第38回沖縄振興開発審議会総合部会議事録
議事次第
○日時: 平成11年12月2日(木) 14:00~15:30
○場所:総理府5階特別会議室
1 開会
2 議事
(1) 情報通信産業振興地域の指定について
(2) 観光振興地域の指定について
(3) その他
3 閉会
配布資料
資料1 「情報通信産業振興地域の指定について(諮問)」資料2 「情報通信産業振興地域関係資料」
資料3 「観光振興地域の指定について(諮問)」
資料4 「観光振興地域関係資料」
沖縄振興開発審議会総合部会委員名簿
○総合部会長財団法人沖縄協会理事 亀谷 禮次
○総合部会委員(五十音順)
琉球大学教授 大城 常夫
沖縄県経済農業協同組合連合会代表理事会長 儀間 義勝
法政大学総長・理事長 清成 忠男
沖縄県工業連合会会長 金城 名輝
出席者
○総合部会委員亀谷部会長、大城委員、儀間委員、清成委員、金城委員
○事務局
玉城総務局長、竹林企画課長、福本調査官
議事
○竹林企画課長 それでは、ただいまから第38回沖縄振興開発審議会総合部会を開催させていただきます。亀谷部会長よろしくお願いいたします。
○亀谷部会長 本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の会議では、沖縄振興開発特別措置法第18条の2第1項の規定に基づく情報通信産業振興地域及び同法第18条の5第1項の規定に基づく観光振興地域の指定申請につきまして、調査審議をしていただくことになっております。
それでは、議事に入ります前に、玉城総務局長からごあいさつをいただきたいと存じます。
○玉城総務局長 総務局長の玉城でございます。お忙しい中、このようにお集まりいただきましてありがとうございます。
今、部会長からお話がございましたように、本日は情報通信産業振興地域と観光振興地域につきまして、その地域指定につきまして御審議をお願いするわけでございますが、沖振法の規定に基づきまして地域指定の原案は沖縄県知事が出すということで、先月の12日に稲嶺知事から青木沖縄開発庁長官に対しまして両地域につきましてそれぞれ指定の申請がございました。今、委員の先生方のところに回しているのがそれでございます。その要約版はそれぞれお手元にお配りしておりますが、沖縄の戦略産業といいますか、競争力の相対的に高い情報産業、それから観光という両部門につきまして地域指定をいたしまして、更にその振興を図るということで作業を進めてまいりました。これにつきましては、審議会総会の方でも部会の方で検討していただいて、その結果について御報告をいただくということになっておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
併せまして、関係省庁とも今、鋭意協議を進めておりまして、両者相整いましたら再来週の14日に総会がございますので、そちらでお諮りをして決定をみますと大臣への答申、これを受けまして年内には官報への公示を含めまして指定を完了させたいと、そのような手順を考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○亀谷部会長 どうもありがとうございました。
それでは、次に事務局の方から本日の配布資料の確認をお願いいたします。
○竹林企画課長 お手元に資料を4種類用意させていただいております。それぞれナンバーを振っておりますが、資料1は、情報通信産業振興地域の指定につきまして、沖縄開発庁長官から審議会会長への地域指定についての諮問文と、その後ろには県知事から開発庁長官へ申請がありました鏡文だけを付けております。情報通信産業振興地域につきましては、23市町村の指定の申請を受けております。
次に、資料2は情報通信産業地域関係の資料で、制度の概要と地域指定の考え方、市町村別のいろいろなデータを基に整理している関係資料です。後ほど担当官から説明を申し上げます。
次に、資料3は、観光振興地域の指定につきまして、開発庁長官から審議会会長への諮問文及び県知事から開発庁長官への地域指定の申請の鏡です。観光振興地域につきましては8か所の指定が申請されております。
次に資料4ですが、先ほどの情報と同様に観光振興地域につきましての制度の概要、地域指定をする場合の考え方の基準、それから今回8か所の場所がありますが、それぞれこの要件等にどのように該当しているかということで、8か所のそれぞれの個票を用意させていただいております。
それから、参考資料を用意させていただいております。参考1は、昨年6月30日の第36回審議会総会議事録の抜粋ですけれども、この総会におきましてこの地域指定につきましては審議会運営規則の3条2項に基づきまして、総合部会の方に地域指定の調査審議を付託するという形で御了解をいただいております。これに基づきまして、大臣から審議会への諮問に対しましての審議を、本日、総合部会としてやっていただくというものです。
それから、参考資料2は参照条文です。先ほど申しましたように、審議会運営規則の3条2項の規定に基づいて今日の審議をしていただくという根拠条文です。
それから、一番最後に参考3としまして、審議会の委員名簿を添えさせていただいておりますが、役所の方も大体夏場で事務次官の異動がありますし、また那覇市議会議長が先般交替になりましたので、10月15日付で委員の異動につきまして総理大臣の任命がなされ、最新版の名簿ができたということで、本日御参考までに配らせていただいております。資料は以上です。
○亀谷部会長 ありがとうございました。それでは、本日の議題であります情報通信産業振興地域及び観光振興地域の指定についての調査審議に入りたいと存じます。先ほど総務局長のごあいさつにもありましたように、本件につきましては昨年6月30日の当審議会の総会におきまして、情報通信産業振興地域及び観光振興地域の指定に向けての準備状況に応じ、同指定につきまして知事から申請が出されました場合は、機動的に審議会において調査審議をいたしまして円滑に諸準備が進められますよう、当審議会運営規則第3条第2項に基づきまして、情報通信産業振興地域及び観光振興地域の指定に関する審議会の調査審議は総合部会に付託をすることとされております。去る11月12日、稲嶺沖縄県知事から沖縄振興開発特別措置法第18条の2第1項の規定に基づく情報通信産業振興地域及び同法第18条の5第1項の規定に基づく観光振興地域の指定申請が青木沖縄開発庁長官に提出され、同月16日に長官から諮問がありましたので、本日、総合部会を開催することといたした次第であります。
まず、情報通信産業振興地域の指定に関します沖縄開発庁長官の諮問の内容につきまして事務局から御説明をいただき、併せて国の対応状況について御説明をいただきたいと存じます。それでは、福本調査官お願いいたします。
○福本調査官 それでは、私から資料に沿いまして御説明させていただきます。
まず、資料1をご覧ください。情報通信産業振興地域の指定についての諮問文です。最初に、諮問文を朗読させていただきます。
「 情報通信産業振興地域の指定について
標記について、平成11年11月12日企マ第816号による沖縄県知事の申請に基づき下記のとおり指定したいので、沖縄振興開発特別措置法第18条の2第1項の規定に基づき貴審議会の意見を求める。」
こういうものです。記の内容といたしましては、那覇市地域を始め全部で23の地域を列挙しています。この23地域について、情報通信産業振興地域として指定をすることについての意見を求めているものが今回の諮問の内容です。
