1.重要課題
16. 障害者は、彼等自身と他の障害者を支援し、情報を伝え、認識を広めるのに最も適任であり、誰よりもその能力を備えている。障害者自身が、彼等の関心を積極的に発信し、意思決定にすることで、障害者と彼等を取り巻くより広い地域社会の生活の質の向上につながるということを多くの証拠が示唆している。障害者の自助団体は、彼等の社会的、経済的、文化的及び政治的生活への完全参加を確保し、彼等が地域社会の発展に貢献することを可能にするような政策、立法お呼び戦略の適切な策定と実施について、自らの考えを述べるのに最も適しており、適切な情報を持ち、また話す必要を感じている。
17. 障害者の自己代表の権利を認識し、彼等が意思決定過程に参加するために必要な能力を向上させることが肝要である。障害者は、彼等自身の問題を発言し、彼等の地域社会ひいては社会全体において、彼等の発展や自立生活をもたらす改革を主唱しなければならない。しかしながら、子どもや他の人々が、自分自身のために発言できないときには、彼等の両親、家族やその他の支援者は、そのような支援が不要になるまで、彼等の権利やニーズを主唱することを助けることを慫慂され、また、そのようにできるようにされるべきである。
18. 民主的、代表制の障害者運動の展開、障害者のニーズと権利に関する政府の規定が妥当なものであることを保障するための一つの手段である。障害者の自助団体は、農村地域野団体・機関、また、特に、女性・女子障害者、知的障害者お呼び精神障害者といった、周縁化された障害者の団体・機関を含めるべきである。
2.目標
目標1: 政府、国際融資機関、非政府組織(NGO)は2004年までに、必要な資金配分を伴った、障害者自助団体の形成と発展を支援する政策を、あらゆる分野で、また特にスラムや農村地域居住者に焦点を当て、採用する。また、政府は2005年までに、地元レベルでの親の団体の形成を確実にするステップを取り、2010年までに、国レベルでそれらを連合させるべきである。
目標2: 政府と市民社会組織は2005年までに、障害者の生活に直接、あるいは間接的に影響を与えるような計画の策定と実施に関する意思決定過程に、障害者団体を完全に組み入れるようにする。
3.目標達成に必要な行動
1.重要課題
19. 女性障害者は、女性として、また障害者としての地位を通じて幾重にも不利であり、貧困者の内にもその数は多く、社会で最も疎外された人々であると言える。女性・女子障害者は、障害を持つ男性・少年と比べてかなりの程度、家庭内で差別に直面し、保健、教育、職業訓練、雇用および収入を得る機会へのアクセスを否定されており、社会的、地域的活動からも疎外されている。
20. 女性・女子障害者は、さらに、身体的・性的虐待を受けるリスクが高く、リプロダクティブ・ライツの否定及び、結婚や家庭生活に入る機会の少なさから、更なる差別に直面している。農村部では、識字率はさらに低く、情報やサービスへのアクセスも欠如しており、女性・女子はより不利な地位にある。幼少期より烙印を押され、拒絶され、また発展のための機会を否定され、女子障害者は、自尊心や地域社会における女性としての役割を持つことなく、成長する。
21. 地域の幾つかの国の幾つかの障害者の自助団体において、女性障害者は更なる差別に直面している。自助団体に参加する女性障害者は少なく、リーダー的役職には殆ど見られない。彼等の関心事項は、自助団体の主唱議題で取り上げられず、若い女性障害者は、指導者養成研修の対象となってこなかった。
22. 障害のない女性の生活において、平等の拡充に相当の効果をもたらした、一般のジェンダー主流化の運動は、女性障害者の生活に殆ど影響を与えなかった。女性障害者は、通常の女性運動団体に含まれず、彼等の問題は、特別な問題としては取り上げられず、また、彼等はこの状況を変える主唱能力を持っていなかった。
23. 政府は、必要な支援サービスを提供し、また、女性障害者による発展の主流への完全参加を促進することにより、この不平等を是正する特別な責任を有する。
2.目標
目標3: 政府は、2005年までに、女性障害者の権利を守る、適切な反差別施策を確保する。
目標4: 各国の障害者自助団体は、2005年までに、組織の管理、組織的訓練、広報活動を含めた団体の活動への、女性障害者の完全参加と平等な代表を促進する方針を採用する。
目標5: 女性障害者を、2005年までに、それぞれの国の一般の女性団体に含む。
