【高校生区分】 ◆佳作 大村 莉未(おおむら りみ)

体験を通して描いた私の『未来予想図』大村 莉未(福島県立平支援学校高等部3年 福島県)

私は、てんかんという障がいをもっています。急に発作が起こり、転倒してしまう障がいです。私は中学生の時にこの障がいがあることでいじめを体験しました。私のいないところで発作の真似をされたり、仲間外れにされたりしました。私は学校自体が怖く感じるようになって、次第に不登校になってしまいました。家族以外の人が怖くなり、外に出るのも嫌になりました。そして、人のことが信じられなくなりました。周りの人はみんなそういう人ばかりだと思っていました。すごく辛かったです。いつも「自分なんか消えちゃえ」と思っていました。

そんなことばかり思っていた私が大きく変わることができたのは、特別支援学校に転校してボランティア部という部活動にであったことがきっかけです。障がいをもっているボランティア部の先輩方が、募金活動をしている様子を見て「こんな私でも先輩方みたいに人の役に立つことができるんだ」と知ったことです。その時、私も先輩方のようにボランティア部に入部して誰かの役に立ちたいと思いました。

私は、障がいをもっていることでいじめを体験したので、障がいがあることがとても嫌でした。でも、ボランティア活動を通して、福島大学や東京大学や、サマーショートボランティアなどいろいろなところで自分の障がいのことや、障がい者目線のボランティア活動の話をする中で考え方が変わりました。「私なんか障がいがあるから何もできない」と思っていたけれど「障がいがあっても私にだってできることがある」と自分に自信がついてきました。自分のいいところを見つけることができたのです。

すると、障がいのあることがとても嫌だったのに「この障がいは他の誰ももっていない私にだけある特徴だ」と思えるようになりました。そう考えることで「自分なんか消えちゃえ」と思っていた気持ちが消え、「障がいのある自分だから分かることがある」とポジティブに考えられるようになりました。そのことに気づいたことで「障がいがあってよかったのかな?」とさえ考えるようになりました。

私は部活動で県役員を務めた時、車いすの操作で困っていると、同じ県役員の仲間が、「大丈夫?」と障がいのある私を無視せずに声をかけてくれました。地区の役員も、私の障がいを気にせず声をかけてきてくれました。その時私は、「こんなふうに障がいのあることなど関係なく声をかけてくれる人もいるんだなぁ」と初めて知りました。中学生までは、家族以外のまわりの人はみんな信じられない人、怖い人だと思っていたので、私の見方はいっぺんに変わりました。

こういう体験を通して、私の発作の真似をして笑ったりするような障がいを理解してくれない人や、以前の私のように障がいを受け止められない人、障がいがなくても自分のことで悩んでいる人達に、私が気づくことができた「障がいがあっても人の役に立つことができるよ」とか「誰にでもいいところはあるんだよ」ということを伝えたいと思いました。

そこで、部活動の仲間達に呼びかけて「This is ME!」というメッセージを書いたポスターを作って、福島県内すべての高校に送付しました。

私のように障がいをもっている障がい当事者が感じたことや、障がい者目線のボランティア活動を通して気づいたことを周りの人達に伝えていくことが大事だと思います。それが障がい者理解につながっていくからです。

そして、「障がいのある人もない人も区別なく、みんなが笑顔で暮らせるような『共生社会』をつくっていきたい!」私は、そんな未来予想図を描いています。