なお、この23地域につきましては、その次に沖縄県知事から提出されております申請の文書、鏡があります。こちらの申請どおりに23地域を指定したいとするものです。
それでは、この具体的な内容につきまして資料2を用いまして御説明させていただきます。1ページ目は「情報通信産業振興地域制度の概要」です。上の方にあります四角の中に制度の概要と申しますか、どのようなものを情報通信産業振興地域とするかというものを書いています。これは沖振法の言葉を引いているわけですが、情報通信産業の振興を図るため必要とされる政令で定める要件を備えている地域というふうになっていまして、その要件は政令で定めているわけですが、まず1点目が地域としての一体性、2番目といたしましては情報通信産業が供給するサービス、製品の需要の見込み、一定のマーケットが存在することという要件です。それから3番目といたしまして、情報通信産業に関連する大学、研究施設等の存在というものでして、平たく申しますと情報通信産業にかかわる人材を供給できるような大学等が存在すること、更に言うならば研究施設などにおきましてはそれとの連携が図られること、そういったものを要素として考えているものという3要件が政令で定める要件となっています。
ここで言う情報通信産業とは何かということをその次に書いていますが、具体的にはAからFまでの産業となっております。一般には情報通信産業というのは非常に広い概念ですけれども、この情報通信産業振興地域という制度の中では情報通信産業とはAからFまでに限定することとなっています。
まず1番目の情報記録物の製造業というもの、これは各種のCD-ROMであるとか、いろいろな情報記録物が今出ていますけれども、もともとありますような新聞書籍等の印刷物、そういったオールドメディアと申しましょうか、そういったメディア以外の記録物をつくる業を含めております。
それから2番目といたしまして、電気通信業、NTTを始め電気通信のサービスを行う業です。
それから3番目が、映画であるとかテレビであるとか、そういったビデオ等を制作する事業というものです。
4番目はそういったふうにできたもの、あるいは自らつくるものを含めまして放送する業ということで放送業。
5番目といたしまして情報通信に不可欠なソフトウェアを製造するといいますか、つくる業ということでソフトウエア業。
更には6番目といたしまして情報を処理し、あるいは提供するサービスということで情報処理・提供サービス業となっております。
以上、6つの業を情報通信産業としてここでは観念することとしております。
今回の制度手続面を申し上げますと、まず沖縄県知事が関係市町村長の意見を聴取いたしまして、それを踏まえまして申請することとなっています。これを受けました沖縄開発庁長官におきましては、本日お願いしておりますように沖縄振興開発審議会の議を経るとともに関係行政機関の長に協議することとなっています。それを踏まえて指定するということです。
なお、関係行政機関の長への協議につきましては、まだ物理的に了解するといいますか、異議がないという旨の文書は届いていないところもありますけれども、ほぼ完了しているという状況です。
このようにしまして情報通信産業振興地域が指定されました場合の効果ですが、各種の優遇措置が講じられています。まず税制上の優遇措置ですが、この地域におきまして情報通信産業を営む者が各種の投資を行った場合、情報通信産業に用います機械・装置でありますと15%、建物等でありますと8%、その額を税額控除という形で税制の優遇措置が受けられるというものがまず1点目です。
それから、地元の地方公共団体におきまして事業税、不動産取得税、固定資産税につきましてこれを免除する、あるいは軽減するという措置をとることができます。それを行った際に、地方交付税で減収を補てんするという措置をとることができるということになっております。したがいまして、地方自治体の方ではそのような課税免除あるいは税の軽減がしやすくなるというものです。更には特別土地保有税の非課税、事業所税の非課税等がその他の優遇措置として定められているところです。
また、税制以外の面につきましては、いわゆる財投の関係ですけれども、沖縄振興開発金融公庫の融資制度が、現在のところで言いますと0.2ポイント、一般の融資よりも低い金利になっているというふうに資金の確保等についての優遇措置があります。更には、国等におきましては公共施設の整備をこの地域においては配慮しなければならないということになっています。以上が、制度の概要です。
次に資料2ですが、行政の透明性の確保等を考慮いたしまして、指定に当たりましての明確な基準をお示しして、実際の指定に当たることが適当ではなかろうかと私ども判断いたしまして、その基準案をここにお示ししています。頭の部分に案と書いてありますように、今日の先生方からの御意見を踏まえまして、これを沖縄開発庁長官決定として定め、これを公開し、今後の追加的な申請指定等にもつなげていきたいということです。
この指定についての基準案につきましては、記のところの1から4までで、先ほどの要件として御説明いたしました部分をブレークダウンし、あるいはより具体的な基準ということで示しております。各項ごとに順次説明してまいりたいと思います。
まず記の1です。先ほどの政令の要件で申しますと、地域としての一体性というものに係るものです。情報通信産業ということの特性からいたしますと、時間的制約でありますとか、距離的制約でありますとか、そういったものを克服するというようなことがありますけれども、一方でこの情報通信産業の産業の立地という観点からいたしますと、地域としてどのくらいの広がりの中でこれを考えていくかということが出てまいります。そこで、商圏でありますとか通勤圏、生活圏、そういった経済的社会的な条件をまず踏まえまして、その情報通信産業の立地の促進、集積を図っていくことが適当だという地域を考えてまいりたいということですが、先ほど申しましたような情報通信産業の特性からいたしますと、必ずしも地域を限定するということになじまない部分もありますので、一般的な極めて基礎的な単位である市町村というものを地域指定の単位とすることを原則としたいと考えています。
2番目ですが、これは先ほどの要件でありますマーケットの存在と申しますか、情報通信産業のサービス、製品の需要の見込みです。ここでマーケットの存在を図るものといたしまして、指標といたしましてはいろいろなものが考えられるわけです。人口でありますとか、工業出荷額でありますとか、商業の売上げ高でありますとか、種々考えられますけれども、情報通信産業というものは極めて幅広い分野に波及する製品、サービスを提供しているわけですので、最もベーシックな指標というものを採用し、かつ沖縄における情報通信産業の集積を促進するという観点からするならば、そのハードルも相当に厳しいものではなくて、ある程度多くの市町村がその恩恵を受けられるような仕組みがよろしいのではなかろうかということで基準をつくったところでして、具体的には人口という部分で1万人以上、事業所につきましては500事業所以上という水準に、そのマーケットの存在の指標として採用したところです。
この1万人、500という数字の根拠ですけれども、沖縄県には53の市町村がありますが、その市部につきましてはいわば産業の中心となるべき存在ということを除きましてそれ以外の町村、43町村につきましてその平均的な人口、事業所数の水準を考慮いたしまして、この1万人、500事業所という水準を設定したところです。
