【小学生区分】 ◆最優秀賞 中根 暖(なかね ひなた)

やりたいことはやってみりん中根 暖(豊橋市立幸小学校5年 愛知県)

ぼくの左手は生まれた時からあまり動きません。頭の中で「動けえ」と命れいしても、ぜんぜん言うことを聞いてくれません。

学校では工夫をしたり、先生や友だちに助けてもらったりしてうまく生活できていると思います。でも、転んだりぶつかるとだっきゅうしやすいので、体育はできないことがあったり、しえん員の先生とぼくでちがうことをやったりしていました。友だちと遊ぶのは大すきだけど、体育はみんなとできないからつまらないしきらいな教科でした。

三年生の冬、なわとびの授業で友だちは二重とびがたくさんできるようになって、ぼくだけ一回ずつ前とびしかできないので、とても悲しくなってしまいました。がんばって練習してもできないので、とうとう「体育があるから学校に行きたくない!」と、お母さんに泣きながら言いました。

お母さんはぼくの気持ちを聞いてくれて、「悲しかったね。つらいなら、なわとびも体育も休んでいいよ。体育の時間が楽しくなるように、先生たちと相談してみるでね。」とせなかをなでてくれました。

四年生になり、初めて男の先生がたんにんになりました。やさしくてたくさん遊んでくれるかわい先生のことを、ぼくはすぐに大すきになりました。クラス全員で遊ぶときはやわらかいボールを用意してくれたり、ぼくもいっしょにできるルールに変えてくれたのでうれしかったです。

冬になり、またなわとびをやることになりました。ぼくはかわい先生や友だちといっしょにやってみたい気持ちもあったけど、どうせぼくにはできないからいいや、と思っていました。なわとびをやる日、まよったけれどぼくはなわとびを持たずに学校に行くことにしました。お母さんはそのことを何も言わなかったけれど、
「先生がいい方法を思いついたみたいだよ。」にこっと笑って声をかけてくれました。

体育の時間。先生は、ぼくの右手と先生の左手でなわとびを回して横にならんでとぶ方法と、先生が回すなわとびにぼくが入って向き合ってとぶ方法を説明してくれました。最初は少しはずかしかったけれど、左手になわとびを固定するよりたくさんとべるのでだんだん楽しくなってきました。

続けてとべるようになってきたので、次は友だちとちょう戦しました。友だちとペアになってとぶのはすごく楽しくて、もっとがんばってみようという気持ちになりました。かわい先生といっしょに初めて二重とびもとべました。力いっぱい高くジャンプし、耳の横でびゅびゅっと空気が鳴って、とても気持ちがよかったです。

次に始まったとびばこの授業でも、かわい先生と湯本先生が手のつき方やふみきりの方法をていねいに教えてくれました。とびばこは見ていたことしかなかったから初めは不安だったけど、低いだんがとべると、もっと高いだんもとべるかもという気持ちになりました。勇気を出してちょう戦してみたら、右手だけで五だんまでとべるようになりました。

いつのまにかきらいだった体育が、楽しみな時間に変わっていました。先生にも本当の気持ちを話せるようになりました。

しょうがいがあると本当はやりたくてもあきらめてしまうことがあるようにぼくは思います。でも、ぼくのなわとびみたいに自分の気持ちを話してみたら、だれかがいっしょに考えてくれたり、いい方法が見つかるかもしれません。できないと思っていたことができたり、すきなことに変わるかもしれません。

今年の運動会。ぼくはきば戦にちょう戦しました。先生とお母さんのことばがぼくに勇気をくれたからです。

「やりたいことはやってみりん。応えんするでね。」