おわりに

この報告書は、当懇談会における昨年10月以来の1年間にわたる議論の結果をとりまとめたものである。この間、ヒアリングにおいて有意義な参考意見を陳述いただいた有識者諸氏や、意見募集に応じて貴重な意見を提出いただいた国民の皆様に感謝したい。

実際の栄典制度の運用は、候補者の選考を行う各省庁を始め、社会のあらゆる分野において、関係する多くの人を介して実施されており、また、勲章制度は諸外国との交際にも用いられるものであるため、これを変更するためには専門的・技術的な検討が必要と思われる。当懇談会における議論では、細部まで検討が及ばなかった面もあるが、この報告書を基に、政府において更に検討が進められ、早期に結論が出されることを期待したい。

我が国の栄典の歴史は、明治維新とともに我が国が世界に対して国を開き近代国家として成長していく過程で生まれ、そして発展してきた。途中戦争の不幸な歴史を経たが、生存者に対する叙勲の再開後は広く民間に門を開いて国家や公共に対する功労のある人々を顕彰する制度として、国民の間に定着してきた。世紀の初頭に行われる今回の見直しを通して栄典制度が時代の変化、社会の変化に応じてさらに発展し、21世紀において、公のために努力している多くの人々の誇り、励みとなって、意欲に満ちた明るく活気にあふれる社会形成の一助となるとともに、我が国の誇るべき文化として世界各国との交流に役立てられることを期待してやまない。

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