【中学生区分】 ◆優秀賞 東 朔太郎(ひがし さくたろう)

「普通」とは何か東 朔太郎(高岡市立芳野中学校 1年 富山県)

僕の弟は、ダウン症という障がいをもって産まれました。ダウン症の人は、細胞の中にある染色体というものの数が普通の人より一本多いそうです。普通の人の染色体は四十六本です。だから、ダウン症の人の染色体は四十七本あることになります。

弟は世間では、「障がい児」と言います。また、僕のような障がい児の兄弟は、「きょうだい児」と言うそうです。僕は、そんな言葉があると知ったとき、悲しいような悔しいような何とも言えない嫌な、気持ちになりました。弟も、そしてその家族である僕たちも「普通じゃない」と差別されているように感じたからです。

弟は八歳ですが、上手に話すことができません。代わりにジェスチャーを使って自分の気持ちを表現しています。でも、それ以外は「普通」の八歳と同じです。毎日ご飯を食べお風呂に入ります。学校に行き、家では宿題をしています。怒ったり泣いたりもします。そして、弟はよく笑います。また、他の人がしないような勘違いをしたり、ユニークな動作をしたりして僕たちを笑わせてくれます。弟がいると、家の中が明るくなります。弟は我が家のムードメーカーです。

弟の「普通じゃない」ところを探そうとするうちに、何が「普通」なのかがわからなくなってきました。僕は、「普通」の人なんていないのではないかと思います。同じ人間なんて一人もいないからです。

世の中には、さまざまな差別があります。障がい者差別はもちろんですが、人種差別や性差別など、何年も前から問題になっています。僕は、差別は、自分とは異なる人を「普通じゃない」と決めつけるところから始まるのではないかと思います。相手のことを知ろうとする前に決めつけ、関わろうとしないことが差別がなくならない原因なのではないでしょうか。

僕は、差別をなくすためには、人は、一人一人違っているという当たり前のことをみんなが理解すること、自分とは違う人のことをもっと知ろうとする思いやりの気持ちが大切だと思います。そして、相手と自分との間に大きな違いがあったとしても、関わっていくことが必要だと思います。

僕には、これから弟と関わるときに心がけたいことが二つあります。一つ目は、手伝いすぎないことです。僕の弟は、さまざまなことをするのに時間がかかり、手助けが必要です。気持ちを伝えるときにも、ジェスチャーだけでは相手にうまく伝わらず、見ていてもどかしくなります。そんなとき、僕はすぐに手助けをしてしまいます。でも、それは弟のためにはなりません。一人でできないことがたくさんあるまま大人になって、困るのは弟だからです。弟は、宿題をしていてわからなくなるとやめてしまいます。それを知っている僕は、答えを教えてしまいます。本当は自分で考えた方がいいと思っているのに、つい教えてしまうのです。これからは、弟のために、見守ったり、やり方を教えたりしていきたいです。

そして二つ目は、人の気持ちを考えられるようにしてあげることです。今、弟は、自分のことに精一杯で、人のことを思いやることはできません。これから、いろいろな人と関わっていくために、弟には、人の気持ちを考えられるようになってほしいと思っています。少しずつだと思いますが、されてうれしいことや嫌なことを教え、分かってもらおうと思います。

「普通」の人よりできることが少ない弟ですが、それでも、できることはどんどん増えています。周りの人も、障がいをもつ人自身も「普通じゃない」と決めつけることなく、思いやりの気持ちをもって関わっていける社会をつくっていきたいです。