II.-1.障害者問題に関する立法と調整機能

(a)立法

  • 障害者基本法
    1993年に心身障害者対策基本法を全面改正して障害者基本法とし、基本的理念として、すべての障害者に対し、個人の尊厳にふさわしい処遇の権利、社会、経済、文化等あらゆる分野の活動への参加の機会を提供することを掲げるとともに、障害者基本計画の策定及び国会への年次報告の提出の義務、障害者の日の設定等の規定を設けた。
  • 欠格条項の見直し
    各種資格制度等の中で、障害を理由とする制限条項を設けている63制度について、2003年3月末までに見直しを行うことを決定し、2002年10月までに57制度について見直しを行っている。
  • 身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律
    通信・放送役務の利用に関する身体障害者の利便の増進を図り、情報化の均衡ある発展に資することを目的として制定した。(1993年)
  • 放送法及び有線テレビジョン放送法の一部改正
    字幕放送、解説放送に係る免許制度の簡素化や字幕番組、解説番組をできる限り多く放送しなければならないとする努力義務規定の創設等を行った。(1997年)
  • 民法の一部改正
    禁治産制度に代えて後見・保佐・補助の制度を導入し、また、手話を用いて公正証書遺言をすることができるようにした。(1999年)
  • 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
    保健医療施策及び福祉施策によって精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的として、従来の精神保健法を改正。(1995年)
  • 障害者の雇用の促進に関する法律
    障害者の職業的自立への支援を一層充実するため、1994年に障害者雇用支援センターの指定や、職業生活環境整備のための助成金支給事務の拡充を内容とする法改正を行った。また、1997年には知的障害者を含む障害者雇用率の設定等、2002年には障害者就業・生活支援センターの指定や職場適応援助者(ジョブコーチ)事業の創設等を含む法改正を行った。
  • 精神保健福祉士法及び言語聴覚士法
    精神障害者の社会復帰に関する相談及び援助の業務に従事する者及び、言語機能又は聴覚障害者に対する言語訓練等を行う者の国家資格を創設するもの。(1997年)
  • 社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律
    社会福祉事業、社会福祉法人、措置制度など社会福祉の共通基盤制度について、(1)利用者の立場に立った社会福祉制度の構築、(2)サービスの質の向上、(3)社会福祉事業の充実・活性化、(4)地域福祉の推進、等を内容としている。(2000年)
  • 身体障害者補助犬法
    身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図ることを目的として制定した。(2002年)
  • 福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律
    老人及び心身障害者の自立の促進並びにこれらの者の介護を行う者の負担の軽減を図るため、福祉用具の研究開発及び普及を促進すること等を目的として制定した。(1993年)
  • 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律
    不特定多数の者が利用する建築物のバリアフリー化を促進するため、1994年に制定し、2002年にはバリアフリー化の一層の推進に向けた法改正を行った。
  • 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律
    新規の旅客施設、車両等のバリアフリー化の義務付け、重点整備地区の重点的・一体的なバリアフリー化を目的として制定。(2000年)

(b)調整機能

政府は障害者施策推進本部を設置し、医療・福祉、所得保障、教育、生活環境等の多様な政策分野にまたがる問題への取組に当たり、関係行政機関相互間の緊密な連絡を確保するとともに、施策の総合的かつ効果的な推進を図っている。
 障害者施策推進本部は、1982年に内閣総理大臣を本部長、各省庁事務次官を本部員として発足して以来、障害者対策に関する各種重要事項の決定を行ってきた。最近10年間の主要な達成事項としては、「障害者対策に関する新長期計画」(1993年)や、「障害者プラン(ノーマライゼーション七か年戦略)」(1995年)の策定、また、「障害者週間」の設定(1995年)、「障害者に係る欠格条項の見直しの対処方針」の決定(1999年)等が挙げられる。
 2001年には、中央省庁再編を機に旧本部が廃止され、新たに内閣総理大臣を本部長とし、全国務大臣を本部員とする障害者施策推進本部が内閣に設置された。
 内閣府は、政府内において障害者施策推進本部の事務局として、本部会合の審議事項に関する各省庁の意見の事前調整を行うほか、障害者の施策に関する基本的計画の策定・推進、国会への年次報告の作成等の役割を担っている。
 また、政府内の意思形成を行うに際しては、有識者等により構成される審議会や懇談会等を開催し、より専門的な立場にある人々の知識や意見を幅広く導入している。内閣府においては、障害当事者やその家族、障害者福祉関連事業に携わる団体、者等からの意見を可能な限り政策立案・運営に反映させるべく、政府関係者との懇談会を随時開催している。また、障害者施策を実施する各省庁においても、それぞれの所管する政策分野に応じて、個別施策の実施や法律の制定・改正等の重要事項の企画・立案に当たり、それぞれ障害者関係者団体や有識者等の知識・意見を積極的に取り入れるため、審議会等の機能を有効に活用している。

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