水産業の基盤整備
1.沖縄の水産業
沖縄周辺海域は黒潮の通り道であると同時に回遊魚類の北上路にもなっています。このため、沖縄県では沖合のカツオ・マグロ等回遊性魚類やソデイカ及び瀬付きのマチ類などを対象とする漁業が行われています。また、熱帯海域の特性であるサンゴ礁沿岸域での様々な漁業、モズク養殖、クルマエビ養殖等も行われています。漁業における令和3年の魚種別漁獲量(※)14,936トンのうち、マグロ類が10,901トン、イカ類が1,324トン、カジキ類が793トンとなっています。また、沖合漁業を効率的に行うため、浮漁礁(パヤオ)を設置し、その周辺に魚類を集めたりする取組なども行われています。中層浮漁礁(イメージ)
また、養殖業における令和3年の収穫量(※)24,024トンのうち、モズクが22,400トン、クルマエビが418トンとなっています。
※資料:農林水産省「海面漁業生産統計調査」
2.水産業の基盤整備
(1)水産業振興に向けた前進・避難基地港の整備(南大東漁港)
南北大東島周辺は、マグロ・ソデイカなどの回遊魚が豊富な海域ですが、整備前は、島の周囲が絶壁で直接接岸できる港がなく、帰出漁時のクレーンによる昇降のほか好天時以外は十分な操業日数の確保も難しく、漁業振興の妨げになっていました。南大東島は、全国でも例を見ない「掘込み式」の工法(注:陸域を開削する工法)で、平成元年より着工し、泊地や岸壁などの整備を進め、令和元年に漁港整備が完了しました。更に、北大東島においても、平成20年より着工し、平成30年に漁港整備が完了しました。
地元漁船の操業機会が改善されるのみならず、近海で操業する漁船の休憩や避難の拠点としても水産業の振興に寄与することが期待されます。
南大東地区(完成後)
北大東地区(完成後)
(2) 市場統合に向けた衛生管理型流通拠点漁港の整備(糸満漁港)
県内外に広域的な利用がなされる流通拠点である糸満漁港において、近隣の泊漁港からの沖縄県漁業協同組合連合会地方卸売市場の移転・統合に伴い、高度衛生管理型荷さばき施設の整備が行われ、令和4年度より供用開始しました。岸壁上への防風柵の設置、臨港道路の整備等を行うことで、荒天時における安全係留の確保や、市場統合後の水産物の取扱量の増加への対応を図るとともに、生産から出荷まで一貫した衛生管理に取り組むことで、安心・安全かつ高品質な水産物の供給や販路拡大が可能となるよう、水産物の生産・流通機能の高度化を図ります。