駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等に関する方針

別紙3

 沖縄県における米軍施設・区域の整理・統合・縮小を着実に推進するなかで、返還跡地の利用の促進及び円滑化は、沖縄の将来発展の視点と共に、駐留軍用地の地主をはじめとする住民生活安定の視点からも課題となってきている。また、米軍施設・区域の整理・統合・縮小に伴って、駐留軍従業員の雇用の安定確保が求められるところである。
 こうしたなか、本問題の解決に向け、沖縄県知事から、「駐留軍用地跡地の利用の円滑な推進に関する要望書」が提出され、また、第十三回沖縄政策協議会においても、同じく関連要望がなされたところである。
 本問題については、沖縄における米軍施設・区域の成立の経緯等にも留意しつつ、また、沖縄における米軍施設・区域の整理・統合・縮小の着実な推進を図る観点から、新たな制度的枠組の確保を含む的確な対応が不可欠であるとの認識のもと、下記の方針で対処する。

1.跡地利用の促進及び円滑化のための措置

(1)調整機関の設置
 国、沖縄県、関係市町村相互の協力のもとで、跡地利用の計画の策定及びその具体化の促進に向けた国、沖縄県及び関係市町村間の総合調整等の機能を果たす調整機関を新たに設置する。

(2)共通措置  調整機関の設置に加え、駐留軍用地跡地全体に共通する跡地利用の促進のための施策として次の措置をとる。

[1] 「調査・測量」の早期実施への対応
 駐留軍用地の返還後の跡地利用事業を早期に立ち上げるため、極力早期に返還合意が得られるよう最大限に努力するとともに、「調査・測量」の実施に関してのあっせんの申請があった場合は、個別の事案に即しつつ、最大限の配慮を払う。
[2] 「国有財産の活用」の措置
 駐留軍用地跡地内の国有財産について、沖縄振興開発計画に基づき公共の用に供する施設に関する事業を実施するため必要があると認められるときは、国有財産を関係地方公共団体等に対して、無償または時価より低い価額で譲渡し、又は貸し付けることが出来るよう対処する。
[3] 「返還実施計画に定める事項」の明示
 返還合意後速やかに策定する「返還実施計画」において、国が行う汚染物質の調査及び除去、不発弾の調査及び除去並びに建物その他の工作物の撤去を定めるべく、予め政令上「返還実施計画に定める事項」として明示する。

(3)大規模駐留軍用地跡地の利用の促進に関する特例措置
 必要となる再開発に相当の困難が予想される大規模な駐留軍用地の跡地(以下、「大規模駐留軍用地跡地」という。)にあっては、上記による努力だけでは対処できないものと考えられることから、再開発事業を迅速かつ的確に推進するため、次の措置を講ずることとする。

[1] 国の取組にかかる方針の策定
 大規模駐留軍用地跡地にあっては、困難の多い再開発事業を迅速かつ的確に推進するうえで国の積極的関与が特に不可欠であるとの認識のもと、新たな根拠法令に基づき、行財政上の措置を含めた国の取組に関する具体的方針を定めることとする。
[2] 事業執行主体にかかる業務の特例等
 迅速かつ的確に跡地再開発を推進するため、跡地利用計画を踏まえて沖縄県と協議し、大規模駐留軍用地跡地にかかる跡地整備事業等を担当する事業実施主体を早急に明確にし、併せて事業の迅速化及び円滑化のための業務の特例、人材や事業資金などの資源の優先配分、資金ソースの工夫等の措置を講じることが出来るよう制度を整備する。

(4)給付金支給にかかる特例措置
 給付金支給に関して、駐留軍用地跡地の性格等を踏まえ、次のとおり特例措置を認めることとする。

[1] 大規模駐留軍用地跡地にかかる特例措置
 大規模駐留軍用地跡地については、その再開発事業の困難性等に鑑み、給付金の支給期間現行三年を特例措置として延長する。
[2] その他の特例
 上記大規模駐留軍用地跡地以外の駐留軍用地跡地において、物件撤去等に通常予想される以上の期間を要する場合にあっては、その範囲のなかで、給付金支給にかかる特例措置を認める。

2.法制の整備
 跡地利用の促進及び円滑化にかかる上記1の(3)及び(4)の措置については、新たな法制の整備により対応することとし、所要の法案が極力早期に提出されるよう準備を進める。

3.駐留軍従業員の雇用の安定の確保
 米軍施設・区域の整理・統合・縮小の推進により影響を受ける駐留軍従業員の雇用対策については、出来る限り移設先又は既存施設への配置転換により雇用の機会を図ることを基本としつつ、雇用の安定的確保に向けて知識技能の習得のための職業訓練対策の強化を図るなど、米軍及び沖縄県とも連携を図りつつ、雇用の安定の確保に最大限の努力を行う。