次の要件ですが、大学、研究施設等の存在というものです。まさに大学、研究施設等が存在すればいいということですが、問題は大学等でどのような教育がなされているか、あるいはどのような研究がなされているかということかと思います。そこで、一般的には情報通信と申しますと技術系のイメージが強いわけですけれども、実際には各種の著作権の処理でありますとか、いろいろないわゆる文系の関係する領域というのがあります。また、実際の商学部等におきましても情報を活用した各種の講座などもあるわけです。そういう意味で従来の技術系といいますか、理工系に限られない幅広い分野でこの情報通信産業に関連する学部、学科というものをとらえたいと考えております。
4番目は政令上の要件ではありませんけれども、沖縄という地域の特性を考えましたときに、やはり自然環境の保全というのは極めて重要な要素であろうということで、いわば理念的にこの項目を置いているということで、自然環境の保全に十分な配慮がなされていることという一項を加えてあります。これは政令上の要件ではありませんけれども、沖振法の精神から導かれるものと理解しております。
以上のような指定の基準を踏まえまして、今回申請がありました23市町村についてその基準への適合性を整理したものが次の資料2-3です。まず、左端の方に「市町村名」があります。それぞれ市町村単位で今回出されていますので、地域の一体施設はそれだけを持って了としたいということです。それから「製品・サービスの需要」ということで「人口」「事業所数」をそれぞれ表にしていますが、いずれにつきましても先ほどの1万人、500事業所という基準をクリアしたものとなっております。更には大学、研究施設等の存在ということで、研究施設が少ないものですから「大学、高校等」という欄にしてありますけれども、ご覧のように大学、高校あるいは専門学校、研究施設がそれぞれ当該市町村ないしは隣接の市町村に存在するというふうになっていまして、いずれもこれをクリアしているということです。
では、沖縄の残る30市町村についてはどうなのかということについて整理したものが、次のページの参考です。全53市町村につきまして人口、事業所数等を整理しております。合わせまして大学、研究施設の存在というのがありますけれども、残る30の町村につきましては人口、事業所数という、そのマーケットの存在の部分につきましてこの基準をクリアできていないということです。そういうこともありまして、今回は申請を見送るということです。
その次の資料2-4ですが、指定する市町村の分布状況です。網掛けをしておりますところが今回指定したいと思っている市町村でして、やはり北部の一部が外れ、離島も中心となる市に限られるというような状況になっています。
以下の資料は参照条文ですので、説明を省かせていただきます。私からの説明は以上です。
○亀谷部会長 どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、何か御質問御意見がございましたらお願いいたしたいと存じます。
先ほど御説明があった資料2-2ですが、この基準の案というのはこの部会に御説明になって、この基準案についても意見を言えということなんですか。
○竹林企画課長 基準案について御参考的な御意見を聞かせていただきたいと思います。審議会に対する諮問は、23市町村の地域指定が適当かどうかということですが、その前提となる考え方ということで、御参考までに御意見があれば伺っておきたいと思っています。
○亀谷部会長 今は一応案ということになっているということですか。そこはなかなか微妙ですね。
○竹林企画課長 決めるのは行政サイドで決めさせていただきます。
○玉城総務局長 こういう考え方で提示をいたします。ただ、どうしてもおかしいという御指摘がございましたら、また修正させていただきます。
○儀間委員 今の事業所の基準ですが、最低どういうところが事業所ですよという条件というか、基準みたいなものは何ですか。
○福本調査官 ここで言う事業所は、総務庁の方で5年ごとに行っている事業所統計というのがありまして、そこでいう事業所ということです。ですから、官公署を含めあらゆるものが一つの事業の遂行の単位となっている場合にはそれぞれ1として数えられるということです。そういう意味では、そういったものまで含まれる事業所数ということでやっておりますから、実はハードルは低くなっているということかと思います。
○大城委員 先ほど沖振法の推進ということで基準の4についてですが、これは何か制約条件になりそうな想定がありますでしょうか。
○福本調査官 情報通信産業について申し上げますならば、これが決め手となって指定できなくなるということは恐らくないだろうと思っております。
と申しますのも、一般的に情報通信産業、通常のオフィスビル、若干インテリジェント化していることが望ましいかと思いますけれども、そういうところに入居して普通のビジネスを遂行するというようなことが通例ですので、自然環境の直接的な破壊につながるような開発行為ということは想定しにくいかと思っております。
ただ、例えば電気通信業の中でアンテナをつくる際に信じられないところにつくるということは、それは別のところで多分チェックはかかるかと思うんですけれども、その辺りも含めまして、とにかく念のために置いておきたいというものです。
なお、これは観光の方にも置いておりまして、観光の方はむしろこの項目というのが影響してくる場合があろうかと思っています。
○清成委員 資料2-3の「製品・サービスの需要」というところで「人口」と「事業所」が挙がっているわけですが、需要という場合、県外の需要の方が大きいのではないですか。だから、これは余り意味があるとは思えないんですけれども。
○福本調査官 まさにおっしゃるとおりの部分がありまして、私どももそもそもこの製品・サービスの需要があることということであれば、先ほど申しました空間的、時間的な制約を克服する情報通信産業という観点からしますと、ほとんど全世界をマーケットとして考えていいのではないかということも十分考えましたが、一方で政令上の要件として、人口及び産業集積の状況という書き方でありまして、それをマーケットとしてとらえるということでありますけれども、ある程度産業の集積がないと情報通信産業というのはなかなか進出する企業の行動パターンなどからしましても難しい部分もあるのかなということも合わせ考えまして、最低限の部分ということでその人口、事業者数というものを採用して、その具体的な水準もできる限り低いと申しますか、関係の向きの理解も得られるような水準でということで設定したということです。
○亀谷部会長 沖縄の町村というのはまだ合併が十分進んでいませんし、殊に中南部の方はかなり人口規模の小さな市町村が密接しているわけですから、これは地域指定だから私はそれ以上の方法はないと思いますが、極端に言えば隣りの町とこちらの村で違うのかと言われてもという気はしないでもありませんが、やはりベーシックには町村単位でしょうからこういうことになるかと思います。清成先生のおっしゃったとおりで、需要は外ですから。
○金城委員 その基準に基づいて、基準をクリアした市町村は自動的に指定したということですか、市町村からの申出によるものですか。どちらですか。観光振興地域というのは申出ですね。
○福本調査官 こちらも県の方におきまして関係市町村でヒアリングをしまして手を挙げたところを選定し、調整して申請があったものです。
