I.総論
政府は、1980年、内閣総理大臣を本部長とする国際障害者年推進本部を設置し、学識経験者や障害のある人から成る特別委員会を設け、今後の障害者対策について検討を重ね、1982年に我が国で初めての政府レベルでの障害者施策の基本的な計画である「障害者対策に関する長期計画」を策定した。
これは、1981年の完全参加と平等をテーマとした「国際障害者年」の行動計画として位置付けられるものであり、我が国の障害者施策は、「長期計画」に基づく施策の推進により、保健医療、福祉、教育、雇用等の分野において着実な進展がみられた。
1987年には、「『障害者対策に関する長期計画』後期重点計画」を決定し、障害者対策の総合的かつ効果的な推進を図った。さらに1990年には、いわゆる「福祉八法の改正」が行われ、施設中心から在宅重視へと福祉サービスが大きく転換した。
その後、1992年に「アジア太平洋障害者の十年」がスタートしたが、我が国においては、障害者を取り巻く社会経済情勢の変化等に対応する観点から、1993年、10年間にわたる施策の基本的方向を示す「障害者対策に関する新長期計画」(以下「新長期計画」という。)が策定された。
ここでは、我が国の障害者施策推進の基本的な枠組みである「新長期計画」と、その重点施策実施計画である「障害者プラン」におけるこの「十年」の取組について簡単に述べたい。
なお、1993年には、障害者施策に関する基本法である心身障害者対策基本法を全面改正して、障害者基本法が制定された。