましては、ご意見を踏まえまして基本的に対応させていただきたいと考えております。
 事業再生ファンドに関しまして、ご指摘のとおり不良債権が一時的に滞留するというようなことのないように民間金融機関さんとはスキームを十分調整をしつつやってまいりたいと思います。
 それから、先ほど説明がございましたように、来年度から経営の支援班というものを強化いたしまして、その点に十分対応できるようにしていきたいと考えております。
 それから、民間さんと並行メイン等で金融支援を行う場合の、公庫ルールの弾力的な運用につきましては、従来は例えば償還方法の変更もどちらかというと資金支援というような形でやっておりましたけれども、収益支援という方法、つまり金利減免でやっておりますし、更に今後は必要な措置をいろいろ検討したいとは考えております。
 それから、CLOにつきましてはせんだって民間金融機関の琉球銀行さんと沖縄銀行さんが全国で初めてのCLOをご準備されていらっしゃいますけれども、これにつきましては、今は中小企業金融公庫さんと民間金融機関さんとのいわゆる仲介という役割でございますが、公庫も今後はできるだけ参画させていただきまして、できれば公庫単独でできるかどうか、そういったことも含めて検討はしたいと考えております。
 最後のアパートローン関係につきましては、特に私どもが住んでおりますおもろまち近辺というのはかなりアパート、マンション関係が増えておりまして、確かにどちらかといいますと古いものに少し空き家が目立っておりまして、それが市場に流れ込むというような傾向がひとつあろうかと思います。これについてはリスク管理をきちんとしたいと思っておりますし、また最近では確かに離島で移住者の方々に対する賃貸、アパート関係の需要がかなり増えているのは事実でございます。これにつきましては、私どもその必要性等も十分踏まえまして、リスク管理はきちんとしていきたいと考えております。
 以上でございますが、よろしゅうございましょうか。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。

○牧野沖縄県副知事 沖縄県でございます。私の方から、お礼を申し上げます。
 まず、公庫の平成23年度までの存続と、それ以降も沖縄の独自制度については継続することが決まったことに対し、改めてお礼を申し上げたいと思います。私ども県としましても、復帰のときに沖縄振興開発特別措置法、沖縄振興開発金融公庫法、それと沖縄開発庁設置法の3つが一体となって、今風に言えば三位一体でスタートしただけに、現在でも振興計画と内閣府沖縄担当部局が存在するわけですから、その中の一つの公庫が欠けるということはものすごく心配しておりましたけれども、このような形で決着していただいたことに対しまして改めてお礼を申し上げたいと思います。
 沖縄の場合、民間の流動性の資金に加え、特に設備資金の供給力に欠けるところがある中で、公庫の果たしてきた役割は大きく、今後も電力をはじめ、観光・リゾート開発、大学院大学、離島、米軍基地の跡地利用、都市の再開発など、まだ予想されるものが多いだけに今後とも公庫の役割は大きいと考えております。
 なお、18年度につきましても多くの財政難の中で多くの予算が確保されたことと、制度面でも自由貿易地域関連、ベンチャー創業支援などに関する取扱期間の延長が認められたことは、大変ありがたいことであり、今後とも沖縄振興施策の推進にご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

○塚越委員長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 では、上江洲さんお願いします。

○上江州委員 初めての参加でちょっと慣れないんですけれども、初めてここに参加させていただいた感想のようなことを述べさせていただきたいと思います。
 私も二点ほど気になっていた点がございます。最初の一点目は、事業再生の件ですが、この件に関しましては、大澤支店長からも、また理事長からもご説明があったとおり、沖縄は、事業再生研究会の取組などもございまして、県外と比べても活動が活発であるというふうに感じています。そのときに、政策金融の側から公庫の立場としても、事業再生に関わりを持っておられると聞いて、私自身はとても心強く思いました。
 ただ、先ほどスキームというものがまだ確立されていないというお話もあったので、今回予算が増額されているのは匿名組合を追加したからだということでしたけれども、ニーズがあるということは、例えば17年度にどのような取組をされて、こういう増額の方向に持っていかれたのか、その辺が気になっております。
 それから、事業再生にはいろいろな分野がございまして、小さいものから大きいものまでございます。私も、今後は恐らく既存のもので大きいものも出てくるのではないかと思っているのですが、小さいものと大きいものの事業再生について、今、スキームがどれぐらいまででき上がっているのか。その辺りは興味がございますので、お聞きしたかったところです。
 あとは、中小企業については法的再生の情報が余り出てこないのですが、出てきている数字だけを見ると割と落ち着いているように見えるんですね。でも、実はその手前でこうやって頑張っていらっしゃる方々がいるんだなということを、説明を聞いて納得いたしました。
 ただ、沖縄の経済がまだ上向いていないのを、大学におりますと肌で感じることがございます。ちょっと前からありますが、学業志半ばで休学とか退学せざるを得ない学生はまだ多いんですね。その原因の大半が経済的理由なんです。こういうところを見ると、まだまだこれから先、再生の必要な事例は出てくるんじゃないか、今も破綻直前のものが実はたくさんあるんじゃないかということを考えてしまいます。
 あともう一点、感じた部分で言いますと、振興策と一体となって金融政策を進めておられると思うんですが、18年度は、特に17年度と違って新規の資金制度の立上げがなかったんですね。その辺りがちょっと気になっています。先ほど他の委員の方のご発言の中にもありました大学院大学ですとか、私が少し関わっております跡地利用面ですとか、これから先、大きなものが幾つもやってくるような気がしています。そういうときに、沖縄の独自制度としてどのようなものを考えておられるのか。
 初めてなので全然状況を知らずに申し訳ないんですけれども、その辺りを含めて気になっているところを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。以上です。

