【小学生区分】 ◆佳作 子安 諒門(こやす りょうと)
妹から教えられたこと子安 諒門(仙台市立木町通小学校6年 仙台市)
ぼくには、妹がいる。妹にはダウン症があり、話すのが苦手だ。でも歌とダンスが好きな明るくてやさしい女の子だ。
ぼくは、毎日友達と妹の三人で小学校に通学している。妹は、道の途中で突然立ち止まり、動かなくなってしまうことがある。はじめのころ、友達は早く学校へ行きたそうな顔をしていた。ぼくが、「ごめん。」と謝ると「いいよ。」と妹が歩き出すのを待っていてくれた。そして、ぼくと妹が話すのを後ろからだまって見ていた。あのころ友達は、妹とどう接していいのかわからず迷っていたのだと思う。ぼくたちは一年間そうやって登校していたが、今では友達は妹に自分から話しかけたり、妹と一緒の速さで歩いてくれる。そして、妹が途中で止まるとやさしく「行こうよ。」と声をかけ、妹は「うん。」と返事をして、楽しそうにまた歩き出す。いつの間にそうなったのか友達もぼくもわからないが、ぼくと妹にはとてもうれしいことだ。三人で登校するようになってから、通学路では他の友達もよく妹に声をかけてくれるようになり、妹もみんなに「おはよう。」と元気な声であいさつをしている。ぼく達は、一緒に野球ばんをしたり風船バレーをして遊ぶこともある。妹は野球ばんが強いので、友達は妹の技を真似したりしている。妹は張り切ってうれしそうにピッチャーやバッターの役割を決めたり、ぼくと友達がアウトかセーフでもめた時は間に入り和ませてくれたりする。
三年前、転校前の小学校には特別支援学級がなかった。ある日、公園で遊んでいると友達が妹を見て「話し方と走り方が変だね。」と言った。ぼくは人と違って何か悪い事があるのかと考えてみたけど、悪い事は何も思いつかなかった。祖母によると、ぼくはそのころに「妹は心の目で見て心の口でおしゃべりしているんだね。」と言ったことがあるそうだ。そう言った事を覚えていないけれど、三年生のぼくは本当にそう思ったのだろう。
今、妹は毎日友達や先生と遊んだり学んだりたくさんのことを教えてもらいながら、生き生きと過ごしている。もし、周りの人達が知らないふりをしていたら、妹もぼくも暗い気持ちになっているかもしれない。
ぼくは、妹や友達とのくらしからみんなで支え合って生きることの大切さを学んだ。これからも、妹だけでなく、助けが必要な人にはできることでいいから手を貸していきたいと思っている。