【一般区分】 ◆佳作 福島 遥(ふくしま はるか)
障がいの有無を越えて人とのつながり福島 遥(静岡市)
今、私は充実している。毎日が楽しい。それは、夢だった、放課後等デイサービスという障害児通所施設で支援員をさせてもらえているから。やりたかった仕事ができ、仕事にもやりがいを感じている。そんな毎日が送れるのは、多くの人が手を貸しサポートして下さったおかげ。
今から二年前、私は大学三年生。夏休み、同級生は就職に向けて動き出した。同じようにインターンシップや企業説明会に参加した。しかし、それ以上先に進めなかった。まだ、障害受容できていなかった為、障害を伏せてクローズ就労するのか障害を伝えた上で障害者枠に応募するのか迷っていた。主治医とも大学のキャリア課の先生とも、何度も話をした。ハローワークの障害者窓口や障害者職業センターへも行った。友達も相談に乗ってくれた。だが、私として納得する答えを出せずにいた。迷ったまま、時間だけが経ち、あっという間に四年生になってしまった。焦りだけが募り、相談できない部分の心の想いやモヤモヤが溢れ出てきた。ついに、自分の心に留めておけなくなった。SNSで呟いたり投稿したりすることで発散するようになってしまった。そんな私を救ってくれたのは、当時のアルバイト先であり現在の職場の方々だった。今後の進路における悩みを聞いて下さった。更には、アルバイトする上で困っていることを聞いて対応策も考え実際に配慮をして頂いた。そうしているうちに、私自身の答えが見えてきた。障害はカミングアウトして配慮を得ながら自分のできることを発揮していきたい。障害者枠ではなく、できれば一般枠で挑戦してみたいという思いが出てきた。そんなことを思い始めた矢先、相談に乗って下さっていた方からこんなことを言われた。ここ(当時のアルバイト先)で働くってのも選択肢の一つに入らないの?と。その一言で、こんなに身近なところにやりたい仕事でかつ環境が整ってる場所があるじゃないか!と気づいた。この先も、ここでこの方達と働きたいと思った。そうして、決意した。求人を出していたわけではないので自分から理事長にお願いしようと。そこから、面接をして、数週間後には内定を頂き晴れて就職先が決まった。五月末のことだった。あの時の喜びは忘れられない。理事長には、「私」を一人の就職活動者として見て頂き今までの仕事ぶりを見て採用してもらったので感謝の気持ちしかない。障害者として、障害学生向けの企業説明会に行った時には、私自身というより発達障害者の一人という感じで見られていたから余計に一人の人として見てもらえたことが嬉しかった。ここに辿りつくまでには、本当に多くの方が相談に乗って下さった。一人の大学生が就職のことで困っている・悩んでいるから自分のできることで手を差し伸べよう、としてくれていることが伝わってきた。多くの方の温かい心が重なり合って今の私があると思う。障害の有無にとらわれないものがそこにはあった。障害者としてではなく、一人の人として認めてもらえた瞬間だった。出口の見えないトンネルにいた時、心身共に健康な子供に生んでくれなかった親が憎いと思ったこともあった。でも、今なら思う。発達障害というオマケをつけてくれてありがとうって。障害特性故に悩んだことも苦労したこともあるけれど、その分だけ人に支えてもらい温かさを感じさせてもらえた。まだまだ社会の差別や偏見は根強い。発達障害は、障害じゃないとか軽いから大丈夫でしょと言われることもある。大きな音が苦手なので、イヤーマフをつけていると変な人だなって見られることがある。理解が進んでいるかと言われれば、そうでもない部分もあるけれど少なくとも私は良き理解者に恵まれて今がある。障害は、本人ではなく社会が作り出しているという社会モデルがあるように、私は、時に障害者となり健常者と同じようにスムーズにできることもあると感じている。それは、仕事でのこと。
環境が整えば、障害は障害ではなくなる。今、職場の環境を整えて頂き、自分なりに工夫もできるようになった。仕事をする上で困ることは少ない。先輩方と同じスタートラインに立って仕事をすることができている。そこに障害はない。フラットな環境で仕事ができ障害特性による障害は薄れ、時々、私は何故まだ通院を重ねているのだろう?という錯覚に陥るほどである。それは、一人の仲間として受け入れてくれているからだと思う。障害があるからではなく、困っている人がいれば助け合うという当たり前のことが自然にできる人達なのだと思う。そして何より嬉しいのは、職場の方が利用者さんの対応等で困った時、福島さんはこんなことあった?こんな時にはどうしてほしかった?と一人の当事者としての意見も聞いてくれること。
お互いにお互いのことを知り、助け合えるって大事なことだと思う。私も、そんな風にそっと手を差し伸べられる人になりたい。そして、この良き仲間と利用者にとって過ごしやすく成長できる一つの居場所になるように頑張りたい。障害があってもなくても、平等に仕事ができ挑戦できる私の職場は、とても温かで自慢できる場所。共生社会となるよう私も一人の当事者として支援者としてこれから先も挑戦し続けたい。