【高校生区分】 ◆佳作 城添 水咲(しろぞえ みさき)

誰もが暮らしやすく生きやすく城添 水咲(長崎県立諫早農業高等学校3年 長崎県)

私が幼いころ、同級生に障害を持った男の子が二人いました。Y君は誰にでも優しくみんなに好かれていました。一方でT君は自分の思い通りにならないことがあると、すぐに暴れていました。この二人の様子を見て私は、「なんで二人とも障害があるのに、性格がこんなに違うんだろう」と思っていました。

高校に入学し、福祉について学んだり、様々なボランティア活動に参加したりしました。授業で障害について学ぶ中で、障害には様々な種類や症状があるのだと知りました。また、ボランティア活動の中で思い出深いものがありました。障害を持つ子たちと一緒に買い出しに行き昼食を作った時のことです。班に分かれた時私の班は女子が一人、男子が二人でした。女の子は面倒見が良く、男子二人がふざけていると注意をし、調理は率先して行っていました。調理中、他の班の女の子がふと入ってきて、おしゃべりをし始めました。その子はみんなの妹のような存在で、先生や友達みんながかわいがっていました。参加した子どもたちの中には、チャンバラを始める子どもっぽい子や物静かな子など特徴や性格がバラバラでした。改めて様々な性格の人がいるのだと思いました。活動の中で、私が幼いころに抱いた「障害があるのになぜこんなに性格が違うのだろう」と考えたことを思い出しました。同時に幼いころ私が抱いた思いは、明らかな差別だったのではないかと思いました。

街中や学校の廊下には、差別やいじめを無くそうなどの趣旨のポスターが貼ってあります。私はそれらのポスターを見て、私は絶対そんなことをしないと思っていました。しかし、よく思い出してみると幼いころの私はY君とT君の性格がなぜ違うのかと疑問に思っていました。「障害者はみんな同じ」という考えがあったのではないかと恥ずかしく思いました。一人一人性格や顔は違います。障害があるからといってみんな同じではありません。このボランティア活動を通じて、障害があってもなくてもみんな性格が違っているのだと実感しました。さらに障害者の方は私たちと同じように様々な感情を抱き、気持ちのままに行動しているのだと思いました。嬉しいときは友達と一緒にはしゃぎ、悲しいときは友達の肩を借り、怒ったときは表情や行動で示していました。こんなにも感情豊かで様々な表情があるのだと活動を通して実感しました。時には気持ちが高ぶってしまい、公共の場で大声を出してしまうこともあると思います。だからといって周りの人たちは闇雲に嫌な顔をしないで、言葉で伝える必要があると思います。人の中には社会的弱者と呼ばれる人々に対して、冷たい態度を取る人もいると思います。障害を持っていることがわかったら、その人を茶化したり暴言を吐いたりする人を見てきたからです。そのような人に、障害があるからといって私たちと違うことはないのだと伝えることが大切だと思います。

私はある人の言葉が心に残っています。「障害は一つの個性だ」という言葉です。この言葉はこの世から差別や偏見を無くすことができると思います。個性だとすると、障害が特殊なものでなく、一つの個性として私たちと何ら変わらないものだと感じます。この言葉を聞いて、障害に限らず病気への偏見や人種差別も無くなるのではないかと思います。心無い言葉を言う人がいても、「それは個性だ」と強調することで差別や偏見がなくなると思います。多くの人が個性を大切にすることで一人一人が守られます。その人だけでなく、家族や友人も笑って暮らせると思います。

私は障害のある子たちと交流をしたことで大切なことに気づくことができました。私たち一人一人に個性があるからこそ、お互いに思いやり、助け合いが必要です。人は障害や病気があっても無くても誰にでもできないことはあります。そこに周りの人が気づき理解することで助け合って生きていけます。多くの人がそうすることで誰もが暮らしやすく、過ごしやすい環境になることでしょう。私が幼いころに抱いた障害への偏見は、ボランティア活動を通して考えさせられました。この体験と考えを忘れず、これからも福祉について学んでいきたいです。

私はこれから進学し、社会福祉学を学びたいと思っています。障害がある人もない人も誰もが暮らしやすい地域づくりをしていきたいです。高校生活で培ってきた福祉の心を大切にし、進学後は多くの人と関わりより福祉の心を培っていきます。