○松田理事長 事業再生関係は、基本的には中小企業再生支援協議会というものがありまして、そちらからご紹介のある案件が基本的に1つのルートとしてあります。これは15、16年度で10件、再生支援案件がございまして、そのうち6件私どもで対応しているということでございます。
 これが事業再生支援協議会経由ではなくて、先ほどちょっとお話がありました民間金融機関さんと協調してご融資等を申し上げたものの再生支援といいましょうか、こういったものも別途ございまして、実を言いますとそういう中で今年度事業再生関連でファンドを要求いたしましたのは、沖縄公庫に中立性あるいは調整力が期待されて、その必要性から商法に定められた匿名組合での支援ということが県内でもかなり動きが出てきている。そういうことからこれを要求したわけでございます。
 したがいまして、これにつきましてはその制度が認められましたし、新しい制度で言えばおっしゃったように再生支援の関係の匿名組合に対する出資というのは新しい制度でございます。その制度と、それから予算をお認めいただきましたので、先ほどちょっと申し上げましたけれども、併せて経営管理班という従来再生関係のお手伝いをしている部門の人員を強化いたしまして取り組んでいきたいと、このように考えております。
 したがいまして、今年度は新しい制度がなかったかというとそうではありませんで、今のいわゆる再生ファンドのための出資というのは一つの制度でございます。それから、先ほどご説明をしましたアスベスト関係は補正予算でございます。そのほかは期限の延長とか、旧来の制度を延長するとか、そういう措置をしたわけでございます。
 それから、ちょっとご質問がありました将来的ないわゆる基地跡地関連とか、あるいは場合によっては大学院大学関連ですが、特に跡地関連というのは将来的には考えられますけれども、まだ現段階で具体的な融資制度として要求するのは早いかと考えております。 ただ、大学院大学については内閣府とご調整をしながら、タイミングを見ながら新しい必要な制度があれば要求させていただくことになろうかと思います。
 大体、以上でよろしゅうございますか。

○上江州委員 ありがとうございます。

○塚越委員長 ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、ただいま皆様方からいただきました貴重なご意見、ご要望等、内閣府及び沖縄公庫双方におきまして今後の業務運営や予算要求の参考にしていただきたいと考えます。

