【一般区分】 ◆佳作 関谷 由美子(せきや ゆみこ)

香りポスター 広がる未来関谷 由美子(札幌市)

昨年の夏、2021年8月に とても嬉しいことが ありました。

香料弱者のための 啓発ポスターを、国の5つの省庁が 作成してくださったのです。

それは

「その香り 困っている人が いるかも?

 柔軟剤などの香りで 頭痛や吐き気がするという相談があります。

 自分にとって快適な香りでも、不快に感じる人がいることを ご理解ください。

 香りの強さの感じ方には 個人差があります。

 使用量の目安などを参考に、周囲の方にも ご配慮いただきながら お使いください。」

という 易しい言葉が記されています。これは 香料成分による体調悪化をおこす 香料弱者の存在をお知らせする内容として わかりやすく 伝わりやすいと思いました。

この啓発ポスターの発行元は

「消費者庁」

「文部科学省」

「厚生労働省」

「経済産業省」

「環境省」

の 5つの省庁です。

カラー印刷されたイラストには、頭痛で青い顔色をした方、笑顔で快活な方など、個人差がある事実を 明確に表わしていると感じました。

さて、私が このポスターを初めて拝見いたしましたのは、公立の小学校でした。

校長先生のご説明は

「この香料弱者のための 啓発ポスターは発行元の文部科学省から 市教育委員会を通じて、公立の全学校へ データ配信されたものです。

 データの利用方法は、各学校の判断とのことでした。

 そのため 本校では、カラー印刷をして拡大版を 皆さんの目に留まりやすい箇所に 掲示しました。」

と おっしゃいました。

小学校の玄関に 児童の皆さん、ご来校の全ての方々に ご覧いただけるように掲げられていました。加えて 始業式では、全校児童の皆さんに このポスターの紹介を 校長先生が お話ししてくださったとのことでした。

これらのことから 私が感じたのは、小学生の皆さんが この時期に 香料弱者の存在を知ってくださることは、これからの人生において 必ず役に立つ時が来る、未来を担う子ども達が お互いに助け合う心をもち寄ることで みんなが幸せに過ごせるようになる、そのような「共生社会」への 第一歩のように、力強いスタートのように思いました。

後日、私は 校長先生とお会いする機会をいただき、香料弱者のための啓発ポスターがとても素晴らしく 感動したことを伝えることが できました。

その際の 校長先生は、とても優しい笑顔で こうお話しして くださいました。

「学校は たくさんのお子さんが 仲間たちと 共に過ごす場所です。

 いろいろなお子さんがいるのが 学校です。

 障がいが ある、ない、というだけではなくとも、どのお子さんにも 何か 今日は ちょっと困ったなという時は、いつでも先生や 周りの友達に相談してほしいと思います。」

そして

「特に 体の具合が悪い時は、それは 自分自身でしか わからないことですから。

 具合が悪いことは がまんしないで 周りの人に伝えることが 大切です。」

とのお言葉に 深い感銘を受けました。

あれから 一年の時が過ぎました。

香料弱者のための啓発ポスターは、国の消費者庁の 公式ホームページにて PDFデータが公開されていましたが、その後、札幌市公式ホームページと 北海道公式ホームページにも リンクされました。
こうして ポスターが広まり、一人でも多くの方に 香料弱者の困りごとを、生きづらさに 気づいていただけましたら 幸いに存じます。

そして

『学校は 社会の縮図です』

と いう名言のように、小学校と同じような ともに支え合って暮らす社会を、一人一人の心掛けで 作り続けていくことが、「共生社会」の実現に 結びついていくでしょう。