○金城委員 そうすると、手を挙げてもその基準に満たないのは一応今回は指定していないということですか。
○福本調査官 今回はそうした基準をクリアしたものでやっておりまして、それ以外のところは申請を見送ったということです。
○玉城総務局長 むしろクリアしたところに県の方で市町村に確認をして、イエスと言ったら上げてくるということだと思います。
○金城委員 クリアしたところに聞いてということですね。
○玉城総務局長 法律上も市町村の意見を聴取することになっていますので、それは当然やって、確かに情報通信産業は清成先生がおっしゃいましたように、どこにつくってもできるはずですが、どこかで線引きをやりませんと沖縄全域でもいいということになってしまいまして、地域指定そもそもの根幹がわからなくなってしまうということもありますので、そういう基準でやらざるを得なかった次第です。
○亀谷部会長 よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○亀谷部会長 それでは引き続きまして次に移らせていただきますが、観光振興地域の指定に関します沖縄開発庁長官からの諮問の内容につきまして、事務局から御説明をいただき、併せて国の対応状況につき御説明をいただきたいと存じます。それでは、福本さんお願いいたします。○福本調査官 それでは、資料3をお開きください。まず、この諮問文を先ほど同様読み上げさせていただきます。
「 観光振興地域の指定について
標記について、平成11年11月12日付商観第1047号による沖縄県知事の申請に基づき下記のとおり指定したいので、沖縄振興開発特別措置法第18条の5第1項の規定に基づき貴審議会の意見を求める。」
こういうものです。下記の内容ですが、海洋博公園地域、カヌチャ地域、ブセナ地域、北谷西海岸地域、前川地域、トゥリバー地域、宮古島南岸リゾート地域、川平地域、この8地域についてそのそれぞれの区域を示しまして指定したいというものです。
なお、この8地域につきましてはその次のページですが、文言に若干違いはありますけれども、沖縄県知事からの申請のとおり8地域を指定しようとするものです。それでは、その具体的な内容について資料4に基づきまして御説明させていただきます。
まず資料4-1ですが、「観光振興地域制度の概要」です。観光振興地域につきましては「観光の振興を図るため観光関連施設の整備を特に促進することが必要とされる政令で定める用件を備えている地域」とされております。
その政令で定める用件ですが、まず1枚目は観光資源の存在というものです。2番目が地域としての一体性、3番目が土地の確保の容易性です。4番目が観光関連施設の整備の見込みが確実であることということです。ここでいう観光関連施設ですが、ここは広く観光の対象となり得る、あるいは観光客が利用する施設を幅広く含んだものでして、スポーツ・レクリエーション施設、教養文化施設、休養施設、集会施設、販売施設、宿泊施設等となっています。
具体的な手続関係につきましては、情報通信産業振興地域と同じです。県知事が関係市町村長から意見を聴取した上で申請し、沖縄開発庁長官は沖縄振興開発審議会の議を経るとともに関係行政機関の長に協議する。その上で指定するものです。
なお、この観光振興地域制度につきましても関係行政機関の長への協議は物理的にまだ整っていないところはありますけれども、関係のところからは異議がない、異存がないということで連絡等は入っております。
観光振興地域に指定された際の効果ですが、優遇措置といたしましては、先ほどの情報通信産業振興地域と同様です。なお、説明すべき点といたしましては、税制等の優遇措置の対象が特定民間観光関連施設となっていまして、先ほどの観光関連施設とその範囲が異なっております。
まず1点目には民間という言葉が入っていますように、民間事業者の持つ施設が、税制等の優遇の対象となるということです。それから2点目としましては、宿泊施設が除かれているということを始めとしまして、例えばスポーツ・レクリエーション施設でありましても具体的に対象となる部分については租税特別措置法、あるいはそれに基づく政令、大蔵省令の中で限定列記されているということで、その範囲に違いがあるということです。
次に資料4-2ですが、観光振興地域につきましても先ほどの情報通信産業振興地域と同様に、その指定の基準をこのような形で考えているということです。各項ごとに御説明いたします。
まず1は、観光資源が存在することということです。政令上は優れた自然の風景地、文化財等、これを観光資源としております。ただ、具体的にはそれが何かということがわかりませんので、風景地につきましては(1)にありますようにアからオまで、文化財保護法で言うところの史跡名所、特別史跡名所等、あるいは自然公園法に基づく自然公園、あるいは都市公園法に基づく都市公園、そのほか一般に社会通念上これらと同等と認められるような海浜であるとか湖沼等の風景地ということでありまして、その証を例示しておりますように、市販の複数の観光案内等で以上申し上げたようなものと同じような取扱いで紹介しているものは、この風景地と言っていいのではなかろうかということで、幅広く風景地を定めております。
次に文化財です。これは、文化財保護法に定めております文化財をすべて入れる形でつくっています。ただ、観光資源ということですので、やはり終年にわたり公開されているものという要件を課しているところです。
以上の風景地、文化財だけでは実際の観光の内容ともそぐわない部分があります。一般に観光客が多数利用するような施設としてはほかにもあるわけでして、スポーツまたはレクリエーション施設、教養文化施設、その他がありますので、そういったその他の施設等につきましては、多数の観光客が利用するものであればという限定を付けまして、そこに例示していますような各種の施設を観光資源としてここに含めたいということで、これによりまして一般的に観光客は観光の目的で立ち寄るようなものについては、ほぼすべてを網羅していると思っております。
2番目の要件ですが、自然的社会的条件からみて一体として観光関連施設の整備を図ることが相当と認められる地域であるということで、地域としての一体性と言われているものですが、ここではなお書きで書いていますように指定の単位を字単位とすることを原則としたいと考えておりまして、併せて必要最小限の範囲で指定を行うということにしています。この点について申し上げますと、まず先ほどの情報通信産業振興地域は市町村単位であることとの整合性と申しますか、その相違が問題になりますが、実はこの観光振興地域制度と申しますのは法体系は異にいたしますけれども、いわゆるリゾート法の上乗せと申しますか、深掘りしたような制度と理解することができようかと思うんですが、リゾート法の場合には具体的な総合整備地区の指定を字単位で行っております。税の優遇措置という観点から、その均衡ということがどうしても制度上必要となってまいりますので、この制度におきましても字ということを原則の指定単位としたいということです。そのほか、字単位とすることについては各地の土地規制との関係で市町村全体をかけることが果たしてよろしいのかどうかというようなことなども考慮して字単位というふうにしたものです。
それから、自然的条件ということで申しますと、連接する地域でその中を観光客等が容易に移動できるというようなことで、地域としての広がりをみていきたいというのが自然的条件のア、イです。