7 沖縄経済の現状と課題

○塚越委員長 それでは、日本銀行那覇支店長の大澤委員に「沖縄経済の現状と課題について」のご説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○大澤委員 それでは、簡単に資料3を使って沖縄経済についてお話をしたいと思います。今日は年初でもありますので、今年の展望ということも織り交ぜながら少しお話をさせていただきたいと思います。
 まず1ページで観光客数の推移でございますけれども、ご承知のとおり観光は景気全体を力強くリードして好調といいますか、絶好調と言ってもいいくらいの感じが続いているということでございます。昨年の12月まで3か月連続で過去最高を更新いたしまして、2005年は年間観光客550万人ということで前年比35万人増でございます。これは県の目標が540万人でございましたので、それも10万人上回っているということになっております。年明け後も、年末年始の旅行とか、あるいは上旬ぐらいまでの数字を見ましても、前年比で2けたくらいの伸びを続けているということで、今年も県の目標は565万人だと伺っておりますが、それに向けて幸先のいいスタートを切っているということではないかと思います。
 2ページ目にホテルの稼働率もございますけれども、こちらの方も過去9か月連続で前年を上回るということで好調を持続しているということでございます。
 こうした現状を踏まえて今年を少し展望してみますと、以下のような理由から観光は好調を維持して景気全体を力強くリードするだろうと予想されます。
 まず1つ目の理由は、北九州、神戸といったような新しい空港との間の新航路の設置でございますし、それから鹿児島、仙台等で増便されるということでございます。今、申し上げた4つの都市だけで追加的に投入される座席数が54万席ということで、これは去年の座席投入数の約7%増ということでございますので、これだけでもかなり大きな効果が期待されるのではないかと思います。
 2つ目の理由としましては、新しい付加価値サービスといいますか、例えばリゾートショッピング、DFSを中心とするブランド品のショッピングでありますとか、あるいはリゾートウエディング、それからスパとかエステですね。そのほか、民間企業によるコンベンションの実施ということで、こうした新しい付加価値サービスが次々に市場に投入されているということでございます。こういったサービスは夏場以外の沖縄観光というものを増やすだけではなくて、1人当たりの支出額も増やすという形でも寄与するということが予想されるわけであります。
 ちなみに、ある大手カード会社の統計によりますと、昨年1年中に沖縄でカードを利用した人の1人当たりの支出額というのは前年に比べて約2割増加しているというような統計もございますので、既にこうした効果が少しずつ出始めているのかと思われます。
 以上が観光でございまして、3ページをご覧いただきますと、こちらは個人消費の動向でございます。沖縄の景気を引っ張っている2つ目のエンジンである個人消費なわけですけれども、こちらの方も私ども12月に少し個人消費に対する見方を上方修正いたしました。今までは「底堅い」と言っていたものを「堅調」というふうに言葉を変えたわけです。その理由は、まず3ページにあるような百貨店、スーパー、コンビニの売上高がここにきてやや伸びを高めている、加速させているということでありまして、赤い線は全国の数字を表しておりますけれども、全国比でもかなりいい状態が続いているということであります。
 4ページは新車販売台数の前年比でございまして、新車とか、あるいはここには今日は統計は載せておりませんけれども、家電製品といったような耐久消費材の分野についても消費が非常に好調であるということであります。全国に比べてもかなりいい状態になっているということが言えるかと思います。
 こうした消費の堅調な地合いというのは、実は歳末商戦あるいは年始の初売りといったようなところにも反映されておりまして、私どもいろいろとヒアリングをした結果、ちょっと変わったといいますか、少し変化が見られ始めているということでございます。それは、売れ筋商品として高額商品、例えば婦人用の高級バッグでありますとか、宝飾品とか、あるいはオーダースーツ、こういった高額商品がかなり売れてきているということですとか、あるいは非必需品といいますか、緊急に使う必要がない、あるいは消費する必要がないものということで、例えば福袋などが今年の初めは飛ぶように売れたとか、外食も伸びているというようなことでありまして、こういったところに消費の力強さというものが反映されているのではないかと思っております。
 もちろん12月は沖縄も例年に比べてかなり気温が下がりましたので、そういった効果もあったわけですけれども、基調的にみても消費は強いと感じております。
 5ページ、6ページに雇用とか賃金の数字を載せてありますけれども、新規求人数は5ページの棒グラフの方ですが、昨年の第4クォーターにコールセンターで大量の求人があったということで昨年の4クォーターだけがぽんと異常な伸びをしておりますが、ならしてみますと右肩上がりの形になっておりまして、求人が増えているということでございます。
 失業率の方は若干ここにきて上がっておりますけれども、これはむしろ労働市場の改善をながめて労働化率が高まっている。労働市場に今まであきらめて職を探していなかった人たちが出てきているというものが沖縄でもかなり見られているということでございます。6ページにあるように賃金も前年比プラスの領域にあるということでありまして、こういった雇用賃金の改善というものが消費の下支えになっているということでございます。
