【中学生区分】 ◆佳作 西田 和哉(にしだ かずや)

彼の強さ西田 和哉(岩倉市立岩倉中学校3年 愛知県)

歩けない、走れない、僕にはそれが想像もつきませんでした。そんな足が不自由な彼に出会って僕の考え方が変わりました。

僕が彼に出会ったのは小学一年生の時でした。初めて彼を見た時、僕は「うわっ」と思いました。当初僕は車いすに乗っている人を初めて見たので、「本当に足がないんだ。」とびっくりしました。そして、かわいそうだとも思いました。でも彼はおそろしく前向きでした。話を聞くと、「僕はたしかに足が不自由だけど、車いすは楽だし、足が使えなくてもできることはたくさんある。」と言いました。僕は彼の言葉に大きく心を揺さぶられました。僕は人と違うことは弱点だと思っていました。でも彼の言葉を聞いて、「人と違うことは弱点なんかじゃない。一つの武器なんだ」と思えるようになりました。そんな風に僕を変えてくれた彼と僕はだんだん仲よくなっていきました。

ある日、友達に「お前よくあんな奴といられるよな」と言われました。あんな奴とは車いすの彼のことです。「車いすなのにすごい活発だし」僕はその言葉に怒りを覚えました。でもすぐ言い返せませんでした。僕も初めて彼を見た時、「うわっ」と思ってしまったからです。でも、だからといって彼のことを何も知らないのに、そんなことを言うのはひどいと思いました。そう思いながらも何も言えず、その時間が過ぎました。

次の日、彼を悪く言っていた友達が骨折して松葉杖で学校に来ていました。その友達は学校についてすぐ車いすの彼のところへ行きました。どうしたのだろうと思っているとその友達は急に彼に謝りました。「君のことを何も知らないのに悪口を言ってごめん」と。その友達は骨折して彼の大変さがすこしは理解できたようです。その友達も彼とだんだん仲よくなっていきました。僕はうれしかったです。彼はその友達にも言っていました。「人と違うことは弱点ではなく、個性、一つの武器なのだ」と。

彼はすぐ転校してしまい今はまったく連絡もとっていませんが、町中で車いすの人を見かけると彼のことを思い出します。当初の僕のように人と違うことは弱点だと思っている人がたくさんいると思います。そんな人達は彼の言葉を知って強くなってほしいです。そしてみんながそれを認め合えば、よりよい世の中になっていくはずです。