3.目標を達成するための求められる行動
1.重要課題
24. 入手できた資料によれば、アジア太平洋地域で、何らかの形で教育を受けている障害児及び青年は10%未満であり、その一方で、障害を持たない青少年のうち70%以上が初等教育を受けている。教育は、全ての児童の基礎的権利であり、2015年までに全ての児童に初等教育を受けさせるという国際的な使命にも関わらず、この状況は存在している。更に政府は、次の「十年(2003-2012)」において、あらゆる障害を持つ児童のニーズに応える適切な教育を確保すべきである。障害児に教育を提供する際、アジア太平洋地域において、各国政府が行う対応には様々なものがあり、児童は、様々な公式・非公式の教育形態、そして別々のまたはインクルーシブな学校で教育を受けていることが認識されている。
25. 障害児や障害を持つ青少年が教育から疎外されると、更なる発展、特に彼らの職業訓練、雇用、収入及びビジネス的発展のための機会から疎外さえることになる。教育や訓練にアクセスできないと、経済・社会的自立の達成が妨げられ、また、永続的かつ世代を越えて貧困に陥りやすくなる。
26. 障害を持つ乳幼児や幼児は、早期検査・発見(0歳〜4歳)を含む早期対処サービスへのアクセスが必要となる。また、障害児の潜在能力を最大限発揮させることを円滑にするための両親や家族に対する支援や訓練が必要となる。障害児への早期検査・発見及び対処が、また、両親や看護者への支援が提供されなければ、教育の機会から裨益するための障害児の能力を更に限定する第二次障害に陥る。早期対処の提供とは、教育、保健及び/又は社会的サービスが統合された努力であるべき。
27. アジア太平洋地域の多くの国で、現在の障害児童・青少年のための教育の大半は、都市の養護学校においてであり、生徒数は限られている。「特別な教育ニーズに関するサマランカ声明と行動計画」は、地元の通常の学校での教育へのアクセスを確保するインクルーシブ教育は、農村地帯の障害児・青年を含め、大多数の障害児・青年が教育を受けるための最高の機会を提供すると勧告した。この規則の例外は、特殊学校又は機関での教育のみが各児童のニーズに見合うとして示される場合は、ケース・バイ・ケースで検討されるべき。幾つかの例では、特殊教育は、その障害児の教育のために最も適した教育形態であると考えられることがあると認識されている(注1)。障害児を含む全ての児童の普通学校での教育は、障壁や否定的な態度を破壊し、また、地域社会における社会統合を支援する。親や地域社会が学校の活動に参加すれば、このプロセスは更に強化される。児の中には、特殊教育が最も適切な教育形態であると思われる児童が存在することが認められている。
(注1.「障害者の機会均等化に関する標準規則」に関する1993年12月20日付国連総会決議48/96の別添6.教育、パラ8、参照)
28. 全ての教育の文脈において、障害児への質の高い教育を提供する際の最大の障壁とは、早期対処・発見サービスの欠如、否定的態度、排除的方針や慣習、特に能力が様々である児童を教える一般教師への不十分な訓練、硬直的なカリキュラムと評価システム、普通学級及び特別学級の教師を補佐する特別支援スタッフの欠如、適切な教材の欠如及び学校環境を完全にアクセス可能にできないこと等である。これらの障壁は、健常児・青少年を対象とした、国のすべての保健・教育開発イニシアティブに障害児・青少年を含めるための、政策、計画、戦略の実施及び資源の配分により克服でき得る。
29. 政府は、他の関係者(stakeholders)と協力し、障害者の生活の向上に向けた基本的権利の実現として、彼らのために、スポーツ、レジャー、レクリエーショ活動・施設を提供する必要がある。
2.ミレニアム開発目標
30. 本優先領域において、ミレニアム開発目標は、2015年までに、男女や場所を問わず、全ての児童が初等教育課程を完全に修了できるよう、そして男女は、全てのレベルの教育を平等に受けることができることを確保することとしている。
3.目標
目標6: 障害を持つ青少年を、2015年までに、全ての男子及び女子が初等教育課程を完全に修了するという、ミレニアム開発目標によって対象とされた人々の、不可分な一部とする。
目標7: 2010年までに、学齢期の障害をもつ児童と青少年の少なくとも75%が初等教育課程を完全に修了できるようにする。
