【小学生区分】 ◆佳作 安彦 幸美(あびこ ゆきみ)

本当のやさしさって?安彦 幸美(寒河江市立寒河江中部小学校5年 山形県)

私のお父さんは、車いすに乗っています。歩く時は、両手につえを持って歩きます。私が一年生だった冬、お父さんは事故にあい、足が不自由になりました。足が不自由になっても変わらず、いつも通りのやさしいお父さんです。そんなお父さんが大好きです。

お父さんが、足が不自由になって生活が少し変わりました。落とした物を拾ったり重い荷物を持ってあげたり、お母さんが忙しくしている時に、
「お父さんのお手伝いしてね。」
と言われたりもします。たまに大変になる時もあるけれども、自分でできることはしています。四年の月日が流れて、私が、お父さんを助けてあげられることはいっぱいある、と気付くようになりました。だから、これからもお手伝いを進んでやりたいです。

いつしか、手伝っているうちに不思議に感じることがありました。三、四年生のころ、
「お父さん、大丈夫?取ってあげようか。」
とやさしく声をかけると、
「大丈夫だから、お母さんのお手伝いをしてあげて。」
と断られる時が度々ありました。お父さんのためを思って声をかけているのに分かりません。私だったら、手伝ってもらって「うれしいな。」「助かるな。」「ありがとう。」と思えることをやっているのに、どうしてなのか、私は、考えても考えても分かりませんでした。お父さんには、面と向かって聞けないので、お母さんに聞きました。
「どうして、お父さんの手伝いをすると、うれしくないのかなあ。」
「色々あるとは思うけど、自分でできることは、自分でしたいんじゃないかな。たのまれた時、手伝ってあげると喜んでいたよね。」
と、お母さん。
「そうだったなあ。お父さんの気持ちを考えないで、手伝っていたなあ。」
と思うようになりました。

自分では、喜んでもらいたい、ほめられたい一心でしたつもりが、お父さんには伝わりませんでした。相手の気持ちや立場に立って、もう少し考えて行動すべきだったと思います。相手の気持ちを考えるのは、とてもむずかしいなと感じました。これからは、お父さんができることは、危なくないように見てあげたいです。

私の夢は、看護師です。けがをしている人や病気の人を助けてあげたいです。けがを治して元気になってもらいたいし、苦しんでいる人の役に立ちたいです。そのためには、かん者さんの気持ちも考えてあげたいと思いました。やさしく声をかけたり話を聞いたりしてあげたいです。相手が、喜んでもらえるようなことをすると、自分もうれしいし、幸せな気持ちになるからです。この経験を生かして、より一そう看護師になりたいと思いました。