II.-2.障害児に対する早期療育及び教育
(1)早期療育
障害のある児童の育成については、できるだけ早期に、適切な医療的リハビリテーション、指導訓練などの療育を行うことにより、障害の軽減及び基本的な生活能力の向上を図り、自立と社会参加を促進している。
保健所及び市町村は、障害をできるだけ早く発見し、療育するため、3か月、18か月及び3歳児検診を行っている。このような我が国の乳幼児検診システムにより、優れた成果があげられている。
障害のある児童の療育を行う児童福祉施設においては、視覚、聴覚・言語、肢体不自由、知的障害等の障害に対応する種別が設けられ、それぞれ治療や専門的療育を行っている。また、障害の早期発見・早期療育に至る診断など療育体制を確保するため、地域における中心的な療育機関として、心身障害児総合通園センターの整備が図られている。この他、市町村が設置する障害児通園(デイサービス)事業については、地域における様々な障害を持つ児童の発達支援センターとしての役割が期待されている。
障害のある児童の場合、家族のかかわり方がその児童の療育に及ぼす影響が大きいことから、障害のある児童とその家族を支援するための体制を整備している。児童相談所、保健所等の行政機関は、このような障害のある児童とその家族に対し、必要な相談・指導を行っている。
その他、民間事業者等により、障害のある児童とその家庭の要望を踏まえ、相談活動、療育に当たっての計画作成、他機関との調整等を行う障害児(者)地域療育等支援事業が実施されている。
(2) 教育
政府は、障害の種類・程度に関係なく、すべての地域において、適切な教育を保障している。
病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、保護者からの求めにより、就学困難として就学猶予・免除を受けている者は、147名(2001年5月1日現在)のみであり、これは、義務教育段階の児童生徒全体のわずか0.001%である。このように、我が国は、障害の種類・程度に関係なく、すべての者に対して教育を提供している。
我が国は、障害のある児童生徒の一人一人の教育的ニーズに応じて、小・中学校又は盲学校・聾学校・養護学校で様々な形態により教育を行っている。また、盲・聾・養護学校に在籍している児童生徒は、同じ年齢にある児童生徒のわずか0.443%であり、これは、欧米先進諸国と比しても低い水準である。
教育課程についても、小・中学校又は盲・聾・養護学校において、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な教育を行えるよう、障害の状態によって弾力的に編成することが可能となっている。
また、情報技術の進歩に対応して、盲・聾・養護学校等において、一人一人の障害に対応した最新の情報機器を用いた教育も行っている。
さらに、児童生徒等の社会性や豊かな人間性をはぐくむとともに、障害のある児童生徒等に対する理解と認識が深まるように、盲・聾・養護学校及び小・中学校の特殊学級と幼稚園、小学校、中学校及び高等学校や地域社会との多様な交流活動を展開している。
以上のように、障害のある児童生徒の可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加するために必要な力を培うために、障害のある児童生徒の一人一人の教育的ニーズを把握して、小・中学校、盲・聾・養護学校において、専門的な知識・経験のある教職員、障害に配慮した施設・設備を整備することにより、きめ細かな教育を行っている。