【中学生区分】 ◆佳作 丸山 萌菜(まるやま もえな)
害とがい丸山 萌菜(関西創価中学校3年 大阪府)
最近、障害という言葉を障がい。と表記されているのをよく見るようになりました。どうしてひらがなに変わったのだろう。と思い調べてみると、害という漢字はマイナスのイメージがあり、障がいは害ではないから。といった理由からだそうです。確かに私も障がいは害じゃないと思います。しかしそれなら今の日本の世の中は矛盾していることがたくさんあると思うのです。
私には10歳下の妹がいます。5歳の妹はおしゃべりが大好きで、まだ言葉は出ないけれど「うーうー」と私に話しかけてくれます。シャカシャカと音が出るおもちゃも好きで、よくそのおもちゃをつかみながら私に自慢げに見せてきます。おもちゃを握る妹の手は右手が4本、左手が3本と人より少し少ないけれど、そんなことなど全く気にならないくらい妹はなんだってすることができます。
そんな、元気で可愛い私の妹は、おしゃべりが大好きで、友達と遊ぶことも好きなのに保育園に入ることができていません。保育園に入ることができない理由の中には、妹が障害を持っていることも含まれています。私はこのことを知った時、最初は意味が分かりませんでした。なぜなら、世の中では障がいは害ではないと言うくせに、保育園に入れないのは障害をもっているから。これって矛盾しているのではないでしょうか。もし、妹が障がいを持っているからといって保育園に入れないのだとしたら、私は妹の障がいは害だと思うのです。妹のやりたいことが障害によって出来ないのなら妹にとっても、障害は自分自身の可能性を狭める害だと思ってしまうでしょう。
でも、私は妹に障害があるからといって、妹のやりたいことをあきらめさせたくはありません。そんな世の中はおかしいと思うのです。本当の意味で障害を障がいにするためには、私達、障がいを持っていない人から変わらなければいけません。目が悪いからメガネをかけるのと同じで、呼吸をらくにするために人工呼吸器をつける。口から上手く食事を取れないから、胃ろうをする。妹も今年、胃ろうの手術を受けました。お腹から胃に穴をあけて管から食事を取れるようにする胃ろうは、食事中、点滴のようなものを使います。外には車イスに点滴をぶら下げながら出かけています。その姿を周りにジロジロ見られることもあるけれど、それを良い機会にこうして食事を取る人もいるんだ、と知ってほしいです。こうして知っている人が増えていけばジロジロ見られることも少なくなるし、障がいや病気についても今まで以上に正しい理解を得ることができるからです。
私は知ることが一番大切だと思っています。知らなければ死ぬまでずっと障がいについて自分の勝手な偏見を持ち続けることになるからです。そんなの、お互い悲しいし、障がいを持っている人も、持っていない人も、生きづらい社会だと思います。
私は妹が私達家族を選んで生まれてきてくれたことが本当にうれしいです。元気に生まれてこられるか分からない、と言われた妹は今私達家族の元気の源で、私は妹のおかげで知らなかったこともたくさん知ることができました。中には悲しいこともあるけれど、私はそれを変えるために妹に教えられたのだと思っています。また、妹に教えられた、たくさんのことを周りに伝えるのも私の使命だと思っています。この作文で一人でも多くの人が障がいのがいについて、少しでも向き合おうとしてくれたらうれしいです。