【中学生区分】 ◆佳作 入江 洋香(いりえ ひろか)
仲間と共に入江 洋香(横浜雙葉中学校1年 横浜市)
共に??。 これは表面ではいとも簡単に言うことだけれど、心の中で障害をもつ子とすべてを一緒に、というのは無理なのではないか、五年生の時の自分ならそう言っているだろう。しかし、六年生の濃い一年でガラッと気持ちが変化することになった。
私のクラスには六年生の生活を共に過ごした車椅子の男の子がいた。教室から一階上のクラスへ行くことですらルートが違ってしまう現状があった。六年生、そう待望の日光修学旅行がある。歴代の先輩の姿に影響され、とても楽しみだった。しかし、日光は昔からの文化財でエレベーター設置が難しく、階段ばかりになってしまうという問題があった。そのため、私のクラスの総合のテーマは「車椅子の保護について」。昇降機や持ち運びのできるスロープなど階段障害を解消するための手段を練ったりした結果、JINRIKIさんの着脱式の補助具にたどり着きました。
しかし、残念なことに新型コロナウイルスの影響で修学旅行という実践の場を失ってしまいましたが、緊急時の避難に焦点を変え、エレベーター、スロープが使えない場面を想定して、彼より先に避難し、あとは先生に任すこの現状からこの器具によってクラスが団結し、活動を共にすることの実現に繋がりました。そして、全員の心の中には「車椅子だからって何ら変わらない。」という考えができてきている感じがした。
私たちのクラスで考えたのはJINRIKIのNを抜いたらJIRIKI、そう自力。ただそのN、「仲間」を加えると人の力で突き動かされるものになるのでは、と。仲間という傍らにいる人がいるからこそできることがあると考え、もちろんこのJINRIKIのような器具があるととても便利で身近にいる人の大切さを教えてくれるものだが、一番大事なのは心のバリアフリーではないかと思う。その後、私たちのクラスは、近くの障害者支援などをしている活動ホームを訪問し、周りにいる人の存在の大きさについて共有することができた気がする。いままで関わってきた人たちとの輪は、健常者と障害者というくくりで分裂するような絆ではない。中学生になり、過ごす環境こそ変化はあったが、心の中で結ばれた絆はこれから何年経とうが、変わらず繋がりをもっているはずだ。
そして、本年の二十四時間テレビで普通学校と特別支援学校という境を壊し、障害者への偏見を無くして、健常者との共生社会の実現を促進する「インクルーシブ教育」というものの存在を初めて知った。また、同じような活動の中には、インテグレーション教育というものもある。しかし、前者は後者に比べて個々のニーズに合わせた合理的配慮や支援を受けながら他のメンバーと同じ一員として教育を受けられるため、個人の尊重や認め合い、健常者との交流をすることで社会を知る第一歩になる取り組みだと思う。
これからは、多様な価値観や人々を受け入れ、健常者と障害者、お互いを理解し合うことができる「心」をもち、さまざまな人に出会うことを恐れずに行動したい。障害者だから、自分たちとは違うからと言って優劣をつける世界が無くなるのは案外早いのかもしれない。共に生きることに誇りをもてば。