それから、社会的条件です。先ほどリゾート法との関係を申し上げましたが、まずイにおきましてリゾート法の重点整備地区に相当程度含まれているということ。それから、各種の手続との関係でリゾート法の重点整備地区にはなっていないけれども、それに類似するようなものということでウのように所要の手続を経たならばその設定が確実と認められるというようなこと。そういうようなリゾート法との関係での条件をまず設定しております。
ただ、それ以外にも実は沖縄の経済ということを考えますと、地域経済を観光に依存する部分というのは相当にあるわけですので、他の産業が十分に発展していないため、地域経済の発展、雇用機会の増加等を観光に依存する環境にあるという一般的な条項を入れましてこの社会的条件としたいということにしております。
それから、3番目の観光関連施設の用に供する土地の確保が容易であることということですが、これにつきましてはまさに自然の状況でありますとか土地の利用状況、更には法令による土地利用に関する規制、そういった状況を総合的に判断して、土地の確保が容易であるかどうかを判断することとしたいと思っております。
4番目の要件ですが、相当数の観光関連施設の整備の確実性というものです。これにつきましては、相当数の観光関連施設が現に整備されつつあり、あるいは今後整備される見込みが確実であるということを要件としていまして、その今後整備される見込みが確実という部分の判断基準といたしましては、なお書きの(1)、(2)にありますように、具体的な計画がまず存在して、その施設整備に関する意思表明が事業主体からなされているということ。あるいは、その施設整備に関しましては各種の土地利用規制をクリアしたりとかというような各種の手続がありますが、そういった手続が現に行われているようなこと。そういったことから、その判断をしたいということです。
以上が政令上の要件ですが、5、6、7で、それ以外にやはりこの制度の趣旨などから考えまして、もっと考慮すべき事項があるだろうということで入れたものです。
まず5は沖縄県における観光の拠点としてふさわしいものであることというものです。やはり多数の観光関連施設が集積し、また多様な事業主体が進出して観光関連施設の整備が促進されるというようなこと。その他のことも相まって、ひいては沖縄の経済発展に寄与するのは確実と、やはり観光というのは沖縄県のリーディング産業であるわけですので、せっかくの制度ですから観光の拠点としてふさわしい部分に重点的にその恩典を及ぼして、併せて公共事業等の重点的な投資ということが21世紀プラン中間報告に載せられているわけで、そういった観光振興地域をてことした重点的整備という観点からこの項目を置いたものです。
6番目につきましては、先ほど情報通信産業振興地域にもありましたが、特に観光につきましては自然環境が沖縄観光の重要な要素ですので、その自然環境の保全に十分な配慮がなされているということを一項入れております。
7番目につきましては、今後の観光関連施設整備と申しますか、こういった観光産業の振興という際には、従来の農林水産業が現実に行われている地域での開発というようなことが十分想定されるわけでして、基礎的な産業であります農林水産業との調和というのがやはり重要であろうということでこういった条項を入れております。また、いわゆる農振法等との整合性ということも必要だろうと思われますので、基準としたところです。
次に資料の4-3ですが、申請のありました8地域について、ただいまの基準に合致しているかどうかということを検証する個票です。全部を説明している時間もないかと思いますので、代表選手として最初の海洋博公園地域だけを御説明したいと思います。
観光資源の存在ということですと、風景地として国営沖縄記念公園を始めとする見所があるというようなことです。
そして、地域との一体性ということで申しますと、今回申請にかかる地域は4つの連接する字で構成されていまして、その域内も道路整備が十分行われておりまして、移動も容易というようなことです。そして、リゾート法による重点整備地区の中にこの地域がありまして、社会的条件も満たしているということです。
用地確保の容易性につきましては県有地、民有地がほぼ半々の割合で事業予定地を構成されております。現在、県や地権者との調整が進められているというような状況にあります。
観光に関連して整備の画一性ということで申しますと、現に整備されつつある施設としまして水族館がありますし、カリビアンテーマパークという形でホテル等を始めとする観光関連施設が整備される見込みとなっています。
それから拠点への発展性という点で申しますと、既に沖縄県の観光拠点と言えるような地域となっておりますが、今後は水族館のほか大型ホテル等、観光リゾートメニューが更に充実が図られるだろうと思われまして、将来の北部観光における滞在型の観光拠点として更なる発展が確実だろうと理解しています。
なお、自然環境への配慮等につきましては、先ほどご覧いただきました別添資料の中にこのような形で配慮するということを書いていまして問題ないというふうに思っております。また、事前に環境庁との調整なども行っており、その辺りはクリアされているということです。
そのように、他の7地区についてもいずれも基準をクリアしているということでして、今回8地域を申請どおりに指定したいというものです。
最後に、資料4-4といたしまして今回の8地域がどこに位置し、リゾート法との関係ではどうなっているのかということをマッピングしたものです。本島に5つ、宮古及び石垣に3ということで合わせて8地域というものです。
参考条文等は資料4-5ですが、説明は省略させていただきます。私からは以上です。
○亀谷部会長 どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問御意見がありましたらお願いをいたしたいと思います。
玉城局長は党の政調に呼ばれたようですので一時中座しますが、お含みおきいただきたいと思います。
○金城委員 特定民間観光関連施設ということで宿泊施設は除かれるということですが、除いた理由は何でしょうか。
○福本調査官 その辺りは地元との調整、それから与党における税調での審議、更には税務当局との調整の過程で、宿泊施設までは入れることができなかったということです。
○金城委員 観光関連施設を促進するならばその方がメインになるべきで、例えば既設のホテルとの平等性とか、そういうのは何かあったんですか。例えば、観光関連施設よりもホテルの方が投資も高いし、それがメインなので、その立地を促進するというのならば、そのホテルに関するいろいろな税制の特典があるということが一つの大きな要因だと思うんですけれども、その他のものが除かれるというのは何か特別な理由があったのかなということですが、いかがでしょうか。
○竹林企画課長 リゾート法が先ほど言うように先行しており、リゾート法も外れています。純粋民間の部分でまさにやっているので、やはり税の恩典を与えるのもその中でより公的に近いレベルのものということだと思います。我々自身も今年の7月からの任期なものですから、その法制定のプロセスの過程を細かく前任者から引き継いでいるわけではありませんが、私が前任から聞いているところでは、当初は税制要望等でもそういう話もあったんですが、リゾート法の前例もやっていないのに何で沖縄だけという議論があって、結果的には地元からもその要望は落ちたというふうにも聞いています。