目標8: 2012年までに、全ての乳幼児と幼児(0〜4歳)が、生存を確保し、また、彼らの家族への支援・訓練を含む、地域に依拠した早期対処サービスのアクセスを持つようにする。
目標9: 政府は、可能な限り幼児期に、障害児の早期発見を確保すべき。
4.目標達成のために求められる行動
1.重要課題
31. 障害者を経済の主流に組み入れるという課題は未だに達成されていない。 国際基準、モデル訓練の実施、また国内の雇用法制、政策、実践にも関わらず、障害者、特に女性、青少年及び農村地域の障害者の多くは、教育や職業訓練を受けておらず、また、雇用されておらず、能力以下の仕事に従事しており、貧しい状況にある。
32. 障害者は、適切な水準に維持された仕事(decent work)に就く権利がある。ディーセント・ワークとは、自由、平等、安全及び人間の下で行う生産的な仕事である。障害者は、ユニークな差異と能力を有し、彼らの障害ではなく、能力に応じて、彼らがしたいことを選ぶ権利を持つべきである。彼らは、全ての人に与えられるのと同じ教育、職業訓練、雇用およびビジネス環境が必要である。幾らかの人は、特殊な支援サービスや支援機器、又は職種内容の修正が必要となるかもしれないが、それらは、彼らの生涯にわたる生産性や貢献に比べれば、小さな投資である。さらに、生涯にわたり疎外されることで、しばしば社会心理的障壁の問題が生じることがあるが、この問題は、もしも、障害者が訓練や雇用において成功するならば、対処されるに違いない。
33. 職業訓練と雇用の問題は、障害者の地域社会への完全参加を念頭に、また、変化する人口動態と職場というマクロ的な観点から、考慮されなければならない。更に、グローバル化、雇用確保、貧困削減及び青少年・高齢者の失業という問題に対応する際には、これらの問題や対応が障害者にどのように影響するかを考慮しなければならない。
34. 一般的に、障害者とともに働く訓練を受けた有能な職員が不足しており、特に訓練と雇用に関して顕著である。国・地域レベルの効果的な政策・プログラムの開発、実施、評価、普及に関するその他の能力の問題についても、引き続き取り組まれなければならない。障害者はまた、サービスの消費者としてだけではなく、主唱者、サービスの計画者及びサービス提供者として、恒常的にかつ積極的に雇用及び訓練に関するイニシアティブ取り込まれなければならない。
2.目標
目標10: 2012年までに、少なくとも署名国の30%が、職業リハビリテーション及び雇用(障害者)に関するILO第159号条約(1983年)を批准する。
目標11: 2012年までに、全ILO 加盟国の職業訓練プログラムの少なくとも30%に、障害者を組み入れ、また、彼らのために適切な支援及び職業斡旋・ビジネ支援サービスを提供する。
目標12: 2010年までに、全ての国で、障害者の雇用率および自営率を示す確かなデータを揃える。
3.目標達成のために求められる行動
1.重要課題
35. 公共交通機関を含む各種施設へのアクセシビリティの無さは、現在も、アジア太平洋地域諸国において障害者の積極的な社会・経済活動への参加を妨げる主要な障壁となっている。現在、いくつかの国の政府は、各種施設を平等に利用する障害者の基本的権利を認めている。アクセシブルでない施設、道路及び交通機関を整備することは、障害者や他の社会のメンバーを差別することになる。ユニバーサル・デザイン/インクルーシブ・デザインという考え方は、障害者によるアクセス可能な物理的環境に向けた努力の結果として出現した。ユニバーサル/インクルーシブ・デザインに基づく取組みは、障害者だけでなく、高齢者や妊婦、幼児の親といた社会のその他のセクターにも裨益することが証明されている。
36. 世界の高齢者人口の大部分が、アジア太平洋地域に住んでいる。現在の人口動態の傾向からすると、その数は急激に増えることが予想される。また、豊かな国でも貧しい国でもほとんどすべての国で、女性の方が男性よりも長生きするため、高齢女性の割合が着実に伸びている。そして、より多くの人々、男性も女性もが、長生きすれば、障害のある高齢者数も増加する。加えて、高齢者はしばしば重荷や負担として見られるので、高齢における身体的障害の始まりは、彼らが直面する社会的スティグマを悪化させるだけであろう。しかしながら、全ての障害者は、若くても高齢でも、平等に彼らに影響する共通の問題をかかえている。それらの問題には、各種施設や公共交通機関へのアクセスの欠如といった我々の環境における障壁が含まれる。
