【高校生区分】 ◆佳作 清水 あろあ(しみず あろあ)
プールの授業と手術跡清水 あろあ(栃木県立のざわ特別支援学校2年 栃木県)
私は、小学校と中学校は地域の学校に通っていました。体育祭や文化祭などの行事、委員会や部活など、様々な活動を経験しました。私は学校が楽しくてクラスメートも、部活仲間も大好きでした。でも、私には唯一嫌いな時間がありました。それは、プールの授業です。なぜかというと、私の足や股関節には、数えきれないほどの傷があるからです。それは、今までに数回行った手術の跡です。
普通の人からしたら、「暑いときに冷たいプールで楽しく泳げるから好き」や「泳ぐのが得意だから好き」のような意見が出るかもしれません。でも私は、プールの授業が嫌いでした。なぜなら、今までに受けた手術の傷がみんなに見られることや、装具をつけていない、はだしの姿を見られたくなかったからです。だから、なるべく傷が見えない姿勢で、傷を隠しながら過ごしていました。先生の話や準備体操が終わり、いざ入水の時間になりました。周りの友達や補助の先生と、「水が冷たいね」と話していた時、周りにいる友達の表情が、少し暗くなったのです。それは、私の足にある手術の跡を初めて見たからです。私は、「あっ」と思いました。なぜなら、その傷を見た友達に気持ち悪いと思われたくなかったからです。でも、傷を見た友達から、意外な言葉が返ってきました。それは「あろあちゃんの足の傷、すごく大きいね。」と言われ、やっぱりそう思うんだと落ち込みそうになったとき、その子が続けて「でも、それくらい大変な手術にも耐えて、いっぱいリハビリも頑張ってきたんだね。」と言われ、私はとてもうれしく思いました。手術をした時期に出会っていなくても、頑張りをたたえてくれる人がいるということが。
今まで、手術跡にコンプレックスを感じていた私に、頑張った証拠だと教えてくれた友達とは、今でも大親友です。それからは、プールの授業を心から楽しめるようになりました。私は大親友と、中学の卒業式にこんなことを約束しました。「大きくなったら、二人で免許を取って、海に遊びに行こうね」と。もちろん、「うん!」と返事をしました。その子とは進学先は違います。でも今も、体の調子など気にかけてくれています。こんなにやさしく、寄り添ってくれる人がいるということに感謝です。
私はこの体験を通して、手術跡や自分が障害者であるということに不安やコンプレックスを感じている人に、「一人で悩まないで」、「寄り添ってくれる人がきっといるよ」、「私はあなたの味方だよ」と伝えたいです。また、これから手術を受ける人で、学校や職場に戻った際の、周りの反応が気になる人にも、「安心して手術を受けて大丈夫だよ、手術跡はあなたがその手術に耐えた証拠だよ。だから前向きに考えて。」と言ってあげたいです。「手術」という言葉を聞いた時、マイナスなイメージではなく、その人の頑張りをたたえる印だと認識していただけたらと思います。
私には夢ができました。誰かに夢や希望を与える存在になりたい、と。この作文を書いたときちょうどオリンピックが行われていました。もし私がメダリストになれなくても、メダリストのように感動を与える、努力する前向きな姿を見てもらいたいです。
最後に。
この作文を読んで障害者に興味を持ったり、誰かが夢を持つきっかけになったりしたらとてもうれしいです。この作文は、私の実体験をもとに書いています。なので、これを読んだみなさんがどのような考えを持っていてもいいと思います。「十人十色」という言葉のように意見はこの世界に存在する人の数だけあっていいと思います。