○大城委員 先ほど触れておりました21世紀プランですね。それからそのほかのもの、県が出した北部振興でもそうなんですが、この観光リーディングインダストリーとか、非常に自立の産業、あるいは企業面の柱として位置づけてはいるわけですね。
だけど、それを実際に振興する場合の優遇措置については、今おっしゃるような非常に限定されたというのは今、金城委員がおっしゃったメインのホテルが除かれていると。前にこれは大蔵とかいろいろな関係で、沖縄の観光は少し放っておいても伸びるんじゃないかという見方もあるようなんですけれども、しかしやはり産業の面から言うと今、市場競争の中で余り助成措置もなくて伸びているのは観光だけで、あと一押しすれば沖縄で本当にもう少し裾野の広がったものができるんじゃないかと思うんです。
そういった意味で、考え方からすれば、例えば地域指定でも全県で指定していただいた方がいいのかなと思いますし、今かなり限定された指定で、もちろん後で広げる余地もありますから多くは言いませんけれども、既存の要するに観光地が指定されて、それも非常に限定されていて、例えば恩納でもブセナであの一帯ではないんですね。それから、北部でも今帰仁がまだ施設としてはそんなにないけれども可能性としては非常に大きなところなんだろうと思いますが、そこが入っていない。それは次期のチャンスかもしれませんけれども、そういった大所高所から議論していることと、実際の優遇措置との間に非常に差があるような感じがして、それはおっしゃるような政治的ないろいろなやりとりがあるんだろうとは思うんですけれども。
○竹林企画課長 若干補足的に言わせていただきますと、今回地域指定はあるんですけれども、それ以外にも既に自由貿易地域あるいは工業等開発地区、それから特別自由貿易地域は今年3月に指定していただきましたけれども、それ以外に中小企業関係でも税制上の指定業種とか、特定業種とか、いろいろな制度の枠組みはあるんですが、主にこれは税制措置なんですね。では、これまでの実績はどんなものがありましたかというと、沖振法ではまだ実績はないんです。
○金城委員 ホテル関係のものも。
○竹林企画課長 ホテルではなくて、ほかの案件も含めてです。しかも、先ほど言った観光の部分も、これは要するに企業立地というか、産業の振興のために税制とかでインセンティブを与えますから張り付いてくださいという話ですので、今回もある意味ではその実績が出そうなところからまず指定していこうということで、今回8か所の指定を県の方からいただいたという形でして、今後もまだほかにも、これも県の方が各市町村から聞いて地元の方では手を挙げているところがもう少し多かったんです。
けれども今言ったように実績見込みがどうだろうかとか、そういう話をしていく中で落ちているところも数か所ありまして、そういうところは今後また実際の具体的な計画とか、実際に企業が張り付くとか、そういう見込みが立った段階で、更に検討しようということにしています。そういう面で逆に言うと先ほど福本調査官が申しましたように、指定の考え方を私どもはオープンにしたいと思っているんです。政令要件だけですと非常に抽象文言ですのでわかりにくいのでこういう形でオープンにして、これを見ていただいて、各市町村なり各地元の観光地の方々もご覧いただいて、自分のところはこれに該当しそうだということであれば申請を出してきていただくというような形で、そこの確実性が見込めればまた審議会の方にも御苦労をいただくわけでございますが、こういう形の審議会の部会なり総会を開かせていただいて追加の地域指定をやっていこうということで考えております。
昨年4月に制度ができまして、今回の申請までの間いろいろなことがありましたけれども、まさに初めての地域指定ということで、一体どういう考え方、どういう基準でやった方がいいのかということのために、ある意味では時間もかかってきていたということですので、とりあえずはこれでスタートさせていただいて、ほかにももっと新たな動きが出てくればこういう法律、政令要件の該当性を見ながら追加指定をしていくという形で今回は始めさせていただきたいということです。
○金城委員 21世紀プランでも、観光と情報産業を先導産業にして沖縄の自立化を図ろうというようなことがうたわれていますね。今この指定の場所を見ると、どうも既存の実行が途中までいっている確立した場所だけ指定してあるというふうなことで、セオリーとかそういうものは観光振興という観点からどういうふうな、いわゆる観光振興をやるという具体的な背景というか、考え方ですか、そういうもので裏づけられた指定というふうな感じは全然しないんです。
例えば、観光振興地域指定をして観光産業の立地を促進しようということならば、一つは宿泊施設が入らなければ余り意味がないだろうと思います。関連施設と言っても、宿泊施設がなければ関係施設は何も活用されないわけですから、メインの関連施設がそういう具体的な税制上の恩典を受けなければ、なかなか観光の振興には結び付きにくい。今あるのは今、既に計画しているものがほとんどですね。場所を指定するだけの話なので、沖縄の観光施設というのは点在しているので、もう少し面的な広がりを持たないと将来の観光施設として長持ちしないとか今いろいろ言われていますよね。そういう観点からしても、どうもこういうふうな点で結んでいるというようなものは、観光振興を本当にしようと思っているのかなというふうなことを疑わざるを得ないんです。
それからもう一つ、沖縄地域だけとおっしゃるんですけれども、21世紀プランで沖縄は自立化に向けて振興しようと言っているわけですから、別に沖縄地域だけと言うのならば、あれ自体初めからなくてもいいじゃないかというふうな感じもするんです。ああいう基本的な考えに基づいてこういうことをやるならば、もう少し前進的なものがあってしかるべきで、そしてこの指定の考え方ということがある限り、今後出たとしてもこういうものしかできないだろうというふうに思うんですけれども。
○竹林企画課長 私が、金城委員の言わんとされている趣旨をきちんと理解できているかどうか不安ではあるんですが、そもそも今回のこの観光振興地域の指定というのはトータルとして沖縄の観光の振興に役立つために地域指定をしましょうというのは間違いないんですが、先ほど制度の概要で説明しましたように、この地域指定で一体何がメリットが出てくるんですかというと、立地企業の税制上の恩典を与えますというための地域指定の制度なんです。
○金城委員 ですから、その場合にメインの宿泊施設が抜けているとそういうものは周辺に立地しないんじゃないですかと。
○竹林企画課長 必ずしもそうではないと思うんですけれども。
○大城委員 前よりはそれを設けただけプラスであるとは思うんですけれども、議論としては、例えば沖縄の観光地域を指定して優遇措置をやるということは沖縄のためでもあるんですが、私は高齢化社会で国民保養とか、そういったものを考えれば、もう少し何か積極的にやったらオールジャパン的な意義もそこにあるんだろうと。それをむしろ我々は目指したいと思って、アドバイザリー会議でもきちんと保養の場として政府として認知してくれというお願いを知事に向けてはしているんです。