37. ユニバーサル/インクルーシブ・デザインに基づく取組みは、事故発生率を低めることにより、万人にとってより安全な環境を提供する。物理的障壁は、障害者の完全参加を妨げ、障害者の経済的・社会的成果を少なくすることがわかっている。従って、建築上、設計上のバリアの除去と防止を目的とした投資は、特に社会的・経済的参加に最も重要な領域(例:交通機関、住居、教育、雇用、医療、行政機関、公開討論、文化的・宗教的活動、余暇とレクリエーション)において、経済的根拠に基づいた正当性が認められるようになっている。施設のみならず、サービスもアクセス可能であるべきと認識することは重要である。この関係で、障害者を扱うことは、職員の訓練カリキュラムの重要な部分を占めるべきである。
2.目標
目標13: 政府は、農村にあるものも含み、公共施設及び公共交通機関に関する計画のためのアクセス基準を採択し、施行すべき。
目標14: 新規に建設・修理される陸上、水上、軽量型・重量型大量輸送鉄道及び航空輸送システムを含む全ての公共交通システムは、障害者と高齢者が全面的に利用可能なものとし、既存の陸上、水上、航空公共交通システム(車両、停留所、ターミナル)は、実現可能な限り早く段階的にアクセス・利用可能にすべき。
目標15: インフラ開発のための全ての国際的・地域融資機関は、その融資提供基準に、ユニバーサル/インクルーシブ・デザインの概念含めるべき。
3.目標達成のために求められる行動
1.重要課題
38. ICT(情報技術通信)は、経済成長の原動力となり、経済のグローバル化を刺激し続けている。しかしながら、ICTの発展の利益は、持つ者と持たざる者、また先進国と途上国との間で不均衡に広がった。
39. ICTの障害者への影響としては、良い面も悪い面もある。ICTは、全ての技術レベルで雇用のための機会、また、地域社会で独立して暮らす機会をもたらしており、多くの障害者は、ICTの発展により裨益している。適切な訓練を受けた盲ろう者は、何度も使用可能な点字読み取り機を使用しており、重度の脳性麻痺者は、インターネットを通じて情報の交換に参加している。しかしながら、利益は、未だ多くの場合、先進国の障害者に限られている。ICTの急速な発展によって、特定の障害者の間で予期しなかった問題が生じることもある。例えば、オンラインでの登録や、銀行業務、買い物取引は、認識/知的、身体的、又は視覚及び/又は聴覚障害者にとっては、アクセス可能でないこともある。
40. 途上国の農村部では、ICTの利用に、巨大な潜在的利益はあるが、アジア太平洋地域の途上国の障害者の大多数は、貧しく、ICTの利用から疎外されてきた。
41. 2000年11月、東京で開催された、アジア太平洋電気通信共同体(APT)主催によるアジア太平洋情報社会サミットで採択された東京宣言は、2005年までに、アジア太平洋地域の人々が可能な限りインターネットにアクセスできるようにするべきだとし、デジタルディバイドの原因の一つとして、収入、年齢、性別とともに身体障害をあげている。2003年にジュネーブで、また2005年にチュニスで世界情報社会サミットが開催されるが、同サミットでは、障害者や他の社会的弱者層の問題が取り上げられるべきである。
42. 情報社会において、情報と通信へのアクセスは、基本的人権の一つである。
版権所有者は、その内容が、障害者を含む全ての人にアクセス可能となるよう責任を持つべきである。いかなる対海賊版行為又は権利の管理技術は、障害者によるICTへのアクセスを妨げるべきでない(注2)。情報通信技術は、電話通信、放送システムにおけるバリアを崩すべきである。途上国はICTの分野で、より多くの支援が必要である。
(注2.情報と通信への権利は、障害者に限らず、以下へのアクセスを含むべき:)
43. アジア太平洋地域の多くの国では、手話、点字及び指点字(触知できる手話)は、標準化されていない。これらの、又はその他のコミュニケーション手段の開発を開発・普及させる必要がある。そのようなコミュニケーション手段がないと、視覚及び/又は聴覚障害者は、ICTの発展から利益を得ることはできない。特に重要なのは、彼らは、日常生活において、言語・コミュニケーシに関する基本的な人権を剥奪されるかもしれないということである。
2.目標
目標16: 2005年までに、障害者が、その他の人々と、少なくとも同じ割合でインターネットとその関連サービスにアクセスできるようになるべき。
