佳作 【小学生部門】 村松 由唯

大ちゃんはスマイルレンジャー

 

静岡市立清水岡小学校 一年 
むらまつ ゆい
村松  由唯 (静岡市)

わたしには、みんなに大ちゃんとよばれているおとうとがいます。大ちゃんは四さいですが、まだおはなしができません。いくつかいえることばはありますが、ようちえんのともだちのようにははなせません。いつのまにか、あとからうまれたいもうとのほうがおしゃべりがたくさんできるようになってしまいました。でも、

「大ちゃん、これをあみちゃんとおかあさんにあげてきてね。」

というと、ちゃんと二人にわたしてくるので、いうことはわかっているとおもいます。

大ちゃんは、ようちえんでも、ゆかにねころがったままねむってしまったり、みんながしずかにおはなしをきいているときに、きゅうにわらいだしたりするようなふしぎちゃんです。つみ木をたかくつんでいると、すぐにひっくりかえしたり、わたしといもうとがあそんでいるじゃまをしたり、テレビのリモコンを二かいのまどからなげたり、いたずらをいっぱいするこまりこぞうです。

そんな大ちゃんですが、わたしは、大ちゃんにはふしぎな力があることにきがつきました。わたしといっしょのようちえんにいっていたとき、大ちゃんのまわりにはいつもおともだちがいっぱいいました。大ちゃんがあるいていると、いろいろなクラスのともだちやせんせいが、

「あっ、大ちゃんだ。」

「大ちゃあん。」

と、こえをかけてくれました。みんなにこにこわらって、こえをかけてくれます。大ちゃんのにもつをもってくれたり、くつをはかせてくれたりする子もいました。大ちゃんのまわりにくる人はみんなえがおです。みんなやさしいです。きっと、大ちゃんには、まわりのひとをえがおにしたり、やさしくさせたりする力があるんだなとおもいます。まるで、えがおのはなをさかせるはなさかじいさんみたいです。でも、まだ四さいの大ちゃんに『はなさかじいさん』はかわいそう。だから、おかあさんともっといいなまえをかんがえて、『スマイルレンジャー』にきめました。大ちゃんは、みんなにえがおをくれるスマイルレンジャーです。

スマイルレンジャーのじゃくてんは、ことばのかずがすくないことです。「いや。」といいたくても、「それがほしい。」といいたくてもいえないことです。わかってもらえないと、わたしやともだちにかみつくこともあります。

「ごめんね。それが大ちゃんのことばだから、わかってあげてね。」

と、おかあさんはいいます。ほんとうはいたくていやだけど、わたしは、スマイルレンジャーのおねえちゃんだから、がまんすることにします。でも、これからは、大ちゃんのかおややることをよくみて、大ちゃんのきもちをさきにわかってあげようとおもいます。