そうすることによって、これだけ急速に高齢化社会になっていて、欧米ですと、例えば保養とか避寒地とかという形でつくっているけれども、沖縄はまだそれを受け入れる具体的な場所も、そのソフトもないんです。今それを一生懸命、NS協会とか、あるいは自治省のリーディングプロジェクトとか、広域連携とかといういろいろな形で始めて具体的な基礎データをつくる作業をしているものですから、これはリゾートのところは触れていないんですけれども、21世紀プランは後から出てきたからこの指定とはまた別なんでしょうけれども、そこまで踏み込んでやらないと沖縄の自立というふうに言葉で表現しても実際上は、例えば本土の有力資本とか、あるいは外国の有力資本が沖縄に立地するということはなかなかあり得ないんじゃないかと思うんです。
だから、今回はその次に踏み込んでもらいたいと思うんですけれども、そういった印象を持ちますし、特に観光振興地域の場合は沖縄が持っていると評価されているものですから、それを少し後押しして沖縄がそれである程度力を付けて、あるいは国民全体のためにもなるという実績をつくる。それに、例えば優遇税制が少しプラスになるということにならないと、前のFTZとか、あるいはその工業等開発地区とか、制度自体はほかの地域よりも沖縄はそういった形をつくったけれども、利用する企業とかがほとんどゼロに近い状態というのは制度をつくった価値がなくなってくる。それを繰り返したくないというのがあるものですから。
○福本調査官 先ほどの金城委員のお話にもつながってくるんですけれども、今回の両地域制度というのは企業立地、企業の張り付きのためのツールとして用意されたメニューでして、例えば観光で言うと面的な広がりでの観光振興ということできちんとやらなければいけないということはまさに今、大城先生がおっしゃったとおりかと思うんですが、その中でまさに大城先生おっしゃったような自治省のリーディングプロジェクトであるとか、いろいろな国が用意したツールをいかに組み合わせてその面の産業振興を図っていくかというのは地元の知恵だと思うんです。
そういう中で、個々の制度を見たときにはおのずとその制度の限界がありまして、この観光振興制度だけをもって観光振興のオールマイティーのものとして活用するというのはなかなか難しいものがあると思われます。
○金城委員 私はなぜホテルが抜けているかの理屈を知りたい。どうしてホテルが抜けたのか、理由がわからない。観光関連の附帯施設だけ特典を与えてメインが抜けていることで一つ私が考えられるのは、既存のホテルがある。それとの整合性、平等性ということから、後からできたものにそれだけ適用するのはまずいじゃないかという理屈があるのか。
あるいはもう一つ、ホテルは対象にしなくても、施設を対象にすれば観光は振興されるという2つしか私は考えられないんですけれども、そういう理屈でもってそれを除いたのか。その意味がはっきりしないものだから、ああそうですかと言うわけにはいかない。ただ政治的というお話でそういう政治的な話をするのならば、既設の問題と言ったらまさにそれが政治的というではないか。
○大城委員 もう一つは、全国のリゾート法で横並びじゃなくて沖縄だけやることに対して、まだ政府としてきちんと判断ができていないんだろうということ。だから、やはり優遇税制をするということに対していろいろ議論があるということは少し聞いてはいるんですけれども。
○金城委員 そういう理屈ならば、特別自由貿易地域を設定する理屈もそうできないという話にしかならないんじゃないですか。
○竹林企画課長 申し訳ございませんが、今は、昨年の法律をつくった結論に沿った形の運用の世界なんです。
ですから、そういう面では私どもの方も2つに分けて考えたいと思っているんですが、1つは既存制度の中でまだ地域指定がされていなかったので、地域指定をすることによって既存の法制度の運用をいかに効率的にやっていくかという議論と、もう一つは先般来ここの総合部会から委任を受けて専門委員会を発足させておりますけれども、次のポスト3次振計ということで14年4月以降の沖縄の振興開発をその経済自立化に向けてどうすることが必要なのかとか、今度は別の次元のものとして御議論いただいて、今の既存の制度なり仕組みなりの悪いところは手直ししていくという議論とあります。
ですから、今日は申し訳ありませんけれども、私どもの方が用意している材料は既につくられている法制度の中での地域指定をしろということで県から申請が上がってきたものでありまして、あとはフリーディスカッションとか今後に向けてというお話の中では、まだまだいろいろな選択肢もあるし、いろいろ議論をして、そこの中で本当に必要だということで、最終的には国会という全国民のコンセンサスを得る中で沖縄にどういう特別の措置が講じられるか。そのときの特別措置をどういう理由で、なぜそこにこういう措置が必要なのかという、そこの理屈の詰めをすることができればかなりいろいろなことができるんだろうと思うんです。
○金城委員 では、こういうことを認めました、賛成しましたというときに、どういう理屈なのか。さっき私が言った2つの理由と、もう一つは全国的な理由というお話があるんですけれども、そういうことを除いた理由では納得できないというか、これは4年、5年と続くわけでしょう。
○竹林企画課長 今のはあと2年半しかございません。
○金城委員 その次のときは、今の制度から別の制度をつくりますよというふうな保証も何もないわけですね。
○竹林企画課長 保証はないです。そういうことをどうするかで単純延長にするのか、逆に制度はつくったけれども、もう動かす意味がないから廃止しようという選択肢だってあるかもしれませんし、そこはまさにこれからの問題だと思います。
○大城委員 あと1点だけ補足してよろしいですか。県は今、金城委員や私が言っているようなことを開発庁に向かって主張して、何か議論はしたんでしょうか。
○竹林企画課長 私の前任の段階から、水面下ではかなり時間をかけていろいろあったというふうに聞いています。
○亀谷部会長 私が言うのはいかがかと思いますけれども、振興法の本来の問題は別にしまして、情報通信産業振興地域及び観光振興地域の2点の申請は、今度初めて県から上がってきた案件です。だから、情報通信の地域指定でも同じ話なんですが、ぎりぎりやるとなれば全島ベタでもいいじゃないかという話はこれは切り離せない話としてあるんですね。フリーゾーンもそうです。
だけど、そうは言ってもここにありますように、これは例のレジャー法の基盤整備区域を基にしてその中を特化するという形をとっていると思います。ただ、私はいずれだんだん条件が整ってくればこれは広げなければ、ここだけというのはおかしいという感じがしますし、現にそうなるだろうと思っておりますが、おっしゃるとおり、税制の問題というのは非常にシリアスな問題があります。
恐らく今、委員からお話がありましたように、全国の他のリゾート法との関係というよりは沖縄の中が全県みんな観光ですから、今まで随分苦労して大分ホテルを建てていますし、海洋博のときだって随分倒産したり、赤字のホテルが今、一生懸命やっていますから、これから出るホテルだけ特化して優遇というのはどうかという議論もあったんじゃないかと思います。いずれにしても、この法律はあと2年余で時限が切れますが、そのときどうするかという問題も含めて、せっかくできた法律については当面有効に活用するように検討いただくということが必要ではないかと思います。
○大城委員 今、御説明を聞いて、要するになぜ沖縄の観光地域を全国に比べて特別に優遇するかという理由というか、その理屈立てが余り、例えば政府部内とかでまだ十分説得されていないという感じがするわけです。もしその理屈がきちんとしてあれば、ただ単に沖縄だからという話じゃなくて、これは国全体のこれからの21世紀に向かって必要だということになりますが、理屈がまだ十分にでき上がっていないからなんでしょうね。
