はじめに

栄典制度の在り方に関する懇談会は、21世紀を迎え、政府において、栄典制度を社会経済情勢の変化に対応したものとするよう、その在り方を検討するに当たり、広く国民各界各層の意見を聴取し十分に議論を尽くすため、平成12年10月、内閣総理大臣によって開催されることとなった。

懇談会では、第1回会合以来、各界関係者からのヒアリングを含め8回の会合を開き議論を重ねてきた。この間、本年5月には「論点の整理」をとりまとめて公表し、広く国民からの意見募集を行った。また、これに平行して、政府は、内閣府政府広報室を通じて、この「論点の整理」に基づき有識者アンケートを実施した。当懇談会では、これらの国民から提出された意見や有識者アンケートの結果も参考にしながら、更に議論を進め、この報告書をとりまとめた。

また、当懇談会では平成12年4月にまとめられた自民党内閣部会栄典制度検討プロジェクトチームの「栄典制度の改革について」や、同年12月に行われた与党三党プロジェクトチームの「申し合わせ」も参考にしながら、議論を進めた。

栄典制度は、諸外国の例に照らしても、歴史と伝統のあるものが重んじられており、その変更は安易に行われるべきものではない。さらに、現在までに多数の方々が栄典を授与されたという運用の積み重ねとの整合性を考慮すれば、変革には慎重であるべきという意見もある。しかしながら、当懇談会としては、栄典の意義、歴史、制度運用の整合性に留意しつつも、社会経済情勢の変化及び今後の見通しを踏まえ、我が国の栄典制度が国家による顕彰の制度として、21世紀において適切に機能するよう、その在り方について幅広い視点に立って議論を行った。

懇談会としては、この報告書が、今後政府において進められる栄典制度の見直しの検討に当たっての指針となることを期待するものである。