目標17: 2004年までに、ICTの国際基準に責任を持つ国際機関(例:国際電気通信連合(ITU)、国際標準機構(ISO)、世界貿易機関(WTO)、ワール・ワイド・ウェッブ・コンソーシアム、モーション・ピクチャー・エンジニアリング・グループ)は、ICTの国際基準に障害者のためのアクセシビリティの基準を組み込むべき。
目標18: 2005年までに、各国政府は、国のICT政策に障害者のためのICTアクセシビリティ基準を導入し、特に、適切な施策により、障害者を受益対象者に含まれるようにすべき。
目標19: 政府は、それぞれの国において、標準化された手話及び指点字、触知できる手話を開発・調整し、出版物やCD-ROMといったあらゆる手段を通じて、その結果を発信・教授すべき。
目標20: 政府は、それぞれの国において、手話通訳者、点字翻訳者、指点字通訳者、及び朗読者を訓練・派遣し、又彼らの雇用を奨励する制度を設立すべき。
3.目標を達成するために求められる行動
政府は、その他の関連機関や市民社会団体と協力し、
1.重要課題
44. アジア太平洋地域には4億人の障害者がおり、その40%以上は貧困生活を送っていると推定される。こうした障害者は、医療、教育、雇用、地域政治への参加、基本的な社会的サービスといった、社会の他のメンバーには与えられている権利の享受を妨げられてきている。
45. 貧困は、障害の原因でも結果でもある。貧困と障害は、更なる弱体化や疎外を促進し、相互に増強し合う。栄養不足、危険な仕事・居住環境、ワクチン接種、保健及びマタニティー・ケアへの限られたアクセス、不衛生、不清潔、障害の原因についての不十分な情報、戦争や紛争、及び自然災害が障害の原因となる要因である。これらの多くは防ぐことができる。障害は、また、生計手段へ限られたアクセス、並びに労働市場や経済からの疎外の進行により、貧困を促進する。これは個人だけでなく、しばしば家族全体に影響を及ぼす。
46. 高齢者数・割合の増加は、障害者数の増加、そしてそれは貧困を促進する要素ともなり得ることを意味した。この高齢者の問題は、高齢に伴う障害及び適切な保健・社会保障の提供と関連付けられなければならない。高齢化社会においては、特に、これらの問題が、国の保健と長期介護制度並びに現行の社会保障制度が十分かどうかということに深遠な影響を与えるだろう。
47. 貧しい障害者のための社会サービスが低いレベルに留まっている主要な要因は、個々の家族や地域社会に根ざしている。しかしながら、地域の途上国の障害者のための福祉レベルが低いことの決定的な要因はほとんど知られていない。要因分析のために必要な、家族や地域社会レベルの社会・経済調査データが欠如している。地域社会レベルのインフラ開発が、貧しい障害者へのサービスの提供にどの程度影響があるか調査することが重要である。
48. 予防とリハビリテーションをエンパワメント戦略や態度の変化と結びつけた、統合的な取組が必要である。障害の重要性は、開発の主要な問題として測られるべきである。そしてその重要性は、貧困、人権及び国際的に合意された開発目標の達成と関連付けて認識されるべきである。世界の貧困を撲滅することは、障害者の権利とニーズが考慮に入れられない限り、達成され得ない。
49. 国連ミレニアム開発目標の一つは、貧困撲滅に関し具体的な目標を定めている。これは前向きなアプローチである。しかしながら、目標達成のための努力が、障害者が不釣合いなまでに多数を占める極貧層ではなく、貧困から救出するのが最も容易な層にばかり向けられてしまう可能性があるので、この戦略は、重要且つ悪影響を被りやすい障害者層を見逃してしまうかもしれないという危険がある。障害者の貧困の根本的原因は、より複雑で多面的である。それゆえ、ミレニアム開発目標を達成するための貧困削減戦略において、優先的な貧困目標グループなる集団に障害者が含まれるよう、意識的な努力がなされるべきである。
2.ミレニアム開発目標
50. この優先分野におけるミレニアム開発目標は、2015年までに、一日の収入・消費額が1ドル未満の人々、飢饉に苦しむ人々、そして安全な飲み水を得られない又は購入できない人々の割合を半減させるというものである。
3.目標
目標21: 政府は、1990年から2015年の間に、一日の収入/消費額が1ドル未満の障害者の割合を半減させるべき。
4.目標達成のために求められる行動