【高校生区分】 ◆優秀賞 園田 康太郎(そのだ こうたろう)
障害のある人との関わり方園田 康太郎(鹿児島県立鹿児島中央高等学校2年 鹿児島県)
わたしは中学二年生のとき、県内にある養護学校に学校の行事で行ったことがある。そのときの交流の内容は、自己紹介をしたりそれぞれが考えてきたゲームをするというものだったのだが、実を言うとわたしは最初にその話を聞いたとき、少し不安に感じた。何が不安だったかと言うと、養護学校の生徒に対する接し方やコミュニケーションの取り方だった。軽い障害の子も多いが、手足が自由に使えなかったり、急に興奮したりしてしまう子ももちろん居ると聞いていたので、そういう子たちにどのように接したらいいかあまり分かっていなかった。しかし、せっかくの交流なので、相手をがっかりさせてしまうような交流にしては良くないと思い、自分なりにいくつかコミュニケーションを取るうえで気を付けたいことを考えてみた。まず一つ目は自分から積極的に話しかけてみることだ。こちらが壁をつくってしまえば、向こうももちろん話しかけづらいだろうし、一度話してみれば意外と気が合うようなこともあるかもしれないと思ったからだ。二つ目は、なるべく健常者と同じように接することだ。それは、もし自分に障害があって、身体になにか不自由があった場合、障がい者だから大変そうだなどと思って接してもらうよりも、健常者と同じように接してもらえた方が嬉しいだろうなと思ったからだ。三つ目は、基本的に笑顔で接することだ。やはり表情一つで印象はかなり変わると思う。
そしてそれから数日が経ち、クラスでの出し物やいっしょにするゲームを何にするかなども決まってきた。なるべくルールが分かりやすく、楽しみやすいものにしようということで、ペットボトルを使ったボウリングをすることになった。また、養護学校の生徒たちに喜んでもらえるよう、最後に歌を歌うことになった。この段階で、わたしは交流の日がとても楽しみになっていた。
そしてとうとう交流の日になり、わたしは楽しみであると同時に少し不安でもあった。それは、養護学校の生徒たちが楽しんでくれるかという不安だった。しかし、実際に体育館で対面して、交流しているうちに、そのような不安は必要ないと気付いた。最初の自己紹介のとき、十人ずつくらいの組に分かれて自己紹介をしたのだが、自分はさっそく隣にいた子に話しかけてみた。すると、向こうも嬉しそうに自分と話してくれた。その後は自分たちの考えてきたゲームをやったのだが、とても楽しそうにやってくれた ので、こちらもとても嬉しくなった。その後もたくさんの子と会話をしたりでき、最後に歌った歌でもみんなとても喜んでくれたので、改めて交流ができてよかったなと感じた。
この経験を通して学べたことは、障害のある人たちとわたしたちとの間には壁はないということだ。最初は先入観などもあり、もしコミュニケーションが上手くとれなかったらどうしようなどと考えていたが、実際に接してみて、そのような考えはなくなった。確かに中には自分ではほとんど動けなかったり、思ったように話したりすることのできない子もいたが、そのような子たちとも、何か工夫してゲームをしたり、身ぶり手ぶりでコミュニケーションをとったりすることができたので、自分にとってこの交流はとても大きな経験となった。
将来、職に就いたときに、もしかしたら生まれつきの障害のせいで仕事が思うようにできない人がいるかもしれない。そういうときには、相手の障害のことをしっかりと理解し、率先して手助けができるような大人になりたい。障害のある人にとって一番嫌なことは、自分の障害を理解してもらえないことだと思う。だから、多くの人々が障害について理解することができる機会があり、障害をもつ人々に対しての差別や偏見のない社会にしていきたい。また、すべての人が障害の有無にかかわらず、平等な社会活動を営むことのできる社会をつくれるよう頑張ろうと思う。