【小学生区分】 ◆佳作 原國 海音(はらぐに かいと)

きつ音のぼくと障害の妹原國 海音(横浜市立舞岡小学校 6年 横浜市)

ぼくは、ようち園のころからきつ音があります。言葉をくり返したり、つまってしまい話せなくなります。クラスの友達にからかわれたり真似されたり、しゃべり方を指てきされてつらい経験もしました。どもっていることに気付かれないように自分の言葉に変えて話したり、話すことをあきらめてしまうことがあるけれど、本当のぼくは、人と会話することが大好きなのに。

ぼくがいやだと思っていることは、どもりを真似されたり、笑われたりすることよりも「どもるからかわいそう」という思いで見られたり、付き合うことです。それが一番きずつくことなのです。きつ音がある自分をかわいそうな人間だとは思っていません。きつ音は、治るものではないからこの先も上手に付き合っていきたいです。きつ音があるぼくは個性だと思います。自分が好きI ’am OKを胸に生きていきます。

そして、ぼくの妹のことを書きます。妹は自閉症という発達障害があります。見た目では、他人には分かりません。妹は不思議な行動をとり突然のかんしゃくを起こし、パニックや感情のコントロールが難しい、こだわりが強いという特性が多くあります。ぼくから見ると妹は宇宙人のような未知の存在でした。相手の感情や空気を読み取ることができない、我が道を行く妹は、ふつうの人とは違うと感じ、ぼくは色めがねで見ていました。

妹が小学生になるまでは。両親は、いつも大変で手がかかる妹の育児に追われていました。ぼくは両親に負担をかけたくないから、がまんしていました。きつ音があるから、伝えたくても伝えられないもどかしさ、言えずにあきらめてしまう悔しさ、さみしさがあったのを覚えています。

今、ぼくは妹の障害と向き合う努力をしています。妹の行動のうらにある感情や理由をいつも考えています。ぼくと同じで、自分が言いたいことや感じていることを相手に分かりやすく伝えたり表現することが苦手です。相手が言っていることや感じていることを理解したり、気付くことが難しいです。ぼくは、妹と会話するときに心がけていることがあります。簡単な言葉でゆっくり話します。短い言葉で具体的に伝えます。妹は今後の見通しや、自分のやることが明確だと安心します。困っている時は、スケジュールや手順など目に見える方法で教えます。自分に出来ることを少しずつ考えて支援できたらいいと思います。

妹のすごい特性もたくさんあります。いつ、どこで何をしたか、何年も前のことをしっかり記憶しています。記憶力は、ぼくよりも優れていると思います。生活リズムが規則正しく、時計を見て行動しています。一週間の家族のスケジュールをはあくしています。学校の決まりごとや家庭のルールは必ず守ります。どれも当たり前のことかも知れないけれど、妹はきちんと日課をこなします。

妹がいなかったら、障害のことを知らないまま大人になっていたと思います。障害は、個性のひとつであることを知ってほしいです。人に優しい社会であってほしい。誰もが安心できる居ごこちの良い社会にしていきたいです。