【中学生部門】 ◆佳作 田﨑 千織(たざき ちおり)
発達障害の弟田﨑 千織(加古川市立氷丘中学校2年 兵庫県)
私には小学六年の弟がいます。弟は発達障害です。弟は小学三年生の時、軽いイジメに合い、学校に行けなくなりましたが、今は別室登校で少しの時間だけ行けるようになりました。でも、子どもは苦手で、大勢いる教室に入ることは出来ません。
では、そうなったのは弟が悪いのでしょうか?イジメた子が悪いのでしょうか?確かにイジメは悪いと思います。でも発達障害の弟が、知らずに相手を傷つけていたかもしれません。そこで私は、発達障害というのがどういう障害で、母がどんな苦労をしているのか、母から聞いたことを書きたいと思います。発達障害は個人でかなり特徴が異なるので、あくまでも弟の場合として書きます。
弟は生まれた時から少し普通の赤ちゃんと違っていたそうです。赤ちゃんは普通お母さんに抱っこされたら喜ぶと思います。でも弟はビクビクしたそうです。そしてあまり泣かない赤ちゃんだったそうです。泣かない事にはそれほど疑問に思わなかったそうですが、体に触れるとビクビクするのは「あれ?」と思ったそうです。生後一か月の健診で小児科の先生に相談して、「ちょっと敏感、要観察」と言われ、四か月健診でも要観察でした。様子が変わりだしたのは離乳食を始めた五か月を過ぎた頃でした。柔らかい粥だけだったら良かったのですが、味付けで顕著に食べない物が出てきました。離乳食が進んで固形物になると、全部吐き出します。母は何とか食べさせようと苦労したそうです。十か月健診の時、今まで要観察だった弟は初めて運動機能で再診察と言われました。動かない、座らせようとすると後ろにひっくり返る。寝返りもしないので、上を向いたままじっとし続ける赤ちゃんだったそうです。離乳食を食べないという状況も含めて、これらの症状は弟の触覚過敏という現象の現れだったそうです。その診断の時、発達障害という言葉を母は初めて聞いて、そこから母自身も発達障害の事、弟との接し方を勉強していったと言っていました。母は早くから発達障害として対処が出来たから助かったと今でも言っています。助かったというのは、育てにくいのには原因があり、どうしようもない事だと割り切ることができるので、母自身がイライラせずに済み、弟にも無理やり頑張らせてストレスを溜めさせずに済むからだそうです。
他にも弟には色々な症状があります。味覚過敏(甘い辛いに敏感で、慣れた味付けの物しか食べられない)。こだわりの強さ。コミュニケーションが苦手。このコミュニケーションの苦手さがイジメにつながったのだと思います。弟に悪気がなくても、記憶力が良く、自分が知っていることは相手も知っていると思い込んでしまう上に、かなり生意気な話し方をします。ずっと一緒にいる私は当たり前になっていますが、知らなければ、気分を害されるかもしれません。
では、どうしたらいいでしょうか。学習や成長と共に少しは対処できるようになるかもしれませんが、発達障害は治りません。それなら、個性の一つとして認めてあげられないでしょうか。それは発達障害の人だけでなく、私たち一人ひとりの性格が違うように、一つの性格だと思えないでしょうか。もし、周りに溶け込めない人、「あれ?」と思うような人がいたら、差別するのではなく、その人も困っているかもしれないので、手を差し伸べ、一緒に考えてあげられないでしょうか。そうすれば、お互いがイライラせず、ストレスも軽減でき、もっと住みよい社会になっていくと思います。今回私は母と話をすることで、直ぐに理解し行動することは難しくても、世の中には頑張ろうと思っても出来ない、直そうと思ってもどうしようも出来ない人がいるということを知ることができました。