 2つ目の理由は、いわゆる資産効果というものがやはり沖縄でも見られ始めているのかなということでございます。管内の金融機関のこの1年間の預かり資産、投資信託ですとか、個人向け国債ですとか、あるいは個人年金、こういった商品の増加額を見ますと、実に預金の倍の増加となっております。更に言いますと、株式投資などもかなり証券会社経由あるいはネット証券経由で増加しているということで、株価上昇を背景にして資産が増えた家計がここにきて消費を増やしているということが沖縄でも見られるかと思います。先ほどの高額商品の増加といったようなところに、そういうものが表れていると思われます。
 3番目は、やはり先行きの景気あるいは暮らし向きに対する楽観的な見方が徐々に沖縄でも広がってきたということで、そういうものが根強い今の消費の堅調さというものを支えているということでございまして、今年1年間、現状から展望しますとこうした傾向は続くと見てよいかと思われます。
 続きまして、建設でございます。7ページを見ていただけますか。こちらでご覧いただきますように、沖縄における建設投資というのはピーク時、平成5年に比べますと平成16年度で6割5分程度まで減少しておりまして、8ページでご覧いただきますように公共工事の方は足下まで更に減少傾向を続けているということでございます。それから公共工事の入札適正化ということを通じた価格競争が激化しております。そういう意味では工事量・価格両面で厳しさを増しているということなので、建設業界全体としては非常に厳しい状況が続いているということでございます。
 ただ、今まででご説明しましたように、観光とか、個人消費の堅調を背景に、ホテルの建設でありますとか、あるいはオフィスビル、物流関係といったような民間の工事が増えているとか、あるいはちょっとページを飛んでいただきまして11ページになりますけれども、住宅投資の方も10-12月は多少息切れした面はあるのですが、先ほどのアパートローンの話などにもありましたように、賃貸住宅を中心に基調的によいということでありまして、そうした民間の建設需要がかなり持ち直しを見せてきている、あるいは今後更に持ち直す可能性があると見られることから、一部の建設資材メーカーなどの業況観というものが改善しているというようなことも、私ども短観で確認しているところでございます。
 ですので、今は非常に厳しい状況が続いておりますけれども、ひょっとすると今年の後半くらいから多少なりとも明るい兆しが見える可能性もあるのかなというふうに建設についても我々は見ております。
 そういった経済全体を見ますと非常にいい材料が多いわけですけれども、唯一の懸念材料というのは10ページにあります財政でございます。財政の再建というものがなかなか難しいということでありまして、こちらは県の財政の中期見通しを掲載しておりますが、県だけではなくて市町村も含めて非常に今、財政状況が厳しいし、財政再建についてはなかなか見通しが立っていないということで、これが先行きに対する不透明感、景気には余りよくない効果を及ぼす可能性があるということを私ども懸念しております。
 もちろん一部には、例えば昨年かなり市町村合併ということで試みがありまして、その市町村合併がうまくいかなかったということを危機感として、それを一つのバネにしてかなりの程度、人件費のカットとか、そういったものを進めた市町村が沖縄でも見られておりますけれども、全体的に見ますとまだほとんどの先では財政再建への動きというのは緒に就いたばかりということでありますので、今後積極的なディスクロージャーを通じて住民との危機意識を共有していくとか、あるいは中期的な財政健全化プランを示していくとか、具体的に人件費の削減とか、公共投資の戦略的な配分といったようなものも進めていくといったことが必要です。
 それから、金融の関係でいいますとPFIも沖縄県ではまだ1件も実現できていないようでありますので、そういったものなども使いまして、民間の知恵といいますか、経営についてのさまざまな新しい手法ですとか、金融についての新しい知恵がいろいろ出ておりますので、その辺を使って官と民の役割の見直しというものも積極的に進めていかないと、なかなかその中期的な絵がかけないのかなというふうに見ておりまして、この辺が一つの今後の注目点ではないかと思います。
 最後に12ページで、消費者物価の動向でございます。こちらも見ていただきますと、沖縄の方も消費者物価指数、これは生鮮食品を除くという日本銀行が政策を議論するときに使っているのと同じベースで数字を掲げておりますけれども、マイナス幅が縮小してきているということで、10-12月はマイナス0.2ということでございましたが、12月は前年比ゼロということで、沖縄におきましてもデフレ脱却に向けての動きが続いているということであります。先ほどの経済状況を背景に、物価も少しデフレからの脱却に向けた動きが見えているということではないかと思います。私からは以上でございます。

○塚越委員長 どうもありがとうございました。
 

8 閉会

○塚越委員長 以上で、本日の議事も滞りなく終了いたしました。大体お時間もまいりましたので、本日の会議はこれで終わりたいと思います。
 なお、本日の議題等に対するご意見は沖縄公庫の今後の業務運営に反映させていただきますので、委員の皆様方におかれましては今後とも引き続きご支援、ご協力をいただきますようよろしくお願いをいたします。
 次回の会議につきましてはまだ決まっておりませんけれども、いずれ事前に通知を申し上げます。よろしくお願いをいたします。
 本日は、ご多忙の中をご出席いただきまして誠にありがとうございました。