優秀賞 【小学生部門】 田内 湧心
みんなでいっしょにくらしていこう
神戸市立渦が森小学校 二年 |
「ねえ、おかあさんあそこに耳のない子がいるよ。かわいそうだね。」
としょかんで四さいのおとうとが大きなこえで言った。いえにかえってからおかあさんはぼくたちきょうだい三人に図書かんでのできごとについてどう思うかを聞いた。よく聞くとおとうとはその子に耳がないのはけがをしたからだと思ったらしい。けがの時いたかったんじゃないかなとしんぱいでかわいそうと思ったみたいだ。五年生のおにいちゃんはすこし考えてから
「やっぱりかわいそうな気がする。耳がないと音が聞こえないかもしれないし、へいこうかんかくが人とちがっているかもしれない。」
と言った。ぼくもいっぱい考えた。耳がないってかわいそうなことなのかな。
ぼくはその子は生まれたときから耳がないのかもしれないと思った。ぼくの学校にも手のさきがなかったり、耳が聞こえにくかったり、歩くのがゆっくりなともだちがいることを校長先生がちょう会ではなしてくれたことがある。校長先生は体にどんなとくちょうがあって、ぼくたちがどうしてあげたらその子たちが学校ですごしやすいかをせつめいしてくれた。校長先生の話をきいてぼくは元気でふつうにクラスですごしているけど、体にとくちょうをもった子もみんなといっしょにすごしやすいかんきょうをつくりたいと思った。こまっていることや手つだってほしいことがないか聞いてあげればいい。クラスに一人今までのやりかたでいっしょにあそべないともだちがいたら、あそびのルールをかえたり新しくくふうをしてなるべくみんなであそべるようにしたい。
ぼくはふつうの赤ちゃんより小さく生まれて二年生になった今も小さいままだ。それにサ行がきれいに話せなくてことばの教しつに通った。ようち園の時ともだちから
「四月生まれなのになんでそんなに小さいの。」
「なんでそんなしゃべりかたになるの。」
と言われてしまった。じ分でもじかくがあるからいやだとは思わなかった。小さく生まれたこと、ことばの教しつに行っていることをつたえたらともだちも分かったというようにそれい上なにも言ってこなかった。小さいのがかわいそうと言われるのはいい気がしないけど、ぼくのことをよく見てきょうみをもって聞いてくれたならうれしい。
体に人とちがうところがあるとしてもそれはかわいそうなことではないと思う。でも体のとくちょうをりゆうにわらったりなか間はずれをしたらかわいそうなことになる。いっしょにくらせるかんきょうをつくるために、まずはあい手をよく見て分からないことはすなおに聞いてみようと思う。おとうとの図書かんでのことばはあい手をきずつけたかもしれない。でもその分ぼくたちきょうだいはいっぱい考えた。耳がなくてもその子がしあわせでいられるかんきょうをみんなでつくればいい。