○竹林企画課長 でき上がっていないというのは、政府内のコンセンサスですか。それとも県内のコンセンサスですか。
○大城委員 政府内のコンセンサスも、例えばさっきおっしゃった税当局の、多分そこの辺にまだ疑問が残るということなんじゃないかと思うんですけれども。
○清成委員 スイスのように、観光で食べている国はやはり国の政策でちゃんとあるわけですよ。ただ、日本全体でとってみたら観光で食べているわけじゃないんです。ところが、北海道や沖縄は別なんです。観光で食べているんだから、そこは論理を全然変えなきゃいけないんです。
それはどうしてもマクロ的な視点でも、先ほど御指摘のように高齢化社会になったら当然どこかに行って長期滞在というようなものは必要なわけですけれども、従来、日本の国家としての観光政策というのはなかったんです。全くなかったと言ってもいいわけです。ところが、沖縄のように観光で食べているところというのは、やはりきちんとした政策がなければ困るし、マクロ的にもちゃんとそこは理屈づけるわけです。だけど、実際に言ってそれがまだ結局なされていないということなんですね。
○竹林企画課長 制度に裏打ちされた形の体系としては、個々の地域制度も先ほど申し上げたようにオールマイティーのカードにはなっていないということです。
○清成委員 確かにそうならないです。だから、恐らく今日これで認めても多分政策効果はそんなに期待できないだろうなということになりかねないんです。
○金城委員 私は指定の考え方がこんなにこと細かく書いてあるのに、肝心のホテルを入れないという理屈が何も言っていないというのはどうも……。
○竹林企画課長 入れないというよりも、逆に言うと昨年の法改正の一連の検討の中でもうそのように手当されてしまったということなんです。
○清成委員 そうですね。もうそこで決着がついちゃっているんですね。
○竹林企画課長 もう既に決着がついているので、次回にまた何か新たな理屈をつくって変えるという作業をしないとだめだということなんです。
○大城委員 ですから、もしポスト3次振計で新しい経済新法とか法体系の制度をつくるのであれば、その中できちんと理屈を言って、やはりこれは沖縄だけじゃなくて全国にとっても必要なんだという理屈づけが必要だと思うんです。
○亀谷部会長 せっかく清成先生、大城先生の手を煩わせて、今アフターケアの専門委員会をやっていただいておりますから、大いにその辺を含めて金城先生や皆様からお話があった点も議論していただいたらどうでしょうか。
○清成委員 3次振計を議論したときにはそういう議論になって、特に今野委員が非常に強調されたんです。観光産業というのは日本全体と沖縄の場合は違うんですよと。だからちゃんとしたポリシーを、つまり沖縄の観光ということで国がちゃんとした政策をやはり持つべきだろうという議論が随分あったんですよ。
○竹林企画課長 そういう面からいうと、やはり社会資本の整備ということで、特に沖縄開発庁の場合は観光だけに限りませんけれども、産業、インフラ全部やっているという形での政策は入れています。それで、それ以上に個人企業者のインセンティブをどうするかという際に、今のところ用意できているのがここの税制等優遇措置までというところがそういう状況なんですね。
○清成委員 ですから、今日はこれ以上議論してもしようがないことですから。
○儀間委員 4ページの7に農林水産業の健全な発展との調和という文言が入っていまして、なお書きはわかりますけれども、地元でとれた農水産物、またはつくったものを優先的に使ってくれということも含んでいるのでしょうか。
○福本調査官 その辺りも含めて、先ほどの順次ご覧いただきましたものの中には、観光施設においては地元のとれた何とかを活用してというような記述もきちんとありまして、そういったところを進出する企業にも配意することというようなことで考えております。
○儀間委員 新しい産業も振興をやるというのもセットされているわけですね。
○福本調査官 その中にみんなちゃんと書かれています。あとはそれを実施していただかなければもちろん困るわけですが。
○亀谷部会長 よろしゅうございますか。それでは、大分時間も経過いたしましたので、大変恐縮ですが、一応御意見も承ったということにいたしまして、それではこれから部会委員によりますところの最終的な意見交換に移りたいと存じますが、その前に暫時休憩をさせていただきます。大体5分ぐらいで再開させていただきます。
(午後3時20分休憩)
(午後3時25分再開)
先ほど来、情報通信産業振興地域及び観光振興地域の指定につきまして審議会総会の付託に基づく調査審議を行ってまいったわけでありますが、当部会といたしまして本件について審議会総会への報告の取りまとめを行いたいと存じます。ただいま休憩中に、先ほど来の調査審議を踏まえまして、総合部会報告案を事務局に作成をさせましたのでお諮りをいたしたいと存じます。では、ご覧になっていると思いますが、事務当局からとりあえず読上げをお願いいたします。
○竹林企画課長 それでは、ただいまお手元に一枚紙を用意させていただきましたので読み上げさせていただきます。
「 総合部会報告(案)
1 去る11月12日に沖縄県知事から沖縄開発庁長官に申請が行われました情報通信産業振興地域及び観光振興地域の指定については、16日、沖縄開発庁長官から沖縄振興開発審議会に諮問が行われました。 2 本件に関しては、去る昨年6月30日の第36回沖縄振興開発審議会におきまして、審議会における調査審議を機動的に行うため、沖縄振興開発審議会運営規則第3条第2項の規定により当総合部会にあらかじめ付託されていることから、去る12月2日に第38回総合部会を開催しました。 3 総合部会においては、沖縄開発庁から説明を聴取し、鋭意調査審議を行った結果、次のような結論に達しました。
まず、情報通信産業振興地域の指定につきましては、「情報通信産業振興地域の指定は、妥当と認められるので、諮問のとおり承認することが適当である。」
次に、観光振興地域につきましては、「観光振興地域の指定は、妥当と認められるので諮問のとおり承認することが適当である。」」
以上です。例文的でございまして、3月のときの中城湾港新港地区の特別自由貿易地域の指定を審議いただいた際も、大体このような形で総合部会から審議会総会への報告の案をつくらせていただいております。以上です。
○亀谷部会長 ただいま事務局に読み上げさせました部会報告案につきまして、御意見がございましたらお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○亀谷部会長 ありがとうございました。それでは、12月14日に開催が予定されております審議会総会におきまして、本案で部会報告を行いたいと存じます。また、本日の調査審議に関する記者発表の取扱いにつきましては、事務当局に御一任をいただきたいと存じますが、よろしいでしょうか。(「異議なし」と声あり)
○亀谷部会長 ありがとうございます。○竹林企画課長 記者発表につきましては、本日御出席の委員の名簿の御紹介と、あとは部会報告の案文も一応部会としてはこういう形でまとまりましたということと、あとは簡単な形でございますけれども主な御意見、いろいろな質疑応答も含めまして出ましたので、それを要約して説明したいと思います。
○亀谷部会長 それでは、以上をもちまして第38回沖縄振興開発審議会総合部会を終わらせていただくことにいたします。どうも長時間ありがとうございました。